第058話 神のゲームと狐猫の怒り?
「LV20になりましたー」
此方がヒーコラの土木工事から帰ったら、大喜びのセアラにまた手を持ってクルクルと踊られた。
速い、そして凄い。
流石は【獲得経験値倍化】何て【技能】を獲得しただけはある。
しかもこれ【技能】の【LV】も上がりやすくなってるらしい、少し前の超貧弱セアラが嘘の様だ。
しかし、私も【LV】が40になった。
【試練】を受けなければならない。
セアラが明日、受けるそうだから今夜の内だ。
今回迄は【試練】は免除で【位階】を上げてくれると言っていたからサッサと受けて良いだろう。
だけど、その前に――
暗殺者退治だと【叡智】さんのマップに示される赤点に向けて夕食後の薄暗くなったハサンの街へ飛び出した。
今回、退治した暗殺者は6人だ。
かなり減った。
話を聞くと聖女暗殺依頼はヤバイと成り出しているらしい。
曰く、ハサンに入った暗殺者は全員捕まる。
曰く、東の端の暗殺教団の部隊が壊滅した。
曰く、A級、B級の暗殺者も何も出来ずやられた。
曰く、身包み剥がされる。
財布は奪ってるけど身包みは剥がしてねーぞと言いたい。
まぁ、減るのは良い事だ大目に見よう。
兎も角、終わった。
この調子なら数日以内にハサンに来る暗殺者は0になるだろう。
準備は整ったさぁ試練だと狐猫をダメにする巣箱Mk-2に入ってウィンドウを操作する。
直ぐに『LVが一定値に達しました。位階を上げる試練に望めます。試練を望みますか? ・はい ・いいえ』
直ぐにはいを選択、巣箱からハクアが消える。
そして気付くとラーラー山より幾らか狭い山に前に立っていた。
あれ?と思いながら声を待つ。
直ぐに掛かった。
『四度試練に挑む者よ。良くぞ来た』
何時もの自称:神様(仮)の声だ。
姿は相変わらず見せないが、声には何となく安心した。
『この短い間にLVを上げ良くぞ。四度目の試練に挑む決断をした。汝の決意に改めて敬意を表する』
確かに過去最短ではなかろうかと思う。
【LVUP】したのはハイドとハミルトンが飛び入りで殺したバーン、そして【超越猿】くらいだ。
森で獲物を結構狩ったが実質、2人と1匹でLV10UPだ。
ホントにこんなぺ-スで今後も上げたい。
さて、でも何でこんな山の前に?と思う、取り合えず話を聞こう。
『第四の試練、汝には尽きぬ敵と人々を護りながら一定時間、戦ってもらう。これは汝が優しさを示す護りの試練、戦いだ。見事に護り切って見せるが良い――と、言いたいが前回、言った通り汝は既に多くの人々を護りその心の在り様を示した。よって突破とする』
うーん、そうかなぁ、必死では在ったけど優しいかと言われると疑問だ。
私があの水晶大亀との戦いで本当に護りたかったのはセアラとリーレンさん、ノーザンさんと遊んでくれたノースさん位だ。
他はついでとセアラが悲しむからオマケだ。
私はそんなに優しくない。
全力だったのは違いないけどね。
『だが、今回は特別報酬は無い。代わりにゲームを用意した。制限時間内に山の頂上まで登れば特別報酬を与えよう』
成る程ね、それで山の前か、聞きたい事は前回に大体、聞いたし特別報酬は欲しい、挑戦する。
『では、ステータスの低下と【技能】の一時封印をする。楽しませて貰う。『ファーレンハイトの愛し子』よ』
くう、【亜空間機動】と【閃駆】で駆け抜ける予定が、そんなに上手くは行かないか、でもやってやると私は駆けだした。
【問一、ファーレンハイトは今、この世界セバに居る。〇・☓】
デッカイ立て札に〇と☓が書かれて問題が張られている。
何だか前世のTVで見たような…
まあ、居るでしょうと〇の板に突っ込む。
ドバシャァッ!
泥水に突っ込む。
自慢の真っ白お毛毛が泥に…、しかし居らんのかファーレンハイト。
取り合えず間違えても進んで良いらしい、先を急ぐ。
【問二、ハクアは単独でS級の天災に勝てる。〇・☓】
むう、セアラの【光輝】とガー爺ちゃんのタッグだったがS級の天災の【超越猿】は倒した。
【忍耐】様もあるし、多分、大丈夫と〇に突っ込む。
ドバシャァッ!
また泥水だった、S級の天災の壁は厚いらしい。
何か泥田坊見たいになって来たなと先を急ぐ。
【問三、セアラは純粋な人間である。〇・☓】
迷わない、間違いでも後悔しない。
〇だと突っ込む、今度は泥水じゃ無かった。
落とし穴だった。
あーれーと落っこちる。
落ちた先は深い泥水。
ドボンッ!と落ちる。
己っ!とシャカシャカ壁をよじ登る。
〇☓問題は終わりのようだった。
兎も角、貴重な時間を無駄にした。
先を急ぐ。
次はロープが張られた断崖絶壁だった。
しかも左右からボールが飛んでる。
この中を渡れと?だが時間がない。
慎重に渡る。
後、少しという所でボールが直撃、落ちかけるが尻尾を引っかけて防ぐ。
振り子の要領で体を振って復活、クルリン、シュタっとポーズを決めて10点!とかやってみる。
そこにボールが直撃、今度は尻尾も引っかけられない。
あーーーーーっ………と、落っこちる。
ロープの最初からやり直し、今度は全速力で駆け抜けた。
次だ、次!
今度は迷路だった。
迷う、ウロウロしてるとズシンと足音がした。
振り返る。
「ファートーラー」
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
巨人なロビン君(邪神)だった。
ダッシュで逃げる。
逃げた先で二人目のロビン君(邪神)
うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
「「ファートーラー」」
涙目で逃げる。
全速力だ、しかし――
「ファートーラー」
みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
ロビン君(邪神)、三人目。
マジ恐い。
走り続ける。
まだ追って来る。
「「「ファートーラー」」」
ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
助けて、セアラとマジ泣き。
逃げて、逃げて、逃げた先が出口だった。
ぜーはー、ぜーはー、と息を整えてる間も巨大ロビン君(邪神)は迷路から出られないのかこっちに手を伸ばして「「「ファートーラー」」」とやってる。
自称:神様(仮)め!今頃、笑い転げてるに違いないと思いながらも止める選択肢はない。
負けるかと走ると今度は回答席が在った。
犬と猫が回答席に着き正面に鶏と豚、牛が居る。
獲物である。
ジュルリとしたが我慢して回答席の空きに座る。
「ブーブー」「モーモー」「コケコッコー」と鳴いて問題を出して、犬と猫が「ワン、ワン」「ニャー、ニャー」と正解する。
訳が分からない。
こちらも「ミィ、ミィ」と鳴いてみたが不正解、水が上から降って来た。
泥が落ちてちょっと助かる。
猫が勝利して終わった。
意味不明である。
前世は猫より犬が好きだったが狐猫になった今は断然、猫派だ。
猫に負けたのならしょうがない。
先に進める様になる。
負けても良いらしい、本当になんだったのか、自称:神様(仮)のセンスが分からない。
何が面白かったんだろう?
兎に角、進む。
今度は池に小さな石が並んでいた。
何だか知っている。
これはちゃんとした石と浮いてるだけの偽物が混ざっている奴だ。
慎重に調べて進む、浮いてる偽物を避けて本物の石を踏む。
カチッと音がした。
何だ?と思った。
爆発した。
地雷だ。
あの自称:神様(仮)はこっちを殺す気かと思った。
吹っ飛んで池に落ちた。
魚が群がって来る。
ピラニア見たいな鋭い牙の魚だ。
本気であの自称:神様(仮)はこっちを殺す気だ。
確かに『ゲーム』とは言ったが安心安全とは言ってなかった。
みやゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
と、必死に泳いで対岸に到達、でもちょっと齧られた。
痛い。
ちくせうっ!と思いながら次へ、その後も悲惨なアトラクションが続いた。
最後の最後、ロープが三本山のてっぺんからぶら下がっている。
『正解は一つ』と書いてある。
私はくじ運が悪いんだよなーと思いつつ選ぶ。
三分の一ほど登った所で切れた。
次だ!と登る。
今度は半分で切れた。
やはりくじ運が悪いと思った。
でも時間はまだある。
コレが正解だと最後の一本を登る。
山頂到達目前で切れた。
ぬぅわぁぜぇだぁーーー!!!
落下する。
途中で岩肌にしがみ付く。
『正解は一つ』とあった。
『一本』では無かった。
ロッククライミングが正解だ。
必死に爪を立てて登った。
登り切った。
時間は残り6秒。
すぐさま、設置されてるボタンを押す。
ファンファーレが鳴る。
『おめでとうございます!特別報酬が与えられます!お疲れ様でした』
そして世界が白くなって山が消えて行き、タイル張りの平原になった。
『はっはっは、楽しませて貰ったぞ。『ファーレンハイトの愛し子』よ」
うぉんのれ、こぉんのド畜生自称:神様(仮)めっ!
死ぬとこだったじゃないかと怒りをぶつける。
『そう怒るな、『ファーレンハイトの愛し子』よ。楽しませて貰った礼と詫びに次の試練でも突破すれば『特別報酬』を授ける』
え?!ホント?なら、良いよ。
許しちゃう。
わーい、良い【技能】あるかなーとアッサリ許す、私。
それにしても『ファーレンハイト』って今、何の神で何処で何をしてるの?セバに居ないらしいけど。
『かの大神は創造を司る。眷属たる我等7神にセバを託して次の創造に旅立たれた』
なるほど『愛し子』ってのは?
『ファーレンハイトが創った生物の中で最も汝ら綿猫を愛でていたからだ』
なんだ、もっと深い意味とかあると思ってたけどそんなモノかそう言えばすっかり忘れてたけどあなたお名前は?何時までも自称:神様(仮)ってのも悪いし。
『我は名を失っている』
へ?
『7神の中で名と力を維持しているのはアストラーデ、リステルトル、スララザイア、プルグマイアのみ、我と2神は悠久の中で失われた』
なんかそれは寂しいね。
名前、付けたげようか?
『はっはっは、『ファーレンハイトの愛し子』と言えど、【神】に名を授けるなど不遜、名は親が子へ、主が僕へ、対等な者が互いに贈り合う物だ。汝が【神】に至れば考えよう』
むう、ならしょうがない。
でも今に見てろと思う。
あ、それはそうと『セアラは純粋な人間である』が☓ってどういう事よ!
あの子は間違いなく人間じゃない!
『…汝が懐ているあの忌み子か…』
は?!忌み子?!忌み子っつったかセアラの事をこの自称:神様(仮)は!
怒りを覚えて「どういう事よっ!」と念を送る。
『言葉の通りである。あれは人の形をしているが禁忌の忌み子だ』
「ヒトモドキな自分が」と呟いたセアラの顔が浮かぶ。
でも、だけど――
アストラーデは私にセアラを護れと言ったわよ?
『アストラーデは強欲を許し、忍耐を覚え、回帰を認める。それゆえだ、我は認められぬ。恐らくは他の神々もだ』
そんな神に認められないセアラは一体、何?と聞こうと思って止めた。
『良いのか?』
いい、何時かセアラから教えてもらう。
ここで聴くのはフェアじゃない、そう思った。
『…あの忌み子もまた【試練】に挑む気のようだな』
そうよ、今回も絶対に越えるわ。
でも前回はやたらと長かったし、ちょっと様子が変だった、この自称:神様(仮)は何とセアラを戦わせたのだろう?気になった。
訊ねてしまった。
『…忌み子の悪夢から産みの母を実体化させ戦わせた』
なっ?!
絶句した。
私と母狐猫との試練の様な物か?
いや、壁ではなく悪夢として現れたのだ。
碌な扱いをされて無かったに違いない。
そんなセアラに私は何と言った?
『悪夢なんかぶっとばぜ!』
そして私の言葉のお陰で突破出来たと言ってた。
私はセアラに母殺しをさせてしまったのか、迂闊な言葉を後悔する。
優しいセアラだ苦しかったし、悲しかったし、辛かっただろう。
夜に寝ていて「お母さん」と泣く訳だ。
いや、セアラが試練に敗れて死ぬよりマシだが、それでもと思う。
あんたは何て事をセアラに!
『…我も泣く忌み子に謝罪した。それが限界だ』
それでもっ!
『謝罪した』
それ以上は無いという意思を感じる。
なら私の『特別報酬』をセアラに一つ譲ってと願う。
『神が約束を違える事は出来ない。『特別報酬』は汝に与える。…忌み子には試練を見て考える』
無理か、でもセアラよりハミルトンをどうにかしなさいよ、マジでヤバイじゃないアイツ。
『また、遭遇したようだな。前回も言ったが我等は妄りに力を振るえん。故に急速に成長する汝に期待する』
そこはどうせなら私とセアラにしてよ。
あの子も凄く強くなっていってるんだから。
『はっはっは、汝とあの忌み子が奴を止めるなら見る目を変える神も出よう。確かに汝等はテレスターレ聖国初代大聖女と鳳凰を連想させる』
うん?鳳凰ってSSS級の終焉の皇帝炎鳥よね?
それとテレスターレ聖国の初代大聖女?どういう事?
『もう時間は尽きた。また会おう『ファーレンハイトの愛し子』よ』
こらっ!話の途中で消えるなっ!
念を送っても消えたのかもう返事は返って来ない。
何にせよ私の四度目の試練はこうして終わった。
次は【技能】獲得だ。
狐猫の小話
初代テレスターレ聖国大聖女のセアスは転生者でした。
雛の【火鳥】を拾って育てました。




