第077話 年末年始は忙しい?
遂に12月30日になった。
今年も終わりである。
私も生まれてもう後、3ヶ月程で1歳だ。
やっとというか、早いと言うかな月日の流れだ。
因みに現在の聖王国暦が3883年、凄い長さだなーと思う。
星暦は4988年、寿命の長い森人なんかはもっと古くからの歴史を伝えているらしいけど、人類の歴史は5000年ほど前に一度、途絶えたらしい。
何があったかは不明、只それまでは人族、鬼人、水人、森人、地人、獣人、蟲人の7種族に居た聖女、聖者が人族にしか生まれなくなったそうだ。
結果、人類が神に認められたとか勘違いした奴等が他種族を迫害、それまで中央のゴルディシア大陸に纏まっていた種族は新天地を求めて移動、結果として中央大陸には人族ばっかり、逃げ出した他の種族は単一国家を作ったり、多民族国家を作ったりしたらしい。
それで人族ばっかりになったゴルディシア大陸だけど最初は7ヶ国、聖女と聖者を頂点とする国で当初は上手く纏まっていたらしいが少しずつズレと言うか、不満から分裂崩壊、最大で14ヶ国迄増えていた時代もあったそうだ。
現在は8ヶ国だからマシな方?大きい国からアトランティカ大国、ゴルディシア大陸の西側をほぼ統べる最大国家、でもちょっと大きくなりすぎて今は内政に手一杯、現在の王はもうご高齢で次代は優秀と言われる三男の王子が継ぐと言われているが長男が問題児、何かやらかすかもと言われてる。
大聖女は2人居て互いに王の正妻、次代の大聖女とされる2人も三男の婚約者、仕える神の名は揃って失っている。
二番目がエイリーク共和国、東側の半分を占めている、王の居ない民主制だが崇拝対象として大聖女一人が居る、立憲君主制かな?この国の大聖女も神の名を失っているそうだ。
三番目が私が暮らすテレスターレ聖国、一応、初代の7ヶ国の正統な後継国の一つと言われてるけど治めて居るのは大聖女じゃなくて聖王、世界で唯一、【魔導具】作りの要石になるアムディの聖石が取れる為、本当はどの国も喉から手が出る程に欲しい、規模こそ三位だけど影響力は一位だろうね、大聖女は一人で崇める神はアストラーデ、【強欲】な悪魔で【忍耐】の女神で、【回帰】を求める邪神、原色は【藍】とされている。
四番目がスリオン聖国、この国は大きく海に面した大海運国家、他の大陸の各国家との関係も良好で多少ながら人類以外の種族も住んでいる、、今だに国のトップは大聖女様で仕える神の名はスララザイア、【嫉妬】の悪魔で【勤勉】に働く女神だが【怨恨】を忘れない邪神、原色は【青】。
五番目が目下問題のダスド帝国、建国100年に満たない新興国、クーデターで皇帝が生まれるまではプルア聖国、特に特産は無いちょっと広いなと言うだけの国だったらしい、現在は軍事に力を注いで目下、他国の侵略を考え中のようだ、大聖女は一人で皇帝の妃、神の名はプルグマイア、【憤怒】の悪魔で戯れに【救恤】を施し、【狂信】を求める邪神、原色は【緑】、現皇帝はラインハルト・ズィーガー。
六番目はリスト聖国、農耕に適した肥沃な大地を持ち、ゴルディシア大陸の食糧庫とも言われる、この国も共和制で国民の代表は投票で決まる、大聖女は相談役として控える、神の名はリステルトル、【怠惰】な悪魔だが全てを【謙譲】する美徳な神で決して滅びぬ【不滅】の邪神、原色は実りを示す【黄】。
七番目がゴルディシア大陸の東端にあるマヤ王国、この国は他国とのかかわりを一切、持とうとしない自給自足な鎖国国家で情報が全く無いらしい、聖女とかも居ないらしい、何とも謎で不思議な国である。
最後の八番目がスメラギ、西側の北端にある最小国だがアトランティカ大国の侵略を何度となく跳ねのけた最小最強な国である、何でも国に凶悪な【迷宮】が幾つもあるらしい、【LV】上げに良さそうな国だな、行って見たい気がする。
ゴルディシア大陸はこんな所で次は他の国にいってみようか、北周りで先ずはオスラ大陸、此処には水人がオケアノス海国という国を作っている、僅かな緑と氷の世界、でも豊富な魚介に恵まれた国らしい、お魚…ジュルリ、是非、釣りをしたいものだ。
その東の島が朋来、鬼人の国だ、4つの大きな島から出来てるこの国は一番大きい島から順に崑崙、明蓮、鉅鹿、楓香の四島からなる、鬼族は実力主義の身分制度で最も強く賢い者が王、次が特級民、一等民、二等民、三等民、四等民と罪人の五等民に区別される、また明蓮にはの終焉の魔物、八岐大蛇カムナギが封じられている。
其処から南東がグラニー大陸、この星セバ最大のウノ大樹海に覆われたエルフのヴァハラ王国、多くの果樹が実り、多くの獲物が潜む魔の森だ、だがそれも森人にとっては庭、次々と狩っては仕留めるらしい、また【魔導具】作りの最先端を行きそれを各国に輸出して富を蓄えている、治めるのは森人王の一族、多くの試練を超えた実力ある森人である。
そして真南、諸島群による獣人を中心とした亜人国家、ウリティア連合国、獣人が中心だが他の民族も受け入れて7人種全てが生活をしている、人族、鬼人、水人、森人、地人、獣人、蟲人が仲良く暮らしているのはこの国だけである、マクレーン諸島という全部で14の島からなる。
地人の国バルガス王国のフィリーディン山脈、此処は島や大陸と言うより巨大な山に作られた地下都市である、海底から出ているフィリーディン山脈の高さと広さは凄まじい、楽に1万メートルを超えている、そしてこの山から掘られる鉱石を使って地人達は鍛冶をする、そしてそれを輸出して得た金で食料を買い込み酒を造る、コレもまた極上と言われる。
最後に西北、この星で二番目の大陸であるワレアレス大陸、森と山と川と湖、草原が溢れる大陸で蟲人を中心に此処も多民族国家となっている、国の名はワスナレナスアレ王国、ウリティア連合国程では無いがこの国にも多くの人種が暮らす、理由は単純に蟲人が強いからだ、彼等は全人種中最強と言われるほどに強く、魔物から人々を護ってくれる、そんな彼等でも過去に人類に迫害を受けたのだから数の暴力は恐ろしい、お陰で蟲人は今も人類だけはお断りで余程でないと受け容れてくれない。
読み終わった所でパタンと本を閉じる。
中々に読み応えがあった。
しかし、大晦日、そして新年と忙しい時に一匹で真っ昼間から優雅に読書とか何か申し訳ない気がする。
皆、狐猫の手も借りたい程に忙しいだろうに、言ってくれたら手伝うのだが誰も言ってくれない。
でも流石に普段通りに狩りに出るのは気が引ける。
妥協として『図書室に居るから仕事が在ったら呼んで―』と書置きをセアラの部屋に置いて読書に来ていた。
しかし、一冊を読み終わってもお呼びは掛からない。
うーん、良いのかな?二冊目行っちゃう?
悩んでいたら【神智】さんに反応、おや、これは―
「居ましたか」
「ミィミミィミミィ、ミィ?ミィミミ?」(リーレンさん、何?お仕事?)
喜んで尻尾を振りながら近付いて行く、気分は何となく子供が初めてお手伝いやお使いをする気持ちだ。
「手伝って貰えますか?」
「ミィミー」(いいよー)
安請け合い、そして私は仕事をする事になった。
神殿前の大通り、その上に私はチョコンと座り商品を売っている。
商品名は『聖女の聖水』、断言して置くが決してセアラのお〇らしでは無い。
全部に聖女と聖女候補生が【技能】【幸運】や【祝福】を掛けたお水である。
来年一年の幸運と健康を祈願してあるちゃんとした『聖水』なのだ。
1リットルが銅貨8枚、500ミリリットルが銅貨4枚である。
容器はペットボトル等では無く綺麗なガラス製だ。
容器の値段も有ってか日本円だと800円に400円とお高めだが、何かポンポンと売れていく。
どうしてか売り子は私只一匹である。
何故?と思う。
「可愛いー」
「白いな、縁起がいい」
「コレは御利益がありそうだ」
ちょ、お客さんが途切れない?!
リーレンさん、ヘルプ!ヘルプを希望です!
私一人――いや、一匹では手に余る。
狐猫が猫の手も借りたいとはこれ如何に?
あ、コラ、お金を誤魔化そうとしない!1リットル2本で銅板1枚と銅貨6枚だ、オマケや割引は無い。
お、そっちのお客さんは運が良いね、それはセアラの【降臨】が掛かってる、来年は幸運に過ごせるだろう。
そんな感じで「キャー、キャー」「ワー、ワー」言われながら売りまくった。
無くなると【魔導袋】から補充した。
それも売り切って遂に空になった。
終わったー、と、伸びた。
確かにお手伝いは望んだがこんな一人――一匹で目の回る忙しさは望んでいない。
何でこうなったーと思う、其処へ――
「終わりましたか?」
「ミィー、ミィミミー、ミィミィー、ミィミミィミミィミミミィミィー」(うんー、終わったー、疲れたー、私だけでやる仕事量じゃないよー)
「では次です」
「ミ?!」(え?!)
「此処は正門、一般の方向けの販売です。次は富裕層、貴族門側での販売です」
「………ミ?」(………え?)
「頑張って下さい」
「………ミィ」(………はい)
私は何となく『聖女の聖水』でなく自分が売られてる気がした。
「ミィミミィィィィィィーーーーーー」(疲れたぁぁぁぁっーーーーーー)
バッタリとセアラのベッドへとダウンする。
限界である、一本残らず売り切った、当分売り狐猫は勘弁である、自分は招き猫では無い。
「ハクアもお疲れ様です。でも皆もお疲れですよ?」
「ミィミィミ」(セアラもね)
全員がお疲れだが、コレから更に年明けに神事に行事と三日は忙しいらしい、大変だ。
身分としては飼われている訳ではない、仕事をして住まわせて貰っているつもりだ。
頑張らねばなるまい。
出来る事は少ないだろうけど、そう思って乗り切る事にした。
そして聖王国暦3884年、星暦4989年が始まる。
「新年、おめでとうございます。ハクア」
「ミィィミミィミィィ、ミィミ」(今年もよろしく、セアラ)
初日の出を眺めながら一人と一匹でお祝いにイエーイとハイタッチ、うん、うん、すっかり私達は仲良しだ。
「はぁ…、聖女様はドンドンと貴方に影響を受けて…」
「え?何かダメですか?“はいたっち”なんだか楽しいですよ?」
うん、うん、お祝い事なのだ、楽しい事なのだ、そういう時はコレなのだ、さぁ、リーレンさんもと誘ったが「やりません」と言われた。
何故だろう?この世界ではやっちゃダメな事なのだろうか?謎だ。
「兎も角、参ります」
「はい、リーレン」
年が明けても変わらない、所か忙しいから何時もより早い日の出の時間に訓練を始めるセアラとリーレンさん、付き合う私、コレもすっかり恒例になった。
終わったらシルバーとズィルバーを愛でてアッポーとニンジーを上げるのだ。
今は思い切り走らせて上げられなくて申し訳ないが後、数日の辛抱だ、耐えて欲しい。
【魂魄憑依】共も『正月休みを寄越せー』とか騒がしいが無視だ。
皆が頑張ってるのだ、私も負けて居られない。
セアラとリーレンさんの特訓はすっかりお互いにステータスを封印しての技術戦だ。
これにはまだまだリーレンさんに分がある。
でもこれも追いつきそうだリーレンさんの木剣をセアラが杖技で弾く、続けて突き、躱されるが手を抜いた見せだったようだ、今度は本命の突き僅かに危なかった。
緩急も身に着けて来てる、まだリーレンさんが上だけどドンドン手を抜けなくなる。
本当に成長が速いなーと思う。
リーレンさんもセアラに追いつく為、追い越されない為に頑張ってる。
コツコツと努力しているのを知っている。
でもセアラの成長速度の方が速い。
焦るよなーと、思う。
無茶な訓練をしなきゃ良いけどと考える。
そして地獄の三日間が始まった。
本当に忙しい、貸せる猫の手は二つだが、尻尾を含めれば四つ増える。
神殿内を駆けずり回る、セリアーナお婆ちゃん大聖女様と聖女第一位のセアラは本当にもっと忙しい。
去年はまだ元第一位で第二位のシャーロットが居たが、神殿長のやらかしで自宅謹慎、ガマガエル神殿長は言わずもがな。
この二人が居ないしわ寄せが周りに来ている。
居なくても迷惑かけるか!ガマガエル神殿長めっ!と怒りをぶつける。
あれで本当に有能だっだんだなと思う。
地獄だった三日が過ぎても来訪者はまだ途切れない、結局、年明けの大神殿は毎年がこんな感じ、嫌、セアラは本格的な第一位としての仕事にヒーコラ言いながら熟していく。
セリアーナお婆ちゃん大聖女様は慣れているのか笑顔を絶やさずにやっていく、流石だと思う。
でも夜中に巨大な光の柱が訓練場に立ったのを見た。
アレは何だったのだろう?
翌日のセリアーナお婆ちゃん大聖女様は微笑みは同じだが不思議とスッキリして見えた。
本当に何だったのか?訓練場の【魔導】訓練用の鉄鎧案山子が全滅らしい、復旧は騒動が終了するまでお預けだ。
結局、騒動が落ち着くまで地獄の三日とプチ地獄の四日で終息した。
やっと終息した騒動に随分と待たせてしまったシルバーとズィルバーを連れて息抜きに出掛ける、門番さんに「今年もか…」と見られるが放置、肉ダルマ事、デーゲンさんを久々に今年になって初めて見る。
新年の挨拶をしてからお出かけだ。
私は取り合えず自由にシルバーとズィルバーを走らせた。
狐猫の小話
この星セバですが、北極は在りますが南極は在りません。
どの大陸、島にも四季が在ります。
本当にファンタジー世界です。




