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狐猫と旅する  作者: 風緑
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第051話 狐猫と闇ギルド頭領?


 ララトイヤを旅立って10日が過ぎた。

 あれから更に二つの街で秘草の採取を行い、無事に済ませた。

 だが次の街、オルギアに向かう道中でそれは起きた。


「ミィィィィィィッ!!!」(こんの筋肉達摩!!!)

「ハハハ、やるな、白いの」

 私は白いひげもじゃのお爺ちゃんと尻尾と拳で殴り合っていた。


 どうしてこのような事態になったかは数十分前に遡る。


 ポクポクと進むシルバーとズィルバー、その背の上を交互にピョンピョンする私。

 後ろの馬車の屋根の上にはやっぱりセアラ【風魔導】を覚えても下りなかった。


 ポンポンと魔導を放って練習している。

 リーレンさんは諦めた様だ。

 うん、ゴメンと思う。


 そうして進んでいると大きな赤い点が【探知】さんに現れた。

 何時かの黒雷虎ブラックサンダータイガー並みだ、速度は遅いが、力の強さは匹敵する。


「ミィィ、ミミミィミィミミィミ、ミミィミミィミミミィ!」(セアラ、何か強いのが近付いてくる、時間を稼ぐから逃げてっ!)

 言うが早いか私は駆けだす。


「え?此処でそんな魔物が出る筈が…それは、まさか、待ってハクア、ハク――」

 聞いている時間は無いと【疾風】で走る。

 私が近寄って来る見るや赤い点は動きを止める。


 【探知】さんを持ってる?

 そして辿り着いた先で出会たのが――


【鑑定】『ガレスバーク・シュタイン、67歳、LV66。罪人、闇ギルド所属頭領、剛拳士』


 ――強い。

 ハッキリそう感じた。


 今まで会って知ってる中では最高【LV】だ、動きも年齢を感じさせない。

 しかも罪人で闇ギルドの頭領と来た。

 セアラを狙ってきたのか?と思う。


「ほう、強い魔物の気配を感じて来てみればまさかこんな幼体とは末恐ろしい。今、狩っておくか」

「ミィ、ミィィミミミィミミミミィィミィミミィィ」(何よ、このちっさいからって舐めないでよね)

 同時に相手に突進。

 先制の【猛烈爪攻撃】、躱される。

 反撃に振るわれた拳が衝撃波を生んで迫る、回避。


 続けて【超尻尾攻撃】三連、避ける所か殴り飛ばされる。

 ダメージはないがまさか素手で止められるとは思わなかった。

 見ると筋肉が隆起してごつくなってる。


 この筋肉達摩めと思った。

 次の瞬間、尻尾の一本を掴まれ地面に叩き付けられる。

 衝撃でクラクラするがこちとら【物理攻撃完全無効】持ちだ。

 ダメージは無い。


 此畜生と掴まれた尻尾の毛をハリネズミの毛の様に変化、手を貫くつもりで気力を込めたが察知して離される。


 【亜空間機動】。


 後ろに回っての【猛烈爪攻撃(纏い)】、少し血が散るが躱された。

 直後に衝撃、上空に吹き飛ばされる。


「【物理無効】持ちの様だが【真】属性は通るぞ」

 【物理無効】に気付かれた?イヤ、こちらは【物理攻撃“完全”無効】だ、大丈夫と信じる。


「【真撃拳】」

 直撃、ダメージは無い。

 負けるかと尻尾を腕に巻き付けて接近、【金綱牙攻撃(砕き)】噛みつきで生まれる衝撃波を口内に止めて砕く。


 初めてまともなダメージが入った。

 老人の肩に噛み傷が出来る。

 だが、強靭な筋肉に遮れ大したダメージにならない。


「ミィィィィィィッ!!!」(こんの筋肉達摩!!!)

「ハハハ、やるな、白いの」

 傷を受けたらテンションが上がったのか笑い出した。


 こうなったら至近距離から全弾を叩き込んでダメなら【SP】消費をと思っていた所で――


「ハクア止まって、ガレスバーク様、その子、ハクアは私の友人です」

 セアラが突然、止めに来た。

 え?と止まる私と「む?」と止まる筋肉達摩。


 あれ?この人、罪人で闇ギルド頭領とあるけど悪人じゃないの?

 私はキョトンとした。


 ガレスバーク・シュタイン結構な有名人らしい。

 何と元伯爵様で息子夫婦を政敵に罠に嵌められて失い復讐に政敵を一網打尽に、その結果で罪人落ち。

 罪には問われなかったが爵位と領地は没収、でも名前は捨てずに息子夫婦を失ったオルギアに居付いて同じような境遇の者を集めて闇ギルドを結成。


 オルギアでは周辺の危険な魔物を狩ったりしていて領主さんより人気らしい、此処の領主は何とあのガマガエル神殿長の親族らしく泊まれないのでガレスバークお爺ちゃんの家に泊まるそうだ。

 うん、不幸なすれ違いだった。

 向こうもこっちを従魔の環を持たない危険な魔物と判断して狩りに来たんだから、私悪くないと言って見る。


「すみませんでた、ガレスバーク様。ほら、ハクアも謝って?」

 ガレスバークの怪我を癒してからセリアが謝罪する。

 私にも謝れと強制して来る。


 しょうがないので謝る。

 「ミィィミィゥ」(悪かったわね)

 ふんぞり返って謝る。

 謝罪の態度ではない。


 セアラはもう…と、言う雰囲気だが、ガレスバークお爺ちゃんは豪快に笑う。


「ハハハハハ、良い、良い、此方も狩ろうとした身だ気にはせん」

 こうして見ると中々に気さくで良い人のようだ。

 こうなると親しみが沸く、少年漫画見たく死闘の果てに友情がとは言わないが気分は悪くない。


「しかしセアラ嬢も随分と力を付けた様だ。しかもこれ程の魔物を従属もさせずに手なずけるとは…」

 お、褒めてくれるのガレスバークお爺ちゃん、長いな、ガレスお爺ちゃんはガレスさんが居るからガー爺ちゃんでいいやと結論。

 尻尾を振り振りして答える。


「だが、だからこそ惜しい。この先の旅は更に苛酷になるだろう」

 え?と思う私とセアラ、ガー爺ちゃんの話が続く。


「現在、各地の闇ギルドにセアラ嬢の暗殺依頼が出ているらしい、家まで届いて突っぱねたがかなりの闇ギルドが動くだろう。依頼主は不明だ」

 ビックリした。

 この間の様な奴がまた来るのかと驚く。


 あの時は本当に運よく越えられただけだ、次もとは思えない。

 そんなのが次々と襲って来る?

 耐えきれる気がしない。


 セアラもなのか顔色が悪い。

 リーレンさんと騎士達もだ。

 どうしようと思う。


 アストラリオンに帰る?

 ダメだ、絶対にセアラが頷かない。

 加えてもしもそんな事態になればガマガエル神殿長が棒と鞭で叩きに来る。


 それは非常にムカつく、許せん。

 でもどうすれば?と考える。

 答えは出ない、私が一匹だけ強くても護り切れない。


 セアラが、リーレンさんが、ガレスさんが、騎士の誰かが、シルバーとズィルバー、馬の一頭も欠けるのは嫌だ。

 何とかしなくてはと思うが、答えが出ない。

 手段が浮かばない、弱った。


「しかし幸運だな道程を見るに数日、10日は余裕が有るだろう、此処で鍛えていけ指導してやる」

 おお、なんとこれは恒例の修行でパワーアップイベントと一匹、ワクワクする私。

 一方でリーレンと騎士さん達は動揺して―


「「「「「「「「「えっ?!」」」」」」」」」

 ―と、声上げる。

 顔色も悪い、何、そんなにヤバイの?と不安を覚える。


「時間が無いから詰め込みだ。スペシャルハードコースだ」

 リーレンさん含めて顔色が更に悪化、何だかヤバそうだ。

 私は自分で特訓しますとソーと離れる。


「セアラ嬢も強くなってるな、秘草採取を一日で終わらせて合流するように」

「ひゃ、ひゃい」

 セアラも動揺、久々にお〇らし聖女モードだ。

 私は更に離れる。


「そして白いのはワシだ」

 捕まる。

 逃げられない。


「直々に鍛えてやる。デラックスハイパースペシャルハードコースだ」

 なんか更に凄かった。

 寒気がする。


「ミミ、ミィミィミィミミィミミィミミ…」(いえ、私は自分でスパルタンな特訓を…)

 話すが通じないし止まらない。

 私は一匹でドナドナされて行く。


「後は任せる。オリバー」

「はい、旦那様」

 何時の間にか執事?秘書さんが立っていたこの人も強いと感覚で分かる。


 皆はそっちの人に案内されていく。

 私はやっぱり猫掴みでガー爺ちゃんにドナドナ。


「ミィミィ!ミィミミィミィ!ミィミィミィ!ミィミィィ!ミミィミー!ミィミミミー!」(セアラッ!リーレンさんっ、ガレスさんっ!皆っ!シルバー!ズィルバー!)

 叫ぶが誰も助けてくれない。

 私は一人だった。


 そこそこ森の奥まで来た。

 池が近くにあり滝が落ちてる。

 かなりの広場だ。


「先ずは【無効系】の技能を解け」

「ミィィミ?」(何で?)

「【無効】を貫通する【技能】は幾つもある。当たっても平気と言う心は油断と慢心、隙を生む」

 何で会話出来るんだろう?と思いながら渋々、【物理攻撃完全無効】【魔導攻撃完全無効】を封印。


「では掛かって来い」

 そう言われる。


「ミィミミ?」(いきなり?)

 私は驚く。


「実戦に勝る修行は無い」

「ミィミィミミミィ…」(でも怪我したら…)

「回復薬が有る」

「ミィッミミミィ…」(重傷だったら…)

「最高級もある」

「ミミミィミミ…」(死んだり…)

「手加減する」


 これ以上は引き延ばせない。

 女は度胸。

 行ったれと【疾風】で襲い掛かる。


 ワンパンされた。

 ワン〇ンマンだ。

 サイ〇マさんは最強だ。


 回復薬がぶっかけられる。

 覚醒する。


「次だ」

 己と飛び掛かる。

 今度は少し持った5秒。


 また回復薬。

 起きる。


「来い」

「ミィミィミミミィ!」(意地でも殴るっ!)

 私は頑張った。

 本当に頑張った。

 これまでのスパルタンな特訓が児戯なレベルで起ち向かった。


 尽くKOされる。

 何度倒されたか覚えてない。

 日もどっぷりくれた。


 真っ暗だ。


「今日は此処までだ」

 終わった。

 安堵する。

 傷は残って無いが精神的にはズタボロだ。


 歩き出したガー爺ちゃんについて歩く。

 足に何かが触れた。

 何?と思うと丸太が襲ってきた。


 慌てて回避―した先で今度は網に捕まる。

 何だコレは?


「言い忘れたがこの辺りには夜間だけ作動する魔物対策の罠が仕掛けられている。全て回避できる様になる事だ」

 そんなのあるのかと驚く。

 でも私には【亜空間機動】がある地面を踏まなければ安心。


「ああ、そんな【技能】を持って居たな。使用禁止だ。ちゃんと歩いてくる様に家はオルギアの中心にある一番デカい家だ。ではな」

 そしてさっさと歩いて行く。

 ちくせうと思いながら【亜空間機動】を解除、落とし穴に落ちる。

 ご丁寧に槍衾が敷いてある。


 殺す気か!


 どっぷり夜も更けた頃に到着。

 ごはーん、我が愛する狐猫をダメにする巣箱Mk-2よーと思いながら家に入る。

 夕ご飯、死ぬほどにまずかった。


 食べ物への冒涜だ。

 私の狩ったオークを此処まで酷くするとはどんな料理人だと思った。

 【技能】の【毒物耐性】【麻痺耐性】【石化耐性】を習得する為の料理だそうだ。


 【毒物耐性】【麻痺耐性】は何となく解るけど【石化耐性】を得られる料理って何だと思う。

 不味かったが我慢して食べた。

 お腹空いてたからね。


 早朝、まだ日が昇る前にガー爺ちゃんに起こされる。

 あんまり眠れてない。


「行くぞ」

 仕方なく付いて行く。

 昨日と同じ場所。


「来い」

 行った。

 そして逝った。


 またワンパンスタートだ。

 サイ〇マさんは強すぎる。


 こっちは昨日の疲れが抜けきらず、食事もマズイ、碌に寝れてないと三重苦なのに理不尽だ。


 回復薬がぶっかけられて覚醒。


「次だ」

 己っ!筋肉達摩めっ!と私は襲い掛かった。

狐猫の小話

ガレスバークさんはガレスさんの元主人で名前を貰いました。

だから名前が似ています。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは神の試練より厳しいかもわからんですよ。 神を目指さなくとも修羅のおじいちゃんですね。
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