第079話 大物を釣り上げた、そして竜と龍?
コツコツ狩ると決めたが肝心の魔物が激減した。
狩り過ぎた。
次の狩場を見つけなくてはならない。
候補は一ヶ所、ハーメルの近くの森だが此処にはS級の天災が居る。
【咆哮大狼】、多くの狼系の魔物を従えていて狩り過ぎると追って来る、森の外まで追って来る、『長距離転移』で逃げられるが逃げたら腹いせに他を標的にしそうだ。
ハーメルとか襲撃されると困る、ノッ君に迷惑が掛かる。
まぁ、S級の天災が襲来とか迷惑どころでは無いだろうけど、此処での狩りは止めた方が無難かもしれない、ならどこで狩ろうかと書店で買ったテレスターレ聖国の詳細が書かれた地図を見ながら云々と唸る。
場所はラトラー湖、先日にリリアと釣りをした場所だ。
シルバーとズィルバーも一緒だ、仲良くじゃれ合っている。
釣りをしながら地図を見る、でもこういう詳細が書かれて地図って軍事機密とかじゃないんだろうか?と思う。
書店で売られて居たから問題は無いんだろうけど、ある程度の生息している魔物等も書かれている。
何だ?蜘蛛の森って?蜘蛛系の魔物ばかりが住む森?なら安全かと思いきやS級の天災、【呪殺蜘蛛】、SS級の絶望、【悪魔王蜘蛛】、【女王蜘蛛】、更にSSS級の終焉を目前にするとされる超巨大な【非法大女王蜘蛛】が存在すると書かれていた。
無理だなとページを捲る。
『【非法大女王蜘蛛】、過去に『勇者』が討伐に挑戦して失敗しています』
おお、シルさん、また何だか久々だ、しかし、この世界にも居るんだ勇者ってとちょっと驚く。
『人々を護る行動を多くとれば獲得出来る【技能】にあります。効果は【LV1】で各ステータスが+1000です。逆に人々を多く苦しめれば【魔王】を獲得できます。効果は【勇者】と同じです』
成る程、【技能】なのか、私は縁が無さそうだなと思う、とても魅力的な技能だけれども残念だ。
そう思っていたら『次の試練を突破すれば習得可能です』と言われた、アレ?オカシイ私はそんな善人じゃない筈?でも言われてみれば【水晶大亀】を止めたり、【超越猿】や【殺戮大熊】を倒したりしてる。
そっかー、私は【勇者】獲れるのかと驚く。
『【勇者】は強化で【英雄】、最終進化で【英雄王】になります。【魔王】は【大魔王】、【魔神】へと最終進化です。効果は【英雄】【大魔王】が【LV1】で各ステータス+2000、【英雄王】【魔神】への最終進化で+30000です』
全部を上げれば合計で60000も上昇とか破格じゃないですか、強すぎるっ!是非取ろうと心に決める。
でも【位階】の漆って到達者がリーレンさんが殆んど居ないと言ってたな、心して挑もうと決める。
だがその為にも【LV】上げだ、良い狩場は無い物かと地図の本を捲る。
おっと、魚が掛かった、そりゃーと釣り上げる、また魔魚だ。
ホントに他の魚なんて居るんだろうか?
だが、その前にシルさん面白い情報をありがとう、ご褒美にパインキャンディーだ。
『ありがとうございます』
その後で釣った魔魚の処置だ、締めて、血抜きと美味しく頂く為の下処理だ。
終わらせて【魔導袋】に仕舞ってまた糸を垂らして本を捲る。
其処で【神智】さんに反応、来たなと思う。
「あ、狐猫ちゃん、2日ぶりかな?」
うん、2日ぶりとリリアに挨拶、手には私が貸した竿が握られている。
彼女も釣りなのだろう。
私の少し横に座って竿を振るう、ほんの数日で様になってる。
中々に才能がありそうだ、凄いぞと褒める、私は褒めて伸ばす狐猫。
「ふふーん、練習したもん」
胸を張るリリア、だが釣りの道は奥が深いのだ、次は釣った魚の処理方法を教えようと伝える。
「頑張るー」
リリアはやる気だ、良い事だ。
「狐猫ちゃんは何を読んでるの?」
私が読んでる本が気になったらしい、これか?コレは何処か良い狩場が無いか探す為に購入したのだと答える。
「狩り?魔物を倒すの?」
そうだ、お魚も美味しいが私は牛も豚も鳥も食うのだ、自分の食事は自分で獲る。
コレは野生の掟なのだと語る。
「そうなんだ、じゃあ、あたしが教えてあげようか?」
リリアがそう言う。
む?そう言えばこの子はA級冒険者な父親と旅をしていると言っていた、色々と知っていても不思議ではない。
まだ五歳児だけどこの世界でまだ零歳な私より物知りだ、是非とも教えて貰おうと頼む。
「えっとねー――――」
ふむ、ふむと教えて貰う、そんな場所があるのか、有り難い情報だ、お礼に甘い木の実をプレゼントだ。
一人と一匹で仲良く食べる。
揃って何匹かの魔魚を釣り上げた、約束通りに下処理を教える。
一生懸命にやるリリア、中々に手際と覚えが良い、もう数匹も熟せば十分な腕前に成るだろう。
次に釣り上げたのが時間的に最後の一匹かなぁという時に【神智】さんに反応が、何だコレ?と思っている間にそれはゆっくり近付いて来てリリアの餌に喰いついた。
「わ、わわわわわ」
物凄い力でリリアが引っ張られる、させんっ!と私が支えて尻尾で竿を支えて釣り上げようとする。
竿が折れるかと思ったがかなりの高級品を買ったのだ、負けはせんとこっちも引っ張る、糸も耐えた、そしてザバーとそれが顔を上げた。
【神智】さんで【鑑定】する。
【名前】名無し
【種族】首長水竜・成体
【年齢】47歳
【気力】2414
【理力】2414
【霊力】2826
【魔力】2898
【技能】【水流息吹LV6】【鋼牙攻撃LV5】【大尻尾攻撃LV5】【水魔導LV10】【水流魔導LV3】【竜鱗LV9】【魔導反射LV8】【遊泳LV8】
ナンダコレハ?
ネス湖のネッシーか?
ラトラー湖だからラトノアドンか?名前が安直だな、しかも首長水竜とある、【竜】だ。
「おっきー」
リリアは何か目をキラキラさせてるがそれ所ではない。
首長水竜が糸を垂らしている口から何かを放とうとしている、【水流息吹】か?撃たれる前に討つと【真爪攻撃】、首長水竜の首を刎ねた。
血が噴き出して私とリリアに掛かる、ああ、勿体ないと慌てて『空間収納』に収納。
でも【水竜力LV1】を覚えた。
「すごいのを釣ったー!」
リリアは大喜びだ、確かに大物だ、求めていた魔魚以外の初の獲物だ。
でも、これは何かオカシイ、何であんな餌にこんな竜が掛かるのか?いや、私も非常識な釣りはするけどリリアも有り得ない。
類は友を呼んだのだろうか?
取り合えず、【洗浄】と【乾燥】で血の汚れを落とす。
そして余りにデカすぎるから釣り上げた?リリアには持って帰れない、一部、肉や血、鱗や骨を渡して残りは私が買い取る。
結構な高額だが、全然、大丈夫だ、リリアは貰ったお金と竜の素材をお父さんに自慢すると言ってたが程々に、危険だと釣りを禁止されるかもだからね。
今回も私が居なければ死んでいた。
危ない所だ、しかし殺して良かったのかな?首長水竜、ラトラー湖の伝説の生物とかで無い事を祈ろう、歳も47歳と若かったから大丈夫だろう。
何にせよ、予想外の事態はあったが釣りは終了となった。
「あ、そうだ、狐猫ちゃん、前にもちょっと言ったけど明日から往復で一週間ちょっとくらいスイルにお父さんと行って来るんだ」
ん?ああ、そう言えば言ってたな、セアラだと【光輝】で片道2日位だが普通の馬車だとその位か、シルバーとズィルバーなら半日だ。
「だから暫くは会えなくなちゃうね。でも、また会おうね。バイバイ」
うん、待たね、リリアと私は互いに手を振って別れた。
大神殿に帰ってセアラとリーレンさんに水竜の血をかける。
コレで残るは火竜だけだな、何処に行けば手に入るのだろうと考える。
やっぱり火山とかそういう所だろうか?買った地図にはテレスターレ聖国の詳細の他に他国の地図も載っていた。
この国には火山は無いがアトランティカ大国やエイリーク共和国、ダスド帝国には在るらしい【魂魄憑依】に今度探させてみようと思った。
全部が揃えば恐らくは良い事が有るだろうと思う。
夕食後はまた図書室、今夜は竜と龍について、中々にいいタイミングの本だ、早速、読み進める。
単純に別けると竜はデッカイ蜥蜴、龍はデッカイ蛇だ。
竜種は基本として4種族、火竜、風竜、水竜、地竜だ。
進化して光竜や空竜、刻竜や闇竜になるモノも居るらしいが、若いモノには気性が荒いモノも居るが基本は知的で大人しいらしい、これは龍も同じだ。
大体が属性に適した土地や地域に住む、定住をしないのは風竜位だそうだ。
そして何と人化する、人に紛れて暮らす竜も居ると言う。
魔物なのに人と恋愛して結婚する竜までいるらしい、生まれるのは夫が竜なら人の子、妻が竜なら竜の子だそうだ、何とも不思議な感じだ、自分とか人間って恋愛対象じゃないよなーと思っていたが違うモノらしい。
自分も人化を覚えられるかな?と思う、覚えれば人に紛れやすくなる、一応、【技能】に追加されたら候補に入れよう。
しかし狐猫から人になった私か…どんな姿になるんだろ?ちょっと気になる。
オカシク無い事を祈ろう、竜の気性と特性についての項目、先ず最初は火竜からだ。
火竜、火山等に住む、気性は荒く攻撃的、同種族以外には容赦なく襲い掛かる。
知的どこいった?と思う。
進化すれば火炎竜、光竜、聖光竜となりドンドン知的で落ち着いた性格になる、信仰の対象になり崇められる竜もおり成長すれば最も人に寄り添う竜になるという、国によっては神殿長や神官長を人化した光竜や聖光竜が務めているらしい。
風竜、定住せずに飛び回っている竜、自由で奔放、但し、飛ぶのを邪魔されると怒って襲い掛かって来るそうだ。
私に襲い掛かって来たのはその性かと考える。
進化は暴風竜、空竜。次元竜、孤高を望み束縛を嫌う、大体が人里を離れた地に隠遁するそうだ、只、興味を持つとそれに打ち込み武芸を極めたり、知識を蓄えたりするらしい、その腕や智慧を頼って弟子入りする者も居るそうだ、気に入られれば拒まれない、正に風向き次第の自由人だ。
水竜、湖や海に住む、大人しいが悪食で何でも喰う、酒も大好き、それを目当てで舟を襲ったりする事もあるらしい。
リリアに首長水竜が釣られる訳だ。
進化先は水流竜、刻竜、時空竜、人の中にコッソリ潜んで暮らすそうだ、大喰らいで大酒呑み、何時も楽しそうに周りを賑やかしているらしい、人と恋愛して結婚するのが一番多いのが水竜、流石に結婚前には正体を明かすそうだがそれでも良いと大体、結婚するそうだ。
最後が地竜、岩山や森の奥に住む、温厚で大人しい、ちょっと攻撃しても気にしない程に攻撃性は低い。
私も甲鉄鎧竜を殺した時はちょっと申し訳なさを覚えたモノだ。
進化するのは大地竜、闇竜、深淵竜、他の竜と違って人化もまずしない、竜の姿のままでひっそりと暮らすが、変わり者も多い、有名なSSS級の終焉の魔物である、黒竜皇帝サリディアスは深淵竜と言われている、気が向いたら現れて興味が無くなると消える、気分屋だ。
竜種はこんな感じ、続いては龍種だ。
こちらは属性で別れない、龍種一種のみ、住むのは川や大河、海、流れがある場所だけだ。
性格は兎に角、優しい、本当に魔物かが疑わしいレベルらしい、魔物に襲われる人を助けるのは当たり前、怪我人が居たら癒す、窮する者には恵みを与えると完全に善人――善物だ。
そんなとってもありがたい龍種も素材が高額なので襲う馬鹿も居る。
怒らせると恐ろしい、雷鳴が響き、爆裂が起こり、氷雪が舞い、砂塵が躍る、白や黒に塗り潰され、無に消されて重力に圧される、正しく容赦がない。
こんなのを襲うのは本当に馬鹿だけだろう。
この龍種もまた人化して人に紛れる、色々と人助けをしているらしい、本当に良い魔物だなと思う、何でそんなに人に寄り添うのかが不思議だ。
SSS級の終焉の魔物である蒼海青龍メルトヴィレイも人を護るとあった、私にはとても出来ないわーと思う。
但し、全ての龍種が善ではない、魔龍、邪龍とされる龍もいる、一番有名なのがSSS級の終焉の八岐大蛇カムナギだ。
コイツは多頭龍という龍種らしい、竜ではない、とっても竜っぽいらしいけどね。
そういう魔龍や邪龍は数少ないが存在する、どれも文句無しにS級の天災、SS級の絶望だ。
どうせなら同じ龍種が片付けてくれればいいのに何故か同族は殺そうとしないそうだ。
多分、何か理由があるのだろうと思う。
竜はとっても自由な感じだが龍は何か掟というか、決まりというかに縛られてる様に感じる。
それが何なのか私には窺い知る事は出来ない、ちょっと気にはなるけどね。
まぁ、どうしても気になったら自称:神様(仮)に聞こう、そうしよう。
そして本を読み終わった私は図書室を後にした。
セアラの部屋に帰って眠る、明日からはリリアに教えて貰った狩場で狩りだ。
2日が過ぎた。
狩場は中々に満足の行く場所だった。
何とか【LV】が1つ上がった。
図書室の本も面白いのに当たった。
詳細はまた今度だ。
今日のはちょっとした物語でハッピーエンドでなく悲恋で終わった。
むう、ここまで引っ張ってこんな終わり方をさせるとは、作者には文句を言いたい。
だが、他は概ね満足な一日だった。
セアラにリーレンさん、セリアーナお婆ちゃん大聖女様とコタツでヌクヌク出来た。
さて明日はどうしようと思いながら私は眠った。
『狐…猫……ちゃん』
眠っていた私は脳裏に響いた声に飛び起きた。
今のはリリアの声?【恩恵】の【以心伝心】?
何かあったのかと私は居ても立っても居られず『長距離転移』でスイルに跳んだ。
其処から【閃駆】でカンタコンペに向かって走る。
只、一目散に全力疾走だ、脇目も振らない。
凄まじい速度【光輝】を受けたシルバーとズィルバーが半日でカンタコンペとスイルを踏破できるなら私の全速力はそれ以上だ。
そして見つけてしまった。
野営地、壊れた馬車、倒れた二頭の馬、ピクリとも動かない軽装備の20代後半位の男性。
私が貸した釣り竿を手にしたままこと切れている小さな少女――リリア。
【神智】さんの反応の示す方向に目を向ける。
そこに居るのは【黒雷光虎】、周囲には奴が放ったと思われる放電の跡がまだパリパリと音を上げている。
貴様が――貴様がやったのかと私は睨む。
【黒雷光虎】は笑っているように見えた。
よくも――よくもやってくれたなと私は激しい怒りのままに【黒雷光虎】に襲い掛かった。
復讐の死闘が始まる。
狐猫の小話
龍種は王である蒼海青龍メルトヴィレイが過去に人類に助けられた事から掟で人を襲わない事に基本なってます。
襲われるとやり返して良いですけどね。
後、同種族同士の争いも禁じてるので魔龍や邪龍の討伐はしません。




