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狐猫と旅する  作者: 風緑
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第043話 天罰覿面と回避していた危機?


「ミィィィミミミィミミミィミミミ」(本当に申し訳ございませんでした)

 言いながら土下座――ならぬ狐猫座する。

 現在、セアラとリーレンさんから絶賛、お説教の最中だ。


 御者だった騎士さんは無茶をさせた馬車の補修に行ってる。

 シルバーとズィルバーは馬屋でご飯中だ。


「本当に反省していますか?」

「ミィィ、ミィミミミィミ」(はい、それはもう)

 更に狐猫座を深くする。

 もう、地面にめり込んでいる。


「なら許します」

「ミィー」(ははー)

 やっとお許しが出た。

 体験史上過去最長のお説教だった。

 しかもセアラを此処まで怒らせたのは初めてだ。


 そもそもセアラにお説教をされるのも初だけどね。

 しかし、やっとお許しだ。

 ふう、やれやれと顔を上げる。


「但しっ!」

 ビシッとセアラの指が私を指し示す。


「ハクアの今日の夕ご飯は抜きです」

「ミィ、ミィィミィミ?!」(にゃ、にゃんですと?!)

 激震である。

 大ショックである。

 考えてみれば大爆走に浮かれて今日はお昼も食べていない。

 二食抜きは痛すぎる。


「ミ、ミィィミィ…」(そ、それだけは…)

「反省は?」

 ニッコリと微笑みながらセアラは言った。

 将来が大変有望な非常に可愛い笑顔だが私にとっては鬼の笑顔だ。

 最早、抗う術は無かった。


「……ミイ」(……はい)

 私は罰を受け容れた。


 かーなーしーみーのー、ごーはーんーぬきー、おーなかがーペッタンこー。

 作詞作曲私。


 また新たな歌を作ってしまった。

 顔も思い出せない友人が聞けば絶叫を上げただろう。


 クスンと泣きながら廊下を歩く。

 居る場所はこのカンタコンペの領主邸。


 予定を二日も繰り上げての到着に騒ぎになったがどうにかしてくれた。

 今頃、皆は楽しい御夕飯だ。

 私は抜き、ちくせう。


 しょうがないから不貞寝だと我が狐猫をダメにする巣箱Mk-2に入る。

 暫くは寝られたが空腹に目が覚める。


 うう、ひもじいと巣箱を出る。

 ベッドではセアラが熟睡していた。

 己、私がこんなにお腹を空かしているのに熟睡とは…何か仕返ししようかと考えてやめた。


 バレて朝ご飯も抜きにされると私はきっと死んでしまう。

 しょうがないので気分転換に散歩でもするかと部屋を出る。


 しかし、今更ながら考えても今日はちょっとはしゃぎ過ぎた。

 やり過ぎた。

 どうしてだろう?と思う。


 反省だ。

 だが、何かがアレを私にやれと囁いたのだ。

 甘い天使のお誘いだった。

 楽しかったです。

 後悔はしない。


 嘘です。

 ごめんなさい。

 悪魔の誘惑でした。

 今、泣きそうです。

 ご飯下さい。


 そう思いながらトボトボと歩いているとリーレンさんの姿が見えた。

 バルコニーに立って夜空を見上げている。

 何をしてるんだろう?と思って近付いてみる。


「ミィィ?」

 何してるの?と近付く。


「あ、貴方ですか、眠れないのですか?」

 まあね、お腹がペコペコだし、しょうがないから我慢するけど、リーレンさんは?

 ポフポフとリーレンさんの足に触れる。


「私は?ですか?……そうですね。少し悩んでいます」

 自嘲気味に笑ってしゃがんで私を撫でる。

 おおう、何時もの指捌きと満足して撫でられる。


「貴方と会ってから聖女様は随分と変わられた」

 今は少しでも空腹を忘れたい。

 満足いくまで撫でてとコロコロする。


「成長なされた聖女らしくあったり、歳相応であったり、怖がって脅えたり、今回の様に怒ったり、様々だ。私は置いて行かれてしまっている」

 誇らし気に寂しそうに、嬉しそうに、どこか悲しそうに言った。

 そんな事は無いとリーレンさんに近寄る。


 ポンとリーレンさんに触れて首を振る。

 私が会う迄、会ってからも一番セアラの傍に居たのは、守って来たのはリーレンさんだと伝える様に、セアラとは友達だが寄り添える、支えられる一番の相手はリーレンさんなのだ。

 そう伝える様にリーレンさんをポフポフする。

 伝わったようで撫で撫でが加速する。

 あ、あっ、ああ、このままではまたヘブンしてしまう。


 悶える私にリーレンさんは言った。


「私は聖女様が立派な聖女であると認めるのに1年も掛かった。ヴァン侯爵以下です」

 事実を伝えるリーレンさん、私はちょっと驚く、もっと早くから仲が良かったと思っていた。

 そんな私に言葉を続ける。


「ですから、私の代わりは居る。貴方でも成れる。だから約束して下さい。本当にもしもの時は聖女様を優先すると」

 その言葉に首を振る。

 リーレンさんの代わりなんて居ない、私には出来ない、そんな約束は出来ない。

 私は最強な狐猫になるのだ。

 母狐猫や兄弟姉妹を失ったような事はもう二度とゴメンだ。

 私は皆を護れる様に強くなるのだ。


 そう伝える様にシュッシュッと封印されし、狐猫シャドーを見せる。

 リーレンさんは笑いながら私を抱き上げて言った「ならせめて覚えておいて下さい」と、そしてベッドに運ばれる。


「聖女様に自慢されました。貴方と一緒に寝たと、私とも寝てくれますか?」

「ミィー」

 良いよーと安請け合い。

 このままならどうせ眠れない、ならばリーレンさんの手でヘブンへ導いて貰おう。


「では…」

 と、リーレンさんが手をワキワキさせた。

 私は本気のリーレンさんを甘く見ていた。


 あーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!


 私は何度もヘブンした。


 朝になった。

 寝た――と、言うか気絶していた。

 リーレンさんは居ない、セアラとの日課の訓練だろう。


 しかも結構、お日様登ってる。

 リーレンさんの撫で撫でに疲れたのかな?

 長く眠って――気絶していた様だ。


 それは兎も角、待望の朝ご飯だ。


 バクバク食べた。

 空腹は最大のスパイスだ。

 凄く美味しく頂いた。

 朝ご飯の量じゃ無かった。


 食べ切る。

 余は満足じゃーと言って見る。


 セアラのご機嫌も直ったようだ。

 でも、ちょっぴり視線にジェラシーを感じる。

 私がリーレンさんと寝たのがお気に召さないのだろうか?


 やめてっ!私の為に争わないでっ!な展開だろうか?


 主従の関係にひびが入るかな?

 でもセアラとリーレンさんの関係は鉄壁、大丈夫だ。

 安心する。


 そして秘草採取に赴いた。

 このカンタコンペの秘草は街傍の湖、ラトラー湖の湖畔で採れるらしい。

 危険な魔物は居ないので3人と3匹でも安心安全。


 因みにこのカンタコンペとラトラー湖、私が最初にアストラリオンから北へと空を走って狩場を探した時に発見した街らしい。

 空を走れば数時間、地上を行けば数日、やはり飛べるって便利だ。


 水に入るのでセアラは半袖、半ズボン、長靴、麦わら帽子な完璧な夏の小学生装備だ。

 ホッコリする。

 一応、季節は秋だけどまだ暖かいので大丈夫だ。


 リーレンさんと騎士さんも濡れて大丈夫な装備、私とシルバー、ズィルバーは元々、何も付けてないから濡れても平気。


 秘草採取が始まる。

 中腰で水の中の草に【祝福】を掛けて摘んでいくセアラ、ステータスが上がったお陰かどんどん摘んでいく。


 リーレンさんと騎士さんは傍で一応護衛、シルバーとズィルバーも護衛というか水遊び中で私は離れてポツンと1匹。


 あれ?何で?と思う。

 何でもラトラー湖には私程度は一口なデカさの魚の魔物がいるらしい。

 名は大魚ラーギッシュでF級の中位ミドル、記憶にあるし、覚えもある。

 アレだ、アドラスティア大樹海の川で私を襲ったデカい魚、陸地に飛び出してジタバタしてた覚えが強い。


 喰うのは良いが喰われるのは勘弁だ。

 暇なので【技能】の訓練をする。

 初日はこうして進んだ。


 次の日、変わらずラトラー湖で秘草採取だ。

 もうほぼ予定量を採取して後は置いて来てしまったガレスさん達7人の騎士さんを待つだけだそうだ。

 でも余裕を持って今日も採取する。


 【技能】を鍛えながらしかし本当に危険なのかね?とラトラー湖に近付く。

 暫くすると【探知】さんに反応、近寄って来る。

 飛び出した、とぅっ、横っ飛びと避ける。


 地面を大魚ラーギッシュが跳ねる。

 何でこのお魚は命を賭けて私を喰いに来るのかと思う。

 兎も角、狩って捌く、新技【猛烈爪攻撃(纏い)】コレは斬撃を飛ばすのではなく所謂、ビームサーベル見たいに斬る力場を爪に纏う技だ。


 恐らく【気力操作】のお陰で使える様になった。

 綺麗に三枚おろしにする。

 やってると前世でやった記憶が生えた。

 自分でも綺麗に出来たと自画自賛する。


 皆のご飯にしようと思う。

 手と尻尾が生臭いので洗いに行く。

 そしたら【探知】さんに赤い点が一杯、これ以上は要らんとダッシュで逃げた。

 捌いた大魚ラーギッシュは皆の夕ご飯になった。


 次の日、秘草採取は終わりだ。

 後はガレスさん達が追い付くまでセアラの【LV】上げだ。

 平原なので大した魔物は出ないが次々と倒す。


 流石に弱いので【LV】は上がらない。

 でも杖で次々と倒す。

 だけど攻撃手段が打撃だけなのがちょっと不安―不満そうだ。


 ならば「ミィィミィミミィミィミミミィミミミ、ミミミィミミィミミミィミミミィミィミィ?」(【大結界】で閉じ込めて窒息させるか、圧縮して押し潰してみれば?)と、提案して見た。

 考えた事も無かったようで驚かれた。

 実際に実行した。

 ゴブリンがグチャとなった、グロイ。


 結っ!滅っ!とか出来たらカッコいいだろうけど現実はこんな物だ。

 でも新しい攻撃手段が出来たとセアラは喜んだ。


 まぁ、良かった―――多分。


 五日目、まだガレスさん達は到着しない。

 今日もセアラの【LV】上げだ。

 でも殆んどがG級の下位レッサー、F級の中位ミドル、本当に稀にE級の高位グレーターが出る。

 そもそも遭遇する数が少ない。

 まだ【LV】は上がらない。


 六日目、やっとガレスさん達が到着した。


「よくもやってくれたな、ちっこいの」

 と、頭をグリグリされる。


「ミギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!」

 痛い。

 マジ痛い。

 【物理攻撃完全無効】でダメージは無いけど【痛覚無効】では無いから痛みは感じる。

 本当に痛い。


「ガレス様、説教と罰はちゃんと与えてあります。程々に」

 セアラが言ってくれてグリグリが止まる。

 そうだ、ご飯抜きは辛かった。

 これ以上は勘弁だと思う。


「聖女様がそうおっしゃるなら」

 解放される。

 助かった。

 セアラの陰に隠れる。

 痛かったと頭を尻尾で撫でる。


「まあ、ちっこいののお陰で助かったのかも知れませんしね」

 そう言ったガレスさんに私とセアラが首を傾げる。


「何かあったのですか?」

 訊ねるセアラ。

 私も耳を傾ける。


「カンタコンペ近くの街道で【鉄人形アイアンゴーレム】そっくりな黒い人形の集団に遭遇しました。何もしてこなかったので素通りしましたが、一応、これから街道を通る者には注意喚起を流します」

 ガレスさんの言葉に私とセアラ、リーレンさんの目が合わさる。

 黒い人形と言えば例の【鉄機兵】だ。

 でもあれはシャルさんが廃棄と生産中止を命じた筈だ。


 まだ残っていた?

 でも何もしなかった?

 うーん、分からんと頭を捻る。


「兎も角、ご無事で何よりです。これからと明日一日は休憩にしましょう。明後日、次の街へ出発します」

「分かりました」

 セアラが言うとガレスさんと騎士達は下がった。

 この日は一応、安全の為に屋敷に待機となった。


 翌日は騎士達は休みだがセアラは【LV】上げに出掛けた。

 お供は私とリーレンさん、シルバーとズィルバーである。


 塵も積もれば山となった。

 セアラの【LV】が遂に10になった。

 これで【試練】だと意気込むセアラに「せめてもっと技能を覚えて挑戦して下さい」とストップが入る。

 セアラは納得した。

 私も同感だ。


 領主邸に帰った。


 その日の夜、私はコッソリ抜け出して空を走った。

 【鉄機兵】の確認だ。

 だが、影も形も無かった。


 ガレスさんが嘘を言う訳がない。

 本当に居たのだろうが…ガマガエル神殿長め、何を企んでいる?と考える。


 やはり【試練】を受けておくべきかも知れないと思いながら私は帰った。

狐猫の小話

狐猫が魚に襲われるのはある意味で前世からの縁です。

魚に愛されてると言って良いかも知れません。

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[一言] 発想の転換!ありとあらゆる妄想で物語を積み上げてきた上に立つ21世紀ニホンジン、ツヨイネ。
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