第083話 聖都への道中、最強護衛騎士との試合?
リフレイアさんに色々と話を聞いた。
その後は結局、魚は釣れずに竿を片付けた。
三日目の移動が開始される、セアラの膝の上で私は悩む。
母狐猫の仇を討つのは絶対だ、セアラもそれは知っている。
でも私は其処で止まれるだろうか?他の密猟者も憎み、闇ギルドを許さず、殺して回って最後には無関係な者迄も殺すかもしれない。
そうなったら討伐対象だ、必ずセアラ、シャルさん、リフレイアさんが私を討ちに来る。
そんな事に成りたくないし、させたくない、セアラは絶対に悲しむし後悔する。
それは嫌だ、私が討つのは母狐猫の仇であるあいつ等だけだと心に誓う。
余程が無い限り私が人を殺すのは仇が最後だと決める。
決めてしまえばもう悩みは無い、かなり回復した私はセアラとリーレンさんに馬車の中で色々と遊んでもらった。
かなり前にノースさんに貰った猫じゃらしも出た。
懐かしい、ステータスと【技能】を封印して飛び掛かる、タップリと楽しんだ。
夜になってまた野営、今日はリーレンさんとリフレイアさん、パティちゃんの特訓を見学だ。
本日はリリさん、ララさんも参加、私と同じ、見学の騎士達も一杯、人数が居るから今日は二対一で特訓、リーレンさん、パティちゃんコンビとリフレイアさんの戦いだ。
中々に良いコンビネーションでリフレイアさんに迫る。
パティちゃんは【LV26】だがステータスは高い、早くに【試練】を受けているのか上昇幅が大きいのか分からないがそこそこの数値だ。
【技能】も悪くないのが揃っている、武器は小柄な体格を活かした短剣の二刀流、蹴り何かも使う。
正統派な剣術のリーレンさんと比べるとちょっと感じが違う様だ、それで2人は頑張った、それでも実力が違い過ぎる、等々、揃ってダウン、決着だ。
続けてリリさん、ララさんとリフレイアさんだ、【LV】は45なので足せばリフレイアさんを超えるがステータスは2人合わせても超えられない。
でも双子だけあって凄いコンビネーションだ、怒涛の攻めって感じだ、息をつく暇も無いし、私には隙も見えない、だけどリフレイアさんはそれをあしらう。
やっぱりトンデモナイ、リーレンさんとパティちゃんよりは持ったがリリさん、ララさんも沈んだ、リフレイアさんの圧勝だ、訓練だから指導も入れるし手を抜くから怪我人は居ないけどね。
「やっぱり凄いな、剣聖リフレイア」
「団長とどっちが上だろうな?」
「止めとけ、下手をすればどちらかが死にかねない」
団長ってこの護衛団の団長かな?【鑑定】で見たけどそれ程は強くなかったような?
リリさん、ララさんでも勝てそうなくらいだった、そこでハッと気付く。
違う、此処の団長の事じゃない、ガー爺ちゃんが言ってた聖王国騎士団長ハインツ・ブロードの事だと理解した。
片や聖女の護衛騎士最強、一方は聖国騎士の頂点、どっちが上かは確かに気になる。
でも命の危機があるなら見たくはない戦いだ、
命を大事に鉄板である、知り合いの危険は見たくない。
そして私は5人と一緒にセアラ達の元へ帰った。
セアラとプリアさん、シャルさんの所にはリリさん、ララさんが来た事から予想はしてたけどセリアーナお婆ちゃん大聖女様が来てた。
「只今、戻りました。聖女様」
「お帰りなさい、今日も怪我人は居ないわね?」
「はい」とシャルさんに返事をするリフレイアさんだが外見の傷は無くても心に傷を負ってる人は居ると思うぞ。
パティちゃんは早速、プリアさんに甘えてる、リーレンさんはセアラの隣に座り「大丈夫でしたか?」と慰められている。
リリさん、ララさんはセリアーナお婆ちゃん大聖女様の左右に座る、指定席って感じだ。
私はセアラーとダイビングするが途中でハシッと捕まえられる、アレ?と思うとセリアーナお婆ちゃん大聖女様だ。
「今日は私とね、ハクアちゃん。先日は皆に抱かれたと聞いたから」
むう、ならばしょうがないか、受け止めようと身構えていたセアラには悪いが今日はセリアーナお婆ちゃん大聖女様の膝の上だ。
セリアーナお婆ちゃん大聖女様の撫で撫でも心地好いから私は満足だ。
其処から語られるのはセリアーナお婆ちゃん大聖女様の昔話だ、楽しかった事、辛かった事、嬉しかった事、悲しかった事、幸せだった事、不幸だった事と様々だ、70年の人生のお話だ、本当に色々と体験しているなぁと思った。
伯爵家に生まれて素質を見出されて大神殿へ、18歳で大聖女、20歳でシャリス公爵家に嫁入り、息子も生まれて順風満帆、でも54歳の時に病気で旦那さんが他界、息子夫婦と孫もその後に直ぐに事故で亡くした。
シャリス公爵家は旦那さんの弟が継いで問題ないそうだがセリアーナお婆ちゃん大聖女様は父母も死に兄妹も無く旦那さんも子供も孫も居らずに1人きり、寂しくないのかと思うがそんな事はないそうだ。
セアラが居て、他の聖女達も見習いの子も居る、神官達に神殿学校に通う子供達も居るから平気だそうだ。
本当に心からそう言ってるようで笑いながらセリアーナお婆ちゃん大聖女様は語る。
何となく凄いなぁと思う、私も一人――一匹になった、母狐猫の仇を討つと決めて前を向けたから孤独に耐えられた、でもセリアーナお婆ちゃん大聖女様は病気と事故で家族を亡くした、恨むも何も出来なかった、それでも耐えて前を向いて進んだ。
真似出来ないなと思う、私だったらそんな孤独には耐えて居られない、今はセアラやリーレンさん、皆が居るから平気だけどあのまま一匹だけだったらどうなっていただろうと考える。
もしかしたら孤独でオカシクなっていたかも知れない、そう思うと本当にセアラ達に出会えて幸運だったと考える。
セアラには最初は脅えられまくって大変だったけど、それも今は楽しい思い出だ。
セリアーナお婆ちゃん大聖女様を支えているのは明るかった頃の思い出なのだろうか?私にはよく思い出せない前世を含めても70年なんて言う長い積み重ねは無い、何時か私も過去を辛く、悔しく、苦しく語らずに前向きにこんな事もあったんだと、でも皆のお陰で乗り越えたと笑って話せる時が来るだろうか?無理な気がする。
私如きとセリアーナお婆ちゃん大聖女様では根本的な心の強さが違う気がした。
でもその心の在り方、強さに憧れを感じた、今朝、リフレイアさんに言われた事だ。
『復讐した後の自分の進む先』、生き方を変えたリフレイアさんと大聖女としての在り方と道を貫き通すセリアーナお婆ちゃん大聖女様、違う様だけど似た何かを感じる。
私はまだまだ弱い、実力的にではなく精神的に、自己中心で我儘、思うが儘に生きる自分勝手だ。
将来の目標も目的も無い、まぁ、魔物だし、零歳だからなくて当然かもだけど、それでも何かを目指したい。
セアラが聖女であろうと頑張る様に私も暗い何かでは無く輝くモノを掴みたい、世界最強、私Tueeeーではない何かしっかしとした心の芯を、目的を得たい、万理一空、定めた目標に向かって直進だ。
それが何かはまだ分からないけど、先生は一杯居る。
セリアーナお婆ちゃん大聖女様、リフレイアさん、リーレンさん、リリさん、ララさん、プリアさん、シャルさん、セアラだって皆が立派に目標、目的を持っている。
パティちゃんはちょっと微妙だけど、それでも護衛騎士として努力はしてる、私だけが誓った母狐猫の復讐と漠然と友達だからという理由でセアラをリーレンさん達を護るとしか考えてない。
ハッキリとさせようと思う。
それがきっと私の今後の成長に必要な事だと感じるから、セリアーナお婆ちゃん大聖女様の膝の上で固く決意した。
セリアーナお婆ちゃん大聖女様の話を聞いただけで今日の夜は終わった、皆が眠る、私も狐猫をダメにする巣箱Mk-2で眠りに付く。
夢を見る、何度も見た夢だ、【回帰】様の反動で眠っている間、見続けた夢だ。
その夢で私は殺される、必死で誰かを尻尾に包んで走って逃げて殺される。
殺されると逃げる所から再スタート、方角を変えてもまた殺される、何度も、何度も、何度も、何度も殺される。
それでも私は逃げ続ける。
そして遂に殺されないルートを見つける、その道を忘れるなと言うように最近の夢はそればかりだ。
私はどうして逃げているのか?誰に追われているのか?必死に誰を護っているのか?分からない、だけど不吉な夢だ、嫌な感じだ、忘れられない。
眼を覚ます、ホントに何なんだろう?この夢は?兎も角、三日目が始まり出発、今日は何事も無く野営地まで進んだ。
今日は訓練の見学には行かずにセアラ、シャルさん、プリアさん、セリアーナお婆ちゃん大聖女様の話を聞いて過ごす、今日はプリアさんのお話がメインだ。
旦那さんが素敵でカッコいいとか、子供が愛らしくて可愛いとかいうお話だ、惚気まくりだ、私とセアラにはよく分からないお話だなー、私達はまだまだお子様なのだ。
話を聞いている内にリフレイアさん、リーレンさん、リリさん、ララさん、パティちゃんが帰って来る。
早速、またプリアさんに引っ付くパティちゃん、懐いてるなー、仲が良くて結構だと思う。
そして話はパティちゃんに付いて色々と聞く事に、パティちゃんの師匠さんな前のプリアさんの護衛騎士はかなりスパルタンにパティちゃんを鍛えた様だ。
ある程度の基礎と型を教えたら後は実戦あるのみで魔物の群れに放り込む、魔物の巣に投げ込む、魔物の集団を擦り付ける、勝手に冒険者の依頼を受けてくる等々と散々にやられたようだ。
ちょっと可哀相に思えた、でもお陰でかなり強くは慣れた様だ。
そのお師匠さんは2〇歳にしてやっとGetした旦那さんと結婚して護衛騎士を引退、後をパティちゃんに任せて今は多分、何処かで幸せしてるだろうとの事だ。
だからパティちゃんも彼氏を得ようと必死らしい、うん、ちょっと大変だと思うけど頑張れと言っておく。
その幼児体型では無理だろうとは絶対に言わない、可能性はゼロではない筈なのだ、私の前世やセアラにブーメランが来る。
実際にはセリアーナお婆ちゃん大聖女様にでも紹介を頼んでみるのが一番効果があると思うけど、敢えて言わない、そんなにコロコロと護衛騎士が変わったらプリアさんも大変だろうからね。
パティちゃんには当分は私達の癒し系―もとい、プリアさんの護衛騎士で居て貰おうと思う。
決して嫌がらせや意地悪では無いと言っておく、私達にはパティちゃんの様な存在が必須なのだ。
私も外見はマスコット的な立ち位置だが内面はもう一応はS級の天災な魔物である、癒し系のマスコットには程遠い、パティちゃんには是非、今後も皆をホンワカさせて欲しい。
そしてパティちゃんはこんな素敵な彼氏が欲しいと妄想を語る。
うん、そんな男性が実際に居たら既に彼女が居るんじゃないだろうかと私は思う、他の皆も同意見っぽい。
だけど、パティちゃんは熱弁をふるう、皆が何だかホンワカする、やっぱりパティちゃんは必要な存在だと思った。
話が終わって良い時間になったので皆が御休みだ、私も寝る、この日は最近の夢を見なかった。
翌日も問題なく進み夜、今夜はまたリフレイアさんとリーレンさん、リリさん、ララさん、パティちゃんの訓練を見に行った。
結果は何時もの通り、さてセアラ達の所に行こうという所で「待って下さい」とリフレイアさんに止められた。
「今回の聖都行き何かイヤな予感がする。私も体を慣らしておきたい少し手合わせを願います」
等と言われてしまった、えー、私なんかがリフレイアさんの相手とか無茶な、でも他の人はもっと無茶か、確かに体調はすっかり元に戻ったし、私も体を動かしたい気はする。
きっと手加減はしてくれるだろうし大丈夫だよな?とリフレイアさんの前に出る。
初めてのリフレイアさんとの練習試合、何度も見て来たけど実際に相対するともうやっぱりとんでもない、早くも後悔するがやるっきゃない。
「何だ?今日はまだ続けるのか?」
「あの綿猫の幼体が相手って冗談だろ?」
何か言われてるが無視、周囲に被害が出そうな【技能】は使わない、主に【神武尻尾攻撃】だけをメインに行く、但し尻尾の本数は一本だけ、増やすと「何だアレ?」とか言われそうだし、兎も角、行く。
ヒュンと尻尾を刃に変形させて斬りかかる、【閃駆】がある分、速度はこっちが速い筈だがリフレイアさんはアッサリと着いて来る、やっぱり地力――ステータスの差があるかと思う。
凄まじい速度でお互いに切り結ぶ、真っ直ぐ、払い、突き、薙ぎと全て防がれる。
「完全に我流ですね。【刀術】、【刀技】の【技能】は隠している訳では無く持って居ないのですね」
試練を突破しても習得覧には出て来ないのですよと言いたいが此方に声を出す余裕はない、出せても意味が伝わらないだろうけどね。
「隙ありです」
バシィッ!と剣の腹で振り抜いた尻尾の刃の峰を思いきり叩かれる!痛ったい!
「体の一部を武器として使っていますから斬られればダメージになります。もっと速く、鋭く、細やかに、隙を少なく」
ご指導感謝、下手しなくても実戦なら今の一撃で尻尾は斬られていた、やっぱりトンデモナイなリフレイアさんは、只じゃ負けられないと更に接近、尻尾を拳状にして両前脚と合わせて連続攻撃【神空爪攻撃】は危ないから使わない、純粋な爪攻撃と【神武尻尾攻撃】だ。
でも全てが躱されるか剣で弾かれる、お返しとばかりにパンパンとリフレイアさんの攻撃が当たる、くうう、ここまで一方的にやられるのはガー爺ちゃん以来だ。
「右です」「下」「左」「尻尾が遅い」ダメだしの連続だ、くそう、全力でやってやろうかと思うが直ぐに考えを改める、向こうも手加減してくれてるのだ、此方も合わせないとと頭を捻る。
そこで手段を考える、まずは【神武尻尾攻撃】を打ち下ろす、下がって避けるリフレイアさん、そこで尻尾の先端を【夢幻】で変化、小さな多数の槍状にして一斉に襲わせる。
「む」
これは流石に躱し切れないと思ってか剣で打ち払っていくリフレイアさん、でも数が多い、幾つかが掠める。
此処だと私は急接近、喰らえーい!我が必殺のプニ打ちをーと前脚を振り下ろすがスカッと空を切る、アレ?と思った瞬間に「下です」と私は吹っ飛ばされた。
KO負けだ、ちくせう、一発も当てられなかった。
「怪我はありませんね」
無いけど精神的にズタボロです、早くセアラに癒して貰いたいと思う。
「二つ忠告があります」
む?何でしょうと首を捻る。
「何故、【鑑定偽装】―いえ、【鑑定歪曲】を使っていないのですか?」
え?あ!そうだった、獲ったのにすっかり忘れてた、勝手に発動してるモノだとばかり…失敗だ、早速使っておこう。
これを使ってれば【黒雷光虎】とかもっと楽に安全に勝ててたかもしれないのに大失敗だ、と、言うか鑑定持ちの人には私が【LV】【位階】【SP】持ちな事がバレバレだった訳だ、隠そう、黙っててくれてるリフレイアさんには感謝、感謝だ。
「もう一つは【刀術】【刀技】か【体術】【体技】を覚える事です。武器を扱えば恐らく覚えられるでしょう」
成る程、技術を身に着ける為にどっちかの武器を装備した方が良いと…体術なら手に爪とかグローブ?刀だと口に咥える?尻尾攻撃はどっちの頻度が高いかなー、うーん、刃にする方が多い気がする。
此処は刀にしておこうかな?と尻尾を刃に変形させる事で返事にする。
「刀ですね。解りました」
そう言って【収納】から何かを取り出して私の体に付けてくれる。
おお!コレはと背中に装備された武器を見る。
「竜の牙から作られた小太刀、【竜牙刀】です。私は刀は使わないので使って下さい」
コレは中々にカッコいいのではないか?
ちょっと抜いてみる、くう、小太刀と言っても私の体よりデカい、抜き辛い、【夢幻】でどうにか…よしっ!抜けたっ!と刀を咥えてブンブンと振って見る。
イイ感じだ、よしっ!このまま【刀術】【刀技】を覚えるまで素振りだと頑張った、頭の降り過ぎでクラクラした。
兎も角、一発も当てられずにKO負けした事は忘れて私は新しい武器を楽しんだ。
狐猫の小話
狐猫にも装備が増えてきました。
今回で等々、刀迄振り回すように【神断牙攻撃】の方が強いでしょうがあくまで技術を得る為の手段です。




