第062話 バ〇の襲来と今の聖女の全力全開?
うっかり事故りました。
愛車がスクラップです。
怪我人は幸い風緑一人、めっちゃ落ち込んだので気分転換と衝動に任せてショートギャグ回、少しでも笑って貰えれば幸いです。
皆様は安全運転をして下さい。
ハサンから次の街、ルベールへ向かう途中で変な男に遭遇した。
「俺はルベールの英雄パッボだ。現大聖女様を騙し大聖女一位を名乗る悪魔に正義の鉄槌を降す!」
等と言って一人で私達に襲い掛かって来た。
何だコイツは?馬鹿なのだろうか?と思った。
ガレスさん達、騎士さんはポカン、また馬車の屋根の上なセアラも目をパチクリ、馬車の中のリーレンさんは聞こえてない。
「先ずは馬からだ!」と言ってズィルバーに何かやたらと高そうで豪華な剣を振り上げる。
シルバーがガブリと男に噛みつく。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
これまた高そうな豪華な兜事頭を噛まれて悲鳴を上げる男。
ダメです、シルバー、そんな変なの口にしちゃいけません、ペッしなさい、ペッ。
私に言われてシルバーが口を離す。
でも男はそのまま倒れた。
気絶したっぽい。
「何でしょう?コイツ?」
「さあ?」
皆が首を傾げる。
男はそのまま放置された。
セアラはちょっと心配そうに見ていたが私が「ミィミミィミミミィミミィミミ」(目が腐るから見ちゃいけません)と言うと「はぁ」と前を向いた。
皆が直ぐに男を忘れた。
「貴様等!さっきはよくもやってくれたな!」
野営の準備をしてると何か見覚えがある男が現れた。
あ、豪華そうな兜が凹んでる。
「今度こそ裁きをくれてやる!死ねぇっ!」
豪華そうな剣を手に襲い掛かって来る。
ズガラッ!ズガラッ!ズガラッ!と音がした。
シルバーだ。
男の前でクルリと反転してスパコーーーーーーーン!と後ろ脚で蹴り飛ばす。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
凄く豪華そうな鎧にシルバーの蹄の跡を残して男が飛んで行く。
ダメだぞ、あんな変なのを蹴っちゃあ、直ぐに【洗浄】、【乾燥】だ、勿論、ズィルバーもだ、何時も綺麗で居ような。
「何なんでしょう?アレ?」
「分からん」
皆、また直ぐに忘れた。
「一度ならず二度までもよくもやってくれたな、今度こそは討ってくれる!」
またもや来た。
豪華な兜を凹ませ、豪華は鎧に蹄の跡を付けた男が、そして「これで!終わりだぁぁぁぁぁっ!!!」と豪華な剣を手に突っ込んでくる。
シルバーが立ち上がる。
豪華な剣を突き刺そうと突っ込んできた男を踏み潰す。
因みにシルバーの体重は800kg程ある。
男は地面に埋まった。
「だ、大丈夫でしょうか?」
セアラが心配するが私は「ミィミ、ミミミィミミィミミミィミィィ」(平気よ、ああいうのはしぶといから)と伝えると「そうですか」と言った。
「ホントに何なんでしょう?アレ?」
「忘れろ」
また皆が忘れた。
ルベールに入った。
此処は小さい町で領主は居らず町長が治める。
でもハーメルに近い事で交通の要所でありデカい宿屋が何件もある。
その中の一つに私達は全員で泊まった。
此処までの旅の労いと感謝にシルバーとズィルバー、馬達に私とセアラ、リーレンさんでアッポーとニンジーを差し入れる。
タップリ愛でた後、二人と一匹で宿に帰ろうとした。
「はーはっはっはっは!」
また出たよ。
すっかりボロボロになった元豪華な兜と鎧を纏った男が立っている。
「此処ならばあの狂暴な馬は出てこまい!今度こそ、片を付けてくれる!」
スラリとまだ豪華な剣を抜く。
そしてセアラに向けて剣を構えて――ガシッと誰かに抑えられた。
「何をしている?パッボ」
「ぬ?お、俺はこの町の英雄にしてこの国の救世主!悪魔たるあの偽聖女を成敗――」
「殺人未遂か、来い。詳しくは詰所で聴く」
ルベールの衛兵さんに捕まって引き摺られていく男。
只、黙って見ているだけの私とセアラ、リーレンさん。
何か喚き散らす男と無視して連れて行く衛兵さん、私達が何もしないまま男は消えた。
「……何ですか?アレは?」
「わ、分かりません」
「ミィミミィミミィ」(悪い白昼夢よ)
私達は夢と切り捨てた。
翌日、早くから秘草採取にでる。
ルベールの分は一日で採取予定だ。セアラは頑張って秘草を摘んでいく。
だけど、其処にまたもや現れた。
「くっくっく、この森こそが俺のフィールド、今度こそ逃がさん!此処で仕留めてくれる!」
流石に此処まで来ると忘れない。
つーか、どうやって衛兵さんから逃げた?
シルバーは居ないし、衛兵さんも居ない、もう今回こそは自分達でと私とセアラ、リーレンさん、ガレスさん、騎士さん達が構える。
男も剣を抜く、しかし隙だらけだ、むっちゃくちゃに弱い。
どうしよう?コレと思った時にソレが現れた。
「「「「「「「「「「あっ」」」」」」」」」」
「ミ」
男の背後に気付いて全員が声を上げる。
「くっくっく、どうした?俺に恐れを抱いたか?」
「いえ、その…後ろに…」
「後ろ?そんな詰まらん手に誰が―――」
セアラの言葉を無視して近付こうとする男の背に「キエェェェェェッ!!!」と言う鳴き声が響く。
ギギギと振り返る男、走って来るのは大鶏だ。
結構、デカいな、もしかしたら王大鶏かも知れない。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「キエェェェェェッ!!!」
逃げ出す男、追う大鶏、私達は黙って見送った。
「さあ、秘草採取を続けましょう」
「はい」
「ミィミィミミィミミィミィミ」(あの大鶏はきっと良い大鶏ね)
私達は見なかった事にして秘草採取に戻った。
翌日、ルベールを旅立った。
目指すはハーメルだ。
ルベールを出て暫く進むと左右を巨大な岩壁がそびえ立つ。
その中程に来た時、またまた声が響いた。
「はーはっはっはっは!」
また来たのかよ!しつこい!と思った。
だが、見上げると男の様子が違う。
元豪華な兜と鎧、豪華な剣を持ってない。
そして全身包帯塗れだ。
大鶏、頑張ったなと思った。
「今度こそは終わりだ!此処に【爆薬】を仕掛けた!お前等は全員が岩の下敷きだ!」
「「「「「「「「「な?!」」」」」」」」」
「ミィ?!」
流石に驚いた。
この世界に【爆薬】あるとか、こんな大掛かりな真似をするとか想定外だ。
慌てるリーレンさんとガレスさん、騎士さん達、落ち着いてるのは私とセアラだけだ。
「さぁ、死ねぃ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
【爆薬】の爆発音が響き渡る、本気でやったよ、コイツと思った。
こうなれば手段は一つだ。
私はシルバーの背中から振り返り、馬車の屋根の上のセアラに声を掛ける。
「ミィミ」(セアラ)
「はい?」
「ミィミィミィ」(やっちゃえ)
「良いんですか?!」
セアラは満面の笑みだ。
折角、超パワーアップしたのに全力を出せなくて鬱憤が溜まっていたのだろう。
この際だやってしまえばいい。
「行きます!【光輝】」
これでセアラのステータスは倍だ。
爆破された岩がゆっくりと崩れ始める。
「【霊吸神法】【魔発神法】」
更に【霊力】と【魔力】が5000UPする。
正に岩の山が私達に向かい落下してくるが恐怖はない。
「『火力』」
【火魔導】の威力を上げる【魔導】だ。
寧ろ此処から放たれる一撃がおっそろしい。
「撃ちます。『火風』」
それは『火風』なんて生易しいモノじゃなく、暴風か、濁流、激流だった。
火――炎が崩れてくる岩壁を完全に粉微塵に吹っ飛ばした。
ガラガラと崩れる岩の音がする。
リーレンさんとガレスさん、騎士さん達は呆然。
セアラは「スッキリしました」と言う顔をしている。
私は瓦礫の中を進んであの無茶苦茶な『火風』からも生き延びた半場、岩に埋もれた男の前に立った。
「ミィミィミミィ、ミィミミミィミミミ?」(あんたは結局、何がしたかったのよ?)
こっちの言葉は理解できないだろうが一応、訊ねて見る。
「お、俺はこの国の平和…俺の金板50枚の為に…」
「ミィミミィミミ」(只の暗殺者じゃない)
ゴスッ!と男の背中にデカい岩を叩き付けてやる。
男はそれでピクリとも動かなくなった。
岩にはしっかりと『バカの墓』と刻んでやった。
兎も角、これでパッボは再起不能だろう、もうハーメル迄の道を阻むモノは無い。
私達はセアラが壊してしまった岩壁を背に旅路を進んだ。
狐猫の小話
パッボの装備は前金の金板1枚で買いました。
【爆薬】はそれを売って買いました。
明日からは一日一話に戻します。




