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狐猫と旅する  作者: 風緑
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第037話 後少しと虫の群れ?


 朝になって私が傷だらけで転がってるのが発見されて騒ぎになった。


 騒ぎに気付いて私も目を開けるが全身痛くて動けない。


 最初に発見したのはリフレイアさん、そしてほぼ同時に起きたセアラとリーレンさん、慌てて癒そうとするセアラをリフレイアさんが一旦止めて、非常に強い筈の私を大怪我させた魔物を調べる事になった。

 追って此処まで来るかもしれないからだ。


 喋って伝えられないのが辛い。


 そんな訳で検視に起こされて呼ばれたシャルさん。

 朝が弱いのかちょっとご機嫌斜めだ。

 お仕置きは勘弁してくださいね?と祈る私をフムフムと調べる。


「どうやら黒雷虎ブラックサンダータイガーに襲われたようね」

 おお、正解だ。

 凄いと驚く私とそんな魔物に襲われたのかと動揺する皆。

 あ、リフレイアさん動揺してない、まさか倒せるとか?

 シャルさんも平然としている。

 流石は大物、侯爵令嬢だ。


「大丈夫よ。黒雷虎ブラックサンダータイガーはジュラ大森林の奥から出てこない。此処は安全よ」

 その言葉に安堵が広がり、私も安心する。

 追っかけられる事を考えてなかった。

 良かったと思う。


「でも黒雷虎ブラックサンダータイガーに襲われるなんてこの子はよっぽどジュラ大森林で暴れたのね」

 はい、暴れました。

 大暴れしました。

 反省してます、二度としません。


「では聖女シャル、傷を癒してあげても?」

「ええ、大丈夫。お願いするわ、ゴメンね痛かったでしょうに」

 シャルさんはそう言って傷付いてない所を撫でてくれる。


「ミィィミ」(大丈夫)

 一声鳴いて、頬をシャルさんの手に擦り付ける。


 そしてシャルさんが離れて杖を手にしたセアラが私の前に立つ。


「【月光】」

 言葉と同時に杖から優しい月の光、黄金の輝きが降り注ぐ。

 セアラの【恩恵ギフト】の【月光】だ。

 傷が癒えていく。

 何度経験しても不思議な感じだ。


 あっという間に怪我が消えて残るは血の跡だけになる。

 それをペロペロと舐めて消していく。


「怪我は消えても汚れは落ちませんわね。【魔導】で落とします。息を止めて下さい【洗浄ブレッシング】」

「ミィ?」(えぇ?)

 瞬間、水に包まれる私、冷たくない、ぬるま湯の様だ。

 汚れが瞬く間に落ちていく。

 続いてシャルさんが【乾燥ドライ】と唱えると水に濡れた私の体が乾いていく。


「ミィィミィミ」(さっぱりした)

 心地良さそうに鳴いて私はごろごろし始める。

 すると皆が安心したのか息を吐く。


「ミィィ、ミミィィミミ」(うん、心配かけてゴメン)

 鳴いて頭を下げると皆が気にするなと代わる代わる頭を撫でてくれた。

 そんな感じで私が黒雷虎ブラックサンダータイガーに襲われた翌日は過ぎて行った。


 それからダビートの街を旅立って10日が過ぎた。

 予定ではあと3日でアストラリオンだ。

 私は毎晩狩りに行ってるが【LV】はまだ上がらない。

 後1何だけどなぁ…


 あと一つが上がらず出て来る魔物もアストラリオンに近付き弱くなる一方、これでは【LV】が上がらないと悩む。

 寧ろ最近は【疾風】の制御に困っている。

 余りにも性能が凄すぎて、扱いづらい。


 【疾走】を自転車、【疾駆】を自動車とするなら【疾風】はF1である。

 いきなりぶっ飛んでコントロールが効かない。

 四苦八苦だ。


 まあ、訓練はしてるのでその内に慣れることが出来ると思うが…まだまだ掛かりそうだ。

 さて今夜の野営予定地で多くの馬車が止まっていた。


「何でしょう?何かあったのでしょうか?」

「分かりません、聞いて来ましょうか?」

「あ、では自分が行ってきます」

 5人を代表してノーザンさんが話を聞きに行く。

 その間に残りのメンバーは【魔導袋】から宿泊施設を取り出し設置する。

 そうしている内にノーザンさんが帰って来た。

 不思議そうな顔をしている。


「どうでしたか?」

 リーレンさんが尋ねる。


「いえ、何でもこの先で巨大金蚉ジャイアントスカラブが60匹程の群れを作って街道を封鎖しているそうで…」

「「「「え?」」」」

「ミ?」(え?) 

 皆が私も疑問の声を上げる。

 巨大金蚉ジャイアントスカラブ、確か巨大なカナブンの魔物だ。脅威度はD級の災害ハザードだがそれだけの数が居ては普通の人は通れないだろう。


巨大金蚉ジャイアントスカラブが群れるなど聞いた事が有りませんが…」

 リフレイアさんも首を傾げる。

 皆も同じだろう。

 だが、私はちょっと違う。


 虫の魔物…あの殺戮蟷螂キラーマンティスを思い出す。

 何となくイヤな予感がした。


「我々で討伐しますか?」

 リーレンさんが言う。

 確かに自分達5人と1匹ならD級の災害ハザード巨大金蚉ジャイアントスカラブ等、何匹居ても大丈夫だ。

 それが本当にD級の災害ハザードならば―


「いえ、明日の朝にはアストラリオンの大神殿から討伐隊が来るそうです」

「大神殿から?聖女のどなたかが率いて来られるのでしょうか?」

 セアラが尋ねるがノーザンさんも其処迄は分からなかったようで「すみません」と謝られセアラも「此方こそ申し訳ありません」と謝罪する。

 そこでシャルさんが「兎も角」と声を上げる。


「これ以上は帰還を遅らせられません。討伐隊が予定通り来るなら良し、来なければ私達で道を開きます」

 予定は決まった。

 恒例になった騎士の練習試合の後、私は一人で狩りに行く前に巨大金蚉ジャイアントスカラブの群れを俯瞰していた。

 数と行動は異常だが他にオカシイ所はない。


 見ているとピコーンと音がして【望遠LV1】を獲得しましたと出る。

 おや【望遠】よろしくお願いします、とご挨拶。

 何かおかしい、怪しいと思っても私は何も気付けなかった。


 そして森に狩りに行った。


 この日、森では久しぶりにゴブリンに会いました。

 綺麗な夜空の汚い花火になりました。



 翌日、巨大金蚉ジャイアントスカラブの群れを前に【探知】さんと【五感大強化】昨日とって強化した【望遠】改め【千里眼】でその後方を見るが討伐隊が来る気配は無い。


「どうですの?」

 様子を聞いてくるシャルさんに首を振って何もないと告げる。


「そうですか、聖女セアラ」

「はい、【光輝】」

 セアラの【恩恵ギフト】の【光輝】が全員に掛かる。


「行きます」

「ミィ」

 リフレイアさんと私を先頭、直ぐ後ろをリーレンさんとノーザンさん、その後ろにシャルさん、最後尾にセアラと言う陣形で私達は巨大金蚉ジャイアントスカラブの群れに突撃した。


「【炎の嵐よ、吹き荒れろ、我が敵を、焼き尽くせ、火炎嵐ファイアストーム】」

 口火を切ったのはシャルさんの【魔導攻撃】ド派手だ。

 炎が次々と巨大金蚉ジャイアントスカラブを飲み込んでいく。


 そんな中を私とリフレイアさんは直進、リーレンさんとノーザンさんは接敵だ。

 私が左上から、リフレイアさんが右上から、リーレンさんが左下、ノーザンさんは右下から四方から巨大金蚉ジャイアントスカラブの群れを包囲殲滅する予定だ。

 ぶっちゃけ、私が敵の中央に降りて【猛烈爪攻撃】を連打したのが一番楽だがそうなるとその様子を離れて見ている一般の人にあんな危険な魔物を大神殿は自由にさせてるのかと抗議が来るかもなので手加減だ。

 【技能】を使わず一匹、一匹、倒していく。

 強化はされて無い様だ。


 楽に倒せる。

 考え過ぎだったかと思う。


 シャルさん二発目の【火炎嵐ファイアストーム】、もう巨大金蚉ジャイアントスカラブは僅かだ。

 後は私と騎士で各個撃破だと思う。


 だが、其処で異変に気付く、【探知】さんに反応はない。

 内方されている【危機感知】にもだ、だが【千里眼】と【五感大強化】された視界に何かが映る。


 【人形】か?と思った。

 【人形型】の魔物は居る。

 だが何か違う、寧ろ【ロボット】見たいに見えた。


 しかも数が増えていく、3体、5体、10体、15体、まだ増える。


「ミァィィィィィィィィィゥッ!!」

 緊急事態だと声を張り上げる。

 皆がこっちを見る。

 思ったより素早く寄ってきた【ロボット】が皆の視界に入る。


「何だ?アレ…」

「新手の魔物?」

 リーレンさんとノーザンさんが戸惑い、シャルさんが「アレは!」と言い、リフレイアさんは後退を始めている。

 二人は何か知ってる見たいだ。

 私は一応、【鑑定】してみる。


【鑑定】『――――不明――――』


 え?不明、何それ?【検索】さん。


『ガイトウジョウホウアリマセン』


 危険度が跳ね上がった。

 私もダッシュで下がる。

 途中でリーレンさんを拾い【超尻尾攻撃】で包む。


「え?ちょ…」

 リーレンさんから抗議らしい声が上がるが無視だ。

 ノーザンさんもリフレイアさんに抱えられて走っている。


「聖女セアラ、今直ぐ正面に【大結界】を、私も【結界】で補強します」

「え?でも…」

「早くっ!」

「はいっ!」

 大結界と結界が合わさる。

 そこにリフレイアさんと抱えられたノーザンさんが飛び込む。

 よし、私もと続く。

 【疾風】を使えば一瞬だが抱えているリーレンさんが心配だ。

 此処は普通に走る。


 油断だった。


 【ロボット】の左腕が上がる。

 其処にあるのは銃身、30体の【ロボット】の銃が一斉に火を噴いた。


 ズバババババババアアアババババンッ!!!


「ミギャァ?!」(痛いっ?!)

 銃弾が一発当たる。

 痛い。

 むっちゃ痛い。


 けどそれだけだ、何とか間に合ったと、結界に入る。

 尻尾の拘束を解きリーレンさんを自由にする。


 うう、痛ったい。

 蹲る私。

 【物理攻撃完全無効】を持つ私を貫通するとは何て銃と思う。


「大丈夫ですかっ?!」

 セアラが叫ぶがシャルさんが「今は【大結界】の維持に集中なさいっ!」と、叱責が飛ぶ。

 巨大金蚉ジャイアントスカラブはもう残っていない。

 だが銃撃は続いている。

 狙いは私達だ。


 リーレンさんが傷薬を使い私を癒してくれる。


 己…と、思う。

 あの【ロボット】共め、こんな愛らしくてプリチーな私を銃で撃つとは許せんっ!


 銃弾の嵐が一瞬止んだ。

 瞬間、私は【空間機動】【疾風】で飛び出す。

 今、この時を逃せば後は無いと感じた。


「ちょっと、待ってっ!」

「戻りなさいっ!」

 そんな声が聞こえるが無視だ。

 あの【ロボット】共、万倍返しだと誓う。

 加えて私に賛同する声。


「いえ、今、この時を逃せば後が無い。私も出ます。護衛騎士リーレン、騎士隊長、聖女様方を頼みます」

「必ず」

「お気をつけて護衛騎士リフレイア」

 そして走りだす、リフレイアさん。

 その背にシャルさんが叫ぶ。


「怪我一つしたら許さないわよ、リフ」

「承知しました。聖女様」

 こうして最強狐猫と最強護衛騎士のコンビが【ロボット】に襲い掛かった。

狐猫の小話

【ロボット】登場です。

攻撃は通りますが【耐性】は効果が出ずダメージを喰らいます。

作ったのは勿論、ハミルトンです。

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[一言] オーバースペックすぎる… 銃の概念はキケン。
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