第061話 竜の血と強欲の代償?
セアラの【魔導】は過剰火力が過ぎるので以降は禁止になった。
代わりに【火纏】と【風纏】でリーレンさんと騎士さんの援護だ。
それでも凄い攻撃力になる様でバッタバッタと魔物を倒してる。
セアラは若干、暇そうでプカプカと浮いてる。
そう言えば【浮遊】を取っていた。
よっぽど風を感じたいらしい、流されるままに漂っている。
私もA級の破滅が出ると狩る。
【獲得経験値倍化】のお陰か3匹狩った所で【LVUP】だ。
良しっと腕を握るがセアラは最初の一匹を塵にした後も援護だけで合計で【LV3UP】して居る。
本気で追いつかれと焦る。
でもセアラが強くなるのは良い事だ。
喜ぶべき事だと考え直す。
何となく、私はセアラはまだ幼し護る者だと思い込んでた。
でも違った、セアラはどうあっても護られるだけでなく護る側なのだと思い知らされた。
その思いがセアラに【魔導秘奥本】を与えたのだろう。
祝福する、私の友は凄いんだと大きな声で自慢する。
でもやっぱり世界最強を目指す身としては悔しい。
そろそろ遅くなって来たし皆の【LV】が上がったので帰ろうとなった、ハサンの領主邸に帰宅する。
夕飯、美味しく頂いた後はセアラとリーレンさん、私の三人でお喋りだ。
パジャマパーティー見たいな感じだ、私はパジャマ着ないけど、リーレンさんとの会話にセアラの通訳が必要だけど、それでも楽しく会話だ。
会話の中心はやっぱりセアラだ。
セアラが見せた凄い威力の【魔導】揃ってべた褒めだ。
照れてるセアラも可愛い、でも本当に凄かった。
だけど特訓が必要だな、コントロール出来ないと周りの被害が甚大だ。
何処でどうやって訓練するかが問題だけど、【魔導】の【操作】と【探知】も極になってるからセアラなら何時も通りに頑張ればきっとコントロール出来るようになる筈だ。
そんな話をしているとリーレンさんの表情がちょっと暗くなった。
どうしたん?お酒飲んだ?紅茶は飲んでるけどブランデーでも入れた?
セアラとリーレンさんは紅茶とクッキー、私は今日、森で自分で採取した甘い木の実だ。
流石は秋、色々と実ってると思う。
甘いものは別腹だ、まだ行ける。
「…聖女様にはもう私は必要ないかも知れませんね…」
何かネガティブになってる、やっぱりお酒飲んだ?
セアラにはリーレンさんは絶対に必要だ、セアラの心の支えはリーレンさんなのだ。
「ハクアも言ってますが私の唯一の護衛騎士はリーレンだけです。必要ないとか替わりなんて居ません。どうか約束の日まで私の側に居て下さい。お願いします」
リーレンさんは顔色をちょっと戻して「ありがとうございます。聖女様」と言った。
完全には吹っ切れてないようだが前は向けた様だ、本当にセアラにとってリーレンさんの替わりは居ない、自信を持って欲しい。
でも約束の日ってなんだろう?と思った、聞いたらリーレンさんは婚約者が居るらしい。
ビックリだ、でも確か子爵で貴族だから普通なのか?
何でも本当は18歳で結婚だったがセアラの護衛騎士を続けたくて20歳まで伸ばして貰ったらしい。
本当にリーレンさんはセアラが大好きだと思う。
しかし、私から至高の撫で撫でマイスターのリーレンさんを奪うとはどんな男だ?と思う。
変な男だったら私の必殺、肉球プニプニパンチと肉球プニプニキックが炸裂するぞと言いたい。
因みに男の名前はノットレザンジュ・レバノン、ハサンから次の次の街ハーメルの次期領主だそうだ。
ハーメルはアトランティカ大国との交易で栄えたテレスターレ聖国三番目の大都市だそうだ。
うん、私はアドラスティア大樹海にダアト山脈、ザナドゥ森林を抜けてテレスターレ聖国に入ったけど、あんな危険なルートを普通の人は通らないよね。
もっと安全なルートがあって当然だった。
地位は伯爵だそうだから、リーレンさんは玉の輿だ。
どんな男だろ?転生してからこっちそんな恋愛話には縁が無かったから気になる。
セアラは会った事が在るみたいだけど教えてくれなかった。
お楽しみらしい、とても気になる。
そんな話で夜は更けていった。
おお、シルバーよ、また寂しい思いをさせてしまった。
許して欲しい、何?今日の狩りに着いて行きたかった?
でも逃走を想定していなかったんだ、許して欲しい、明日は一緒に行こう。
ズィルバーも悪かった。
明日は一緒だ、機嫌を直して?美味しいアッポーだ。
食べて良いぞ、勿論、シルバーにもニンジーだ。
また暫く放置してしまって拗ねさせてしまったシルバーとズィルバーのご機嫌を取りつつ愛でる。
やっぱりプリチーだ。
一頻り二頭を可愛がって私は馬小屋を離れた。
さて、そろそろ行くかと準備運動をする。
【大睡眠耐性LV1】のお陰で眠る時間が減った。
夜は昼よりも危険な魔物が徘徊する。
狩りだ。
私は強くならなくてはならない。
母狐猫の仇、セアラを狙うらしいハミルトンを返り討ちにする為にもだ。
森に入って殲滅じゃー!と、暴れに暴れた。
S級の天災、SS級の絶望が居ないのが幸いだ。
でもA級の破滅にも苦戦するのが何体か居る。
この世界の魔物の級は純粋な強さだけでなく、討伐の必須度とか迷惑さ、遭遇率や被害度とかで決まるらしい。
どう考えてもS級の天災な水晶大亀が眠らせられるからと暫定B級の災禍だったのが良い証拠だ。
現在もA級の破滅の【甲鉄鎧竜】に苦戦中である。
かったいっ!攻撃が通らない。
【叡智】で【鑑定】して見る。
【名前】名無し
【種族】甲鉄鎧竜・成体
【年齢】36歳
【気力】3412
【理力】3415
【霊力】721
【魔力】723
【技能】【息吹LV9】【牙攻撃LV8】【尻尾攻撃LV9】【突撃LV7】【竜鱗LV8】【金綱力体】【鉄壁LV8】
【気力】と【理力】がこっち超えてる。
【霊力】と【魔力】は低いが【魔導】を持ってないから問題ないか、【技能】は【LV】低いな、多分だけど温厚なんだろう。
それでも【気力】と【理力】の高さが凄い、流石は【竜】だと思う。
あの【飛竜】とは違う。
本物だと思う。
逃げるか?と考える。
流石に700の差を突破出来る気がしない。
【忍耐】様を発動させるにも【息吹】が怖い。
やっぱり、諦め――いや、アレが在った、試そうと決める。
【閃駆】で疾走、唯一、傷を与えられた腹を狙う。
腹の下に潜り込む、そして【限界大突破】!120秒のステータス倍化、【真爪攻撃】、【甲鉄鎧竜】の腹に大きな爪傷が出来る。
その傷口に【真尻尾攻撃】!【変幻】を併用してさらに鋭くなった尻尾の槍4本を爪で出来た傷跡に叩き込む。
巨大な槍に貫かれた甲鉄鎧竜は息絶えてその場にズシンと倒れ込んだ。
むー!むー!必死こいて倒れた甲鉄鎧竜の下から這い出す。
危うく、アホな窒息死する所だった…しかし、黙って甲鉄鎧竜の死体を見る。
本来なら殺さなくて良い相手だった。
只、平穏に生きていただけの魔物。
今更ながら罪悪感が沸く、ごめんなさい。貴方の命は無駄にはしません。と誓い【空間収納】に甲鉄鎧竜の死体を入れると私は次を探して森を走った。
その瞬間にピコーンと音が鳴った。
お、【LVUP】か?と思った。
『LVが1上がりました』
よし、よし。
『【地竜を倒し血を浴びました。【技能】【地耐性】【地竜力】を獲得しました』
は?!ちょっとビックリした。
いや、確かに地球でもジークフリートとか竜の血を浴びて無敵の体を手に入れたとかあったけど、この世界もありなの?
【竜】ってやっぱり特別なんだなと感じた。
試しに【地竜力】を使って見た【理力】が27上がった1%上昇するらしい。
【大理壁法LV1】は【理力】100上昇だからこっちの方が美味しい。
早速、強化する。
何時か火竜と風竜、水竜も倒して血を浴びようと思った。
兎も角、今度こそ次の獲物を探して駆け出した。
そして限界かな?と、言う時間まで狩って【LV】がもう1つ上がった。
因みに血を被るだけで【技能】を覚えられるかな?と思い、セアラに話して試してもらった。
「【竜】を倒したんですか?!」
等と驚かれたが今のセアラなら私より楽勝で勝てるだろう。
浴びせたら問題なく覚えた。
リーレンさんにもおすそ分けした。
「…【竜】の血は僅かに指にでも垂らす程度で十分です。こんなにかける必要はありません!」
ちょっとかけ過ぎた。
怒られた。
反省。
「またよくもやってくれたな、ちっこいの!」
「ミギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!」
やっとハサンに到着したガレスさんのグリグリ再びである。
むっちゃイタイ!
めっちゃイタイ!
セアラ助けてーと泣く。
「ガ、ガレス様、ハクアも反省してますから程々に…」
セアラの弁護にやっとガレスさんの手が止まる。
あー、ホントに痛かった…
「聖女様もです。確かに急ぎの事態でしたが【戦闘馬】を爆走させずともちっこいのを一匹で先行させる。近くのギルドがある街から連絡をハサンに入れる等も出来た筈です。聖女様は我々の護衛対象なのです。軽率な行動はお控え下さい」
「…はい、申し訳ありません」
セアラまで怒られた、己っ!この角無しオーガ、結果オーライで良いじゃないかっ!と、私は「ミィミィ」と訴える。
「ほう、どうもちっこいのは反省が足りんと見える」
いえ、反省してます。
もうグリグリは勘弁ですと佇まいを正す。
「そ、それでは今日と明日は休養にして明後日に次の街へ出発を…」
「いえ、余裕を持って来たので今日のみで十分です。明日には出発を」
「分かりました」
セアラとガレスさんの話は終わった。
でも、やっと次の街か、色々と在ったなハサン。
暗殺者の集団とか、死闘とか死闘とか、私の試練にセアラの試練と――うーん、あんまりいい思い出が無い。
兎も角、旅立ちだ。
私達は準備に入った。
私はする事無いけどね。
私の準備はない、セアラとリーレンさんの準備も終わった。
御者の騎士さんは馬車の整備点検中、ガレスさん達は休息、時間があるのは私とセアラ、リーレンさん。
久々に二人と一匹に昨日、約束したシルバーとズィルバーを加えて【LV】上げだ。
構成は前衛が私とリーレンさん、後衛がセアラ、護衛がシルバーとズィルバーだ。
でもセアラの役目はリーレンさんへの【魔導】の【付与】だ。
セアラの攻撃魔導は最早、超危険物である。
コントロール出来るようになるまではお控え願いたい。
リーレンさんに【火纏】した後は効果が切れるまでセアラは暇だ。
今はフヨフヨと【浮遊】で浮いてシルバーとズィルバーに交互に鼻で押されて「キャー、キャー」と喜んでる。
何してるんだろ?よく分からないけど楽しそうだし可愛いから良しっ!
そして接敵、私が陽動してリーレンさんが仕留めるだ。
しかし――あれ?何か調子がオカシイ??思うように速度が出ない。
ステータスを確認、げ?!下がってる、何か下がってる?何故?と考えてハッとする。
【強欲】様の代償だ、【竜】は超高級素材、肉は美味いし、皮、爪、牙、角は武具に使える。
特に血は【技能】が覚えられる超高額品、それをセアラとリーレンさんにぶっかけた。
『無償で財産を提供する』に引っ掛かったと悟った。
うーわー、こんなにステータスが減るのか、迂闊な事が出来ん、気を付けようと学んだ。
ガレスさんや騎士さん達には【竜】の血を上げられない。
それでも戦えない程じゃない、何とか頑張った。
逆にリーレンさんは調子が良い、コレは【試練】受けたな。
私とセアラに心配させない様にコッソリやったっぽい、リーレンさん頑張るなぁ。
只、昨夜に私が乱獲し良すぎた為か魔物の数は少なく、セアラとリーレンさんの【LV】は1つ上がっただけだった。
そして夜にハサンで最後の晩餐を食べて翌朝、出発の時だ。
「ありがとうございました。娘の件の含めてお世話になりました。秘草は全て大切に使わせて頂きます」
「ありがとうございました」
「せいじょさま、リーレンさま、はくあちゃん、きしさま、またね」
まだ若いハサン領主夫妻とその娘である4、5歳位の女の子がブンブンと手を振って見送ってくれる。
今更ではあるがこの幼子が例の暗殺者共に攫われる予定だった娘である。
こんな子を狙うとは鬼畜だ、許せん、もっと酷い目に合わせれば良かった。
「此方こそお世話になりました。来年にまた必ず」
セアラがそう言い、リーレンさんが礼をして私は手を振る。
そして私達は次の街へ向かう、また其処で何かが待っているだろう。
狐猫の小話
この世界の竜と龍は知的で滅多に人を襲わないので級は基本、低めです。
襲う奴も居ますけどね。
書き溜めが尽きました。
一日四話更新は終わりです。
頑張って一日一話を目指します。
ごめんなさい。




