第040話 赤い環と狐猫の名前?
うわーん【SP】不正はしてないから返すから許して自称:神様(仮)ーーーーーっ!!
突然爆上がりした【SP】は私にとって恐怖だ。
使うより怖い。
突然、口座に大金が振り込まれた感じだ。
本当に謎で怖すぎる。
アレも上げたい、コレも上げたいが怖くて使えない。
『不正をした天罰だ』とか降って来そうである。
めっちゃ怖い。
そして何時もより激しく光る【試練】のボタン。
怖い、行ったら怒られそうだ。
保留、一旦ん保留と投げだす。
幸い即天罰は無い様だ。
安堵する。
でもやっぱり怖い、恐ろしい、マジコワイ。
震える体を叱咤して立ち上がる。
やっぱり怖いけど何とかなると信じる事にする。
速いけど疲れた、精神的に、獲物はゼロだが十分に余裕がある。
帰る事にする。
門を抜け切ると親しい門番のおっちゃんが声を掛けてくる。
今更ながら鑑定の結果は『デーゲン 38歳、LV40。平民。アストラリオン正門門番長』とあった。
「今日は狩れなかったか、まぁ、そう言う日もあるか」
「ミィミミィミィミィミ?ミィミィミ」(獲物は無いけど蟻は全滅させたよ?獲物は一杯残ってるし)
「まぁ、明日は頑張れ、デカいの狩って来い」
「ミィミィィミィミ?ミー、ミミィミッミィ!」(会話が全く通じない?リーレンさんを見習え、肉ダルマ!)
言うがこのおっちゃんとの意思疎通は不可能な様だ、諦めて先を進む。
門番の中ではマシに思ってたがこの街の門番、あんなのばっかかと思う。
階段を登り大神殿の中に入る。
もう夕ご飯な時間だ。
早速、食べに行く。
夕飯は兎肉の香草焼きだ。
前にも食べた記憶があるが、種類が違うのか熟成の効果か美味かった。
そして久々の図書館、ダビートの街に行く前に読んだ魔物については大変に助けられた。
次も良いのを頼むぜと開く。
樹木について(上)とあった。
樹木、樹木かぁ……うーん、微妙?
前に読んだ農業についてには豊穣の魔石とか、薬草とか、霊草とか、魔草についてちょっと載ってた。
今ん所は役に立ってないが意味はあった。
果樹についてもそう言えば何故か載って無かった。
樹木これなら載っていそうだ。
美味しい木の実、甘ーい果物、ジュルリ。
夕ご飯を食べたばかりだけど食べたくなった。
甘いものは別腹だ。
最初は良く知ってるオークラ木だ。
我が愛する狐猫をダメにする巣箱初代とMk-2の材料でもある。
フムフム、成長が早く、倒すと乾燥が早くてしなやかで頑丈、建材に向いてると、【検索】さんの情報通りだ。
次、大オークラ木。
成長が兎に角早くて巨大化する。
タケノコ見たいだ。
硬くて丈夫、家具に利用されるとある。
次々と読む、色々と載ってる。
ゲーム盤に加工されるスベスベな木と言うのもあった。
将棋とかチェスなんかのゲームもありそうだ。
前世は確か囲碁・将棋部所属だった。
必ず、部活には入らなければならない学校だった気がする。
文芸部とか読書部とか無かったから入った。
幽霊部員だったけどね。
機会があれば是非一手挑戦したい。
ルールが解ればだが…難しかったらどうしよう?
更に読む、ノッコーンってまんまタケノコな木があった。
竹は食べられるし、成長早いし、色々と加工出来て便利だ、でも生えてるのはもっと東の国らしい。
テレスターレ聖国では生えてない。
ちょっと見て見たかった、残念。
次、ギーム木、建材家具作りにも利用されるが大量の花粉を出す。
花粉症の元だとあった。
花粉症あるんだこの世界。
そして前世の私は花粉症、止まらない、涙、鼻水、鼻詰まりとクシャミ、地獄だ。
今世はどうか知らないが恐ろしい。
絶対に注意だ、そしてどこにでも生えてるらしい。
更に注意だと思った。
大体、読み終わった。
求めた果樹の情報は無かった。
(下巻)に期待だ。
セアラの部屋に入り寝ているセアラを見る。
そう言えば今日は初めて見た。
スー、スーと寝ている。
柔らかいセアラの頬を肉球でプニッた。
「んん…プニィ……スー」
うん、満足じゃと狐猫をダメにする巣箱Mk-2に入った。
安眠だった。
翌朝、日の出と共に起きる。
今日はセアラはまだ寝ている。
昼夜逆転のボケは改善されたようだ。
早速、部屋を出て訓練場に向かう。
さぁ、スパルタンな特訓だ。
しかし今日は動かない。
ジーとして壁を睨む。
【千里眼】の強化だ。
大神殿は壁に囲まれて居るので遠くは見れない。
ならば壁を見通す感じで見る。
あ、ちっさい蟻さん発見。
デッカイ蟻を見た後だとホッコリする。
序でにステータスの把握訓練、この前に黒雷虎に襲われて【忍耐】様が発動仕掛けた力の流れ、何となくまだ覚えている。
こんな感じだったかな?と思いながら全身を巡らせる。
力を感じる。
少しだが解る。
よしっ、コツを掴んだと思った。
そこでピコーンと音がした。
『【技能】【気力操作LV1】を習得しました』
やった遂に獲得だと思った。
知ってから長かった。
残りの【理力】【霊力】【魔力】も習得だと意気込む。
其処に「すみません」と声が掛かる。
セアラの声だ。
振り返る。
普段着の聖女服と訓練用の杖、リーレンとの特訓帰りらしい。
疲れているのかちょっと息が荒く顔も赤い。
「ミィゥ?」(何?)
訊ねるとまだ完全には慣れないのかちょっとビクッとした後に言葉を続けた。
「二日後にセリアーナ大聖女様が私達に褒美を下さると、中庭で13時の予定です。ご一緒願えますか?」
二日後か、了解と「ミィィ」と鳴き頷く。
セアラは「ありがとうございます」と言って離れて行く、リーレンさんもだ。
そう言えばそろそろ朝食だ。
何だろなーと思いながら私も訓練場を後にした。
朝食は兎の骨を出汁にした兎肉のスープだった。
ちょっと熱かったが美味しかった。
訓練に戻る。
【千里眼】を使いながら今度は【理力】の把握だ。
体を覆う力、それを操作する。
厚くしたり、薄くしてみたりした。
またピコーンと音が鳴った。
『【技能】【理力操作LV1】を習得しました』
良々、順調と頷く。
次は【霊力】これは周囲に溢れる何かを取り込む力だ。
じっと座って試してみる。
取り込んだり、放出したり、束ねて見たりと色々だ。
そして今までより時間が掛かってからピコーンと音がする。
『【技能】【霊力操作LV1】を習得しました』
これでコンプリート目前だ。
嬉しい。
だけど昼がもう近い。
【魔力操作】は午後の狩りの後だと決めてご飯に行った。
午後の狩り。
目的地はジュラ大森林だ。
【疾風】を使えば直ぐだ。
昨日、大黒蟻と女王黒大蟻を倒したバラート森林よりは獲物が居るだろう。
そして早々に獲物を発見、オークだ。
肉寄越せーと首チョンパ。
ふう、これで【千里眼】の強化と【魔力操作】の獲得に時間がたっぷり出来た。
早速、スパルタンな特訓だ。
【魔力】は魂から溢れる力っぽい。
私は自分の体の奥底にあるソレに集中する。
うわ、ナニコレと思う。
デッカイ、凄くデッカイ、しかも溢れる力も半端ない。
我が事ながらスゲーと感じる。
私の魂は何なんだと感じる。
必死こいて操作しようとするが中々出来ない。
苦労する。
【千里眼】の【LV】が上がったが【魔力操作】はまだまだだ。
負けるもんかと操作する。
自分の魂だ、自分が操作出来なくてどうすると思う。
そして時間が過ぎて夕暮れ、やっとピコーンと音が鳴る。
『【技能】【魔力操作LV1】を習得しました』
やった、コレで完璧だと喜ぶ。
次は【探知】だなと思う。
でもアレ?と思った。
普通は【探知】が先で【操作】が後じゃないかと、考えたが無意味だと結論した。
そう言う世界だと思う事にする。
それよりも遅くなった。
早く帰ろうとオークを【超尻尾攻撃】で掴んで【空間機動】と【疾風】で飛び上がった。
アストラリオンの門はちょっと騒ぎになった。
私がオークを引き摺ってきた所為だ。
デーゲンさん事肉ダルマも「デカいの狩って来いとは言ったが…」と驚いている。
ふふん、見たかと私はドヤ顔だ。
門を抜けてまた街路をオークを引き摺って歩く。
道行く人々の殆んどが此方を驚いて見ている。
だが、オークは母狐猫も狩っていた。
狐猫な私が狩って帰っても不思議は無い筈だ……多分。
視線と騒ぎを無視して大神殿に帰った。
大神殿に帰りつく。
でもオークがデカすぎて狐猫ドアは使えない。
正門を開けてもらう。
食堂裏の狐猫ドアも勿論、通れない。
オークを残して入って「ミィミィ」鳴きながら扉を掻いて料理人さんを呼び出す。
オークを見せるとやっぱり驚かれる。
でも私がオークや牛さんを狩る事は知ってる筈だよね?
狩った獲物を預けてるんだから、しかし、それでもやっぱり驚かれるらしい。
数人がかりでオークは保管庫に運ばれていった。
流石はステータスのある世界、料理人も力持ちだ。
夕ご飯を食べて図書室へ、読むのは樹木について(下)だ。
初っ端から求めていた果樹の情報、アッポーだそうだ。
まんまリンゴだ。
続いてミカ。
ミカンだ。
更にナッシー、梨。
ブードゥー、ブドウと続く、美味しそうだ。
しかし、問題が一つ。
この世界で果物が取れるのは森人の住むグラニー大陸のウノ大樹海だけ、森人の国、ヴァハラ王国の特産だそうだ。
残念無念である。
でも、甘い木の実とかが成る木は人間の国にもあるそうだ。
成るのは秋、多分、もう直ぐだ。
楽しみにしよう。
後、果樹の情報としてはメロン見たいな大きさのアプスという食べれば飢えを満たし、傷も治すと言うドラ〇ン〇ールの仙豆見たいなのが載ってた。
本当なら凄いと思う。
それとエルフの家になると言うハウスツリー、ファンタジーな森人の定番だね。
最後にユグと言う世界樹と呼ばれる超巨大な樹、意思を持つとされ黄金の実アディムが実ると書かれていた。
アディムの実についての詳細は書かれて居ない、でも可能なら何時かは行って見たい気がした。
そして読み終わった所で私は寝た。
翌日は覚えたばかりの【操作】【技能】の特訓だ。
全部を一遍にやる。
早く、【探知】系もコンプリートしたいからだ。
一生懸命やったが収穫は無かった。
この日は狩りも兎一匹だった。
夜になって次の本を開く。
オークラ木についてとあった。
オカシイ、作者のどんな執念がオークラ木に向けられたのだろう?
前にも角兎についてと書かれた本が在ったが同じ作者だろうか?
考えながらも一応、読む。
特に何も変わった事は書かれて無かった。
次の日、今日はセリアーナお婆ちゃん大聖女様にご褒美を貰える日だ。
少しだけ心配だが楽しみだ。
だけど、それまでの訓練も手を抜かない。
一生懸命に【操作】系【技能】を使う。
【操作】しながら【探知】【探知】と力の流れを感じる。
そうしていたらふと感じた。
自分では無い、周囲の力、流れ、辺りに居る先生や聖女候補生の力、そうかコレが【探知】かと悟った。
するとピコーンと音が響き、『【気力探知LV1】【理力探知LV1】【霊力探知LV1】【魔力探知LV1】を習得しました』と出た。
やった一気に習得だと喜んだ。
だが、もうお昼な時間だ。
食事に行かねば、そしてご機嫌に尻尾を振りながら昼食に向かった。
約束の13時、少し早めに行ったつもりだったが既にセリアーナお婆ちゃん大聖女様にセアラ、リーレンさんは揃っていた。
遅かったかな?と、思いながらテーブルの端にピョンと乗る。
「揃ったわね。じゃあ、ご褒美を上げましょうか」
そう言って【魔導袋】から先ずはでっかくて可愛らしいクマのぬいぐるみが出てきた。
「リーレンにはコレね。睡眠羊の羊毛がタップリ詰まったぬいぐるみよ。大事にしてあげてね」
セリアーナお婆ちゃん大聖女様がそう言って巨大ぬいぐるみをリーレンさんに手渡す。
「あ、その、あの…あ、ありがとうございます。心より感謝を致します」
受け取って真っ赤になりながら感謝を述べるリーレンさん。
【鑑定】でも価値は金貨3枚だ、結構にお高い。
可愛い物が好きなリーレンさんには嬉しいだろうがこのような場では複雑だろう。
ちょっとだけ可哀想だ。
「さて次はファトラちゃんにはコレね」
そう言って出されたのは箱。
何だろうと見てると開けられて中身が顕わになる。
其処には二つの赤い環が入っていた。
【鑑定】して見る。
【鑑定】『遠話の円環。ヴァハラ王国産。価値金板1枚』
【遠話の円環】?何だろう?
同じ疑問を持ったのかセアラがセリアーナお婆ちゃん大聖女様に尋ねる。
「セリアーナ大聖女様、コレは一体?」
「コレはね、ファトラちゃんと聖女セアラがお話出来るようになる【魔導具】よ」
「ミイ!」
「え!」
その言葉に驚いて私とセアラの声が重なる。
ニコニコと笑いながらセリアーナお婆ちゃん大聖女様が言ってくる。
「じゃあ、早速付けて上げましょう。何処が良い?首?それとも手?」
聞かれて私は「ミッ」と鳴いてサッと左手を出す。
首はイヤだ。
飼われている感じがする。
「じゃあ、手に…」
そう言って首にも付けられそうな大きな環を手に付ける。
でも、コレ直ぐに落ちない?と思っているとシュルリと大きさが変わり手にジャストフィットになった。
おお、ファンタジーと思う。
「次は聖女セアラね。はい、手を出して」
「は、はい」
そしてセアラの左手にも環が嵌る。
「完了ね。お話してみて?」
セリアーナお婆ちゃん大聖女様が言う。
「ミィミ、ミィィミミ」(セアラ、聞こえる?)
「あ、はい、聞こえます。解ります」
私の声にセアラが反応する。
コレは嬉しい。
「ミィミィ、ミミミィミィミ、ミィミミミィミィミィミミミ」(嬉しい、お話しできる。セアラこれからもよろしくね)
「はい、此方こそ、何度も助けて頂いて、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
尻尾は嬉しくてブンブンだ。
素敵なプレゼントをありがとう、セリアーナお婆ちゃん大聖女様。
『マスタートオハナシ、ワタシノトッケンンダッタノニ……』
ああ、【検索】さんが拗ねている。
大丈夫だ、私の持つ【技能】の中で唯一のお話が出来る【技能】。
君の順位は不動だよ、心の友よと慰める。
「さて、次は聖女セアラだけど、もう少し待ってね。夕方までには終わるから」
「え?」
セリアーナお婆ちゃん大聖女様の言葉にセアラが不思議そうな声を上げる。
「今、貴方のお部屋を大改装させているの」
「ええ?!でも、それは…」
何とそんな事をと私は驚く、確かにセアラの部屋は清貧というかボロイ、貧しい感じな部屋だったけど、それを改装とはビックリだ。
「今まではロズベルト神殿長や他の貴族の目もあって聖女セアラを優遇出来なかったけどスコート侯爵家が付いたなら話は別だわ。もう聖女セアラに貧しい思いはさせない。聖女第一位らしく扱って上げられるわ」
「そんな…私は貧しい思いなど…でも、ありがとうございます。セリアーナ大聖女様」
お礼を言って頭を下げるセアラ。
うん、うん、良かったなぁ、でもこれで終わりかと思っていたら――
「じゃあ、最後に聖女セアラ、そのファトラちゃんに名前を付けて上げて」
「ミッ?」(えっ?)
「えっ?」
私とセアラの声がハモる。
「何時までも名前が無いと可哀相だわ。最も友誼を深めている聖女セアラが付けて上げて?」
「で、ですが、この子はあくまで従魔等で無く私に善意で力を貸してくれてるのであって…名を付けて縛るというのは…」
渋るセアラにセリアーナお婆ちゃん大聖女様は教える様に言った。
「聖女の名付けは神聖なモノよ。縛るモノではない、互いを絆で結ぶモノよ。だから名付ければ【絆】という【技能】が生える。大丈夫よ」
それならばこちらに否は無い。
私はセアラに話しかける。
「ミィィ、ミイミィミ、ミミミィミィミミ」(いいよ、セアラになら、でも可愛い名前にしてね)
「じゃ、じゃあ、シロ…」
「ミイッ!」(ダメッ!)
却下である。
まんまだ、あんまりすぎる。
「そ、それじゃあ、アカメ」
「ミィィゥイ!」(更にダメッ!)
目の色そのままだ。
私にその名で何を斬れと言うのか、確かに爪で色々と斬ってるけれども、コレもない。
「な、なら、チビは?」
「ミミミィミィミィミ?」(私に一生この小さいままでいろと?)
ダメだしの連発だ。
セアラにはネーミングセンスがない。
そのまんまばかりである。
「うう、では…では…」
「では聖女様、あちら等どうです?」
悩むセアラにリーレンが中庭に咲く白い花を指差した。
「あっ、ハクア…」
「ミィミィ」(ハクア?)
私が聞き返す。
「其処に咲いてる花の名前です。六枚の花弁を持った真ん中が赤い、白い花。花言葉は希望、絆、誓いです」
「ミィミィ、ミィミィィゥ。ミィミィミィィ。ミミミィミィミミィ」(ハクア、ハクアね。良いんじゃない。これから私はハクアね)
そう決めた瞬間、私の中に何かが溢れた。
同時にセアラと繋がったと感じられる何かが生まれた。
「これからもよろしくお願いします。ハクア」
「ミィミミィ、ミィミ」(此方こそ、セアラ)
そして差し出されたセアラの手に私のプニプニ肉球を乗せる。
この日から私の名前はハクアになった。
狐猫の小話
遂に狐猫に名前が付きましたハクアです。
此処まで読んで下さった皆様、ありがとうございます。
今後もよろしくお願いします。
今回は感謝だけを述べさせて頂きます。




