第057話 転生者再びとダスド帝国の影?
「ミィミミィミ」(ハミルトン)
私の言葉に声を発する筈が無い【殺戮蜂】B級の災禍が返事をする。
「へぇ、僕の名前を知ったんだ、前のスポンサー様から?それともカミサマかな?」
相変わらずな感じだ。
でも会話が出来てる。
【念話】を取った?それとも【翻訳機】でも作った?
後、神様ってのを酷く、見下した侮蔑的に言った。
私も自称:神様(仮)何て呼ぶけど、それとはレベルが違う感じだ。
「ミィミミ?」(何の用?)
何故か全身を走る、脅えと恐怖に耐えながら訪ねる。
コイツに比べたらGやMがマシに思える。
ごめんなさい。
嘘です。
GとM、むっちゃ恐いです。
「『会いに来てくれたの?』だって?はは、残念だけど偶然だよ。新しいスポンサー様の意向で色々と調査中でさ。君を見かけてちょっと今の実力を計ろうと思って、色々と教えてやったのに正直、期待外れだったね。この男」
翻訳機を作った見たいだ。
そして不良品だ、私はそんな事を言ってない。
私達に関する情報源はハミルトンだったようだ。
納得した。
色々と裏で暗躍してそうだ。
加えてガー爺ちゃんからデラックスハイパースペシャルハードコースな扱きを受けていなければ死んでいた。
一点集中な成長タイプは恐ろしい。
無傷だが実際はバーンは強かった辛勝だ。
「そしたらこの男が余計な事を喋りそうになったから殺しちゃった。まあ、経験値はおいしかったから良いけど」
この【殺戮蜂】が殺した相手の経験値も製作者であるハミルトンに流れる様だ。
何十年もこんな真似をしていたら予想以上に強いかも知れない。
だけど、余計な事と言った。
まさか、それはつまり――
「ミィミミィミミミィミィミミィミィミィミ?」(貴方達がセアラの暗殺依頼を出したの?)
「うん?『貴方達がセアラを殺しに来たのか?』違うよ。アレには今はまだ死んで貰っては困る。具体的には後、数ヶ月」
少し正しく翻訳された。
暗殺依頼者は違うらしい。
だが言った。
『今はまだ死んで貰っては困る。具体的には後、数ヶ月』だと、マズイ、ヤバい、もっと急いで【LV】を上げて【試練】に挑まないといけない。
「さて、でも、どうしよう?会う予定は無かったけど会っちゃった。このまま帰るのもねぇ…」
「ミィミミミィミミィ!」(さっさと帰れっ!)
すぐさまお帰り願いたい。
これ以上の死闘はお断りだ。
NOでNGだ。
断固拒否だ。
しかし――
「『是非、遊んでっ!』か、いいね、同感だ」
言葉と同時にブゥンと【殺戮蜂】を緑色の結界が覆う。
畜生!ポンコツ翻訳機めっ!
「ゲームスタートだ」
襲い来る【殺戮蜂】。
迎撃態勢を取る私、本日二度目の死闘だ。
戦いながら詳細【鑑定】。
【名前】昆魔・蜂型X-02
【種族】殺戮蜂・強化体
【年齢】8歳
【気力】1700
【理力】1700
【霊力】1500
【魔力】1500
【技能】【猛毒牙攻撃LV8】【殺戮針攻撃LV9】【飛翔LV8】【風魔導LV10】【暴風魔導LV3】【並列思考LV1】【思考超加速LV5】【空間把握LV5】【結界LV7】
やはり強い。
やっぱり魔物は【位階】【LV】【SP】が無く、技能も少ない。
でも本物の【殺戮蜂】は【風魔導】は使っても【暴風魔導】は使えなかった。
序でに【並列思考】【思考超加速】も無いし、【結界】何て有り得ない。
兎も角、攻撃開始。
【真爪攻撃】と【水流魔導】【大地魔導】で先制、【結界】に弾かれる。
ちくせうっ!
反撃のバーンを仕留めた特大針を尻から撃ち出す【殺戮針攻撃】と【暴風魔導】、走って逃げる。
速度上昇系の技能がないからかスピードはこっちが上だ。
でも、空中だと【飛翔】の効果か追いつかれる。
地上を走り、撃ちまくる。
結界に弾かれる。
【殺戮蜂】の攻撃、全て避ける。
【真邪怨視攻撃】も続けているがコレも結界に弾かれるのか効果が無い。
こうなれば接近戦しか無いかと考えた所で異変に気付く。
耳と頭が痛い。
【千里眼】で見ると【殺戮蜂】の口がずっとギチギチと動いている。
コレって超音波か高周波な攻撃されてる?
この距離で効果があるなら接近すればバーンしちゃうかもしれない。
でも【技能】にそんなの無かった。
ならハミルトンが作った化学兵器?
前に喰らった銃の様に兵器の類は【物理攻撃完全無効】を突破してくる。
どちらもノーダメージだと思っていたらこっちは喰らっていた。
マズイ、どうする?
考える、考える、考える、考える、考えた。
コレしかない。
【五感大強化】を封印、耳鳴りと頭痛が楽になる。
【殺戮蜂】の攻撃を避けるから防御に切り替えて【忍耐】様の熱を貯める。
【忍耐】様がハミルトンにバレるかもだがしょうがない。
30%程貯まった所で後ろに向かって疾走。
逃げではない。
追って来る【殺戮蜂】、十分に距離が空いた所でクルリと反転。
【忍耐】様の熱と【閃駆】を全開。
向かって来る【殺戮蜂】に接近。
正に【閃駆】、一瞬、音の速度位出てるかもしれない。
出てたら粉微塵だろうけどね。
射程距離に入った、【水流魔導】【水流矢】【大地魔導】【大地矢】を【並列思考】で一点に集中連射。
僅かに、僅かに出来た隙間に酷くなっていく耳鳴りと頭痛、吐き気に耐えながら三本を纏め一本にした【真尻尾攻撃】を突き刺す。
【真尻尾攻撃(貫き)】
私は【結界】を貫き、【殺戮蜂】に風穴を空けて反対側の結界もぶち抜き空を舞った。
「あーあ、またゲームオーバーか…」
ハミルトンが何か言ってるが私にはよく聞こえない。
頭がグワングワンする。
本当に【五感大強化】を封印してなければ近付いただけでバーンだったかも知れない。
己っ!ハミルトンめっ!なんつう物を作りやがるっ!
心の中で、この狂人めっ!、マッドサイエンティストめっ!と罵倒する。
「最後に良い事を教えよう。後半月耐えれば暗殺依頼は消える筈だよ」
その言葉は何とか聞こえた。
後半月か、それならば恐らく耐えられるだろう、信じて良いか分からんけど。
「それじゃあ、次は直…会お…ね。子…ち……」
そして前と同様に煙が蜂の頭から立ち上った。
次は直にか、知らず恐怖に体が震えた。
◇
「ふん、ふん、ふーん」
ご機嫌で僕はキーボードを叩く。
あの子猫はまたやってのけた。
まさかあんな力業で【超音波破壊破】を撃ち抜くとか、笑えた。
正直、あそこで潰れても興覚めだったけど、生き延びて見せた。
壊した3人とは大違い、足掻いてる1人も居るがアレは飽きてきた。
詰まらない、そろそろ収穫しよう。
比べたら子猫は面白い、なのに計画がこのまま進めば壊すのは一瞬になりそうだ。
ちょっと残念だ。
長く遊びたかったのに、だけど楽しい時間は僅かだと言う。
そんなモノだと納得する。
しかし不思議だ。
あの子猫、間違いなく、【美徳技能】【大罪技能】【獄道技能】を持ってるのに【原色技能】を使わなかった。
まだ覚えてない?使い方を知らない?
まぁ、構わない、その方がこっちは助かる。
「ふん、ふん、ふーん」
カタカタとキーボードを叩く。
後ろで物音がした、扉が開く。
「ご機嫌だな、ハミルトン」
「これはライン、ようこそ我が研究所へ、お茶でも出しましょうか?」
目の前の青年を愛称で呼び捨てた事に背後に控えた護衛騎士2人が顔を歪めるが気にしない。
僕の相手にならないし、呼ばれた当の本人が許しているからだ。
「いや、構わない。今日提出される筈の書類が届いてなかったので寄っただけだ」
「ああ、うっかりして居ました。書類は此処に」
直ぐに準備していた書類を渡す。
前のスポンサー様なら大目玉だ。
その点、ラインは寛容だ。
それだけでも移った甲斐がある。
「………なるほど、間違い無しか」
その場で読みだしたラインが呟く。
気になる様子だった騎士にも渡す。
「……これは…本当にこんな禁忌をあの国が?」
青い顔で呟く騎士。
だが、証拠は揃っている。
「間違いなくな、盛大に広めて奪ってやろう。問題は統治を誰にさせるかだが…」
「元スポンサー様で良いでしょう、アレで仕事は出来ますし、伯爵以上は皆の首が飛びますからね」
最もその日まで元スポンサー様が無事に居られればになるが、その時はその時だ。
「分かった、その方向で行こう。使者はやってくれるか?ハミルトン」
「お任せを、ライン」
〇〇の為、意外に動くのは面倒だが、偶には外の空気も吸う物だろう。
「しかし、今日は本当に機嫌がいいな。良い事があったか?」
「ええ、昆魔・蜂型X-02を子猫に貫いて壊されました。傑作です」
声を上げて笑った。
護衛騎士の2人がポカンとしてる。
ラインは何かを考えている。
「それ程のモノが居るのか、出来れば国に招きたいが…」
「ダメですよ。ライン、あの子猫は僕の玩具です」
そう言うと「ならばしかたないか」と引き下がった。
「それに子猫は禁忌の子供にベッタリです。あれは友情、いえ、愛、百合ですね。獣と人ですが」
自分で言って笑う、ラインと護衛騎士は苦笑だ。
それからラインは振り返って僕が創っている物を見上げて言う。
「しかし、何度見ても凄いな。お前の創っている新たな【神】は」
「そうでしょう!これこそ人類の永遠と平穏の為の〇〇!まさに人の手による【神】です!」
興奮して答える、人は〇〇に導かれるまま、示されるまま、全てを委ねて生きれば幸せなのだ。
前世の自分がそうだったようにだ。
「お前が最初で次が俺だな、ハミルトン」
「ええ、その通りです。ライン」
2人で頷き合い、未完成の〇〇を見上げる。
「お前は俺の力を利用する。俺もお前の力を利用する。そういう関係だハミルトン」
「ええ、ラインハルト・ズィーガー、ダスド帝国皇帝閣下」
そして僕は若き皇帝に礼を示した。
◇
はい、狐猫です。
現在、絶賛、セアラの前でお座り中です。
ぬぅわぜだ?!
「ハクア、無事に帰って来てくれて嬉しいです」
うん、ならもう少し嬉しそうに言って欲し―な。
セアラ、ちょっと恐いです。
「領主邸の裏の壁が派手に破壊されました。走るハクアをメイドの方が目撃しています。犯人はあなたですね?」
それかーーーっ!!!
いや、やったけど、確かにやっちゃったけど、それにはかくかくしかじかと言う理由が――
「では、壊したことは認めるんですね?」
うぐ、しまった。
バーンがやった事にすれば良かったか?死人に口なしだ。
「仕方なかったとしても被害を出して無罪とは行きません。御夕飯抜きと修理の手伝い、どっちが良いですか?」
「ミミィミミィミミミィミミミィ」(修理の手伝いでお願いします)
死闘二連の後に夕飯抜きは辛い、私は狐猫座した。
そんな訳で翌日、セアラとリーレンさん、騎士さんはこの多分ハサンで最後の秘草採取、私は壁修理のお手伝いである。
前世で猫の手も借りたいと言う諺が在ったが、異世界に来て自分が実践するとは思わなかった。
私の場合は手と言うより尻尾だが、うう、何故こうなった?もっとこう「私の為にそんな危険な戦いを二度も?ありがとう、ハクア」とギューされる未来を夢見ていたのに現実は工事現場でオッサン達のお手伝いである。
ホントにどうしてこうなった?私は急いで強くならねば行かんのだ。
具体的にはハミルトン対策に、なのにこうして楽しく遊んで――基、土木工事している暇はないのだ。
でもやって見ると楽しい、何事も初めは楽しい、因みに工事現場での私の呼び方は「白っこいの」である。
最初は「白くてちっこいの」だったが、長いと略されて「白っこいの」になった。
『ウェイ〇ライダー突撃』を喰らいそうな呼び名だ。
「異議ありっ!」したが通らなかった、クスン。
「おーい、白っこいの水出してくれ」
はい、はいと【水魔導LV1】【飲水】を使う。
「白っこいのここ乾燥させてくれ」
ほい、ほいと【土魔導LV1】【乾燥】。
「白っこいのこれ洗ってくれ」
OK、OKと【水魔導LV2】【洗浄】。
そして今はコンクリートみたいなのを尻尾を使って鼻歌歌いながらかき混ぜている。
あれ?私ってば順応してる?と思う。
まぁ、罰は今日だけの筈だ。
一日の休日だと思って壁修理を頑張った。
狐猫の小話
ロズベルト神殿長からダスド帝国に移ってたハミルトンです。
相変わらずです。
所でスマホアプリの猫の言葉翻訳って実際に信用できるんでしょうか?




