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狐猫と旅する  作者: 風緑
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第046話 山登りと海の街?


 旅に出てもう直ぐ一月を過ぎる。

 全部で六つの街を回った。

 予定より早いペースだ。


 最初のカンタコンペでの道程の乱れも、もう問題ない。

 残り二ヶ月掛かる道のりもこのペースなら短縮出来そうだ。

 そんな中で遂にセアラがやった。


「やりました【火魔導LV1】を覚えましたっ!」

 おおーと皆がパチパチと拍手を送る。

 私も肉球をポフポフする。


 だが、内心は悔しさで一杯だ。

 くうぅ、先を越されてしまった。

 このままでは【風魔導】も先に覚えられてしまうかもしれない。


 私ってばリーレンさんが言ってたように全裸である筈なのに、アレか?体毛が服判定なのか?

 それならばどうしようもない。

 実際に風を感じれば覚えられるなら空を【空間機動】【疾風】で駆けて何度も受けている。


 やはり魔物は【魔導】を覚えられないんだろうかと考えだした。

 こうなれば次の試練の時に取ってやると決める。


 そして野営を終えて馬車は進んで行く。


 次に訪れる街はちょっと特殊らしい。

 街に入る前に秘草採取していく。


 街の道中にある山に秘草が生えているらしい。

 だから先に採って行く。


 加えて街も特別、テレスターレ聖国の海の玄関だそうだ。


 海!

 お魚!

 海産物!


 心が弾む、どうやったら捕れるかな?と考える。

 私が海辺に立つだけで襲ってくるような阿呆な魚は居ないだろう。


 あの川魚である大魚ラーギッシュくらいだ。

 望みはしない。


 方法を考えながらも私はシルバーとズィルバーの間をピョンピョン。


 ズィルバー、次の街には港があるそうだ、新鮮で美味しいアッポーを買おう。

 おお、シルバー、きっと美味しいニンジーもある筈だ、探して来よう。


 そんな私とシルバー、ズィルバーの引く馬車の屋根の上にはやっぱりセアラ。

 今はクッションとか置いて寛いでいらっしゃる。


 間違っても当然に立ち上がって「おーっほっほっほっほ」とか高笑いしだす様になったら私は泣く。

 そんなのセアラじゃないと、リーレンさんは馬車の中で諦め顔、ホントにゴメン。


 そして【千里眼】の視界に山が見えてくる。

 あれが秘草を採取するラーラー山。

 それを越えた先が港町ララトイヤ、次の街だ。


「【風魔導LV1】も覚えましたー!」

 そう言って私の両手を持って嬉しそうにクルクルと踊りだすセアラ。

 皆がまた拍手を送る。

 特にリーレンさんは嬉しそう、これでセアラを馬車の屋根にチョコンさせなくて良いと考えてるに違いない。


 そんなに上手く行くかなぁと私は思うが、兎も角、これでセアラの素質のあった【魔導】はコンプリートだ。


「ミィミミィミ、ミィミミィミミゥィミ!」(やったね、セアラおめでとう!)

「はい!ありがとうございます。ハクア」

 まだクルクル踊るセアラ。

 振り回される私。


 口ではこう言ってるが内心はガッデム!完璧に負けたーーっ!悔しいーーっ!!である。


 ふっ、しかしまだまだ【技能】の量、質共に私に分がある。

 コレで勝ったと思わぬ事だ同じく世界の頂を目指すライバルよと考える。


 負け惜しみだ。

 ちくせう。


 因みに今居るのはラーラー山の麓の野営地、今夜は此処で寝て、明日の朝から徒歩でラーラー山を秘草採取しながら登り、山頂で一泊、翌日にまた下山しながら一日掛けて秘草採取してララトイヤ入りだ。


 セアラは早速、覚えた【火魔導】と【風魔導】をポンポン放って練習している。

 羨ましく見守る。


 此処は覚悟して狐猫の丸焼きに挑戦すべきか結構、本気で悩む。

 悩んだが、止めた。

 死ぬ未来しか見えない。


 しょうがなくコツコツ頑張る。

 うん、セアラは11年も頑張ったのだ、此方は生まれて7ヶ月の狐猫だ。

 努力の次元が違う。


 私は黙って焚火を見つめた。

 セアラは楽しそうに【魔導】を使っていた。


 翌朝、賢カッコいいシルバーとズィルバーに馬達を任せて先行させて私達は歩いてラーラー山を登る。

 登り出して直ぐに秘草を見つける。

 早速、セアラが採取し様とした瞬間――


「!ミミィ!」(!ダメッ!)

 私がセアラの手を弾く。


「え?ハクア?」

「どうしました?」

 突然の私の行動に驚く、セアラとリーレンさん、ガレスさん達、其処に私の声が響く。


「ミミィ、ミミミィミミィミミミミ!」(セアラ、この秘草は毒が掛けてある!)

「え?!毒?!」

 セアラの言葉に反応する皆、顔は驚愕で一杯だ。

 だが、【鑑定】は嘘を言わない。


【鑑定】『ラーラー山の秘草。ラーラー山産、ララトイヤの冬の病気を治すのに有効。価値銅貨5枚。注意:猛毒大蛇デッドリースネークの猛毒付着、皮膚からも侵入。死亡危険度大』


「まさか、秘草に毒だと?」

「聖女様を狙ってか?」

「それも大問題だがどうするんだ?毒が付いた秘草なんて…」

 騎士さん達が大混乱だ。

 私もどうしたものかと思う。

 病気の為に秘草は必須だがこんな触るだけでも死亡危険度大なんて秘草は使えない。


「聖女様…」

「大丈夫、浄化します。【月光】」

 リーレンさんが心配そうに見る中でセアラが周囲一帯の秘草に【恩恵ギフト】である【月光】を掛ける。

 【鑑定】の注意が消えていく。

 毒が消滅した。


 凄いな【月光】こんな事迄出来るのか万能じゃないかと思う。


「ハクア、また毒の付いた秘草が在ったら教えて下さい」

「ミミィ」(任せて)

 私は請負、セアラは秘草の採取を行った。


 その後、山頂まで数ヵ所で秘草を採取したが三ヵ所に毒が撒かれていた。


 完全にセアラを狙ってるな、何処のどいつだ此畜生と思う。


 シルバーとズィルバー、馬達と無事に合流し襲撃者を警戒しながら私とセアラ、リーレンさんは眠りに付いた。

 襲撃は無く全員が無事に朝を迎えてシルバーとズィルバー、馬達も一緒に山を下りる。

 下山中の秘草に毒は無かった。

 ララトイヤは安全――って、事かなと思う。


 何にせよ警戒は解かない。

 慎重に行こう。


 ララトイヤの領主は公爵様なのでお気軽に泊りには行けない。

 代わりに結構な大きさの神殿があるのでそちらに泊まる。

 秘草も預ける。


 ガレスさん達は専用の宿舎があるのでそちらだ。

 三日後の再会を約束して別れる。


 久々に二人と三匹で街を歩く。

 歩くと言っても私はセアラの手の中だ。

 人通りが多くて踏まれるからだ。


 しかしこうして歩くとシルバーとズィルバーが目立つ、皆の目が釘付けだ。


 アストラリオンでも最初はこうだったなぁと思う。

 大神殿では私が色々やらかすから耐性出来たのか素早く受け入れられたけど、此処ではそうも行くまい。


 ゴメンよ、シルバー、ズィルバー今日から三日間窮屈させるけど我慢して欲しい、代わりに全部が終わったらまた全力で走らせて上げるね。


 そう言うと大丈夫と言うように二頭が擦り寄って来る。

 うん、やっぱり可愛い。

 等と思っていたら「おい、其処のお前っ!」と声が響いた。


 セアラが振り返ったので自然と私の視界にもその人物が目に入る。


 おお、鬼人オーガだ。

 肌が赤い。

 角も生えてる。

 後、超デッカイ、2メートル楽に越えてる。


【鑑定】『アズマ ショウ、54歳、LV47。戦士、鬼人オーガ二等民』


 名前が漢字、懐かしい。

 服装も和風、だけど腰に刀は差してない。

 【LV】も高いがリフレイアさんの様な強者の気配を纏っていない。

 明らかに私より弱い。

 歳も54とあるけど若々しい、20代に見える。

 でも、二等民って何だろ?貴族見たいな者かな?


『オーガハオヤノツヨサデトッキュウミンカラダイヨントウミンマデクベツサレマス。テキゼントウボウヤドウシウチナドハンザイヲオカセバサイカイノダイゴトウミンニオトサレマス』


 おお、【検索】さんナイス情報、何時も話てるのに何だか久々だ。

 ご褒美は危険な遊びが出来るポッキーだ。


 そして後ろに青肌、黄肌、黒肌の三人の鬼人オーガが控えてる。

 もう一色揃えば戦隊ヒーローだ。

 惜しい。


 東尚は無遠慮に寄って来てジロジロとシルバーとズィルバーを眺める。

 何の様だろ、コイツ。


「何か御用ですか?」

 セアラが尋ねる。


「随分と人に慣れた戦闘馬バトルホースを連れてるな、何処の氏族に貰った?」

 シルバーとズィルバーがイヤがる様に身を背ける。

 うん、同感だ、伝説の、憧れのSSS級の終焉アポカリプスの魔物、八岐大蛇ヒュドラカムナギを封じたと言う鬼人オーガとの初遭遇がコレってやだ。


「何処の氏族に貰ったモノでもありません。ジュラ大森林で私の友が友誼を結んだ友人です」

 堂々と言い切る。

 瞳に脅えは無い。


 うん、流石セアラだと思う。


「野生の戦闘馬バトルホースか、なら一頭金貨五枚、金板1枚だ売れ」

 その言い様に怒りが浮かぶ。

 何だコイツはと思った。

 シルバーとズィルバーは売り物でない。


 セリアも同じだ。

 怒りが見える。


「売れません、この子達は大事な友人です」

「なあ、聖女さん、悪い事は言わない、更に金貨4枚、それで最後だ」

 近くを歩いていた人々が段々と離れスペースが出来る。


 話を聞いてるとコイツは結構な嫌われ者な様だ。


「…またか…」

「今度の犠牲者はあの方か…」

 等と声が聞こえる。


「聖女さん、力尽くで【従魔証】を奪ったって良いんだ。身の程を知れよ?」

「ミィ(やる)」

 言ってセアラの手から飛び降りる。


「分かりました。ハクア、お任せします」

「ミァミゥ」(任された)と答えて鬼人オーガ擬きの前に立つ。


「なんだ?聖女さんが立つんじゃないのか?」

「ええ、この子達の主人はこのハクアですから」

 それを聞いて鬼人オーガ擬きが鼻で笑う。

 

綿猫ファトラ幼生なんぞ、殺される前に諦めて―」

 その顔面に【超尻尾攻撃ジャブ】を二連発喰らわせる。


「ぐっ、貴様っ!」

 本気になった様だが遅い。


超尻尾攻撃ジャブ】!【超尻尾攻撃ワン・ツー】!!【超尻尾攻撃フック】!!!【超尻尾攻撃アッパーカット】!!!!トドメに渾身の三本の尻尾を束ねた【超尻尾攻撃ストレート】!!!!!


 等々、三本になっちゃった尻尾は鬼人オーガ擬きを殴りまくる。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 そしてトドメの一発で気絶、ピクリともしなくなる。


「わ、若頭ぁぁぁぁっ!」

「早く治療をっ!」

「お、覚えてやがれっ!」

 いいえ、忘れます。

 本で読んだ真に熱い漢である鬼人オーガとの初遭遇がこんなの何て最悪です。

 書き直しの為に忘れます。


 そう伝えるが当然「ミィミミィ」としか聞こえない。

 鬼人オーガ擬きは配下らしい三人に抱えられて去って行った。


 全くと思っているとセアラが「お疲れ様ハクア」と抱き上げてくれる。

 全然疲れてないよーと伝えようとした所で周囲から歓声が上がった。


「よくぞあの迷惑な奴を倒してくれた」

「可愛い、素敵、私も抱きたい」

「この戦闘馬バトルホースも綺麗、カッコ良い」

「聖女様も可愛い、ハァ、ハァ」

 人が急に集まって大混乱だ。

 よっぽどあの鬼人オーガ擬きは嫌われていたらしい。


 後、最後の人、危ないから家のセアラちゃんに近付かないで!


 思っていたよりずっと早くにララトイヤの人達に受け入れられた。 


 そんな感じで賑わいの中を抜けてやっと私達はララトイヤの神殿に辿り着いた。

狐猫の小話

秘草の毒を消した【月光】ですが、水晶大亀アルケイロンの狂乱も消せました。

でも洞窟内は煙が充満していて解けても一瞬、外では射程外で使えませんでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 持っててよかった探知と鑑定。 同じ分野を競うのもいいですけど、違う分野で助け合うのも大事ですね。 [一言] 港はいろんな物を運んできます。良いも悪いも。
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