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狐猫と旅する  作者: 風緑
85/166

第085話 聖王と聖都?

遅くなりましたが何時も誤字脱字報告ありがとうございます。

大変、大変助かっております。

今後もどうかよろしくお願いします。


 テレスターレ聖国、4000年近い歴史を誇る現在のゴルディシア大陸でも最古の国の一つである。

 【忍耐】の女神で【強欲】の悪魔、【回帰】の邪神で【藍】を司るアストラーデを国の主神と崇める国だ。

 その実際の歴史はまだ7人類種族がゴルディシア大陸に住んでいた頃まで遡り、人類ヒューマン初代にして最高の大聖女【セアス】が建国したとまで言われてる。


 ちょっとセアラに名前が似てるなと思った、まぁ、実際に頂上に【神託】を授かる【円卓神殿】があるこの星セバの中心と言われるダアト山脈を領地に持ってるし眉唾でも無いのかも知れない。

 そんなこの国は地球だと赤道直下なのに温暖で四季がある、どうなってんだと思う、何でもかんでもファンタジーで終わらせるなって感じだ。

 春は暖かくて夏はちょっと熱い、秋は少し涼しくて冬はめっちゃ寒い、だから此処は赤道直下と思うんだが…本当にどういう理屈?2月の終わりごろから雪が降り始めて3月の終わり近くまで閉ざされるらしい、1年分の水はほぼこの雪で得るそうだ。


 後は夏にちょっと雨期がある程度、序でに地震台風何それ?って世界でもあるそうだ。

 災害大国な日本からすると羨ましい限りだ、本当に魔物さえいなければ幸せな世界だなと思う、魔物が人類にとってトンデモナイ被害になってるからね。

 国としては大体が自給自足可能、資源もあるし、鉱山もある、畜産や農業も盛ん、輸入に頼るのは森人エルフの【魔導具】と豊穣の魔石、果物、後は地人ドワーフの作った武具位だ。


 それもこの国で唯一獲れるアムディの聖石で十分に賄える、地球で言うと産油国みたいなモノかな?お陰で仕事も豊富で貧民とかは殆んど居ない、大体の者がそれなりに裕福に暮らしている。

 アムディの聖石も一応は代替え品の研究もされて居るけど今の所は上回る品は出来て居ないそうだ、外交も大きな問題は今の所は無い、隣接する人類ヒューマン国家、アトランティカ大国、此処とは余り仲は良くないけど向こうは今、内政で手一杯、攻めてくる余裕はない、その間に友好派を育てようと色々と介入しているそうだ。

 続いてはスリオン聖国、此方とは大変に仲が良い、毎年、使節団が行き来し合っているし交流も盛んだ、逆に仲が悪いのはダスド帝国、あちらはどうしてもテレスターレ聖国が欲しいらしい、何度も攻め込んでは返り討ちに合ってる。


 15年前には皇帝がわざわざ遠征してきたが返り討ちで当時の皇帝を討ち取った、お陰でまだ12歳だったラインハルト・ズィーガーという人物が皇帝になったらしい、それ以来は小競り合いはあるけど派手な戦闘は無い。

 セアラを狙ったのは結構、大きな動きだったけどね、抗議には一部部隊長の暴走と回答してきたそうだ、本当か嘘かは分からないけど一応、以後は狙って来ていない、円卓会議の時がヤバそうだけどね、聖王にはキチンと伝えておこう。

 残りはゴルディシア大陸以外の国だけど此処とも殆んどが友好、テレスターレ聖国の海の玄関であるララトイヤへの他人類種族の往来も盛んだ、唯一、ワレアレス大陸のワスナレナスアレ王国の蟲人インセクトロンと友好が結べて無い位だがコレは殆んどの人類ヒューマン国家がそうだからしょうがない。


 そんなテレスターレ聖国の聖王様は――


「ガハハハハハッ!久しいな、大聖女セリアーナ、他の聖女方も良くぞ参られた。1年振りか聖女セアラ、聖女プリア、む?もう一人は初めて――いや、記憶にあるか、確かスコート侯爵家の…」

「はい、聖女シャル・スコートでございます。ご機嫌麗しゅう、聖王ファイラル十一世陛下」

 玉座に座って豪快に笑っているオッちゃんが居た、如何にも武人って形で体格も凄い、髪は赤っぽい金髪で瞳は私と同じで真っ赤だ、コレがテレスターレ聖国の369代目聖王、テレスターレ・フォン・ファイラル十一世らしい、何かイメージと違うな、もっとこう、王様らしい偉そうなのを想像してたんだけど、何か気の良いオッちゃんだこれは、うーん、喜んで良いのか?悲しむべきか?何と言うか纏う雰囲気はデッカイワンコだ。


「フフフッ、腕白坊やは相変わらずのようね」

「ガハハッ、よしてくれるか大聖女セリアーナ、余ももう34だ。坊や扱いはこそばゆい」

 セリアーナお婆ちゃん大聖女様とも気さくに話す、ホントに王様なの?この人?そこら辺のオッちゃんが影武者やってるんじゃないの?でもセリアーナお婆ちゃん大聖女様以外の皆は頭を下げてるし、やっぱり本物?ビックリだ。


「陛下」

 オッちゃん聖王様の後ろに立った真っ黒な鎧の騎士さんが一声かける、するとオッちゃん聖王様が「ああ、忘れていたな。皆、もう楽にして良いぞ」と言った。

 セアラ達の体から緊張が消えて顔を上げる、と、ゆーか、後ろの騎士さんの強者オーラが凄い、間違いないな、この人が聖王国騎士団長ハインツ・ブロードだ。


 【鑑定】をしたい所だけどリーレンさんに謁見の間では絶対に【鑑定】とかの【技能】を使わない様に言われたから控える、不敬罪に問われるそうだ。

「しかし、聖女セアラは1年前とは見違えるほど成長したな、その隣に居るのが【友】か」

「は、は、は、はい、わ、わ、わた、私のと、と、ともだ、友達のハ、ハ、ハハ、ハク、ハクアです」


 落ち着くのだセアラ、こんな全然、王様っぽくないオッちゃん聖王様を相手に緊張してどうするとポンポンと足に触れる。

「ふむ、ハクアというのか、ちょっとこっちに来い」

 む?何か用か?オッちゃん聖王様よと私はテクテクと近付いて行く、ヒョイと持ち上げられた、ジーと見られる、ん?【鑑定歪曲】が反応、【鑑定】されてるのかと考える。


「深紅の瞳に純白の毛か希少種の綿猫ファトラだな。美しいモノだ」

 ふふん、そうだろう自慢のお毛毛だ、撫でる事を許してやらんでもない等と思う。

 でも序でに他のモノも見られてた。


「そして性別は――成る程、雌か」

 そう言われた。

「………」


 その一言に無言で硬直する私、しかし一瞬後に――


「ミギャギャギャギャー!!!ミギャミギャミーーー!!!」(何処を見てるんじゃー!!!変態がーーー!!!)

 必殺のプニ打ちをオッちゃん聖王様の顔面に炸裂させた。

「グボホォーーー?!」


 玉座から吹っ飛ぶオッちゃん聖王様。

「ハ、ハクアーーー!!!」

 悲鳴を上げるセアラ。


「「「「「「へ、陛下ーーー!!!」」」」」」

 左右に控えていた6人の近衛騎士らしい騎士が叫ぶ。

 多分、聖王国騎士団長ハインツ・ブロードさんは溜息を吐くだけで何もしない。


 吹っ飛んだオッちゃん聖王様はヒュルルルルと落ちて来てドチャ!と床に墜落した。

 私は「フーーーーー!!!シャーーーーー!!!」と唸り、セアラは「申し訳御座いません、どうか、どうかお許しを、ハクアも決して悪気があっての事では――」と必死に謝り、セリアーナお婆ちゃん大聖女様は「あら、あら」と微笑み、他の皆はほぼ全員が硬直、シャルさんは「まぁ、当然な結果ね」と此方を見てリフレイアさんは完全に無関心、近衛騎士の6人は「こ、この魔物め!よくも陛下をっ!」と私に手にした槍を向ける、ハインツさん(仮)は落っこちて来たオッちゃん聖王様を介抱、場は完全に修羅場だ。

「よ、よい、よい、余が悪かった。魔物とは言え女性に無礼をした。謝罪しよう、その方等も槍を納めよ」


 ハインツさん(仮)に介抱されて起き上がったオッちゃん聖王様がそう言う、むう、分かっているではないか、ならば許そう、でも次に似た事をやったら今度は本気の肉球パンチだ、覚悟しておくが良いと言っておく、伝わらないだろうけどね。

「ありがとうございます。本当にありがとうございます。ほら、ハクアもお礼を言って?」

 ぬ?謝罪は受け取るが礼は言わんぞ、私の秘密の花園を無遠慮に覗いたオッちゃん聖王様が悪いと頭を下げさせようとするセアラに抵抗する、ジタバタと一匹と一人でじゃれ合う。


「構わぬよ、聖女セアラ、気にするでない。悪かったのは余だからな、それにしても【友】の方はステータス、【技能】共に余り高くないのだな」

「いえ、陛下、恐らくは【鑑定偽装】しています。A級――いえ、S級の天災カタストロフにもう届いているかと」

「そうなのか?ハインツ」


 げ、バレてる、しかしやっぱりこの人が聖王国騎士団長ハインツ・ブロードなんだな、強い人には【鑑定歪曲】もダメだなー、でも流石にこんな強い人はそう居ないだろう。

 【鑑定歪曲】には今後も頑張って貰おう、【鑑定】をどうにか出来るのはキミしか居ないんだもんな。

 セアラは「申し訳ございませんでした。深く、深く感謝致します」とまだオッちゃん聖王様に頭を下げてる、そこまでしなくてもと思うけどなー、悪いのは本当に向こうなんだし、そう思うんだけどセアラにとってはそうでは無いらしい、うーん、私には分からん。


「兎も角、聖女セアラの成長した姿を見られて何よりだ。今年も色々と忙しいと思うがよろしく頼む。何も無ければ謁見はコレで終了とするが何かあるか?」

「ええ、伝えて置くべき事が少し」

 セリアーナお婆ちゃん大聖女様はそう言ってロズベルト神殿長とハミルトン、ダスド帝国の話を玉座に座り直したオッちゃん聖王様に始めた、皆が黙ってその言葉を聞く。


「ロズベルトとハミルトンという男、そしてダスド帝国か…」

 話を全部聞いて考え込むオッちゃん聖王様、どうだろう?テレスターレ聖国としては何か情報を掴んでいないだろうか?私達はジッとオッちゃん聖王様の言葉を待つ。

「残念だが今の所はロズベルトとダスド帝国を繋げるモノは見つかっていない、あくまで聖女セアラの暗殺を闇ギルドに依頼したという罪だけだ。王でも、いや、王だからこそ法を曲げる訳にはいかん」


 やっぱりガマガエル神殿長を先に捕まえておくのは無理なのかー、王様とか自分の好き勝手に法律作れそうなのに難しいもんだ。

 あいつを捕まえられれば結構な計画修正というか、予定変更を余儀なくさせる、ダメージを与えられそうな気がするんだけど残念だ。

 じゃあ、ハミルトンとダスド帝国についてはどうなんだろうとオッちゃん聖王様が口を開くのを黙って見つめる。


「ハミルトンと言う男についての情報は一切ないがダスド帝国が【昆魔】と呼ばれる虫の魔物を操る術を手に入れた情報は得ている」

 【昆魔】か確か戦った殺戮蜂デッドリーホーネットの名前に付いてたな昆魔・蜂型X-02とかって、つくづく、殺戮蟷螂キラーマンティスからあの頭にあった【魔導具】を持って行かなかったのが悔やまれる。

 アレがあったら状況が変わっていたのにと思うと本当に無念だ。


「かなりの数の殺戮蜂デッドリーホーネットを準備して居るらしい、この10年は大人しい方だったがまたもや我が国を狙おうとしておる様だ。5年前に父より継いだ国を、民を余は護らねばならん」

 そう言ってオッちゃん聖王様を吹っ飛ばした私を抱きしめてまだ玉座の側に居たセアラの頭を優しく撫でる、オマケで私にも触れようとするがその手を私はペシッと弾く。

 あんな事をした奴に誰が触らせるかっ!セアラはまた顔色を青くして恐縮してしまい「ハ、ハクア」と言うがこればっかりは譲らない、オッちゃん聖王様も「むう、嫌われたか」と残念そうだがあんな非道をしたそっちが悪いと私は断言する。


「兎も角、情報は助かる。早速、その筋で調査をさせよう。ハインツ」

「はっ」

 オッちゃん聖王様がハインツさんの声を掛けただけで素早く謁見の間を出て行った、調査員を動かすのだろう、阿吽の呼吸だね。


「では謁見は此処までだな、皆、アストラリオンから聖都テレスターレまでの旅、ご苦労であった。今日はゆっくり休んで明日に備えてくれ」

「はい、それでは御前を失礼いたします。陛下」

 セリアーナお婆ちゃん大聖女様が代表で返事をして皆が再び頭を下げてオッちゃん聖王様との謁見は終わりだ、やれやれ、短かったけど何だか疲れる時間だったわ、もう二度とゴメンだねと思う。


 セアラの胸元から飛び降りてテクテクと謁見の間の出口に向かう、其処で視界の端にセアラに向かって何かが投げられたのが見えた。

 受け止めるセアラ、何だろう?と思って振り返るとオッちゃん聖王様が何かニヤニヤしていた。

 何か嫌な予感がする、私にしたような事をセアラにまでするんじゃないだろうな?やったら犯罪だ、処刑である、慈悲は無い、気付いたのは私だけっぽいし、ちょっと気を付けておこうと思った。


 王城を出て貴族街へ、馬車は三方向に別れた、セリアーナお婆ちゃん大聖女様とリリさん、ララさん、セアラ、リーレンさんと私はシャリス公爵家別邸へ、プリアさん、パティちゃんはリスマ男爵家別邸、シャルさんとリフレイアさんはスコート侯爵家別邸だ。

 公爵家別邸は流石にデカかった、既に現シャリス公爵家現当主と前当主は着ているそうだ、セリアーナお婆ちゃん大聖女様の義弟と甥だね。

 夕飯の席で特に問題なく会えた、スパーツお爺ちゃんとスパイクさんだそうだ、スパーツお爺ちゃんは65歳だそうだが頭はすっかり白髪、眼だけが黒い、息子のスパイクさんは45歳だそうだがまだ歳を感じさせない若々しさがある。


 【LV】の差というか【位階】の差だろうなと思う、スパーツお爺ちゃんの【LV】は35で【位階】は弐、スパイクさんは【LV】47で【位階】は肆だ。

 この世界、【位階】を上げなければ平民の平均寿命は50~60、貴族が70~80だそうだ、セリアーナお婆ちゃん大聖女様なんかは典型だね、70歳だが【LV】65で【位階】も陸、お婆ちゃんではあるけど髪は全然まだ白髪が無い、50代くらいと言っても通じそうな程だ。

 ガー爺ちゃんもそうだったし私も【LV】と【位階】を上げればこの世界では長生きできそうだ、まぁそもそも猫じゃなくて魔物だし、15年程度の猫位の寿命でない可能性の方が高いけどね。


 それはそうとセアラの様子がちょっと変だ、オッちゃん聖王様が投げたのは手紙だったっぽいけど読んだ後に『種火ファイア』で燃やしてた。

 何が書かれていたのやら、心配だ、見守ろう。

 そして20時頃にセアラは先日にセリアーナお婆ちゃん大聖女様にご褒美で貰った服からあまり目立たない一般的なのを選んで身に纏うとコッソリと【舞空】で飛んで出かけて行った、やっぱり怪しい私は【隠身】で身を隠して後を追った。


 セアラはそのまま人目に付かない所で降りると貴族街を出て平民街へと入って行った。

 リーレンさんにも黙ってセアラが出掛けるとは有り得ないなーと思う、一体、何が書かれていたのかあの手紙、謎だ。

 でも遂に目的地に着いた様だ、セアラが店の名前を確認して中に入る、私も着いて行く。


「おう、来たかセアラ、コッチだ、コッチ」

「せ、せ、せせ、聖王様、こ、こ、こ、こん、こんな所によ、よ、呼び、呼び出す何てだ、だ、だま、黙って出て来るのがた、た、た、たい、大変、大変だったんですよ」

 何と!そこに居たのは平民と同じような格好で髪型とかをちょっと崩したオッちゃん聖王様、何?セアラとどういう関係?まさかロリコン?己っ!私の大事なセアラに手を出そうとは許すまじっ!


「聖王と呼ぶな、此処での俺はファイだ」

「ファ、ファ、ファ、ファイ様」

「違う、只のファイだ」


「ファ、ファイ」

「よし」

 何かオッちゃん聖王様とセアラが向かい合わせにテーブルへ座ってイチャついてるようにも見えるがもうユルサンッ!其処に直れっ!我が肉球パンチの餌食にしてくれるっ!と【隠身】を解いてテーブルに飛び乗りビシィッ!と前脚をオッちゃん聖王様に突き付ける。


「ハ、ハクア?!着いて来てたんですか?」

「む?ハクアも来てたのか、次の機会にと思っていたが今回でも良いか、お前達、こいつがハクアだ。仲良くしてやってくれ」

 うん?お前達?首を傾げていると隣のテーブルに座っていた女性一人とセアラと同年代っぽい子供三人が私を見ていた、あれ?私って何か勘違いしてた?

狐猫の小話

ファイラル十一世は良い人っぽいですが裏ではやっぱり黒い真似もやってる王様です。

平民からの人気は凄まじく、やることはやってるから貴族も文句は特にない、人心掌握はそこそこに完璧。

でも色々とやらかすので身近な部下には苦労人が多いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 親戚のおっちゃんみたいな王様が来た! ポーズかもしれないけど、そうやって豪快をやらなきゃ若い王なんて務まりませんね。
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