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第30話 巨大過ぎる魔物

 コズエの制止で足を止めると、前方からドシンドシンと大きな音が聞こえてくる。

 何事かと思い、木の陰から様子を伺うと、大きな――俺の身長の三倍くらいの高さがある、巨大なイノシシが居た。

 しかも、何か機嫌でも悪いのか、周囲の岩や木々に体当たりしまくっている。


「……こ、コズエ!? 何なんだ、一体?」

「わからないよー。ただ言えるのは、ここは村からある程度離れた場所だけど、いつか向かって行く可能性があるね」

「こ、こんなに巨大なイノシシが村に……それはマズいな」


 ウルが目を覚ます前に戻らないと……と思っていたので、ナギリの力を使った状態で森の中を歩いていたからか、どうやらそれなりに離れた場所に居るようだ。

 だけど、物凄く高い木と同じくらいの大きさのイノシシが村にやってきたら、魔物除けの柵なんて簡単に壊されるだろうし、家だって壊される可能性が高い。

 基本的に、好戦的で襲って来る魔物しか倒さないつもりでいたが、こいつは追い払うか、もしくは倒しておいた方が良さそうだ。


「コズエ。勝てる……よな?」

「たぶん。だけど、身体が大きいっていう事は、それだけ生命力もあるし、一撃で倒すっていうのは無理だと思うよ?」

「あぁ。だけど、村を……ウルや村人たちを守る為に倒す!」


 身を潜めていた木に登ると、巨大イノシシの顔の高さで、コズエの力を使って魔法を放つ。


「≪ストーン・バレット≫」


 大きな石がイノシシに向かって飛んで行き……顔に直撃!

 だがコズエの言った通り、当たった場所から血は流れているものの、倒れたりするような気配はない。


――BUMOOOOO


 すぐに別の木へ飛び移ったからか、イノシシは俺の位置が分かって居ないようで、全く関係の無い木に突撃する。

 再び大きな石を飛ばし、今度は横っ面へぶつけたのだが、ダメージを受けている感じが殆ど無い。


「トーマ君。あの大きな魔物だけど、毛皮が物凄く頑丈よ。毛皮をはいでしまうか、別の方法を考えた方が良いかも」

「そうは言うけど、包丁――短剣だと、刃が短過ぎるから、あの魔物の背中に飛び乗らないといけないだろ? 流石にそれは難しいと思うんだが」

「そうだけど……でも、投石魔法が効いていないように思えるのよね」


 ナギリの言っている事はその通りなのだが、とはいえこの小さな短剣で、自分の何倍もの大きさがあるイノシシを倒そうとするのは無謀な気がする。

 次点の策としては、火魔法で燃やしてしまう事だけど、森の中で火魔法を使う訳にはいかない。

 だとしたら……水か?

 木を着る時に使っている水魔法であれば、あの巨大イノシシも間違いなく切断できるだろうが、こちらも射程が短いんだよな。


――BUMOOOOO!


「しまっ……見つかったっ!」


 どうやってこいつを倒すか考えていたら、俺が登っている木に体当たりされ、吹き飛ばされる。

 いくらナギリの力を使っていると言っても、この高さからの落下はマズい!

 何か考えないとっ!


「トーマっ!」

「トーマ君っ!」


 ナギリとコズエがそれぞれ俺の腕を引っ張り、身体が宙に浮く。


「ふぅー。やっぱり、そのまま持ち上げるのは無理かー」

「……って、コズエ!? 諦めるなよっ!」

「大丈夫、大丈夫。トーマ、私の力を使って! 風魔法っ!」


 風魔法? 初級魔法で使える風の魔法は、強風を起こす魔法だけなのだが……いや、そういう事か!


「≪ハイ・ウインド≫」


 俺の真下から上に向かって、上昇気流のような強風を起こすと、コズエとナギリに引っ張ってもらった時のように、一瞬身体が浮く。

 空を飛ぶ訳ではないが、何度か繰り返して居るうちに、地上まで一メートルくらいのところまで居りてきたので、そのまま地面へ。

 おぉ……あんなに高い場所から落ちたのに、無傷で地上へ降りられた。


「トーマっ! それより、距離を取らないとっ!」

「そうだな。それに、今の風の魔法のおかげで、アイツを倒す方法を思いついたよ」

「そうなの? 流石トーマ! だけど、すぐそこに魔物が……」


 突撃してくるイノシシから急いで離れ、再び小杖を構える。

 先程と同じ状況で、またもや分厚い毛皮に攻撃が防がれてしまいそうだが、今度は違うからな?

 反撃開始だっ!

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