第064話 罠の撃破と最悪との遭遇?
セアラが1人で連れて行かれてしまった。
心配だ。
でも見張られている。
目の前の2人だけじゃない左右に3人ずつ合計で8人に見張られている。
悪・〇・斬するのは可能だが、目の前の野盗を片付けて右、左と行ってる間に信号を送られて人質が殺されればセアラが悲しむ。
動けない。
ちくせう、こんな手で来るとか小狡い、小物が卑怯な手をと思う。
今迄、マトモに襲い掛かってきた連中が遥かにマシだ。
似た真似をやろうとした連中も居たけど防げたからノーカンだ。
正直、今のセアラは強い。
状況によっては私よりも強い。
でも死ぬ時は死ぬ、絶対に安全は無い。
リーレンさんは飛び出しそうだし、ガレスさんと騎士さん達もだ。
勿論、私も少しでも隙があればと考える。
だが、失敗すれば確実に殺される者達が居る。
そうしたらセアラが悲しむ。
自分の性で人が死んだら絶対に泣く。
行動した私達を責めないだろうけど自分自身を責める。
『大丈夫、必ず戻ります。少し待っていて下さい』
笑顔でセアラはそう言って着いて行った。
もう【叡智】さんの範囲からも消えてる。
信じるしかない。
私の自慢の友人はこの程度じゃ死なないと、帰りを待つ。
こんな卑劣な事をする奴等に負けないと信じて無事な『只今』を信じる。
◇
大分、歩いた。
街道をそれた森の中を行く。
一応、森は切り開かれており馬車一台なら通れる幅の道がある。
「もう直ぐだ」
野盗の男が言ったが私は黙って着いて行く。
広場に出た、馬車が3台ある。
1台は少し傷付いてるが綺麗でもう2台は小汚い、捕らわれた商人一家と野盗の物だろう。
馬も無事な様だった安心する。
広場には6人の男が居た、私を見てニヤニヤしてる。
気持ち悪い、何故かそう感じた。
其処で此処まで私を連れて来た男が手を差し出した。
「杖を預かる」
?知らないのだろうか、なら身をもって体験させれば良いと『アストラーデの聖杖』を男に渡す。
瞬間、バチィッ!と黄金の雷が弾けて男の手を拒絶する。
「痛ぅぅぅっ!な、何だ?」
「『聖杖』は『聖者』か『聖女』しか触れません」
事実を教える、因みに『聖者』は『聖女』と同じ力を持つ男性だ、物凄く希少で滅多に現れない。
「チッ、ならその辺にでも立てかけておけ」
言われるままに『アストラーデの聖杖』から手を離す。
すると不思議と倒れもせずにその場に『アストラーデの聖杖』は直立する。
「後はコレだ」
続けて手枷を出してくる。
アレは『封印の手枷』だ、付けた者の【魔導】を封じて使えなくさせる。
「随分と臆病ですね、私の様な子供に」
「慎重と言え、今のお前の【魔導】がトンデモナイのは知っている」
手枷が嵌められるが効果は無い、【状態異常完全無効】のお陰だ、無ければ危なかった。
また「着いて来い」と歩き出す。
傍にある岩壁に向かって、スルリと岩を通り抜けた。
え?!と思った、どうやら【魔導具】で洞窟の入り口を隠しているらしい【光魔導】にそういう幻を見せる【魔導】があった。
着いて洞窟に入る、余り深くは無い、直ぐに行き止まりになった。
大きな斧を傍に置いた大柄な男、反対の壁側にはボロボロになった男性。
そして殆んど全裸な女の人が2人、どちらも酷く傷ついて見える、女の人にまでと私の中に怒りが芽生える。
「そいつが金板50枚のガキか…」
「はい」
ジロジロと大柄な男に全身を見られる、外に居た男達と同じ感じだ気持ち悪い。
「ホントにガキだな、胸もねえ、まぁ、見た目は良いから楽しめなくは無いか、殺す前に遊ぶか」
楽しむ?遊ぶ?何の事だろう?でも碌な事じゃないのは予想できた。
私は恐れずに大柄な男に尋ねる。
「人質の方々はこの3人だけですか?」
「うん?ああ、男共は五月蠅く、女共もギャーギャー、ピーピー喚いてた。これから短い時間だがお前も仲間入りだ」
「そうですか【大結界】」
私は素早く【大結界】を発動して3人を護る。
「なっ?!コイツ!」
集団のボスらしい男が私に向かって手を伸ばしてくるがヒョイヒョイと避ける。
全然、遅い。
「くそっ!お前も手伝えっ!」
「は、はいっ」
2対1になるが変わらない、人質も本当にこの3人だけ、他に仕掛けもないと判断して逃げるのを止める。
「『風閃』」
『封印の手枷』を風の刃が切り刻む。
続けて自由になった右手を横に伸ばす、呼んだ『アストラーデの聖杖』が回転しながら飛んできて私の手に収まる。
「「なっ?!」」
それは『封印の手枷』の効果を受けずに私が【魔導】を使ったからか、『アストラーデの聖杖』が飛んで来たからか、兎も角、男達は致命的な隙を私に見せた。
「『風打』、杖技『打』!」
大男の胸を殴り飛ばす!「ぐぼはぁっ?!」とか言って吹っ飛んだ、岩にめり込んでもう動かない。
もう1人にも容赦しない、杖技『突』!「ぐふっ?!」腹を突かれた男が前のめりに倒れる。
どちらも死んではいないが完全に気を失っている。
私は事の成り行きを呆然と見ていた人質の3人に【月光】を掛けて回復させると私の性で巻きこんでしまったのに泣いてお礼を言われてしまった。
兎も角、女性の2人には身成を整え、男性には倒れている男2人を縛る様に頼んで残った外の6人をぶちのめしに私は走って外へ出た。
◇
はい、セアラが連れて行かれて大分の時間が過ぎました。
流石に我慢の限界が近いです。
目の前の男2人は暇を潰す様に人質の男の人を嬲ってます。
こいつ等は許さん、私法で死刑じゃと決める。
しかし、こいつ等はどうやって撤収するんだろう?と思う。
私達が行動を起こせば瞬殺だ。
人質を盾にしても私なら搔い潜って殺れる。
左右に隠れてる3人と3人の6人も同じだ、こいつ等に逃げる術は無い。
実は捨て駒にされてる?そう感じた。
ならばもう処分しても構うまい。
もうかなりヤバい思考に陥ってた私の脳裏に唐突にその声は響いた。
(ハクア、聞こえますか?ハクア)
(おお?!セアラ?)
ちょっとビックリした、そう言えばセリアーナお婆ちゃん大聖女様は言ってた、私とセアラが着けてるのは『遠話の円環』だと、遠く離れていても話が出来るのだ。
(此方は無事に終わりました。今、そちらに向かっています。そっちの野盗の退治をお願いします)
(ヨシッ!了解したっ!全員を地獄に送っておく)
(こ、殺すのはちょっと…出来れば捕らえる方向で…)
むう、非常に不満だがセアラがそう言うなら虫の息で勘弁しよう。
優しいセアラに感謝するのだな、野盗共よ!
(あの、虫の息はやり過ぎの様な…)
聞こえんっ!コレが最大限の譲歩だ。
そして私は野盗共な暗殺者に襲い掛かった。
「聖女様、ご無事でっ!本当にご無事で良かったです!」
「リ、リーレン、本当にもう大丈夫だから…ね?」
リーレンさんは無事だったセアラにベッタリだ、愛情の深さが凄い、溺愛だ。
しかし、盗賊に捕まっていた行商人一家、旦那さんと息子さんは怪我をセアラが治したが奥さんと娘さんがヤバイ、間違いなく野盗共に凌〇されとる。
心の傷が深そうだ、こうなったらアニマルセラピーだ、私の愛らしさで傷を癒すのだと2人を慰める。
実際に私も――あれ?今、何を思い出しそうになった?記憶が途絶えた、兎も角、2人を元気づけよう。
行商人一家は私達に着いてハーメルに向かう事になった。
暗殺者の集団に狙われている私達に着いて来るのは危ない気がしたが、それでも良いと着いて来た。
ならば構うまいと同行、幸い襲撃は無かった。
現在、道を行く馬車は4台。
セアラの馬車、行商人の馬車、捕らえた野盗合計16人を8人と8人に分割した馬車だ。
私が虫の息にした8人は静か、セアラが倒した8人はやかましい、飯食わせろ、水飲ませろ、自由にしろと、誰が貴様等に飯を食わせるか、自由にするかっ!だが、水は飲ませてやろう。
死ぬほど飲むがよいと『飲水』で喉に流し込んでやる。
一番デカい男に溺死寸前まで飲ませてやった、窒息で気絶した、次は誰だと目を向けた。
全員が後退った、大人しくなった、良い事だ。
予定より遅くなったが野営地に着いた。
行商人一家も一緒だからか普段より賑やかだ。
4人増えただけだが結構、話が弾む。
セアラは自分の性で被害を与えた申し訳ないと一家に謝るが、大丈夫だと言われる。
被害は受けたが野盗達が貯め込んでいた物は全部、行商人一家に譲った、これから野盗を捕まえた事で貰える報奨金もだ。
それに全員が命は助かった、まだやり直せると、襲われたのはセアラの性かもしれないが助けてくれたのもセアラだと、だから感謝すると返事された。
セアラは泣いてありがとうございますと言ってた。
助けたのがこの人達で良かったと本当に思った。
しかし、気になる事が一つ、セアラは行商人一家の女性が野盗にされた事をちゃんと理解してないっぽい。
あれ?もう直ぐ12歳なのに性教育を受けてないの?
私の時ってどうだったっけ?習った様な、まだだったような?
微妙だ、ちょっとセアラに聞いてみよう。
「ミィミ、ミィミミミィミミィミミィミミミィミィミィミミ?」(セアラ、赤ちゃんってどうやって生まれるか知ってる?)
「?急にどうしたんですか、ハクア?勿論、お母さんが産むんですよ」
良かった、それはちゃんと知ってたか、一安心だ、なら次だ。
「ミィミミィ?」(作り方は?)
「お父さんがお母さんのお臍に種を植えるんです。そしたら十月十日で生まれるんです」
「………」
私は黙った。
何だそのある意味で地球で言うコウノトリが運んでくるとかキャベツ畑で探す見たいな話しは?
私は振り返ってリーレンさんを見た。
「せ、聖女様はまだ初潮前なのでその類の話は…」
あー、うん、お赤飯前なのか、まぁ、アレは11~13歳頃だもんね。
とは言え、この世界は15歳が成人、そろそろ知っておくべきな気がしなくもない。
「?」
でもセアラは何か間違ってるのだろうかと不思議そうな顔をしている。
この純粋無垢な顔、私からは告げられないっ!
「ミィミミミィミミミィミミミィィ」(セアラはセアラのままで居てね)
「はい?」
私は伝える事を何時かの何処かの誰かか、将来のセアラの旦那様に丸投げした。
幸い襲撃はその後なく、昼頃に到着予定が16時にハーメルに着くことになったが少しのズレだ、大丈夫だろう。
私達は聖女の権限で検問をスルー、行商人一家は野盗の引き渡しもあるので此処でお別れだ。
少し名残惜しいのか女の人2人にギューされる、アニマルセラピーの効果は短いがちょっとはあったようだ。
「それでは聖女様、お世話になりました。今後の旅のご無事をお祈りします」
「皆様も、どうぞご無事で【祝福】を」
セアラが行商人一家に【祝福】を掛ける、もう二度と不幸な目に合わない様に、また何時かの再会を約束して私達は別れた。
ハーメルはテレスターレ聖国三番目の大都市と聞いていたが人の数が凄い。
人口というか数だけなら一番なんじゃなかろうか?
アトランティカ大国から来ている者も居るだろうし、本当に多い。
但し、それが全員、安全ならだ。
【叡智】さんで見ると居るわ、居るわ、赤点の山、50所か100に届くかも知れない。
多すぎだろと思う、ホントに良くもまぁ、こんなに集めたモノだ。
どれだけ金を持った依頼者なのか、まぁ、金に眼が眩んだなんちゃって暗殺者も多いだろうけど、ホンモノも多くいる筈だ。
兎も角、旅も此処で保々、四分の三を終えた。
残りにデカい街はない、此処さえ乗り切れば何とかなる筈だと考えていた私の視界――正確には【叡智】さんだがにその男は飛び込んできた。
【名前】ギャバン
【種族】人族・暗殺者S級
【年齢】48歳
【位階】碌
【LV】64
【気力】7901
【理力】7877
【霊力】7098
【魔力】7122
【SP】77
【技能】【真槍術LV8】【真槍技LV9】【真邪怨攻撃LV9】【斬撃威力超上昇LV6】【刺突威力超上昇LV7】【呪攻撃威力超上昇LV6】【物理攻撃耐性LV8】【魔導攻撃耐性LV7】【状態異常強耐性LV7】【属性攻撃耐性LV6】【負傷回復速度超上昇LV2】【魔導力回復速度超上昇LV1】【体力回復速度超上昇LV2】【気力超上昇LV8】【理力超上昇LV8】【霊力超上昇LV5】【魔力超上昇LV5】【隠身】【超記憶LV7】【気力超操作LV7】【理力超操作LV7】【霊力超操作LV7】【魔力超操作LV7】【気力超探知LV7】【理力超探知LV7】【霊力超探知LV7】【魔力超探知LV7】【視覚領域拡張】【疾駆LV7】【限界大突破LV9】【大四力法LV8】【四竜力LV5】【空間機動LV6】【予知LV5】【超反応LV5】【万里眼LV4】【並列思考LV5】【思考超加速LV6】【五感超強化LV5】【確率超補正LV5】【必中LV5】【閃きLV5】【鑑定LV10】【検索LV10】【空間超把握LV5】【無音LV10】【無臭LV10】【邪眼LV9】【水魔導LV10】【水流魔導LV10】【刻魔導LV3】【詠唱半減LV8】【神属性纏LV6】
【恩恵】【薄影】
何?この化け物は?S級の暗殺者?滅茶苦茶じゃないですか…【限界突破】しても届かないステータス、流石にセアラの【光輝】を受けて使えば超えられるけど、それでも正直に言って勝てる気がしない。
しかも目の前に居るのに存在感が凄く薄い【叡智】さんが無ければ見逃していた。
【恩恵】【薄影】?コレの性か?【叡智】さん。
【恩恵】【薄影】『周囲の者に存在を気取られにくくなり覚えられにくくする。影が薄くなる』
何か地味だけど暗殺者に持たせたらダメな【恩恵】だわ、これ、でも私は心に刻んだ、絶対に忘れない。
其処でギャバンがこっちを見てニヤリと笑った、マズイ、アイツも【鑑定】を持ってた、私は対策して居ない、こっちを見られたと悟った。
いきなり襲い掛かって来る様子は無い。
流石にコレだけの衆目があったらね、でも要注意、マークだ。
私はハーメルに着いて早々に最悪を目にしてしまった。
狐猫の小話
ギャバンは家族を暗殺者に殺されて復讐相手を探しに闇ギルドに入りましたが才能と【恩恵】のお陰で超一流の暗殺者に洗脳教育の成果で自分で自分を止められないので殺してくれる相手を求めています。
仇はちゃんと討ちました。
でも止まらない、止められない、洗脳恐るべし。




