第063話 聖女三度目の試練と悪党の罠?
ルベールを出てハーメルに近付くとまた暗殺者の襲撃が増えた。
でも前の様な一組織によるモノじゃあ無い。
個人やPTによるモノだ。
争っている最中に漁夫の利を狙う者も居た。
もう滅茶苦茶だ。
ハミルトンの奴は『後半月耐えれば暗殺依頼は消える』と言っていたが疑わしい。
こんな状況が半月、残り五日か六日で収まるとは思えない。
予定では二日後にハーメルに到着だ。
でも無事に付けるかが心配だ。
昼夜問わずの襲撃に怪我をする者が増えている。
重傷者こそいないが不安だ。
シルバーとズィルバー迄戦闘に参加してくれている。
総力戦だ。
恐らくだがテレスターレ聖国だけではない。
アトランティカ大国からの者も居る。
本当にセアラが凄まじく強くなっていて助かった。
今の秘草採取のメンバーで最大戦力は私、二番はセアラだ。
もう覆し様のない事実だ。
見張りに立っている騎士さん達は囮、真の見張りはこの私よ。
今夜も『叡智』さんは反応、数は12人、
3人PTが4つの様だ。
「ミィィィィィィィィィィィィィッ!!!」
合図を送る、セアラとリーレンさん、ガレスさんと騎士さん、シルバーとズィルバーがやって来る。
直ぐにセアラが【恩恵】【光輝】、【祝福】、【治療】、【加護】が掛かる。
迫ってくる気配で強いのは三つ、コレは私が相手する。
残りは皆任せだ、勝利を信じる。
接敵戦闘開始だ。
先ずは私とセアラが容赦なく【魔導】で先制する。
私が『水流矢』セアラが最近覚えた『暴風矢』だ。
もう捕らえるとかは考えない。
余裕が無いし、情報も引き出せそうにないからだ。
組織ではなく、金に眼が眩んだだけの個人やPT、依頼主に繋がる情報を持ってるとも考えられない。
だからもう再起不能か殺す気で行く。
セアラは最初は躊躇してたが、皆が傷つくのを見て覚悟を決めた。
比べたら私は最初から人間相手に容赦無かったし、迷わなかったなと思う。
前世は平和な日本の女子高生だった筈なのにやっぱり魔物になった影響かなと考える。
ちょっと悩んだのはセアラの前でハイドを殺した時くらいだ。
それも殺す事ではなく、セアラの前で殺ってまた恐がられるかな?と言う心配だった、杞憂だったけどね。
【魔導】を潜り抜けて接近される。
残りは8人、強い3人は残ってる。
ハイドやバーン並かな?でもあの頃より私は強くなってるしセアラの【光輝】も掛かってる、行ける。
一方で接近戦になるとセアラの【魔導】は過剰だ、味方事吹っ飛ばしかねない。
【浮遊】で浮いて【大結界】『風壁』で身を守りつつ『火纏』と『風纏』を味方にばら撒く。
こっちが優勢だ、このまま行ければ問題ない。
でもこの3人を自由にさせれば被害が出かねない、抑える。
「くそっ!弱い聖女の筈じゃなかったのかよ?」
「それよりもう持たない、撤退した方が…」
「此処まで来ておめおめ逃げろと?」
あ、トップの3人が集まって言い争いを始めた、醜い。
でもチャンスだと接近、纏まった3人をご招待。
【空間魔導LV6】『短距離集団転移』行って見よーと3人と私は姿を消した。
野営地から離れた森に私と3人は転移した。
「な、何だ?何が?」「何処だ此処は?」「何が起きたの?」
悪いが混乱している隙を付く。
【真尻尾攻撃】と【変幻】の併用で刃に変えた尻尾で3人の1人の男の首を刈る。
まず1人。
でも3人がかりでやっと私の相手が出来ていたのだ、もうお終いだ。
「くそっ!この化け物めっ!【限界突破】!」
お?【限界突破】使ってきた。
でもセアラの【光輝】を受けたこっちの方がまだステータスは上だ。
同じく【限界突破】を使う迄も無い。
4本尻尾で男と斬り合う。
そこで残った最後の1人が動いた。
「【魔力解放】!」
「な?!」
白い閃光が辺りを覆う、味方事かよ、容赦ないなと『短距離転移』で上空に逃れた私は広がる光を見下ろす。
「や、やった?助かった?」
「キ、キサ、キサマ…」
私が消し飛んだと思う女、【限界突破】のお陰かまだかろうじて息がある男、流石に哀れに思えるが自業自得だ。
私は上空から駆け下り様に爪を出し【気力】を纏わせる。
【真爪攻撃(纏い)】の二連撃、2人も倒れた。
これで残りは皆が相手をしている連中だけだ、私は3人の遺体共々また『短距離集団転移』で野営地に戻った。
戻ると丁度、戦いは終わっていた。
襲ってきた12名は全滅、こちらも怪我人は出たが重傷と犠牲者は0、万々歳だ。
空から降りて来たセアラが怪我人を癒していく。
その後で殺した12名の暗殺者をセアラが焼いて穴に埋めて供養する。
セアラを殺しに来たような奴等にそんな事と思うが、「せめて、どうしても」とセアラが望んだ。
亡くなった命の魂の安らぎを祈るセアラを私は黙って見つめた。
翌朝の移動中、連日の襲撃が祟って皆が御疲れだ。
馬の背で船を漕いでる騎士さんも居る。
馬車の屋根の上でセアラも寝ている、私の尻尾を枕に寝るのがマイブームだ。
最近は【変幻】で小さくして1本にしているが今は4本解放だ。
スヤスヤ寝ているセアラ、私も眠い。
昼まで一緒に寝た、幸い襲撃は無かった。
昼食後の食休み、セアラが「ちょっと試練を受けてきます」と言った。
まるで其処迄買い物にと言う気安さだ。
しかしもう【LV30】なのか、連日連夜の襲撃の結果だな、私も既に【LV49】だ、後1つで試練だ、次はちゃんとした戦いだから少し不安だ。
「ミィ、ミミィミミミィミミィミ」(まあ、今のセアラなら大丈夫か)
「聖女様、十分にお気を付けて」
「【SP】をちょっと使って強化もしました。大丈夫です。行ってきます」
そして光に包まれるセアラ、私はお決まりになった声を上げる。
「ミィミ、ミィミィミミミィミミミィミミィミミミミ!」(セアラ、巨大だろうが超巨大だろうがぶっ飛ばせ!)
「はい!」
セアラは光に消えて行った。
◇
『…三度試練に挑む者よ。良くぞ来た』
『試練の神』の声が響く。
此処に来るのも慣れたモノだ、もう恐れはない。
『…この短い間にLVを上げ良くぞ。三度目の試練に挑む決断をした。汝の決意に改めて敬意を表する』
本当にあっという間だった。
私の命を狙い襲ってきた暗殺者を返り討ちにした結果だが私の様な者が他者の命を奪うなどと思うが、それでもリーレンやハクア、ガレス様達が傷つくよりずっと良い。
『そして第三の試練だが汝には敵わぬ巨大な敵と一定時間、戦ってもらう。これは汝が最も強大と恐れる相手に勇気を示す戦いだ。見事に耐えきって見せるが良い』
何が来るかは分かっている。
前回と同じだ、この場所に、覚えのある洞窟の広間に出た時からだ。
「クォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーン」
声を上げて現れる水晶大亀、確かに私が最も強大と恐れる相手だ。
【狂乱】状態も再現しているのか目も赤い、でも恐くなんかない!
敵わないとも思わない!
「【大結界】」
まず護りを固める、降り注ぐ【水晶息吹】全てを遮る。
「【光輝】【霊吸神法】【魔発神法】『火力』『風力』」
力を高める、14:20というカウントがあるが、時間まで耐えるつもりは無い。
倒す!
高まった力で【大結界】を張り直す。
水晶大亀は【水晶息吹】が効かないと分かると体当たりしてきたがそれすらも【大結界】は受け止めた。
「『火炎矢』『暴風矢』」
【SP】を消費して獲得した【並列思考】で二つの【魔導】を同時に起動、そして撃ち出す。
十数本の矢が、『暴風矢』に煽られて『火炎矢』が赤から白く白熱化する。
「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
最早、矢ではなく砲弾だ。
合計で三十本近くの巨大な矢が水晶大亀を吹き飛ばす。
一度では止まらない、二度、三度、四度と連射する。
広間の壁を破壊し大穴を開ける。
水晶大亀はひっくり返っている。
まだ撃った。
まだまだ撃った。
そして少ししてから『…見事』と言う声がした。
水晶大亀は倒れた。
『…忌み子よ。汝の成長速度もまた凄まじい』
「あ、ありがとうございます」
感謝して頭を下げる、息も乱れていない、私は本当に強くなったと思う。
『…巨大なる敵を耐えるでなく倒すとは、忌み子の【位階】の上昇と『特別報酬』を認める』
「心よりの礼を『試練の神』よ」
『…何か尋ねたい事はあるか?』
知りたい事はある。
自分の秘密、全てを教えられてるとは思ってない。
聞けば全知の【神】はきっと教えてくれる、でも――
「いえ、何も」
ハクアが私を信じてくれたように私も大聖女様を、お義母様を信じる。
何時か全てを教えてくれると信じた。
『…そうか、ならば行くがよい。忌み子よ』
「はい」
『試練の神』は去って行った。
私は一人、その場に佇む。
ピコーンと音がして目を向ける。
直ぐにウィンドウが開いた。
『試練の突破おめでとうございます。報酬が授与されます。【位階】が参になります。【気力】【理力】【霊力】【魔力】【SP】にボーナスが入ります。また以下の中から六つの【技能】をお選びください。【技能】が付与されます。また特別報酬として選択した【技能】を一つ最大値迄強化致します。ご選択下さい』
【大杖術】【大杖技】【杖攻撃威力上昇】【猛毒物耐性】【大麻痺耐性】【大石化耐性】【大睡眠耐性】【大呪耐性】【物理攻撃耐性】【火炎耐性】【水流耐性】【暴風耐性】【大地耐性】【魔導攻撃耐性】【封印耐性】【鑑定】【負傷回復速度大上昇】【体力回復速度大上昇】【立体機動】【隠密】【剛力】【剛体】【収納】【気闘法】【理壁法】【気力超操作】【理力超操作】【水魔導】【土魔導】【雷鳴魔導】【火魔導威力上昇】【風魔導威力上昇】【水魔導威力上昇】【土魔導威力上昇】【念話】【限界突破】【魔力解放】【大運】【治癒】【大加護】【付与】【望遠】【気力超感知】【理力超感知】【確率補正】【念動】【無音】【無臭】【舞空】【遊泳】【看破】【検索】【魔眼】
あれ?【智慧】が無くなってる?取ろうと思っていたのにと思いながら六つを選ぶ。
【物理攻撃耐性】【魔導攻撃耐性】【封印耐性】【火魔導威力上昇】【風魔導威力上昇】【雷鳴魔導】【望遠】他の【耐性】を得た事で最後の【封印耐性】がでた。
これで【状態異常耐性】になる。
『確認しました。では【物理攻撃耐性LV1】【魔導攻撃耐性LV1】【封印耐性LV1】【火魔導威力上昇LV1】【風魔導威力上昇LV1】【【雷鳴魔導LV1】【望遠LV1】をお授けします。【毒物耐性LV1】【麻痺耐性LV1】【石化耐性LV1】【睡眠耐性LV3】【呪耐性LV1】【封印耐性LV1】を獲得した事で【技能】【状態異常耐性LV1】に進化統合されます。【技能】【火魔導威力上昇LV1】【風魔導威力上昇LV1】が【技能】【魔導秘奥本】に吸収、進化します。【聖光魔導威力最大上昇】【次元魔導威力最大上昇】になりました。次に所持【技能】から最大値迄強化する【技能】をご選択下さい』
何だかまた【魔導秘奥本】がパワーアップした。
どこまでいくんだろう?この技能?
流石に此処まで行くとコワイ、兎も角、最大値強化だ、決まっている。
【状態異常耐性LV1】を強化だ。
『確認しました。【状態異常耐性LV1】を【状態異常耐性LV10】にUPします。【状態異常強耐性LV1】に進化しました。【状態異常強耐性LV1】を【状態異常強耐性LV10】にUPします。【状態異常無効LV1】に進化しました。【状態異常無効LV1】を【状態異常無効LV10】にUPします。【状態異常完全無効】に進化しました。最大強化を終了します。ご利用ありがとうございました』
コレで状態異常に悩まされる事は無いし、睡眠をとらない弊害も無くなる。
私が皆を護るのだと気合を入れる。
そして私は試練を終えた。
「唯今、戻りました」
私が試練から帰るとハクアとリーレンが「ミィミー」(セアラー)「聖女様ご無事ですか?」と飛びついてくる。
ハクアは相変わらずフワフワだ、リーレンも抱き締められるとホッとする、でもお胸がちょっと…むう、私もこんなにおっきく成るだろうか?
「大丈夫です。怪我一つありません。それに今回は早かったでしょう?」
「ミィィ、ミィミミィミミ」(そうね、過去最短だわ)
「それでも心配なモノは心配なのです」
リーレンとハクアの温もりが暖かい。
私もハクアの様に皆を護りたいと思った。
ハクアが「ミミミ、ミィミミィミミミィミィミミミィミ?」(それで、今回も超パワーアップしちゃった?)と聞かれたので「いえ、前程はでも確実に強くなりました」と答えた。
「ミゥ…」(そう…)と言った。
ちょっと遠い目をしている。
なんだろう?
「そろそろ出発致しましょう、聖女様」
ガレス様が言われたので「はい」と返事を返して昼食の片付けだ。
終わると出発、私はまた馬車の屋根の上、【大結界】を張っているので風を十分に感じられないのがちょっと残念だ。
普段なら移動中は本でお勉強だが、今日は別の事をする。
貯まり過ぎた【SP】の消費だ。
【獲得SP倍化】のお陰か物凄い数値になってる。
取り合えず、習得した【物理攻撃耐性LV1】【魔導攻撃耐性LV1】は最大まで強化したい。
【SP】と振ると【物理攻撃無効LV10】【魔導攻撃無効LV10】でなく、【物理攻撃完全無効】【魔導攻撃完全無効】まで進化した。
そう言えば【状態異常耐性LV1】も【状態異常完全無効】まで上がった、何でだろうと思う。
他にも色々と上げて大分、減らしたがまだ900近く残っている。
コレは残しておこうと思う。
まだまだ先は長いのだから、そして進んで行くとハクアが突然「シャーーーーーッ!」と声を上げた。
何だろう?と覚えた【千里眼】で見るがまだ見えない。
ハクアの感知能力は本当に凄い。
暫く進むとやっと私にも見えてきた。
野盗の様な三人の男と民間人らしい男性が1人、暴行を受けたようで男の人は傷だらけだ。
酷い。
僅かな怒りを覚えていると野盗の一人が「止まれっ!」と言って来た。
「セアラ・シャリスの馬車だな」
野盗が言う。
ハクアが睨み、ガレス様が警戒し、リーレンが馬車から降りる。
「そうですが、何か御用ですか?」
要求を察しながら答える。
すると野盗は笑い、男性を転がしてその肩に剣を突き刺した。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
悲鳴が上がる。
この男は!と皆だけでなく私も強い怒りを覚える。
「行商人の一家を人質に取った!セアラ・シャリスが1人で俺に着いて来たら解放しよう」
やはりそんな事だろうと思った。
皆もハクアも動かない。
ハクアなら目の前の3人など一瞬だろうが動かない。
恐らく他にも野盗の仲間が隠れ潜んでいる。
従う以外に手は無い。
「分かりました」
馬車の屋根から飛び降りて男に向かって1人で歩いて行く。
「「聖女様!」」「ミィミ!」(セアラ!)リーレンとガレス様、ハクアが声を上げるが、私は一度だけ振り返って笑顔を浮かべた。
「大丈夫、必ず戻ります。少し待っていて下さい」
そして私は皆と分かれた。
「こっちだ、来い」
促され着いて行く。
野盗の2人と人質の男性は残される様だ。
暫く歩くと森の中から白い信号弾が上がった。
成功の合図だろう、やはり見えてる意外にも仲間が居た様だ。
リーレン、ハクアと思いながら私は男に着いて歩いた。
狐猫の小話
【無効系】の技能を始めとして本来なら【攻撃無効LV10】で止まるのが【完全無効】まで成長するのは狐猫との【絆】の効果です。
【魔導】の素質と同じで【技能】は個々で成長限界があり、素質によってバラバラです。
狐猫は全てが限界まで成長します。
セアラも【絆】でその恩恵を受けてます。




