第045話 急成長と魔導の訓練?
「では聖女様には御復習いの御復習いになりますがもう一度、【気力】とは何でしょうか?」
セアラが【LV10】で試練を受ける為の【技能】の勉強はあの日から続いている。
私はセアラが「ハクアは特別ですから」と言って一緒に授業を受けさせてくれている。
私の【LV】と【SP】、【技能】はリーレンさんにも秘密らしい、言ってくれても良いんだけどなと思うがセアラがそう判断したなら従う迄だ。
そしてセアラが回答する。
「はい、【気力】はプラーナとも呼ばれる体の中を巡る力です。攻撃力の向上、身体能力の向上を行います」
セアラが答える。
大体、予想通りだ。
推測は当たっていた様だ。
「その通りです。これを十全に扱う技能が【気力操作】、周囲や他人の【気力】の流れを【感知】して【操作】を補佐するのが【気力感知】になります」
成る程【気力感知】は【気力操作】の補佐もしてくれてると、2つで1つな1セットな技能何だなと思う。
お陰で色んな技を開発中だ。
今後も頑張りたい。
「次は【理力】です。聖女様」
おっと、話が進んだ聞かねばと思う。
「はい、【理力】はオーラと言われ体を覆う力です。鍛えれば防御力、魔法耐性、状態異常を防いでくれます」
防御力が上がるのは知ってたけど魔法耐性と状態異常も防いでくれるのか、それは頼もしい。
「そうです。【理力操作】は【気力操作】と同じですが、【理力感知】は少し違います。これは周囲や他人の【理力】の流れを【感知】して【操作】を補佐するだけでなく星を流れる、【地脈】の力を借りて強化する事が可能です。同じ事が【霊力】の【霊脈】と【魔力】の【龍脈】に当たります」
そんな事が可能なのかと知った。
今度、【探知】さんに探して貰って試そうと思う。
出来るか問題だけど、多分、何とかなるだろう。
因みにこの星の名前はセバで地球よりデッカク見える月がムート、遥かに小さな赤い月がムーレム、『眠れるムー』と言う名前だそうだ。
恐らく魔物についての最後に載っていたEX級、神話の魔物である鎮魂曲ムーが封印されていると言う月なのだろう。
絶対に目覚めない事を祈る。
断じてだ。
「次が【霊力】でチャクラとも呼ばれる力を体に取り込む穴を作る力。7カ所あると言われて取り込めば魔導の持続時間と効果、精度、操作力など補佐的な制御力を上げるという」
セアラが先に答えてリーレンさんが「はい」と答える。
ふーん、と思う。
よく分からない地味そうだが重要だ。
制御の大変さは【疾風】で身に染みている。
魔導じゃないから【霊力】上げても効果が無さそうだけどな。
「最後に【魔力】ですが、コレもご存知ですね?」
リーレンさんが言うとセアラが「はい」と言って説明を始める。
「【魔力】は己の魂から溢れる力でソウルとも呼ばれます。魔導の威力、破壊力と使える回数に直結します。そして私の【恩恵】である【神眼】に最も強く見えるモノです」
魔導の攻撃力になるのか、でもやっぱり回数制限はあるんだな。
だけど私の魂は馬鹿デッカイから威力とかすごそうだ。
『それはメラ〇ーマでは無い、メ〇だ』とか出来そうだ。
やはり、魔法――魔導は夢だ。
夢が広がる。
序でに私が今、唯一使える【空間魔導】だが【LV3】は【空間固定】で足場を作る様な物だった。
しかし私には高性能な【空間機動】がある。
態々、詠唱して足場を作ってると落っこちる。
没だ、次こそ期待だ。
頑張れ、四番目の【並列思考】よ、ご褒美は手が汚れずにサクサク食べられるチップスターだ。
だけど、セアラの【神眼】は相手の魂を主に見るのか、私の魂は自分でも驚く程だったからそれは怖いか、何となく納得だ。
取り合えず回答は終わった。
リーレンさんが満足そうに頷く。
「それでは実践です。瞑想して自身の力を把握して下さい」
そして私とセアラは瞑想を始める。
既に覚えてる私の【気力】【理力】【霊力】【魔力】の流れはスムーズだ。
日々の練習の成果である。
リーレンさんが驚いている。
【気力探知】等で流れを把握しているのだろう。
一方でセアラは一朝一夕にはいかない。
「うん、うん」と唸りながら【操作】系の【技能】を得ようと頑張るが上手くは行かない。
結局、この夜は私の【技能】【LV】も上がらず、セアラも習得出来ずに過ぎて行った。
翌日の朝、ご飯前に日課のセアラとリーレンさんの訓練が行われる。
私も眺めながら【技能】の強化、ガレスさんも素振りだ。
練習試合をしていたセアラとリーレンさんの間で突然、「あっ!」とセアラが声を上げて其処から少し杖を振るう動きが速く鋭くなる。
試合が終わると嬉しそうに私に近付いてくる。
「やりました、ハクア。【杖術LV1】と【杖技LV1】を覚えました」
「ミミ、ミィミミミィミィ、ミミミィミィミィミ」(おお、一気に二つも、おめでとうセアラ)
今迄、【技能】を覚えられなかったセアラが遂にと思うと感慨深い。
【LV】のUPと言い【技能】【絆】にはその辺りのボーナスがあるかも知れない。
今夜はお祝いだ。
危険猛牛を出すか?と思うが此処の料理人さんの腕前では素材を生かし切れないだろう。
猛牛で我慢だと思う。
そして朝食を食べたら秘草採取に出発だ。
スイルの側にある森、名前はまんまスイルの森だ。
町と同じで小さい。
魔物も弱い。
でも一応は油断しない。
進んで行く、秘草の群生地を見つけて三分の二を採取。
次の群生地へと進む。
そうして上がったセアラのステータスも有ってかたった1日で必要量以上の秘草を採取出来た。
秘草の確保が済んだので予定を繰り上げて明日を休みにして明後日出発になった。
今夜は色々とお祝いの猛牛だ。
牛さんは美味しい、皆が食べる。
勿論、シルバーとズィルバーにもニンジーとアッポーを持って行く。
そして夜の瞑想の時間。
「なんだかコツを掴んだ気がします」
そう言ってセアラは何と一気に【気力操作LV1】【理力操作LV1】【霊力操作LV1】【魔力操作LV1】【気力探知LV1】【理力探知LV1】【霊力探知LV1】【魔力探知LV1】の8個を覚えてしまった。
ビックリだ。
リーレンさんも驚愕している。
このままでは本当に追い抜かれるかも知れない。
私も頑張った。
【技能】の【LV】が上がった。
まだ面目は保てる様だ。
ホッとした。
翌日は休憩だけど移動中に馬車の中で休めるセアラとリーレンさんは普段通り訓練する。
私は勿論。
ガレスさんも何故か特訓してる。
そして普段の訓練が終わり、朝食を食べた後、ワクワクで尻尾を振り振りして座る私と同じようにちょっとだけ落ち着きが無いセアラが座る。
「それでは魔導の訓練を始めます」
リーレンさんが言った。
待ってました!と私の心が躍る。
セアラもドキドキしているようだ。
「まずは此方です」
【魔導袋】から小さな箱を取り出した。
中身は何だか箱庭みたいだ。
何だろう?と思う。
「これは個人個人の【魔導】の適正を調べる【魔導具】です。聖女様、触れてみて下さい」
言われてセアラが箱に触る。
中の箱庭で火が生まれ、風が吹き、雷が落ちて、炎が舞い、嵐が起きて、光が満ち、空が晴れて、神々しい光が溢れる、そして中の風景が何だかユラユラと揺れる。
何だか凄かった。
セアラもビックリしている。
「どうやら聖女様は火と風の属性が強いようですね」
リーレンさんがそう結論した。
何でも【魔導】は試練でも獲得出来るが夫々に素質が違い、素質が無い【魔導】を取ってしまうと【LV】を上げるのに凄い苦労したり大量の【SP】を必要とするそうだ。
私はどうだろうとリーレンさんの目を盗んで触ってみる。
セアラより更に凄かった。
火が出て、水が出て、土がボコボコして風が吹いて、火炎が吹いて、水流が押し流して、大地が隆起して、暴風が吹き荒れる。
光が溢れ、ピタッと全部が止まったり、闇に染まって、空が青くなって、木が育って、雷が落ちて、爆発が起きて、その後が治って、吹雪が吹いて、砂埃が舞う。
全部が白くなったと思ったら逆に黒くなって何もかも消えて次にはペチャンコになる。
更に眩しい光が満ちて、景色がユラユラして、深い深い穴が出来て、突然に全部が消えたり現れたりする、そして何事も無かったように元に戻る。
訳が分からなくて滅茶苦茶だ。
うん、私は何も見なかったと決めて踵を返す。
リーレンさんが不思議そうにこっちを見てたが気のせいだ。
「【魔導】の訓練は夫々の属性を身近に感じる事からです。ますは火に当たる様にしましょう。『わが手に生まれよ、小さき火の子、【種火】」
傍に積んであった薪にリーレンさんが火を点ける。
まだまだ秋の入り口で寒くは無いが心地よい暖かさだ。
もう少し近付くと熱いだろうけれども。
「習得迄は大体、どのくらいの時間が掛かるのでしょうか?」
セアラが火に当たりながら尋ねる。
「才能が有って約一月ですね。私は二ヶ月掛かりました。……お勧めは出来ませんが無理をすれば一週間も可能です」
一ヶ月程か、先は長いなと思いながら凄く言い淀んだお勧めしない方法って何だろう?と思った。
「無理をすれば一週間ですか、どのような方法なのですか?」
セアラも気になったのかリーレンさんに尋ねる。
「……実際に体を燃やします」
「え…」
「ミ…」(え…)
返答に私とセアラが唖然とする。
「……傷薬、回復薬を大量に準備して体に火を点けます。より強く火を感じられ習得が早まります」
「絶対に無理ですね」
「ミィミミミィミミミィ!」(狐猫の丸焼きなんてNO!)
揃っての拒否に当然ですよねと言う顔をするリーレンさん。
「因みに【風魔導】の場合は全裸で風を感じ走り回ります」
「断固拒否ですっ!」
「ミィミミィミミィィミミミ」(私は元から服なしだから平気ね)
顔を真っ赤にして拒否するセアラと平然な私。
まあ、前世が人間でも今は魔物だしね。
でも【風魔導】の習得は早いかもと思った。
パチパチと火が弾ける音を聞く。
暖かく、でも激しく、優しく、恐い火の力。
人に必須でだけど扱いを誤れば危険なモノだ。
それを身近に感じ、少しでも習得を早めようとする。
ジッと赤い輝きを眺め続ける。
「午前中は此処までですね」
その言葉にハッとして私とセアラが顔を上げる。
随分と集中して見ていた。
もうお昼な時間かと思う。
水が掛けられて火が消える。
「午後からは【風魔導】です。貴方の戦闘馬をお借りしていいですか?」
「ミィィゥミ」(勿論)
問題ないと頷いて私とセアラ、リーレンさん、ガレスさんは昼食に向かった。
シルバー、今日は久々に全力疾走だ、楽しもう。
ズィルバー、今日はゴメンよ、次の機会には君に乗るからね?
私が二頭にそう伝えると揃って「「ヒヒーン」」と鳴いてくれた。
やっぱり可愛い。
「では行きます」
リーレンさんの言葉でズィルバーが走り出す。
シルバーも走り出す。
戦闘馬はおっきいのでリーレンさんはギリギリだ。
セアラは私が【超尻尾攻撃】で支えてる。
最初は高さに少し脅えたセアラだが走り出して少ししたら落ち着いた。
「ふわぁ……」
セアラから感嘆の声が上がる。
遠くまで見える風景、感じる風、体を揺らす振動、全てが心地よい。
でも、まだまだだ。
はいよー、シルバー。
速度が更に上がる。
駆ける。
走る―奔る―趨る―疾る。
風だ。
風を感じる。
吹き抜けていく涼しさ、空気を裂く心地よい感触、漂う何処からか運ばれた花の香、広がる美しい光景、世界が感じられる。
そして私達はシルバーとズィルバーが満足するまで風を受けて走り続けた。
よーし、よし、よし、良く走ってくれたシルバー、ご褒美のニンジーだ、沢山、食べて良い。
ズィルバーもお疲れ様、ありがとう、次の機会にはまた頼むぞ。
ズィルバーにはセアラがアッポーを与えている。
馬車には乗っても直接、馬に乗ったのは初めてなのかちょっと興奮気味だ。
リーレンさんに色々と話しかけている。
【風魔導】の訓練だったけど楽しんでくれたなら幸いだ。
そして夕ご飯を食べてまた寝るまでは【技能】の特訓。
翌日、私達は出発した。
スイルの町を出て暫く、私は最近の定番、シルバーとズィルバーの背中を行ったり来たり、リーレンさんは馬車の中、そして何故かセアラは馬車の屋根の上だ。
【風魔導】の風を受ける訓練だそうだ。
リーレンさんはハラハラしている。
セアラはそんなのどこ吹く風で心地よさげだ。
どうしよう、セアラがお転婆になってしまった。
私の性か?
悩む、でもどうしようもない。
諦める。
そんなセアラも可愛いから良しっ!
そんな変化を起こしながら私達の旅は続く。
狐猫の小話
セアラがちょっとお転婆になってしまいました。
リーレンさんの胃が心配です。




