第074話 久々の図書室と帝国の影?
ジュラ大森林の奥深くまで向かう、【LV60】まで必要な経験値はかなり多い。
大量に狩らねばならない、それには此処が打って付けだ。
他の狩場は遠すぎたり、出る魔物が弱すぎる。
【黒雷虎】には注意が必要だが他に恐れる魔物は居ない。
【黒雷虎】からも逃げるだけなら可能な筈だと狩りまくった。
生態系を壊すんじゃないかって勢いで、3日ほどそれを続けた。
そしたら遂にそいつが現れた。
私は舐めていた。
逃げるだけなら楽勝だと、今の私なら可能と考えていた。
甘かった。
奴はまだ本気では無かった。
いや、奴もまたこの数ヶ月で強くなったのだろう。
それを思い知らされた。
奴はまた【神智】の範囲内の端に現れた、速度と赤点の大きさから奴だと理解、逃げ出した。
【疾風】で逃げ切れたのだ、【閃駆】と今のステータスなら楽勝だろうと思っていた。
だが、間合いがあっという間に狭まる。
何っ?!と思った。
【神智】様の力で【遠隔鑑定】した。
結果は――
【名前】名無し
【種族】【黒雷光虎】・進化体
【年齢】67歳
【気力】27151
【理力】26989
【霊力】27115
【魔力】27147
【技能】【真牙攻撃LV9】【真爪攻撃LV9】【真尻尾攻撃LV8】【黒雷光攻撃LV7】【黒雷光咆哮LV8】【疾風迅雷】【黒雷光纏LV8】【真邪怨眼LV7】【空間機動LV5】【火炎無効LV8】【暴風無効LV8】【威圧LV8】【雷鳴属性攻撃力上昇LV8】【不屈LV8】【獣性解放】【野生LV10】【獣の本能LV10】
進化してやがるっ!
何だよ、【黒雷光虎】って、【殺戮大熊】の限界突破並のステータスじゃないかっ!
相手できるかと【亜空間機動】と【短距離転移】の連続でジュラ大森林を脱出。
ちくせう、良い狩場だったのに、コレはもう狩場を変えるしかない。
あと少しで【LV60】だったんだけどなぁと残念に思う。
しかし、あんなモノの相手は出来ない。
様子見をしているが森からは出て来ない、大丈夫そうだ。
取り合えず、今日の狩りはもう諦めて大神殿に帰る事にする。
しかし、他の狩場かぁ、候補はハサンの近くの森とハーメルだが、どちらも遠い【長距離転移】を覚えないととてもホイホイと行ける距離ではない。
そう思っていたら――
ピコーン
『【技能】【空間魔導LV7】が【LV8】になしました』
あれ?私は【空間魔導LV8】の【長距離転移】を覚えた。
狩場問題が解決したし、今日はもう休んで明日からにしようとやっぱり大神殿に帰る。
其処で丁度、セアラに会った。
「あ、ハクア、お帰りなさい。今日は早いですね、一杯取れました?」
わーい、セアラーと飛びつく。
セアラも抱き締めてくれる、最近は一日一回は必ずやっている、すっかり私達は仲良しだ。
「ミィミィ、ミィミミィミミィミィミミミィミミミィィミミィィミミミ」(それがね、【黒雷虎】が【黒雷光虎】に進化してて邪魔されてあんまり狩れなかったのよ)
「ええ?!大変じゃないですか!大丈夫なんですか?」
「ミィミミミィミミミィミミミィミミミ。ミィミ、ミィミミミィミ」(ジュラ大森林に入らなければ大丈夫よ。一応、通達して置いて)
「分かりました」と言ってセアラは早速、近隣の町村に通達の為に連絡をしに行く。
と、想ったら、言い忘れていたと戻って来た。
「明日の13時にセリアーナ大聖女様が先日に仰っていたご褒美を下さるそうです。忘れずにいて下さい」
「ミィミィ」(了解)
伝えて返事を聞くと今度こそセアラは走って行った。
しかし、ご褒美かぁ、何をくれるんだろう?楽しみだけどちょっと不安だ。
そこでまたピコーンと音がした。
『【LV】が【60】になりました』
え?!私は何も狩ってないぞ?【魂魄憑依】させた【風切燕】が何か狩ったのか?
丁度、今夜は週に一度の報告に戻って来る日だ。
その時に聞こうと夜を待った。
夕飯を食べて何時もの様に本を読みに行く、今夜は久々に物語ではなく鉱石についてとあった。
鉱石か、武器防具に使う奴か、私は今の所は武器を一切、使っていないかどうだろう?
今後、使うようになる機会はあるだろうか?
人化でもしない限りは難しい気がする。
牙を強化したり、爪を強化したりする武器ってのも思いつかない。
口に何かを咥えて切り裂く?うーん、尻尾を刃にして斬った方が速い。
でも防具は有りな気がする、セアラの聖女の正装『地獄毒蛾の糸で作られたローブ』の様な物を身に纏うのは有りかも知れない。
兎も角、読んでみる。
この世界にある鉱石は15種類、合金とか竜や龍の鱗を混ぜたり角や牙を使ったりと色々とあるが代表的なのは15種類らしい。
先ずはG級の銅鉱石と青銅、単純な硬さは青銅が上だが【魔導】の攻撃力、防御力を上げる為の伝達力は純粋な銅鉱石が上なので同列だそうだ。
次がF級の銀鉱石と鉄鉱石コレもまた硬さは鉄鉱石が上だが【魔導】の伝達力は銀鉱石が上を行く、なので同列。
更にE級の金鉱石と鋼、コレもまた同じ理由で同列。
D級の白金鉱石と玉鋼も同様。
単純に力が強ければ青銅、鉄鉱石、鋼、玉鋼を使い、【魔導】に自信があれば銅鉱石、銀鉱石、金鉱石、白金鉱石を使うと言う差だ。
そしてC級、ファンタジー定番の魔導銀だ、コレは強度も高く、魔導伝達力も高い優れモノだそうだ、その分だけお高いそうだが買う価値は十分にあるらしい。
次にB級の黒魔鋼、魔導伝達力は少し落ちるが強度は魔導銀を遥かに上回るらしい、値段も吹っ飛ぶらしいが、A級かS級で無いと買うのは無理だそうだ。
続いてA級は深緋鉄、深紅の鉄で超貴重、これを武器防具に加工出来るのは人族には不可能と言われる。
出来るのは地人だけ、産出量も僅かでコレを武器や防具にするなど一代では絶対に無理とされてる。
強度と魔導伝達力も最高レベル、存在すれば国宝だそうだ。
今度もまたファンタジー定番のS級な魔白金、伝説の鉱石だ。
実は有るとされているし、発見もされていると言うが真偽不明な未知の金属、本当にあるかが分からない謎な物質だ。
でも夢と浪漫を求めて探している人は沢山、居るそうだ、私もあると信じたい、是非ともそれで剣とか作って欲しい。
更にSS級の精霊石、これは小さいのがかなり見つかるらしい。
でも加工が出来ない、炉にくべると消えて無くなる、現在はその並外れた魔導伝達力を生かして武器に装飾の如くくっ付ける利用法しか無いらしい。
精霊石は精霊の遺骸とも言われているが真偽は不明、精霊も居るとされているが見える人が殆んど居ないからだ。
精霊は私――狐猫――綿猫が『ファーレンハイトの愛し子』と呼ばれるように『イスマイルの愛し子』と呼ばれるらしい。
私も是非、精霊を見たいと思う。
折角のファンタジー世界、完全体験しなくてどうするんだと言うんだ。
SSS級は真鋼、これは有る所には何本もある。
テレスターレ聖国にもある。
何かと言うと『アストラーデの聖杖』を始めとしたリステルトル、スララザイア、プルグマイア、名を失った神の授けた聖女の聖杖だ。
聖女の聖杖は不壊だ。
何があっても壊れない不壊の武器だ。
真鋼の武器は結構多いが杖しかない。
壊して他の武器をと考えた奴は数知れず、でも壊れない不壊だからね。
こうしてSSS級の真鋼は世にあれど加工、製造は現状不可能と言う話しだ。
何とも困った物である。
最後がEX級、神極鉄これまた魔白金に並ぶ伝説の鉱石だ。
所有者の意思に応じて姿、形、重さ迄自在に変化するという正に神の鉱石、魔白金は存在を信じられているが、此方はもう信じられても居ない。
でも私は信じるよ、必ず何処かには存在するだろうと、何と言ってもファンタジーな世界なのだから、夢は無限だ。
使えるかどうかは別として、だけどね。
後は色々と合金についてなど、魔導銀や黒魔鋼を少量混ぜた物が有名だ。
他は竜鱗や龍鱗を粉にして混ぜた品、他にも鱗その物を鎧や盾にしたり、角や牙をそのまま武器にしたりと竜に龍、亀や牙虎、犀に像の魔物など武具に使える部分を持つ魔物は多い。
特に竜に龍は全身が武具に使える上に年齢によってはB級の黒魔鋼を超える品もあるので超人気だ。
後は鉱石とは関係ないが糸についても載ってた。
基本的に防具として利用されるのは蛾や蜘蛛の糸、羊毛等はクッションには使われるが防具には使われないらしい。
B級の災禍、A級の破滅、S級の天災、SS級の絶望の糸が防具に使われ【地獄毒蛾】はS級の天災、B級の災禍に【鎧蛾】、【戦闘蛾】、A級の破滅に【太陽蛾】、SS級の絶望に【魔神蛾】等が居るそうだ。
蜘蛛に比べて蛾は繭になってから狩る分だけ楽だ。
B級の災禍【悪魔蜘蛛】、A級の破滅【死蜘蛛】、S級の天災、【呪殺蜘蛛】、SS級の絶望、【悪魔王蜘蛛】、【女王蜘蛛】が居るらしい、倒して糸袋を抜かないといけない分だけこっちが大変だ。
但し、糸の最高峰は魔物産ではない。
今は失われた技術で精霊石を糸化した精霊糸が最高だ。
迷宮等で偶に発見されるらしい。
それこそ本当にトンデモナイ額で取引されるそうだ。
精霊糸で防具が作れれば最高だろうなと思う。
手に入れるのは大変そうだけど、取り合えず、今夜の読書はこんな物かとセアラの部屋に戻った。
部屋に戻ってバルコニーに出ると既に5羽の【風切燕】が待っていた。
『本体、遅かったな』
『ああ、世界はまだ混沌としていた』
『待ちくたびれただニャー』
『楽しく遊んでいただろが駄狐猫』
『遅刻だな、給料カットだ本体、その分をこっちに回せ』
うん、何時も通りだな、お前等…あれ?七号はどうした?
『まだ来ていない』
そうか、取り合えずお前等の報告から聞くか、どうだった?
『相変わらず発見無しだ』
『この殺し殺される世界を救うにはどうすればいいのか?』
『美味しいお魚を見つけただニャー』
『仕事しろ!駄狐猫!あ、こっちも未発見だ』
『無駄足だった、でも給料はちゃんと貰うぞ?』
うん、分かった。
収穫無しね、序でに聞くけど交戦した奴は?
『していない」
『余程が無い限り命は奪わない、だが殺して良い命などこの世にあるのか?』
『お魚は獲っただニャー』
『盗ったのでないなら良いか?だが栄養のバランスが…あ、俺も狩ってない』
『給料以上の仕事はしない』
改めて思うがこいつ等五号以外も本当に私の無意識なんだよな?
自由勝手気まま過ぎると思う。
しかし、誰も狩ってないか、それも七号待ちだな。
【LV60】になったので明日は試練だ。
必要に成るかも知れないので【魂魄憑依】は回収、【風切燕】の遺体は【空間収納】に収納だ。
そしたらやっと七号が帰って来た。
『わりぃ、わりぃ、遅くなった』
いや、無事なら構わない、それで成果は?
『驚け!バッチリだ!』
なんと!と驚く私、詳しく聞こう。
『怪しい動きをしている【殺戮蜂】を見つけたから後をつけたら――』
ほう、ほう、それで?
『多分、アレはこの国じゃねぇな、ダスド帝国って所だ。其処の砦に降りた』
ダスド帝国が最初にセアラの命を狙った国だな。
許せん国だ、何時かどうにかして仕返ししてやろうと思う。
国を相手にケンカは無謀なのでちゃんと考えるけどね。
『そしたら動いていない【殺戮蜂】が300匹ぐらい居たから全滅させてやった』
おいいぃぃっ!
こっちが国相手には慎重にと、思ってる所で、偵察、隠密、慎重に行動と言ったのを破って何してやがりますかねこの子は!
『だがどうせ碌な事に使われなかったぞ。減らせて万々歳じゃねぇか?【LV】も上がったろ?』
そう言われるとそうかも知れない。
だが、今後の情報収集が難しくなるかもと考えると、何とも言えないな。
まぁ、ダスド帝国が係わってると分かっただけ前進か、前向きに考えよう。
一応、成果にご褒美だ。
何が欲しい?
『おう、カラッカラのカラムーチョだ!』
私は辛いのは苦手だったけど七号は平気なのか、まぁ、欲しいモノを上げよう。
『ありがとうよ』
礼を言う七号も明日の試練の為に一時回収、そしたら他の【魂魄憑依】が騒ぎ出した。
自分達も毎日、頑張ってるから褒美を寄越せと、分かった、分かったから喚くなと宥める。
しかし、ダスド帝国か、ハミルトンもそこに居る筈だ、何を企んでいるのだろうと思いながら残りの【魂魄憑依】にもご褒美を与えて静かにさせた。
◇
「ふん、ふん、ふーん」
ご機嫌にキーボードを叩いていると部屋の扉がコンコンとノックされた。
おや?まぁ、丁度良い、そろそろ休憩しようと思っていた所だ。
「どうぞー」
「失礼します」
お堅い軍人さん――いや、騎士さんだったか、が入って来る。
僕の前世では消えていた職業だ。
いや、そもそも仕事なんて存在しなかった。
あらゆるモノが○○に全てを委ね、安寧の中に暮らしていた。
だからこの世界に転生とやらをして驚いた。
死ぬはずが無く永遠を生きる筈だった僕が死んで、こんな人が化け物と戦い、人同士が争い、人が汗水たらして働く何て余りにも原始的な星に生まれ直したのか訳が分からなかった。
混乱した、理解できなかった、何でこんな事になっているのか?
でも、僕は悟った、唯一にして真なる神である○○はこの世界にも救いの手を差し伸べようと僕を送ったのだと、何もしない人の信仰という虚構を集める旧い神を廃して本物の人を救い永遠と平穏を与える○○を僕の手で創造し降臨させると、でも僕は○○の生み出し方など知らない。
どうすれば良いのかと思った、でもこの世界には【技能】という物が有った。
僕には【記憶再現LV10】という【技能】が生まれついてあった。
それを頼りに○○を創り上げようとした。
でも金がない、力がない、地位がない、何もなかった。
だから領地の領主であったロズベルト・ダーリントン伯爵に取り入った。
前世では玩具のようなモノでもこの世界では珍しく、高値で売れた、人々に喜ばれて【SP】が増える、化け物を倒して【LV】を上げる。
【位階】が上がれば【記憶再現LV10】の精度が増す、より正確に創り上げられる。
でも元スポンサー様、ロズベルトは○○に理解を示さない、他のもっと高く、多く売れるモノを作れとウルサイ、日用品作りだったのが武器や兵器作りになっていく。
苛立つそんな日々で同じ転生をした者に会った、彼なら○○の素晴らしさを理解して協力してくれるかと思った。
笑われた、散々にバカにされた、○○等は人の為のモノであってそんな敬うモノでは無いと、許せなかった。
唯一の絶対なる神である○○を知りながら冒涜するなど、プロトタイプの○○の実験体にしてやった。
親類縁者の情報を抜き取って殺して最後にそいつも殺してやった。
○○の世界に入れた、まだ試作段階だった○○だから平穏は与えられてもまだ永遠は与えられない。
それでもデータは獲れた、そして大幅に【LV】が上がった。
転生者は経験値が美味しいらしい。
○○の開発に時間を取られて余り【LV】上げが出来ないので助かる。
転生者を積極的に探して狙うようにした。
虫を操る装置を作ってそれを虫の化け物に埋め込む。
昆魔と名付けた、僕が操ってこいつ等が狩ったら倒した獲物の経験値は僕にも届く研究しながら息抜きに【LV】上げ出来る様になった。
ロボットも作った鉄機兵と名前を付けたがコレを操って殺しても経験値は入らなかった。
そして五人目――いや、一匹目?を見つけて直ぐにラインから接触を受けた。
ラインは○○に興味を示し賛同してくれた、初めての理解者を得て僕は喜んでラインの手を取った。
全面的にラインに協力する事にした。
そして更に二人の転生者を見つけた。
五人目――一匹目の子猫ももう直ぐ終わりだ。
その後はこの二人を狩ろう。
構想だけで実現できていなかった成体強化クローンもラインのお陰で産み出せた。
全ては問題なく順調だ。
このまま行ければ数年で〇〇は完成する。
「お話しても?」
おっと、【思考超加速】させていたがそれでも長々と考え過ぎていたようだ。
「どうぞ」と言って話を聞く。
「先日、前線に配備された【殺戮蜂】・強化体の昆魔・蜂型N型326匹が【風切燕】に全滅させられました。対策をお願いしたいとの事です」
「は?!」
意味が分からなかった、【風切燕】はD級の災害だ。
A級の破滅並みに強化された【殺戮蜂】を全滅させるとか有り得ない。
「………分かった、対策は考えておくよ」
「お願いします」
それだけ言って騎士さんは去って行った。
何者がやったんだろう?新しい転生者?それとも――
「…あの子猫ちゃんかな?」
足掻くモノだ。
中々に頑張る。
もう遅いと言うのに「何処までやれるか見物だね」と呟き僕はまたキーボードを叩き出した。
狐猫の小話
この世界は魔導銀までは豊富に採れます。
黒魔鋼はちょっと希少、深緋鉄からは超希少です。




