第038話 不安の種と帰還?
殲滅じゃーっ!と、私は【ロボット】の、群れに突っ込んでいく。
突っ込むだけなら【疾風】は随一だ。
間合いが一瞬で詰まる。
其処に装填が終わったのか【ロボット】の銃口が此方を向く。
だが――
もう当たらんっ!
【疾風】を解除、此処からは小回りだ。
飛び出す弾丸を回避、次々と回避、楽々と回避、荒らしのような雨を回避する。
コレも【思考超加速】を最終進化させた【思考跳躍】のお陰だ。
弾丸が止まって見える。
最終進化はその名と消費【SP】通りにグンと性能が向上してくれる。
問題は早すぎる事。
普段は切っておかないと人の行動迄がスローなコマ送りに見えて、聞こえる言葉も間延びした声に聞こえる。
優秀過ぎる。
最終進化は偉大だ。
そんな最終進化が出来る【技能】が後二つ。
【隠形】と【空間機動】だ。
【隠形】は【隠身】になるらしいが私は元々目立つ真っ白で余り隠れれていない黒雷虎からも隠れて逃げ切れなかった保留。
【空間機動】は【亜空間機動】になるらしいが消費【SP】が100だった。
高い、保留。
今のままでも十分だ。
もっと余裕が出来たら強化しようと思う。
そんな私に向けて山の様な弾丸が放たれる。
ちょっと待てと考える。
流石に多すぎる。
逃げるスペースが無い。
鬼畜弾幕STGだ。
しょうがないと爪を構える。
【猛烈爪攻撃】
弾丸を消し飛ばす。
序でに【ロボット】も数台、斬り倒す。
倒せるようだ。
真っ黒な外見から凄く硬かったらどうしようと思っていた。
心配は杞憂だった。
安心して【猛烈爪攻撃】を連打。
【ロボット】をゴミに変える。
そこで異変、悪い事じゃない。
私の反対方向で【ロボット】が吹っ飛んだ。
【千里眼】で確認、リフレイアさんだ。
私が銃の標的になっている間に【ロボット】の後方に回り込んだようだ。
これで挟み込んだ。
勝ち確だ。
【猛烈爪攻撃】を連打、【ロボット】が吹き飛ぶ。
リフレイアさんも剣で【ロボット】を次々に切り裂く。
鉄で鉄を斬るって凄いと思う。
やっぱり凄いリフレイアさん。
更に自分に向かって飛んで来た弾丸すら切り飛ばして見せた。
最強護衛騎士はやっぱり半端ないと思った。
そして互いの前に最後の【ロボット】一体、私は【猛烈爪攻撃】、リフレイアさんは剣で揃って斬って終了。
お疲れ様でした。
ふぅ、と安堵から息を吐く私。
「怪我はありませんね?」
そう言って私に剣を納めて近付いてくるリフレイアさん。
相変わらず、汗もかいてないし、息の乱れもない。
凄すぎる。
本当の規格外だと思った。
「ミィミィ、ミィィミィ」(助かったよ、援護ありがとう)
鳴いてリフレイアさんの足元に擦り寄る。
リフレイアさんが撫で撫でしてくれる。
中々だ。
心地よく、撫でまわされる。
其処に近付いてくる気配、だが安心だ。
セアラとリーレンさん、シャルさん、ノーザンさんの四人だ。
「大丈夫ですか?」
リーレンさんが尋ねてくる。
「ミィィミィィ」(全然平気)
答える。
ホッとされる。
セアラも少し離れた所で息を吐く。
心配させた?ゴメンねと思う。
だが、あの瞬間しかないと思ったのだ、そして結果は出た。
問題はない。
「怪我は無い様ね」
「ご心配をお掛けしました。聖女様」
二人の間に穏やかな空気が流れる。
此方の主従も信頼関係はバッチリの様だ。
「しかし、何だったのでしょうか?あの『岩人形』いえ、『鉄人形』の様なモノは…」
ノーザンさんが呟く。
岩人形はD級の災害の魔物、王都とかにある迷宮に出るらしい、鉄人形はB級の災禍こちらも同じ迷宮の魔物だ。
この世界、王都とか一部の大都市には迷宮があるらしい、と、言うよりも迷宮があるから王都や大都市になったそうだ。
魔物についての本に載ってた。
でも今、戦った【ロボット】とは全然、姿が違った。
何より銃を使ってきた。
逆の右手からは剣が飛び出してきた。
それも只の剣じゃなくて凄く揺れて振動してた。
音を上げてた。
多分だけど高周波ブレードとかだ。
全部を躱せたけど当たれば私もリフレイアさんも危なかった。
しかし、ファンタジー世界にSFが混ざる。
世界観どうなる?と思う。
「あの…聖女シャルと護衛騎士リフレイアは何かご存知のようでしたが…」
恐る恐ると言った雰囲気でセアラが尋ねるとシャルさんとリフレイアさんが頷いた。
「私を休養と称して監禁した時に見張りに使われていました。間違いなくロズベルト神殿長の手の内ですわね」
あのガマガエル神殿長が係わってるのか、なら納得の所業だが疑問だ。
でも何故?こんなオーバーテクノロジーを手にしている?
ツンツンと爪で壊した【ロボット】をつつく。
うん、部品とか全然、分からないけどやっぱり【ロボット】だ。
そう私が確認している隣で会話は続く。
「ロズベルト神殿長の…それで聖女シャルはこの様なモノを相手にどう脱出を?」
リーレンさんが尋ねる。
「食事を持ってきた者を気絶させ、衣服を奪い変装して脱出しました。頭は余り良くなさそうですわね」
定番と言えば定番な脱出方だった。
でもやっぱりお転婆――いや、行動力あるよね、シャルさん。
「ですが脱走が知れると追撃を受けました。当時は突然に撃ち出される鉄の球、魔導で強化され鉄より硬い筈の壁を易々と切り裂く剣に少し苦戦しました」
シャルさんに続いてそう言うリフレイアさんにいや、いや、と私は突っ込む。
初見で銃と高周波ブレード相手に勝てちゃう方が有り得ないから、常識外れだからと、やっぱりリフレイアさんは普通じゃないと再認識した。
「兎も角、終わりました。少々…いえ、色々と気にはなりますが思ったよりも時間が過ぎました。先を急ぎましょう」
「そうね」
「はい」
「分かりました」
「了解です」
「ミィィ」
リーレンさんが言って皆が頷き振り返る。
さて馬車に戻ろうという所で【探知】さんが反応、私は振り返り【千里眼】。
発見した、全身の毛が逆立ち尻尾が膨れる。
「フシャーーーーーッ!!」
「えっ?どうしました?」
突然、威嚇した私を見てセアラが声を上げ皆も疑問符を浮かべる。
だが、リフレイアさんだけは私の視線を追って同じ物を見たようだ、「あれは…」と呟く。
リフレイアさんも【千里眼】持ちかな?と思う。
私の視界にあるのはゴテゴテした悪趣味な外装の馬車だ。
いや馬が引いていない、車だ。
悪趣味な車だ。
痛車なんて目じゃない趣味の悪さだ。
乗ってる奴が想像できる。
「ダーリントン伯爵家が販売している新たな【魔導具】ですね。確か【車】と言う。乗っているのは恐らくロズベルト神殿長でしょう」
リフレイアさんの言葉に私以外の全員が「「「「え?!」」」」と声を上げる。
やっぱり車か、そして予想通りにガマガエル神殿長か、しかしあれだな、本当に変な車だ馬車に無理矢理に動力乗っけて走らせてる感じだ。
車らしい外装を作る手間を惜しんだのか、元々にあった物を再利用しただけか分からないが…やっぱり変だ。
「どうします?会われますか?」
「はい、聞きたい事があります」
「同意見ね。私も言ってやりたい事があるわ」
リーレンさんが言うとセアラとシャルさんがそう答える。
そしてセアラとシャルさんが前、その両隣にリーレンさんとリフレイアさん。
後ろにノーザンさん、そして私はリーレンさんの隣だ。
待っていると車擬きの馬車が目前で止まり御者台見たいな運転席から運転手が降りて、後ろの扉を開くと二人の人物が降りてくる。
一人はよく知っているガマガエル神殿長だがもう一人は初めて見る。
護衛騎士かな?と思いながら【鑑定】してみる。
当時から【LV】も上がったし二人共だ。
【鑑定】『ロズベルト・ダーリントン 51歳、LV38。ダーリントン伯爵家当主。神殿長』『ワール・ザイナー 33歳、LV49。ザイナー子爵家次男、護衛騎士』
やっぱり護衛騎士、そして思ったより強いと思った。
しかし、装備とかが騎士っぽくない。
革の鎧に日本刀とは違う分厚い肉厚の曲刀だ。
用心棒かゴロツキって感じだ。
加えてイヤな感じの視線をシャルさんとリーレンさんに向けてる。
顔面に狐猫肉球パンチを打ち込みたい。
一方でガマガエル神殿長は明らかに顔色が悪い、何で私達が此処に居るって顔をしてる。
「聖女セアラ、聖女シャル、お久しぶりでございます。何故、このような所に?」
うん、前にセアラとリーレンさん、私とセリアーナ大聖女お婆ちゃん、ガマガエル神殿長、守銭奴神官長と三対三の面談をした時と違って随分と下手だね。
実際には神殿長よりも聖女の方が偉いらしい。
セアラは幼いし、強く出ないし、大人しい性格だし、【LV】もステータスも低いから舐めてたんだろうね。
でもこの場にはシャルさんが居る。
伯爵より上な侯爵令嬢でれっきとした実績を積んでる聖女、強くは出れない。
いい気味じゃ。
「ええ、お久しぶりね。ロズベルト神殿長。アストラリオンへ聖女セアラと一緒に帰る道中ですの。そうしたら巨大金蚉が何故か群れていて、来ると聞いた討伐隊も来ない。仕方なく私達で討伐を行っていたら横から襲われたの、ご存知よね?貴方が突然、私に休養を言い付けて閉じ込めた時に護衛だと付けた人形よ。知っているでしょう?アレは何?」
「と、閉じ込める等、その様な事は、我々は聖女シャルにゆっくり休んで頂こうと…あ、あとあの人形は【鉄機兵】と申す我が領の新製品で…只、まだ単純な動作しか命令できず、ご迷惑をお掛けしたなら謹んで謝罪を…」
「解釈の違いね。それと【鉄機兵】?少々、危険過ぎる玩具だわ。即刻、廃棄と生産中止よ」
バッサリと斬って捨てた。
良いぞ、もっとやれと心で私はシャルさんを応援する。
しかし【鉄機兵】か、生み出してるのは多分、間違いなく転生者だ。
私の【翻訳】さんも大事だがそういうSFな兵器を生み出す【技能】を貰った?
加えてそれをこのガマガエル神殿長が自分の領地に囲い込んでる?
厄ネタの気配しかしねー。
廃棄と生産中止、大いに結構と思う。
「そ、それは二度と、二度と暴走させぬようにしますのでそれだけは…」
「そう?でも私は既に二度も【鉄機兵】に襲われてるの、大神は三度まで過ちを赦すそうだけど、私は心が狭いようで命の危機は一度で十分、二度目があれば尚更よ。廃棄と生産中止は決定。それともアムディの聖石の流通…いえ、物資の流通を全て止められたい?」
決定的な一言だった。
ガマガエル神殿長が真っ青になって俯く。
そりゃそうだよな、と思う。
【魔導具】作りに必須なアムディの聖石、それを持って居るのはダビートのみなのだ。
世界的な影響力で言えば国の王すら超えかねない。
絶対に敵に回しちゃダメな家だと思う。
ガマガエル神殿長のお陰と言うのも何だがそんな家を味方に出来て心底、良かったと言える。
感謝はせんけどな。
「…分かりました。すべて処分して生産も中止します」
「そう、なら良いわ」
本当にするかどうかは分からないが調査はスコート侯爵家が行うだろう。
言質は取った、十分だ。
さて、気になるのは此処からだ。
シャルさんは聞いてくれるだろうか?と思って見上げる。
「それにしてもダーリントン伯爵家は此処、十数年で随分と色々と新しい【魔導具】を生み出したわね。【鉄機兵】もそうでしょうけど誰の功績かしら?」
聞いてくれた!と思いガマガエル神殿長を見上げる。
するとそれまで青かった顔が怒りからか赤くなっていく。
「……奴はもう居りません」
「え?」
「ミ?」
シャルさんの声と私の声が重なった。
もう居ない?本当に?疑わしいと思ってセアラを見上げる。
全てを見抜くと言うセアラの【恩恵】の【神眼】それならば見抜けるのでは?と思った。
「………」
しかしセアラはジッと見るだけで何も言わない。
まさか本当?と私はガマガエル神殿長を見る。
「居なくなったとはどういう事?」
シャルさんが尋ねる。
ガマガエル神殿長は怒りからか震える声で喋る。
「新たなスポンサーを見つけたから去ると、代わりに残した物は自由にして良いと書き残して作っていた巨大な何かと共に姿を消しました」
嘘は………言ってない気がする。
本当に消えたのだろう。
その転生者は――
「名前と特徴は?」
シャルさんが尋ねてガマガエル神殿長が口を開く。
「名はハミルトン、歳は30、【LV】や【技能】は知りません」
ハミルトン、ハミルトンね、覚える様に名前を呟く。
しかし、ちょっとオカシイ、何だ30歳って!
こちとら転生して僅か半年程度だぞ、何だその差はと思う。
そう言えば自称:神様(仮)も言ってた私は『最も傷付いた生まれ出るのが遅かった魂』だと、それにしたって差が開き過ぎじゃないかと感じる。
理不尽だと思う。
戦う事になったらその30年の差を埋めねばならないのかとやはりこの世界はハードモードだと感じた。
「只、よく言っていました。自分は『人類の永遠と平穏の為に』動くのだと」
は?なんじゃそりゃ?私は首を傾げる。
シャルさんも困惑顔だ。
はっきり言って訳が分からん。
平穏は何だろう、人類の為に魔物を全滅させる?
その為に【鉄機兵】とか作った?
嫌々、私でも倒せる程度でS級の天災、SS級の絶望、SSS級の終焉、EX級の神話なんて戦える訳が無い。
加えてあの【鉄機兵】は私達に攻撃してきた。
機械三原則守れと言いたい。
全然、平穏と程遠い。
更に永遠、何だ?と思う。
人類全部を不死にでもするつもりか?
どうやって?
神にでもなってやるのか?
この世界なら位階を上げて行けば成れるらしいが、そんなポッと出の神様に可能な芸当か?
実際に自称:神様(仮)が居るこの世界だがそんな真似は出来ていない。
本当に分からん。
何を考え何をするつもりなのか、まったく理解不能だ。
分からない、気になるが、どうしようもない。
もしも、会う機会があれば知れるかもだろう。
そう思って考えを放棄した。
シャルさんも同じようだった。
「まあ、良いわ。私達は先を急ぎます。此処の事後処理はロズベルト神殿長、貴方に任せます」
「…はい」
思う所はあるが、コレで会話は終了だと、シャルさんは終わらせようとした。
ガマガエル神殿長も頷いた。
其処でそれまでずっと無言でガマガエル神殿長をみていたセアラが口を開いた。
「最後に一つ、お尋ねしたい事が有ります。ロズベルト神殿長」
「……何でしょうか?聖女セアラ」
「【魔眠草】に【狂乱草】を潜ませたのは貴方ですか?」
全身が震えた。
恐れを感じた。
恐怖した。
私より遥かに弱い筈のセアラに、【LV】でもステータスでも勝ってるセアラに私は脅えた。
それはガマガエル神殿長も同じだったろう。
流れ落ちる汗がそれを物語っている。
嘘は決して許さないという圧力がセアラから放たれる。
だが、それでも最後の慈悲を――
垂れ流された蜘蛛の糸を――
ロズベルト神殿長は――
「……いいえ、存じません」
自ら切った。
ロズベルト神殿長の運命は決まった。
「分かりました。行きましょう。聖女シャル、リーレン、リフレイア様、ノーザン様」
セアラはそれ以上は何も言わずにロズベルト神殿長から目を背けた。
「はい」
返事が返され、皆が歩き出す。
「ああ、忘れていたわ」
そう言ってどこからか手紙を取り出す。
「これはヴァン・スコート侯爵から貴方―ロズベルト神殿長へのお手紙よ、忘れずに読んでね」
そして渡すと今度こそガマガエル神殿長の前を去った。
ガマガエル神殿長は再び顔色を悪くし、立ち去る私達を見送った。
再び馬車の旅再開である。
ガマガエル神殿長に巨大金蚉と【鉄機兵】の残骸処理を押し付けた。
これだけでもまた少しは留飲が下がるってもんだ。
しかし気になるハミルトン、殺戮蟷螂を操っていた転生者と同一人物かどうか――
確証は無いが同一人物な気がする。
【鉄機兵】の残骸と殺戮蟷螂から出た金属ボールが似て思えた。
そんな人間が行方不明、危険な感じだ。
ヤバイと思う。
一刻も早く更なる力を得なければと思う。
そんな中、馬車は進んで三日後の夕方、門が閉まる前にアストラリオンに何とか到着した。
帰って来たなぁと感じる。
生まれ故郷はアドラスティア大樹海だが、この街ももう故郷の一つな感じだ。
大神殿の前に着く、ノーザンさんとは此処でお別れだ。
聖都テレスターレまで一人で大丈夫かと思うがどうにかするそうだ。
笑顔で別れる、きっとまた会える。
そう信じて――
神殿への正門を登る。
前とは違って堂々とした者だ。
何だかんだ言ってもう一月以上の付き合いだ。
長くなったと思う。
門番の前に立つ。
「聖女第一位、セアラ・シャリス。アムディの聖石採取の任より、聖女第四位シャルと共に帰還致しました。開門を願います」
前と違って堂々と言った。
ダメダメだった前回が嘘の様だ。
「はっ!開門っ!、開門っ!」
声が上がる。
門が開かれる。
開いた先の中庭の庭園は相変わらず、綺麗だった。
余り変化は感じないが季節が変わったからか咲いてる花が違う。
真っ白い花もある。
礼拝堂へと入る。
守銭奴神官長の姿は無い、別の仕事中だろうか?ガマガエル神殿長は例のアレ中なので帰還はまだだ。
出迎えはセリアーナお婆ちゃん大聖女様、一人だ。
姿を見ると我慢が出来なくなったようだ。
セアラが走ってセリアーナお婆ちゃん大聖女様に飛びつく。
野暮を言う人は此処には居ない。
「大聖女様、お借りした宝玉のお陰で、皆さまのお陰で無事に帰られました。ありがとうございました。ありがとうございました」
抱き着き泣きながらお礼を言う。
「ええ、無事に帰って何よりだわ。聖女セアラが約束を守ると信じていたから」
抱き着いた、セアラの頭を撫でる。
そんな二人の様子を暖かく見守る皆。
あ、シャルさんだけが羨ましそうに見てる。
うん、シャルさん実はセアラの事が大好きだよねと思う。
「聖女シャル、貴方が聖女セアラを助けてくれたのね。感謝します」
そう言うセリアーナお婆ちゃん大聖女様に「いいえ」と返事を返す。
「苦境を切り抜けたのは聖女セアラ自身の力とその願いを受けて動いた護衛騎士リーレンと騎士隊長ノーザン、そして水晶大亀を鎮めたこの子ですわ」
と話す。
聞き終わるとポンと手を打ち「じゃあ、お祝いの品は聖女セアラに、お礼の品はリーレン、ノーザン、ファトラちゃんね」そう言った。
え?!と思った。
前のご褒美は神殿への居住とセアラの部屋への狐猫をダメにする巣箱作りだった。
私は満足だったが私に慣れてないセアラには大変だった。
何度、気絶した事か…
「聖女シャルとリフレイアも欲しい物があれば贈るわよ?」
セリアーナお婆ちゃん大聖女様はそう言うが二人は首を振る。
「十分に休養を頂きました。それで充分です」
「同じくです」
あっさり断る。
まぁ、お金には不自由してないだろうし、スコート侯爵家の力なら大抵の品は手に入れられそうだ。
するとセリアーナお婆ちゃん大聖女様は「そう?残念ね」と言う。
ご褒美を贈るの好きなんだろうか?
それとも予想外の品を貰って右往左往する人を見るのが好き?
うん、お茶目だが少し困った趣味だ、貰うのがやっぱっり恐い。
「じゃあ、良いモノを用意するから楽しみに待ってってね」
そう優しそうに嬉しそうに笑うが私とセアラ、リーレンさんは微妙な顔だ、嬉しいけど怖い、そんな感じだ。
兎も角、任務は終わりアストラリオンに帰って来た。
喜ぼうと久々に夜の読書に行かずに眠った。
皆も熟睡だ。
本当に大変な任務だったと思う。
今日ぐらいはゆっくりしようと眠りについた。
狐猫の小話
護衛騎士リフレイアさんは現状で作中、最強です。
狐猫は【技能】使えばと考えてますが瞬殺されます。
護衛騎士最強は半端ないです。