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狐猫と旅する  作者: 風緑
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第049話 毒牙、暗殺者の正体?


 朝食前の日課のセアラとリーレンさんの訓練。

 リーレンさんが必死だ。

 どうやら私が試練を突破した事でセアラのステータスがまた伸びたらしい。


 数値は――


【名前】セアラ


【種族】人族ヒューマン・聖女


【位階】零


【LV】8 → 10


【気力】192 → 394


【理力】192 → 394


【霊力】197 → 405


【魔力】198 → 406


【SP】552 → 853


【技能】【杖術LV2】【杖技LV2】【気力操作LV2】【理力操作LV2】【霊力操作LV2】【魔力操作LV2】【気力探知LV2】【理力探知LV2】【霊力探知LV2】【魔力探知LV2】【火魔導LV1】【風魔導LV1】【福音LV5】【治療LV1】【加護LV1】【大結界】【絆】


【恩恵】【神眼】【光輝】【月光】


 ――だ、そうだ。

 【LV】10の数値じゃない。

 【技能】はまだまだだが秘草採取の任務で【SP】は増えている。


 下手をすればリーレンさんでも力押しで負け兼ねない。

 それでもどうにか捌いて勝利を得た。

 リーレンさんの【LV】も32から34に上がってるので頑張っている。


 負けるな、リーレンさん。

 だけどどうやら流れるステータスは【絆】を結んで互いに30、その後は試練で得たステータスの半分っぽい。

 30+50+100=180→200と上がっているからだ。


 【技能】も覚えられるようになって本当にセアラは強くなった。

 【試練】突破も近そうだ。

 頑張れ、セアラ、リーレンさん。


 私も私で自分の強化に手を抜かない。

 訓練を続けながら昨夜【SP】を振った【技能】を試す。


 振ったのは二つ。

 【呪視攻撃】と【空間機動】だ。

 【呪視攻撃】は【呪怨視攻撃】になった。

 試しに木に向かって放ったら木が枯れて崩れた。


 ヤバイと思って逃げた。

 流石は【呪】なんてつく攻撃、ホラーだ。


 【空間機動】は【亜空間機動】に最終進化。

 凄かった、凄すぎて今は秘密だ。

 きっと次の暗殺者との戦いで大活躍してくれる筈だ。


 楽しみに待っていて欲しい。

 そして訓練が終わって朝食になる。


 毒は入ってない。

 セアラ達のもだ。

 伝えて皆で食べる。


 安全だと分かっても気になって美味しく頂けない、残念だ。

 狙われていて危険だからと街には出ずに神殿で過ごす。


 大きさは違うが大神殿と同じだ。

 聖女候補生と一般人と孤児の学び舎もある。

 どちらでもセアラは大人気だ、一部だけ寄ってこない子も居るがそれはそれ、私も大人気、もみくちゃにされる。

 けどトラウマが刺激されてちょっと怖い。


 目に汗が溜まる。

 そう、これは涙でなく汗、決して怖くて泣いてないと断言する。

 泣いてないったら泣いてないのだ。


 しかし、折角の海の街、海の幸、捕れるか分からないけど挑戦すら出来ないのは悲しい。

 今日中に事件を解決したいとセアラ、リーレンさんと歩いているとふと視線に入る神官、此処に来た初日にリーレンさんが秘草を渡していた神官だ。

 鑑定結果は【鑑定】『ハイド、28歳、LV16。平民、ララトイヤ神殿神官、神殿長付き』とある。


 だが――


 【検索】さんの言った通りだなと思いつつハイドを見ながら私は二人と並んで歩いた。


 昼食後は昨日、事件を起こして謹慎になった女神官さんとオーレルさんに面会だ。


 女神官さんは必死に謝っていた。

 セアラは「貴方は巻き込まれただけで何の罪もない」と慰めて泣かれていた。

 こういう所を見ると聖女様だなぁと思う。


 最近はちょっとだけお転婆だけどね。

 私の所為では無いと自己弁護して置く。


 次は最重要参考人であるオーレルさんだ。

 セアラがコンコンとノックをする。


「はい」

 直ぐに返事が返って来た。


「セアラです。入ってよろしいですか?」

「せ、聖女様?!しょ、少々、お待ちください」

 声と同時にバタバタと音がする。

 きっと男の人の汚部屋何だろうなと察する。


 数分程で扉が開いた。


「どうぞ」

 オーレルさんの声に導かれてリーレンさん、セアラ、私の順で部屋に入る。

 部屋は思ったよりも綺麗だった。

 ちゃんと整頓されてる。


 汚部屋じゃなかった、何かを隠した?

 そう思ったが、先ず、間違いなくオーレルさんは今回の犯人ではない。

 何か見せられない物でもあったのだろう。


 例えば〇な本とか、等と私が思っている間もセアラとリーレンさんはオーレルさんへの疑惑を深めて見えた。


「聖女様、昨夜の件は誠に申し訳が、私はどうなっても構いませんので他の者は…」

 土下座せんばかりに頭を下げるオーレルさん。

 其処に嘘は全く感じられない。


「頭を上げて下さい、オーレル様。犯していない罪なら何ら問題はありません。堂々としていて下さい。大神殿がちゃんと調査をしてくれます」

 その言葉に泣き笑いの顔でオーレルさんは頭を上げて「ありがとうございます。聖女様」と言った。


「でもオーレル様、傷だらけですわね。何かあったのですか?」

 そう、オーレルさんは見えてる範囲でもかなりの傷を負っている。

 不思議に思いセアラが尋ねる。


「いえ、昨夜にトイレに行こうとしてボーとしていた為か階段で転んでしまい、お恥ずかしい話です」

 嘘だなと思った。

 階段で転んだなら打撲だ。

 だが、出来てる傷は裂傷だ。


 私の【猛烈爪攻撃】を連想させる。

 セアラとリーレンさんは更にオーレルさんに対する疑惑を深めた様だが私は違う。

 私の【猛烈爪攻撃】を喰らってこの程度で済むはずが無い。


 何よりあの逃げた男は平然としていた。

 躱したのか、【LV】ステータスが高いのか、防具が高性能だったのか、何かの魔導具か、兎も角、傷は無かった。

 オーレルさんをスケープゴートにする為に傷を付けたのだ。


 ムカつく。


 兎も角、傷だらけのオーレルさんが見るに堪えないのかセアラが「癒します」と言う。


「いえ、聖女様の手を煩わせる程では…」

「問題ありません。【月光】」

 セアラの【恩恵ギフト】【月光】が降り注ぎオーレルさんの傷を塞ぐ。

 治療されたオーレルさんは「ありがとうございます。聖女様」と、礼を述べる。


「代わりと言っては何ですがここ最近でおかしな事はございませんか?どんな些細な事でも良いのです」

「おかしな事ですか…」

 セアラに言われてオーレルさんが考え込む。

 そして「そう言えば…」と話し出す。


「最近、偶に意識が無い事が有ります。新天地に来た影響と思っておりましたが…」

 ふぅん、意識がないか…なるほど。


 話は終わって私とセアラ、リーレンさんはオーレルさんの部屋を後にした。

 オーレルさんは何度も頭を下げていた。


 しかし参ったなーと思う。

 此処で私が「爺ちゃんの名に懸けて!お前が真犯人だっ!」と言うのは容易いが私は喋れない。

 ならばセアラに話て「真実は何時も一つ!貴方が犯人ですねっ!」と言って貰うしかないが残念ながら証拠が無い。


 因みに私は真実なんて正義と一緒で人の数だけあると思ってる。

 本当に唯一絶対なら竹島とか北方領土がとっくに日本へ戻って来てる筈だからだ、私は今は異世界だしどうでも良いけどね。


 だけど犯人、動いてくれないかなー、今、其処に居るけどと眺めつつ夕飯をむしゃむしゃ食べていると事態が動いた。


 食堂の入り口に誰かが立つ、髪はぼさぼさで目は血走り、口からは涎が溢れている。

 正気じゃない。

 よく見るとオーレルさんだ。


 でも鑑定が通った。

 指輪をしてない。


【鑑定】『オーレル、31歳、LV26。平民、ララトイヤ神殿長。注意:狂乱』


「ミィミ!ミィミミィミミィミィミミ!」(セアラッ!オーレルさん狂乱状態!)

「えっ?!」

 驚くセアラに向かって飛び掛かるオーレルさん。

 寸前で「聖女様っ!」と間に入るリーレンさん。


 素手での二人の取っ組み合いが始まる。

 ステータスが1.5倍になっていてもやっぱり【LV】も【技能】も勝っているのかリーレンさんが優勢だ。


 私は一応傍で待機、セアラはその場に居た神官と女神官を【大結界】で護りつつ、オーレルさんに【月光】を掛ける。

 リーレンさんが抑え込んでたオーレルさんが「?こ、此処は?!」と正気に戻る。


 おいい、【月光】そんな事迄も可能なのか?!

 なら水晶大亀アルケイロンに使ってればと思うが、あの時は室内に【狂乱草】の煙が充満してたから解けても一瞬、外に出てからは距離がありすぎて射程外だったんだろう。


 しかし、事態がこう動いたならと【思考跳躍】発動、スローになる世界。

 オーレルさんが正気に戻り拘束を解くリーレンさん、【大結界】を解除するセアラ、自由になる神官と女神官、其の中で唯一人、セアラの背後に迫る影、手には紫に染まった毒牙、此処からでは【疾風】でも間に合わない。


 だけど、やはり来たっ!と悟った瞬間、私の姿は足元に吸い込まれて消えた。







 オーレル様が襲ってきた時は驚いた。

 直ぐにハクアが【狂乱】状態だと教えてくれてリーレンが相手をしている間に【大結界】で神官の皆を護り【月光】を使い【狂乱】を癒せるか試した。

 結果は成功した。


 オーレル様は正気に戻り、リーレンも拘束を解く。

 私も【大結界】を解除、神官の皆がオーレル様を心配して駆け寄って行く。

 疑ってしまったが、やはり悪い人では無いと思えた。


 次の瞬間、ゾクリと背筋を何かが走った。

 振り返る。

 此方に向かって紫の凶刃を向ける男性神官。


 【大結界】と思うが過去のダスド帝国の騎士の聖女一位へのそれではなく生まれて初めて明確に人から私個人へと向けられた殺意に脅える。

 展開が間に合わない。

 助けてっ!リーレン、ハクアッ!そう願った瞬間、地面から白い輝きが飛び出し男の腕ごと刃を斬り飛ばした。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「ミィーーーーーーーッ!フシャーーーーーッ!!」

 舞い上がった血を私達が被らない様に尻尾で吹き飛ばした後、男を威嚇するハクア。


 私はまたハクアに助けられた。




 



 ふふふ、見たか【空間機動】の最終進化【亜空間機動】。

 これは視界内限定だが展開できる10枚の足場を自由自在に出入り出来る【技能】なのだ。

 加えて【空間機動】と同じ利用法も可能、素敵過ぎる。


 【SP】100の価値はある。

 そして目の前の男も右腕を【猛烈爪攻撃(纏い)】で切り飛ばされ【鑑定偽装】の【魔導具】を失ったのか、【鑑定】結果が変わる。

 【鑑定】『ハイド、28歳、LV52。罪人、闇ギルド所属A級暗殺者、毒使い』


 【検索】さんが『ソシテシンデンチョウノウシロニイタオトコハレベルニクラベテツヨクミエマシタ』と教えてくれたお陰だ。

 後でご褒美を奮発しよう。

 夕張メロンキャンディーだ。


 アレが無ければきっと私もオーレルさんを疑っていた。

 我が心の友は優秀だ。

 ハイドは逃げようとするがその前にまた私が【亜空間機動】で転移する。


 窓を見る。

 その前に転移。

 逃がさんよ、さあ、とっ捕まって洗い浚い喋って貰おうか!と踏み出す。


 ハイドは私を倒さないと逃げられないと悟ったのか腰から薬を取り出し失った右腕に掛けて残りを飲む。

 右腕が元に戻る。

 最高級の回復薬だな。


 そして両手にナイフを握る。

 二刀流か、面白い、やってやる。

 三本尻尾に気力と理力を纏わせ輝かせる。


 毒が付与されたナイフの様だが、今の私のステータスなら抵抗レジスト出来ると【探知】さんで解る。

 そして打ち合いが始まる。

 【超尻尾攻撃】巨大化したり、細く、鋭くなり、時に巻き付こうとする尻尾をハイドは必死に避ける。


 これは【試練】受けてなかったら負けてたかもと思う。

 流石はLV52だ。

 一筋縄ではいかない。


 でも、時間の問題だ。

 遂に【超尻尾攻撃】が腹部を殴打する。


「がふっ!」

 続けざまの連打、吹き飛ばされ壁に叩き付けられるハイド。


 与えたダメージは大きい、もうそれ程は動けないだろう。

 さあ、お裁きの時間だ、全部喋って貰おうかと尻尾を揺らしながら近付く。


 正直、気絶させるつもりだったけど何か興奮剤見たいな物でも使ったのかまったく気絶しない。

 なら尻尾でグルグルだ。


 そう思っていたら自分の顔を布で巻いて懐から何かを取り出した。

 って、あれは【狂乱草】?!

 私を暴走させる気か?


 【並列思考】の一つを汚部屋にすれば耐えられるけど、神殿に蔓延したら一大事だ。

 まず何処かで死人が出る。


 仕方ない。

 諦めよう。

 私は【疾風】で駆けてハイドの首を【猛烈爪攻撃(纏い)】で斬った。


 人を殺すのは久々だ。

 しかもセアラの見ている前ではダスド帝国の騎士以来の二度目だ。

 また恐がられるかな?イヤだな…と思いながら私の爪は人の命を奪った。

狐猫の小話

【試練】を受けていなければ間違いなく敗北でした。

【LV】52は伊達では無いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] そこまでの使い手になっても闇からは抜け出せない。本当に深い。
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