第081話 決着と守られた少女?
【黒雷光虎】が襲い掛かって来る。
自分の縄張りであるジュラ大森林で暴れた私が許せないのだろう。
でもそれは此方も同じだ、お前は私の小さな友達、リリアを殺した。
【回帰】様で時間が巻き戻ったからこの時間軸ではまだ生きてるけどそんなのは関係ない。
互いに抑えられない怒りのままに私と【黒雷光虎】はぶつかり合った。
弾き飛ばされる【黒雷光虎】、一方で遥かに体格で劣る筈の私は少し後退っただけだ。
ステータスの差は圧倒的だ、コッチは向こうを大きく超えている。
【黒雷光虎】が【真邪怨眼】を発動、だがさっきは全く見えなかった光を帯びた視線が見える。
新しく【恩恵】に加わった【秘赤眼】の【視覚領域覚醒】の効果だ、本来は見えない物が見える。
【真邪怨眼】を避けて【神空爪攻撃】を一閃、【黒雷光虎】に確かな傷が刻まれる。
続けざまに【神武尻尾攻撃】、更に速く、鋭く、威力を増した尻尾の攻撃が【黒雷光虎】を打ち据える。
「ガァルルゥァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
怒りの咆哮を上げる【黒雷光虎】、その体を【黒雷光】が覆う、【黒雷光纏】速度が更に上がりステータスが1.5倍だ。
更に【獣性解放】も使用、ステータスが1.5倍になる、【狂乱】と違って理性は失わないし、物理攻撃しか出来なくなると言うデメリットもない。
コレで【黒雷光虎】のステータスは倍、その数値は――
【名前】名無し
【種族】【黒雷光虎】・進化体
【年齢】67歳
【気力】25151 → 50302
【理力】24989 → 49978
【霊力】25115 → 50230
【魔力】25147 → 50294
【技能】【真牙攻撃LV9】【真爪攻撃LV9】【真尻尾攻撃LV8】【黒雷光攻撃LV7】【黒雷光咆哮LV8】【疾風迅雷】【黒雷光纏LV8】【真邪怨眼LV7】【空間機動LV5】【火炎無効LV8】【暴風無効LV8】【威圧LV8】【雷鳴属性攻撃力上昇LV8】【不屈LV8】【獣性解放】【野生LV10】【獣の本能LV10】
まで、跳ね上がった。
だが、しかし、私のステータスは――
【名前】ハクア
【種族】綿猫・幼生体・漆尾
【年齢】0歳
【位階】陸
【LV】60 → 61
【気力】14908 → 19308 → 38618 → 51618 → 51618
【理力】14904 → 19304 → 38608 → 51608 → 61260
【霊力】15997 → 20397 → 40794 → 53794 → 63992
【魔力】16000 → 20400 → 40800 → 53800 → 64000
【SP】15205 → 713
【技能】【神断牙攻撃】【神空爪攻撃】【神武尻尾攻撃】【真状態異常効果最大上昇】【物理攻撃完全無効】【魔導攻撃完全無効】【状態異常完全無効】【属性完全無効】【負傷回復速度極限上昇】【魔導力回復速度極限上昇】【体力回復速度極限上昇】【四力限界上昇】【隠身】【力場操作極】【力場探知極】【閃駆】【金綱力体】【限界天元突破】【四聖神法】【次元竜力LV10】【時空竜力LV10】【深淵竜力LV10】【鑑定歪曲】【亜空間機動】【五感覚醒】【真感】【閃光】【不撓不屈】【夢幻】【火魔導LV10】【火炎魔導LV10】【光魔導LV10】【聖光魔導LV10】【風魔導LV10】【暴風魔導LV10】【空魔導LV10】【次元魔導LV10】【水魔導LV10】【水流魔導LV10】【刻魔導LV10】【時空魔導LV10】【土魔導LV10】【大地魔導LV10】【闇魔導LV10】【深淵魔導LV10】【生命魔導LV10】【治癒魔導LV10】【空間魔導LV10】【四大属性威力最大上昇】【無詠唱】【獲得経験値倍化】【獲得SP倍化】【星薙】(【真咬合威力最大上昇】【真斬撃威力最大上昇】【真打撃威力最大上昇】【真刺突威力最大上昇】)【強欲】【忍耐】【回帰】【藍】【絆】
【恩恵】【神智】(【翻訳】【検索】【探知】【瞬間完全記憶】【因果律操作】(【因果律演算】【因果律補正】)【超反射反応】【魂魄憑依】【思考跳躍】)
【秘赤眼】(【神邪洸視攻撃】【真眼】【鑑定】【看破】【視覚領域覚醒】【万寿里眼】【破邪顕正煌】)
【装備】【悪魔蜘蛛】の糸のマフラー(属性強耐性LV8)【魔導袋】(大収納LV7)
まで上がっている。
まだ此方が上だ。
セアラの【光輝】でステータスが倍、【神威】で全ステータスが+5000、【LV60】の【四聖神法】で全ステータス+8000、【次元竜力LV10】【時空竜力LV10】【深淵竜力LV10】によって【理力】【霊力】【魔力】が1.5倍だ。
敗北など有り得ない。
私と【黒雷光虎】は再びぶつかった。
ステータスが近付いた為かほぼ互角になった。
でもそれも【気力】だけ、他は此方が圧倒、しかも【黒雷光虎】は【物理耐性技能】を持ってない。
【黒雷光纏】が多少はダメージを軽減してくれるが私の【神断牙攻撃】【神空爪攻撃】【神武尻尾攻撃】【神邪洸視攻撃】が防御を貫く。
対して【黒雷光虎】は私の【物理攻撃完全無効】と【属性完全無効】を突破出来ない。
必死に【真邪怨眼】を向けて来るがその視線も今は見えている、当たってやらない。
そして【魔導】も解放する、【耐性】が無い『時空槍』『深淵槍』を撃ち込む、【黒雷光虎】は回避行動を取るが逃がさない。
【真眼】で動きを見抜き、【因果律演算】で行動を先読み、次々と私の攻撃が当たる。
『やってやれー、本体ー!』
『撃てー!撃ち続けろー!』
『―殺せ―壊せ―滅せよ―粉砕せよ―』
『その通りだ三号!こいつはぶっ殺す!』
【魂魄憑依】達も何かノリノリだ、面倒がなくて結構だが、やたらと【黒雷光虎】への殺意が高いなー、私も許せんけど。
前の戦闘と立場は完全に逆転だ、隙があれば私は一気に【黒雷光虎】を葬れる、向こうに逆転の手段はない……ない筈だ。
もう諦めろ!と考えつつまた【魔導】を放ちつつ突撃、迎撃の【黒雷光咆哮】、【亜空間機動】で転移、【黒雷光虎】の口の下に現れる私、コレでトドメと渾身の【神空爪攻撃(纏い)】を喉目掛けて振り上げる、ギリギリで気付いて振り下ろされる奴の【真爪攻撃】、ぶつかり合ったが押し勝ったのは私、でも深手は負わせたがトドメには届かなかった。
くそっ!もう一撃!と思った所で【黒雷光虎】が予想外の行動を取った。
私に背を向けて走り――逃げ出したのだ。
ええー?!、お前はれっきとしたS級、天災の魔物だろ?こんな狐猫を相手に逃げ出すとか野生の誇りはどこ行った?と暫し呆然とする。
リリアを殺して私も殺される寸前まで追いやられた【黒雷光虎】でも逃げ出されたら拍子抜けだ。
コレで大人しくなるのなら追っかけて殺すまでも無いかなーとちょっと考える。
もう【黒雷光虎】のプライドとか色々とボッキボキだろう、死にたくないと逃げたのならそれはそれでもう大丈夫だろうか?と思う。
十分に恐怖は与えたつもりだ、再起するにも時間は掛かるだろうと見逃そうかとした所で勘違いに気付いた。
あの野郎っ!と私は『長距離転移』、【黒雷光虎】の目の前に転移する。
目の前に出現した私に驚いたのか足を止める【黒雷光虎】、お前、また“リリア”を殺そうとしたな?私は歯を喰いしばりながら唸る。
【黒雷光虎】は逃げたんじゃない、【真邪怨眼】で見抜いたのか【強欲】様の反動を狙って、私がそちらに攻撃が行かない様に護っていたリリアと父親が居る方向に向かって走って行っていたのだ。
何があろうともうユルサンッ!貴様はギルティ!私の法で死刑判決だっ!また突撃する私、後方のリリア諸共に吹き飛ばそうと全力の【黒雷光咆哮】を撃とうとする【黒雷光虎】、だが遅いっ!
私の四本纏めの【神武尻尾攻撃】の拳で打ち上げる【黒雷光虎】はボフッと【黒雷光咆哮】の撃ちそこないの様な黒い煙みたいなのを吐いて宙を舞う。
そして落下してくる【黒雷光虎】に向けて『詠唱』を準備する。
【無詠唱】でも良いがちゃんと『詠唱』した方が威力と制御が上がる、それにこれは多分、ヤバい【魔導】だ、周りにデカい被害が及ばない様にした方が良い。
【深淵魔導LV10】その『詠唱』を始める。
『そこは閉ざされし深淵の界。千なる悪魔が万なる呪詛を解き放ち、億なる怨嗟を地に満たす。災いなるかな、呪われし者。哀れなるかな、堕ちし者。悲しきかな、背きし者。今こそ封は解かれ門が開く、解放されるは小さき種火、されどそれは咎人を焼く地獄の業火。世界の終焉を齎す滅焔、全ての希望は此処に潰えた。破壊と再生がこれより始まる』
さぁ、開けっ!【深淵魔導LV10】『深淵門』
小さな、小さな黒い穴が地面に出来た。。
其処から黒く細い閃光が伸びて【黒雷光虎】に当たる、すると黒い炎に包まれて地面に出来た穴に無理矢理、吸い込まれていく。
「グルァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」断末魔を響かせ【黒雷光虎】が黒い炎に焼かれながらグシャグシャに潰されて穴に飲まれていった。
出来た穴はまだこんな程度では足りないと言うように周囲のモノを飲み込んでいったが、その後、ホンの十数秒程で消えた。
クレーターは出来てないが数メートルの完全な円形の更地が出来上がっている、【黒雷光虎】は最早、影も形もない。
自分がやった事だが何かコワイ、この更地ってもうずっとこのままで何も生えて来ないんじゃなかろうかと思う。
多分、『詠唱』したからこの程度で済んだが【無詠唱】でぶっ放してたらどれ程の被害になっていたか考えるのが怖い。
うん、封印だ、封印、この【魔導】は使うとヤバイ。
きっと同じ【聖光魔導】【時空魔導】【次元魔導】の【LV10】も危険だろう、使わない様にしよう。
そう決めた、今、決めた、危険物取扱注意だ。
兎に角、これで【黒雷光虎】は退治終了。
【回帰】様は使っちゃったけど、リリアも私も無事に生きてるから万々歳だ。
ピコーン
『【LV】が3上がりました』
おお、やった、【LV】が上がった。
こうなったらS級の天災な魔物を標的に狩って見るかな?と言う気がしなくもない。
今の自分ならやれそうな気もする。
まぁ、その前に【回帰】様の反動だな、かなりヤバそうな気がする。
1週間後、生きてるかなぁ私、と思う。
さて帰ろうと『長距離転移』を発動、でも消える前に振り返って【万寿里眼】で確認。
リリアはお父さんに寄りかかって寝ている。
何でか釣り竿を握ったままだ。
よっぽど気に入ったんだなと思う。
良かった、リリアと何だかその安心しきった寝顔に癒されながら私は大神殿に帰った。
「そうですか、それでその子は助かったんですね」
「ミィ、ミミ」(うん、そう)
特別に作って貰った夜食をパクパクと食べながらセアラに返事をする。
コレから寝たら1週間目覚めないのだ、食い溜めだと頑張って食べる。
下手をしたら1週間所か永眠だ、必死である。
「でもその子を助ける為にハクアは頑張ったんですね。やっぱりハクアは優しいです」
「ミミーィ!」(ちがーう!)
私は優しく等ないったらない、断固違う、リリアを助けたのは偶々だ。
呼ばれたからだ、知り合いだったからだ、知らない誰かなら私は助けない。
そう言ってもセアラは「ハクアは照れ屋ですね」と聞いてくれない、どうやったら解けるんだろ?この誤解。
「それにしても【回帰】まで獲得してるなんて、ハクアはアストラーデ様の加護を受けてるんですね」
「ミィミィ?」(そうなの?)
一度会った事があるというだけで加護をくれるとは中々に太っ腹な女神様だ、綺麗で痩せてたけど、それは気にしない、今度会ったらお礼を言おうそうしよう。
さてと、そろそろ限界なようだ、夜中に起きて、派手に戦って帰って満腹を超えて食べて流石に眠気が凄い。
「ミィミ、ミミィ、ミミィィ…」(セアラ、ごめん、そろそろ…)
「【回帰】の反動ですね。解りましたゆっくり休んで下さい、せめて良い夢を」
「ミィミィミミィ、ミィミミ」(ありがとう、お休み)
私は耐えられずに眠りに落ちた、なんとか1週間後に眼を覚ましますようにと願いながら意識は闇に融けた。
◇
「今日もいい天気ー」
1月も終わりに近付いて大分、寒くなって来たけどお空は快晴、本日も絶好の釣り日和だ。
でも本格的に寒くなると釣れなくなるそうだからそろそろ釣りな毎日も終わりかも知れない。
スイルの村に出掛ける前の日に「首長水竜を釣ったー!」と言ったらお父さんが椅子から転げ落ちた。
持って帰ったお肉とかが本物だと分かると「危ないから釣りはもうダメ」等と言われた。
久々に駄々を捏ねた、今のあたしから釣りを奪うなど鬼畜な所業だ、意味はよく分からないが許されない事なのだ。
何とか許可をもぎ取った、頑張った、でも明日からしばらくはお出かけだ。
釣りはお預け、でも釣り竿は手放さない。
そしてお父さんとスイルに馬車で向かった、2日目の夜に変な夢を見た。
夜になって休んでいたら黒い何かが飛んで来た。。
私もお父さんも馬も馬車も全部が吹き飛んだ。
体が凄く寒くなっていった、握りしめたままだった釣り竿を手にしたまま「狐猫ちゃん」と呟いた。
首長水竜を簡単に倒してしまうあの子なら助けてくれる気がした。
でもあたしの意識はそのまま途絶えた。
なのに気が付くと全部が元に戻っていた、あたしはお父さんに寄りかかって寝ていた。
その話をしたら「怖い夢を見たんだろう」とお父さんに頭を撫でられた、そうなのかなと思った。
そしてお仕事を終わらせてカンタコンペに戻った、よしっ!また釣りだと早速、ラトラー湖に向かった。
お父さんには「人が大勢いる所で釣る様に」と言われて頷いたが実は守ってない、釣り場は最初に狐猫ちゃんと会った場所のままだ。
でもカンタコンペに帰って来てからもう5日になろうと言うのに狐猫ちゃんは姿を見せない、何かあったのかなと思う。
ちょっとだけ寂しい、だけど今日は狐猫ちゃんが居た。
何時も通りに真っ白で尻尾を揺らして釣り糸を垂らしている。
「狐猫ちゃん、久しぶりー」
あたしは挨拶する。
直ぐに【恩恵】【以心伝心】に返事が返って来る。
おはよう、リリアと、何だか楽しく、嬉しくなる。
隣で自分の釣りの準備をする。
チラッと狐猫ちゃんと見ると何となく前に見た時と感じが違う。
「狐猫ちゃんちょっと痩せた?」
そ、そんな事ないわよ。
返事が何か怪しかった、気になったが体調が悪そうでもないのでそれ以上は聞かなかった。
「そりゃー」
私も釣り竿を振って釣り糸を垂らす。
狐猫ちゃんと私だけの静かな時間が流れる。
最初は暇なだけだったけど、何となくそんな時間を楽しめる様になって来た。
そう言えば狐猫ちゃんはいつも一緒のデッカイお馬さんが居ない、何だか今日は違う事が色々だ。
スイルはどうだった?唐突に狐猫ちゃんに聞かれた。
「んー、釣りをするところが無かった」
言ったら笑われた、何でか分からない。
其処で不意に夢の事を思い出した、何となく訊ねて見る。
「狐猫ちゃんが助けてくれた?」
……何の話?
間があった、何だかアヤシイ、でもそれ以上は聞かない、あたしは理解のある女の子、秘密にしたい事は無理には尋ねない。
あ、食いついた。
「え?!」
見ると狐猫ちゃんが一匹目の魔魚を釣り上げた。
「うう、今日は負けない!また首長水竜を釣る!」
いや、それは止めてと狐猫ちゃんに止められる。
でも直ぐに魔魚を釣り上げた、コレで追いついた。
リリア。
「ん?なあに?」
釣った魔魚を絞めていると狐猫ちゃんがあたしを呼んだ。
私は明日から2月が終わる迄の間、聖都テレスターレに行くの、だから当分は会えなくなるわ。
「……そうなんだ」
折角、久しぶりに会えたのに一月も会えなくなるのかと思うと寂しい、ちょっと悲しい。
でもきっとまた会いに来るわ、代わりにその釣り竿はリリアにあげる、約束の印。
「えっ?!いいの?これって高いんでしょ?」
良いの、良いの、気にしない、私はこれでもお金持ちだからね。
「分かった、大切にする」
うん、そうしてね、さぁ、今日は時間一杯、釣りを楽しみましょう。
「そうする!」
そして本当に日が暮れる前まであたしと狐猫ちゃんで釣りをした。
結果はお互いに4匹ずつだった、初めて引き分けた。
次に会った時は勝つと思いながらあたしは狐猫ちゃんと別れた。
今日は本当に楽しい一日だった。
狐猫の小話
因みに『聖光魔導LV10』が『聖光線』『次元魔導LV10』が『次元斬』『時空魔導LV10』が『時空断』となります。
『深淵魔導LV10』の『深淵門』が一番、凶悪です。




