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第26話 食材の確保

「ただいまー……おや、トーマさんにウルちゃん。ははぁ……わかった。じゃあ、ウルちゃんはオジちゃん……いや、おじいちゃんと暫く外で遊ぼうか。パパとママは今からイチャイチャするんだって」

「お父さん!? 何の話っ!? というか、トーマさんはお父さんに用事があって待っていたのよっ!」


 アメリアに家の中へ通されて暫く談笑していると、村長が帰って来た。

 何故か、ウルを連れて外へ行こうとしていたが……


「ウル、パパがいい」

「くっ……しかし、アメリアも幼い頃にはパパ、パパって言っていたか。これは仕方が無い。分が悪すぎる戦いだったんだ」


 ウルから完全否定されて落ち込んでいる。

 ……って、これは何の話なんだ?


「こほん。村長さん、ちょっとお願いがあってやって来たんだけど……」

「むっ!? わかった。認めよう」

「認めよう……って、何を?」

「え? 娘を……アメリアをくださいって話だろ? 娘を宜しく頼む」


 いや、この人はどうしていつも、こんなに話が飛躍するのだろうか。

 アメリアも、顔を真っ赤にして押し黙っているし。これは流石に怒っているのではないだろうか。


「……こほん。そういう話ではなくて、二つ頼みがあるんだ。一つは野菜を沢山……それこそ、売る程作っている方を紹介して欲しいんだが」

「え? うーん。それならフィリアさんだろうな。実際に他の街へ売っているし。だが、この村は大半の者が野菜を作っているぞ? それに、トーマさんが望むなら、うちの畑をのまま使ってもらって構わないのだが」

「いえ、ありがたい話だけど、野菜を作るよりも、買わせて欲しいんだ。というのも、二つめのお願いが、村で料理屋を開く許可が欲しくて……構わないだろうか」

「はっはっは。家で何をやるかは本人の自由だ。許可なんて必要ないさ。あの家も好きに改築して構わないし、必要なら大工の俺に声を掛けてくれ」


 そう言って、村長が笑いながらフィリアさんの家を教えてくれた。

 あとは、フィリアさんのところで、どんな野菜が買えるかだな。

 ひとまず、これで料理屋が開けられると思ったところで、アメリアと村長が揃って口を開く。


「トーマさん。三つめのお願いは……」

「三つめが、娘をください……だな。よし、認めよう! ウルちゃん。弟か妹が……」

「いや、頼みは二つだけなんだが」


 俺の膝の上に座るウルが、不思議そうにしながら、振り向いて俺の顔を見つめてくる。

 頼むからウルに変な事を言わないでくれ。

 ウルは見た目こそ小学生くらいだが、獣人になってまだ数日だからか、幼児のなぜなぜ期のように、いろんな事を聞いてくるからさ。


「パパ。ウルのおとうとか、いもうとって?」


 ほら、変な事を言うから、回答に困る質問が来たっ!


「ウルちゃん。トーマさんとアメリアが結婚するとだな、子供が……」

「お父さんっ!? ウルちゃんに何を教えようとしているのよっ!」

「いや、トーマさんが困っていたから、代わりに教えてあげようかと……」


 村長がアメリアに怒られて小さくなったところで、フィリアさんの家へ。


「すみません。村長に紹介されて来たトーマというものなんですが」

「あら、こんにちは。何かご用かしら?」

「はい。フィリアさんのお宅で、野菜を沢山作っていると聞きまして。是非、定期的に購入させていただけないかと、思いまして」


 それから、料理屋さんを開こうと思っている旨を伝えると、了承してもらえたので、一緒に早速畑を見に行く。


「うちで作っているのは、こんなところね。その時々の旬の野菜を持って行く……って感じで良いのかしら」

「はい。それでお願いします。……正直言って、この村の野菜には詳しくないので、物凄く助かります」

「そんなに特殊な野菜は使っていないけど……うちとしても助かるわ。今、北の道が馬車で通れないでしょ? 他の街へ野菜を売りに行けないから困っていたのよ。鮮度が命だしね」


 偶然のタイミングではあったけど、青果店の珍しい野菜ではなく、この村の新鮮な野菜が無事に買える事となった。

 あとは、俺の料理がどれだけ受け入れられるかだな。

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