第066話 危険な魔導と大人な〇〇?
砦に到着した。
ピョンとセアラは屋根から飛び降りる。
もう隠そうともしてない。
一方でリーレンさんは青いけど真っ赤という不思議な顔色でノッ君に支えられて下りてくる。
ちょっと恨めし気だ。
何故?【光輝】は使ってないよ?
兎も角、砦の隊長さんがお出迎えだ。
さて、どうなるんだろう?
何事もなく交渉が済めば良いけど…無理だろうなぁ。
「これはノットレザンジュ・レバノン伯爵、それと…聖女様、ようこそお出で下さいました」
明らかにセアラを見下してる、己っ!我が肉球プニプニパンチの餌食にするぞ!
所で今更だが護衛騎士お休みは続いてるのでリーレンさんはドレス姿だ、でも剣は持ってる、ちょっと不思議な感じだ。
「やあ、久しぶりだね。それで今朝出した依頼なんだが考えて貰えただろうか?」
にこやかにノッ君が尋ねる。
でもちょっとだけ威圧を感じる、こういう所でも押しが強いのね。
何でもノッ君の父親は外交を担当してて今はあちこちの国を渡り歩いてるそうだ。
だから若くしてノッ君がハーメルの領地運営をしている。
実際に功績も積み上げてるし、爵位の上昇か伯爵家筆頭をダーリントン家から奪うのでは?と言われている、あのガマガエル神殿長の所か、遥かにマシだと思う、寧ろ是非奪えと言いたい。
「我々も国防を担う物です。国の益にならない事に騎士の命は懸けられません。ましてそれがあの噂の聖女様を護る為には」
うん、ちょっと私とOHANASHIしようか?噂のって、どんな噂だコラ、今のセアラはとんでもないゾ!
私が「ミィー、ミィー」と抗議してると私の言葉が解るセアラが抱き上げて良々と頭を撫でてくれる、むう、心地よい、ホワホワする、ささくれ立った心が癒される、腕を上げたな、セアラよ!このままリーレンさんの高見を目指すがよい!と言う。
「それでは聖女様に護る価値があれば騎士を出すと?」
「本当にあるのでしたらば相違なく」
言質は取ったとばかりに笑うノッ君、出来るモノかと見下す隊長、私を撫でてホンワカしてるセアラ、うん、正直に言おう、ヤバい予感しかしないと、セアラは自分の凄まじさをまだよく理解して居ない。
超パワーアップしたとは思ってるが実際は超々々々々パワーアップだ。
暗殺者襲撃の連続でかなりコントロールが出来る様になってたが、先日にまた【位階】を上げた。
再びコントロール不能になってる気がする。
「それでは見てもらいましょうか、訓練場へ案内してくれるかな?」
「どうぞ、此方です」
案内されて行く私達、うーん、本当に砦を打っ壊したりはしないよな?と思う。
訓練場に着いた、大神殿にあるのをそのまま大きくした感じだ。
置かれている品々も変わりない。
何だか懐かしくなる、帰りつくまで後僅かだ。
「では、準備させます。聖女様、接近戦と【魔導】どちらが良いですか?」
「どちらも習ってますが今は【魔導】が得意です。頑張りました」
フンヌと無い胸を張るセアラ、うん、本当に頑張って得意だけど、持ってる【技能】が【魔導秘奥本】って秘奥ってついてるからね、免許皆伝モノだよ。
「【魔導】を使える様になりましたか、ではそちらで、おいアレを持ってこい」
「え?アレですか?流石に…」
「構わんっ!」
何か言い争ってたけどセアラは訓練場の雰囲気に夢中だ。
セアラも懐かしいんだろう、私と旅に出るまでは頑張っても、頑張っても力を得られなかった思い出のある場所だが今は違って見えるのかも知れない。
そんな事をセアラの腕の中で考えていたら準備が終わったようだ訓練場の【魔導】訓練の所に真新しい鉄鎧の人形が置かれる、私はアレに向かって【技能】【剛体】を覚えられないかとドーンと体当たりした記憶が蘇る。
でも何だか光沢が違うような?と思って【叡智】さんで【鑑定】『魔導銀の鎧』と出た。
うわ、【魔導抵抗力】が強い鎧だ、「コレに傷を付けたら合格です」と言いセアラは「分かりました」と答える。
嫌がらせだな、でも此処でセアラに「ミィミミィミミミィ」(本気でやっちゃえ)と言ったら下手すると砦が崩壊するかも知れない、ムカつく隊長にはいい気味だが、周りが大迷惑だ。
此処には騎士の援軍を頼みに来ているのである。
砦をぶっ壊しに来ているのではない、だからセアラに「ミミィミミィ」(程々にね)と言った。
セアラは「分かりました。程々に思い切りやって来ます」と言ってリーレンさんに私を預けた。
いや、「思い切り」はダメよ。
ホントに程々ね?程々、加減大事。
何にせよ、セアラは鎧人形の前に立った。
そして少し考えた後に『火弾』と唱えた。
【無詠唱】だった事にちょっと驚くノッ君、何か目を見開く隊長、見守るリーレンさん、『火弾』なら鎧壊す程度で済むかな?と安堵する私、でも結果は予想を上回った。
ズドンッ!と火の弾が音を上げて撃ち出され、チュドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーン!!!!!と大爆発を引き起こす。
流石に全員が目を剝く。
また破壊力が跳ね上がっとる!B級、災禍の悪魔蜘蛛を殺った時もこんなクレーター作って爆風で周囲の壁にダメージを与える威力は無かった筈だ、また何をしたとセアラを鑑定。
【名前】セアラ
【種族】人族・聖女
【年齢】11歳
【位階】参
【LV】24 → 30
【気力】1200 → 2570
【理力】1200 → 2570
【霊力】4233 → 4713
【魔力】4234 → 4714
【SP】1777 → 877
【技能】【大杖術LV1】【大杖技LV1】【物理攻撃完全無効】【魔導攻撃完全無効】【状態異常完全無効】【大地耐性LV1】【予見LV1】【超記憶LV1】【気力超上昇LV1】【理力超上昇LV1】【気力超操作LV1】【理力超操作LV1】【気力超探知LV1】【理力超探知LV1】【五感大強化LV1】【舞空LV1】【火魔導LV10】【火炎魔導LV1】【風魔導LV10】【暴風魔導LV1】【雷鳴魔導LV1】【思考超加速LV1】【並列思考LV1】【大地竜力LV1】【千里眼LV1】【大運LV1】【治癒LV1】【大加護LV1】【大結界】【獲得経験値倍化】【獲得SP倍化】【魔導秘奥本】【絆】
【恩恵】【神眼】【光輝】【月光】
【SP】を大分減らして強化したな。
でも破壊力UPの原因が見当たらない。
ならばまた貴様かと【魔導秘奥本】を鑑定。
【魔導秘奥本】『魔導の【LVUP】速度上昇。内に【無詠唱】【霊力限界上昇】(霊力+3000)【魔力限界上昇】(魔力+3000)、【霊吸神法】(発動時霊力+6000【LV】によって更に上昇)【魔発神法】(発動時魔力+6000【LV】によって更に上昇)【聖光魔導威力最大上昇】(火、光系魔法の威力を最大迄上昇)【次元魔導威力最大上昇】(風、次元系魔導の威力を最大迄上昇)【霊力操作極】【魔力操作極】【霊力探知極】【魔力探知極】を秘める。【技能】【本】の【最終進化】である』
やっぱり貴様か、何だ?【聖光魔導威力最大上昇】【次元魔導威力最大上昇】って、どれだけ【魔導】の力を高めるんだ!この【技能】!
やりました!という顔で振り返るセアラ、しかし全員が予想外の威力にボーゼン、声を掛けられない。
何かがいけなかっただろうか?と首を傾げた後、セアラはまた別の鎧を向いて「もう一発ですね」と言う。
隊長さんが大慌てで「大丈夫です!聖女様の実力は十分に理解いたしました。直ぐに騎士を派遣します!」と縋った。
うん、やっぱりセアラの【魔導】はトンデモナイ、取り扱いは厳重注意だ、でも【光輝】を使えば超えるが素でこれ以上の数値なギャバンの【魔導】も脅威だなと考える、【魔導攻撃完全無効】を持ってるが奴は水系統の使いてだった溺死とかはさせられるかもしれない、注意が必要だ。
でも何にしても結果が良かったからコレでいい、さて直ぐに次の砦だと向かった。
次の砦も似たような事をやって同じ結果に終わった。
まったく、余計な手間を取らせるなと思う。
お昼が近くなったので砦でそのまま準備してきた弁当を4人と1匹で食べる。
料理人さんの腕前はかなりのモノだ。
流石、大領地となると格が違う。
TOP3に入る。
食べ終わって帰宅時間、なのだがリーレンさんとノッ君が居ない、どこ行ったかな?と待つ。
セアラが「私は大丈夫ですから2人を探してきてくれますか?」と言われる。
暗殺対象なセアラを御者さんと2人にする方が不安だけど、今のセアラは強いし、【叡智】の範囲内だ、大丈夫だろうと私は2人を探しに行った。
と、言っても2人の居場所も【叡智】で分かっている。
2人っきりの様だ、もしかしたら馬に蹴られて死ぬような場面かもなので気を付けて進む。
そしたら声が聞こえた「リー…、気…ちは……らない…い?」お、ノッ君だ、大切な逢瀬でしょうがそろそろ時間ですよと近づく。
「…はい、ごめんなさい、ノッジュ、私は聖女様の側に居ます」
「だけど、聖女様のお力は見ただろう?恐らく、もうリーンよりも聖女様は――」
「……分かっています。聖女様の方が強いと」
むむ?余り甘くない雰囲気、修羅場じゃあないな、何かお話合い?
私はテクテクと近づく。
あ、扉も開いてる、そっと覗こう。
「なら元通りに来年の結婚に戻しても良くないか?ここ最近の聖女様の身辺は危険だ。リーンにもしもがあると思うと僕は平気で居られない。どうか考え直してはくれないかい?」
むう、どうやら結婚を元の18歳に戻さないか話してるっぽい。
気持ちは分からなくもない、リーレンさんは危ない目に合っている、セアラも昨日、言っていた、ノッ君が知っていても不思議は無い。
「だからこそ、私はお傍に居たいのです。聖女様は弱かった頃から決して逃げなかった方です。その護衛騎士である私が聖女様より弱くなったから、危険だからと逃げるような真似は出来ない」
ジッとノッ君の瞳を見上げながらリーレンさんは言う。
ノッ君もリーレンさんの瞳を見つめ返す。
「それに聖女様と約束したんです。20歳になったらノッジュとの結婚式に必ず招待すると、胸を張って自らの役割を成し遂げたと言えるまで私の我儘を許して、ノッジュ」
その言葉を聞いてノッ君は「はぁ」と溜め息を吐いた後にギュッとリーレンさんを抱きしめた。
わわわっ、何だか熱い抱擁だ、見ててドキドキする。
「ノ、ノッジュ?!」
「――分かった。リーンは本当にズルい、僕が君のお願いを断れないのを知っていて言ってる。だけど、それも20歳までだそれまでリーンは聖女様のモノ、その後はずっと僕のモノだ。だから何があっても生き残る事、コレが僕との絶対の約束だ、決して破らない様に、良いね?」
「はい、ノッジュ」
何だか凄い恋愛風景だなー、ドラマを実写で見てる気分だ。
狐猫でもう人間のそう言うのに興味無くなってると思ったけど顔が熱い気がする。
まだ人間だった感覚が強いのかな?
「そして、護衛騎士がお休みな期間だけもリーンは僕のモノだ、コレは我儘を許す対価だよ」
「え?ノッ―――ん?!んんん?!――――――――――」
え?!えええええぇぇぇぇぇっ?!キス?!ノッ君がリーレンさんにキスしてるよ?!わーーー、うわーーー………うん、これ以上はお邪魔だ、もう馬車に来るだろう、先に戻ろう。
全身と尻尾の毛をブワッと倍くらいの大きさにしてフラフラとしながらセアラが待つ馬車に帰った。
セアラが私に気付いて「お帰りなさい、ハクア…?どうかしたんですか?」と聞かれたから「ミィミ、ミィィ、ミィミミミィミミミィィィミ…」(ううん、何でも、大人の世界って凄いねセアラ…)と答えた、セアラは「?」を頭に浮かべていた。
その後に直ぐリーレンさんとノッ君は来た、リーレンさんは真っ赤、ノッ君はニコニコだ、うん、末永く幸せに爆発しろと願った。
帰りの道、丁度良い時間が出来たので今の内に【試練】を受けることにした。
場所は走る馬車の屋根の上、セアラの膝の中だが終わっても戻って来るのは同じ所らしい。
電車だと中ではジャンプしても平気だけど外だと吹っ飛ぶ筈なのにこの世界の慣性の法則どうなってるんだろうと思う。
まあ、自称:神様(仮)が作った物だファンタジーなのだろう。
そう思って受け容れた。
何にしろ私は行くのみだ。
「ミィミ、ミィミィミミィミィミ」(じゃあ、行って来るねセアラ)
「気を付けてハクア、5度目は闇の試練と聞きます。どうか無事に」
闇かー、最初の【試練】とちょっと被るな、どんなだろうと思いながら私はウィンドウを操作して試練に向かった。
狐猫の小話
アトランティカ大国も今は内政に力を入れていて大人しいですが危険な侵略国家です。
テレスターレ聖国側は対策は万全に備えているつもりです。




