第075話 六度目の試練と不吉な言葉?
「ミミィミミィィミィ」(じゃあ行って来る)
「気を付けて下さいね。第六の試練は恐怖の試練、己にとって最も恐ろしいモノが立ち塞がると言います」
「ミィミィミィィミミミィミィ…ミィミミ?」(私にとって恐いモノかぁ…何だろ?)
ちょっと思い浮かばない。
強いて挙げればガー爺ちゃんだろうか?
あのデラックスハイパースペシャルハードコースの悪夢は忘れられない。
「ミィ、ミィミィミィミミ」(まぁ、頑張って来るわ)
「ご武運を」
私はセアラの言葉に背を押されウィンドウを表示した。
『LVが一定値に達しました。位階を上げる試練に望めます。試練を望みますか? ・はい ・いいえ』
はいを選ぶ、そして六度目の試練へと私は消えた。
気付いたら居る場所は何故か前世の台所。
何故?と思う。
でも台所に立つと唐突に蘇る前世の記憶、そう言えば私って料理人――コックさんを目指していたと、きっかけは小学校時代、海の近くにある友達の家に遊びに行って釣りをしている人を見かけた。
興味を持ってジーと見てると「やってみるか?」と言われて初めて釣りに挑戦した。
デッカイチヌ、クロダイを釣り上げた。
皆が驚いた、私もビックリした。
持って帰ってお母さんに調理を頼んだがそんな大きな魚をさばいた事は無いと言われた。
折角、釣ったのに勿体ない、ならば自分がと一念発起した。
料理本とスマホを先生に一生懸命、料理した。
今思い出すとあまり出来は良くなかった、もうちょっと頑張りましょうレベルだ。
でもお父さんもお母さんも妹も美味しいと食べてくれた。
以来、料理に嵌った、思い出した今なら大体の料理は作れる。
狐猫が台所に立てればだけどね。
そんな在る意味で私の思い出の場所、私の聖域な台所に恐怖???
何だろうと思う。
其処で声が響いた。
『六度目の試練に挑む者よ。良くぞ来た』
おう、来たぞ、自称:神様(仮)よ。
何だか懐かしい場所に送ってくれてありがとう、お陰で少し前世の記憶が戻ったわ。
『この間にLVを上げ良くぞ。六度目の試練に挑む決断をした。汝の決意に改めて敬意を表する』
そうだねー、S級な暗殺者とS級な熊と戦って、ホントによく無事で居られたな私ってと思う。
特にギャバン戦なんて槍で貫かれたし、死ななかったのは奇跡だと考える。
『第六の試練、汝には己が最も恐れるモノと戦ってもらう。これは汝が恐怖に立ち向かえる心の強靭さを示す試練、戦いだ。見事に打ち破って見せるが良い』
そうは言われてもさっきも言ったがお台所は我が聖域、何時も綺麗に清潔に、私が恐れるモノなんて―――其処でふと気付いた。
お台所が妙にデッカイ、私が小さな狐猫なのもあるだろうけど、それでもデッカイ、そして黒い靄が大量に冷蔵庫の下とか電子レンジの隙間とか、食器棚の後ろに集まって行く―――こ、これは、コレはまさか……じょ、冗談だよね?自称:神様(仮)よ、それは流石にないよね?
『では試練を乗り越えて見せよ。さすれば汝には更なる力と技能が授けられるであろう。汝に再び光と闇の導きが在らんことを―』
その言葉と同時にあちこちの隙間から“それ”は這い出してきた。
デッカイGとMの群れである。
「ミギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
悲鳴を上げて私は全力で【魔導】の雨を叩き込んだ。
『火炎球』『暴風球』『水流球』『大地球』を連打!連打!連打!連打!連打!
だが、襲って来る数が多すぎる!
迎撃しきれない、くそう、うわぁーんと泣きながら【亜空間機動】で空中へ退避。
だけど―――
「ミギャギャーーーーー!!!」(飛んだーーーーー!!!)
Gは飛ぶ。
追っかけて来た。
また必死になって【魔導】の弾幕を張る。
Mが飛ばないだけマシだが、飛ぶGは悪夢だ。
それが群れになって来る。
「ミィーン、ミィミィ!ミィミ!ミィミミィミ!ミィミミィミミミィミミミィミィー!」(うわーん、母狐猫!セアラ!リーレンさん!セリアーナお婆ちゃん大聖女様ー!)
滝の様に涙を流して【魔導】を撃ちまくる。
と、ゆーかさっきから必死に防戦してるのは私一人だ。
【魂魄憑依】共は何してるっ!
意識を一瞬だけそちらに移してみる。
『ゴ、ゴゴゴ、ゴゴ、ゴゴゴキビリ―ゴ〇ブリがーーーー!!!ム〇デがーーーー!!!』
『ああああああああ!!!着替えようと服に手を入れたら巨大ム〇デに右手を噛まれたトラウマがーーーー!!!』
『―こ、ここ、ころっせ―こ、ここ、こここ、こわっせ―め、め、め、めめ、めっせ、めっせよ―ふ、ふふ、ふん、ふん、ふんさ、ふんっさいせよ―』
『三号!三号!私もその強固に封印された部屋に入れてくれーー!!』
『…………………はふぅ(バタリ)』
『こ、これは迫害されてきた生き物の反乱?!やはりどんな命にも生きる権利は――』
『ギャーーー!!!寄るな、来るな、近付くな、死ぬ気でやれ本体!!!』
『ギニャーーー!!!』
『こら馬鹿狐猫!私を盾にするな、お前が私を護れ!!』
『本体、有給休暇を申請するー』
仕事しろ貴様等ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!
最早事態は地獄絵図だった。
必死に防戦するのは私一人、【魂魄憑依】共は役立たず。
誰かキ〇チョールとバ〇サンを持って来いーと叫びたい。
そこで異変を察する、【神智】さんで感知。
コレは後方に台所のシンクに回り込まれている?
現状で此方が何とか出来るのは前方の180度のみ、後方は手が回らない!
こうなれば仕方がない。
ステータス・オープン
(【火炎魔導LV4】を【LV5】に【LV6】に【LV7】に【LV8】に【LV9】に【LV10】に)
『技能【火炎魔導LV4】を【LV5】にするにはSP15が必要です。使用しました。技能【火炎魔導LV5】を【LV6】にするにはSP16が必要です。使用しました。技能【火炎魔導LV6】を【LV7】にするにはSP17が必要です。使用しました。技能【火炎魔導LV7】を【LV8】にするにはSP18が必要です。使用しました。技能【火炎魔導LV8】を【LV9】にするにはSP19が必要です。使用しました。技能【火炎魔導LV9】を【LV10】にするにはSP20が必要です。【火炎魔導LV10】から【光魔導LV1】が派生しました』
(【暴風魔導LV4】を【LV5】に【LV6】に【LV7】に【LV8】に【LV9】に【LV10】に)
『技能【暴風魔導LV4】を【LV5】にするにはSP15が必要です。使用しました。技能【暴風魔導LV5】を【LV6】にするにはSP16が必要です。使用しました。技能【暴風魔導LV6】を【LV7】にするにはSP17が必要です。使用しました。技能【暴風魔導LV7】を【LV8】にするにはSP18が必要です。使用しました。技能【暴風魔導LV8】を【LV9】にするにはSP19が必要です。使用しました。技能【暴風魔導LV9】を【LV10】にするにはSP20が必要です。【暴風魔導LV10】から【空魔導LV1】が派生しました』
(【水流魔導LV6】を【LV7】に【LV8】に【LV9】に【LV10】に)
『技能【水流魔導LV6】を【LV7】にするにはSP17が必要です。使用しました。技能【水流魔導LV7】を【LV8】にするにはSP18が必要です。使用しました。技能【水流魔導LV8】を【LV9】にするにはSP19が必要です。使用しました。技能【水流魔導LV9】を【LV10】にするにはSP20が必要です。【水流魔導LV10】から【刻魔導LV1】が派生しました』
(【大地魔導LV6】を【LV7】に【LV8】に【LV9】に【LV10】に)
『技能【大地魔導LV6】を【LV7】にするにはSP17が必要です。使用しました。技能【大地魔導LV7】を【LV8】にするにはSP18が必要です。使用しました。技能【大地魔導LV8】を【LV9】にするにはSP19が必要です。使用しました。技能【大地魔導LV9】を【LV10】にするにはSP20が必要です。【大地魔導LV10】から【闇魔導LV1】が派生しました』
「『火炎力』『暴風力』『水流力』『大地力』」
【魔導】の威力を上げる【魔導】を使う、こっからはもう【魔導】が使えなくなるまで撃ちまくる!
「『火炎嵐』『暴風嵐』『水流嵐』『大地嵐』」
荒れ狂う炎と逆巻く嵐、打ち付ける波に舞い飛ぶ岩石、360度を覆う嵐の【魔導】の連打!連打!連打!連打!!!
次々とGとMが焼かれ、吹き飛び、叩き付けられ、潰される。
状況は一変したがまだ敵の数が多い、手が足りない、数に押される。
こんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!【魂魄憑依】共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!
いい加減にせんと二度と褒美はやらんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!
『『『『『『『『『イ、イエッサー!!!』』』』』』』』』
『イエッニャー!!!』
やっと【魂魄憑依】が戦闘に参加して【魔導】の弾幕の数が跳ね上がる。
「『火炎嵐』『暴風嵐』『水流嵐』『大地嵐』」
『『『『『『『『『『火炎嵐』『暴風嵐』『水流嵐』『大地嵐』』』』』』』』』』
10倍になった嵐が凄まじい勢いでGとMを駆除していく、残りは後僅かだ。
だが、其処でボスらしい超巨大Gと超巨大Mが現れる。
しかし、此方にはもう恐怖は無い。
あるのは物凄い怒りだけだ、我が思い出の神聖なる台所を穢してくれやがったこいつ等はユルサン!!!
「『火炎閃』『暴風刃』」
『『『『『火炎閃』』』』』『『『『『暴風刃』』』』』
炎の閃光と暴風の刃が超巨大Gを焼いて切り刻む。
同時に――
『『『『『水流渦』』』』』『『『『『大地割』』』』』
地割れが起こり超巨大Mが飲み込まれ其処を渦潮が襲う。
超巨大なGとMはほぼ同時に息絶えた。
後に残るのは凄まじい惨状になった台所である。
もう台所というよりGとMの墓場だ、1匹見たら30匹というが楽に合わせて300匹を超えている、500匹も超えてるかもしれない。
折角、思い出した思い出の場所を穢された私のダメージは深い。
へたり込んで身動きが取れない。
そんな私の耳に声が響いた。
『見事』
見事じゃないわっ!
私は怒鳴った。
『何を怒る?『ファーレンハイトの愛し子』よ』
怒らずにいられるかっ!
折角、お陰で前世の良い思い出が戻ったと思ったのに速攻でそれを穢しおって私の感激と感謝を返せっ!
『そうは言われても風景は汝が抱く恐怖に対して最もイメージが深い場所が選ばれる。我にはどうにも出来ぬ』
ぬう、確かにGとMに一番遭遇率が高かったのはお台所だったけど、それでも何かこう、何とかしてほしかった。
うう、今後は台所に立つたびにあの悪夢に悩まされそうだ、その機会が有ればだが――
『ふむ、しかし傷つけたと言うのならば謝罪しよう。『ファーレンハイトの愛し子』よ』
良いわよ、もう、どうしようもなかったんでしょう?
ならしょうがないわよ、謝らせてこっちこそゴメン。
『そうか、それで尋ねたい事はあるか?』
うーん、何だか大体は聞いちゃった気がするわね。
あ、そうだ、尻尾!何で増えるの尻尾!!何か試練が終わる度に増えてるんだけど?
『魔物が【試練】を超えた証だ。増えた尻尾の数が証明になる』
有り難い様な、迷惑な様な問題ね。
人間にも変化があるの?
『外見的な変化は少ない。精々、髪が伸びる程度だ。代わりに寿命が延び老化が抑制される』
成る程、良い事じゃない。
それで10個の試練を超えれば晴れて神様の仲間入りとなるんだ。
『いや、10の試練を超えて成れるのは亜神だ。真の神には12の試練が必要だ』
ありゃ?2個追加されたぞ?
それに亜神と真の神はどんな差があるんだ?
『亜神の寿命は1000年、死した後は大精霊となり、信仰が溜まれば神の座に就く。真の神はそのまま神の座だ』
成る程、直ぐ神に成れるか成れないか程度の差か、神になった者は居ないっぽいけど亜神になった人は居るの?
『何名かは居る。『セアス』も至った。だが今だに神には届かない』
うわ、予想以上に時間が掛かるっぽい。
ホントに大変なんだな神様になるのって、でもなんでその人達は亜神に成っちゃったの?
『資格を得られなかったからだ』
資格?条件があるのかどんなのだろう?
『汝は現在満たしている問題ない』
あ、そうなんだ、良かった、ならもう良いかな?あ、いや、ハミルトン!あいつは今、どうしてるの?
『…あの者か、先日は遂に4人目の転生者を手に懸けた。次はお主を狙うだろう』
うわぁ、皆がやられたのか、そして次は私と…どうにかせねば。
『更に次の2人も見つかった。このままではあの者を止められる者は居なくなる』
マジですかー、ホントにどうしようかね?
セアラが狙われてるんじゃ無ければ逃げるんだけど、あの子が危ない限り私に逃げるは無い。
『……本来なら忌み子に関する事は禁忌だが…』
うん?なんだろ?
『その時が来たら決して【躊躇うな】その者の覚悟を無駄にするな』
え?!何、其の不吉な言葉、私は嫌だよ?絶対に皆で無事に生き抜くんだからね!
『話は終わりだ。行くがよい、さらばだ無事を祈る』
そう思うならもっと明るい話題で送り出せー!こらー!!
念じて見たがもう返事は返って来ず、私は溜息を吐いた。
絶対に嫌だ、また失って逃げ出すなんて、その為に私は強くなったのだから、母狐猫のような事は二度とゴメンだ。
私は強くそう思った。
狐猫の小話
GとMは風緑も大の苦手です。
でも沸いてくる奴等、蜘蛛とかは全然、平気ですが奴等はダメです。
即殺虫です。




