表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐猫と旅する  作者: 風緑
35/166

第035話 帰路と何時の間にか?


 食事が終わると佇まいを但しヴァン侯爵が頭を下げた。


「先日もしたがこの場で正式に謝罪させて頂く。申し訳なかった、聖女セアラ」


 それに慌ててセアラも答える。


「あ、頭をお上げください、ヴァン侯爵。私こそ無謀な行動で民に被害を、大変申し訳ございませんでした」


 机に顔が付くんじゃないだろうかと言う程に深く謝るセアラ。

 二人が頭を下げ合うのを見てシャルさんが「なら、二人共御相子と言う事で終わりね」と言った。

 するとヴァン侯爵は「そうだな」と顔を上げセアラも顔を上げたモノの「ですが…」と言う。


 そんなセアラにシャルさんはキッと顔を上げて―


「先日も言いましたが裁かれるべきは別の人間です。聖女セアラ、貴方は成すべき事を行い民を護り癒しました。誇るべき事です。それ以上、グダグダと後悔するようでしたらお仕置きですわよ?」

「ひゃ、ひゃい、申し訳ございません」

 シャルさんに言われてセアラの背筋がピンと伸びる。

 うん、シャルさんのお仕置きか恐そうだ。

 私も気を付けようと思う。


「ではこちらがスコート侯爵家が聖女セアラへ送る礼状と大神殿への謝礼、そして任務でのアムディの聖石になります。お納めください」

「かしこまりました。ありがとうございます」

 執事のガリーさんがトレーにのった礼状を運び、他の従者が謝礼の入った袋、台車に積まれたデッカイアムディの聖石を運ぶ。

 渡された数々の品をリーレンさんが受け取り【魔導袋】に仕舞う。


 しかしアムディの聖石はマジでデカい。

 【鑑定】で見ても金板5枚とか出てる。

 こんなのが今、岩山にゴロゴロしてるのかと思うと我が事ながらとんでもない真似したなと思う。


 因みにアムディの聖石は全部をスコート侯爵家が買い取り其処から他の街、国へと流れるらしい。

 既に領主邸の再建をしても数年は楽に領地経営出来るだけの額が貯まっているらしい。

 ボーナスだね。


 狐猫の私にはもうお金って興味ないけどね。


「そして最後に今回の一件の原因と思われるロズベルト神殿長への抗議文だが…」

「お父さま、それは私が」

「そうか、頼む」

 親子間で手紙がやり取りされる。

 くっくっくっ、ガマガエル神殿長め、痛い目を見るが良いわと思っておく。


「さて、コレで終わりだな。聖女セアラ、今回の恩をダビートの街の民は忘れない。三年十か月後に聖女セアラが成人し大聖女になる事を期待している」

「え、あ、その…は、はい、まだまだ弱い身ですがその日までに必ず成長した姿をお見せします」

「楽しみにしている」

 そのを最後にセアラとヴァン侯爵は笑って握手した。

 最初の晩餐が嘘の様だ。

 良かったと思う。


「ああ、忘れる所だった」

「ミィ?」(何?)

 もう終わりだ、帰ろうと思っていた所でヴァン侯爵が私の所にやって来た。


「君にもお礼をしなくてはと作らせた。気に入って貰えると嬉しい」

 そう言って従者が運んで来たのは――


「ミィミミィィィッー!」(私の狐猫をダメにする巣箱ー!)

 ヒシッと抱き着く。

 木の材質は変わらない。

 オークラ木だ。

 コレはあんまり気にしない。


 問題は中だと入って見る。

 体へのフィット感は一緒。

 だが、おお、中のクッションが全然違う。

 更にヌクヌク、フワフワ感が増している。

 【鑑定】してみる。


 【鑑定】『睡眠羊スリーピングシープの羊毛のクッション。ダビート産。価値銀板3枚』


 睡眠羊スリーピングシープ確か魔物についてで読んだ。睡眠攻撃を仕掛けてくるC級の災厄カラミティの魔物だ。


『スリーピングシープヨウモウニアンミンコウカガアリタンジカンデモジュクスイデキマス』


 【検索】さんの補足説明にも満足だ。

 大事にするよ、今度こそ壊されないと誓う。


 一頻り、ゴロゴロして満足して巣箱を出る。


「気に入って貰えたか?」

 と、ヴァン侯爵が言うので「ミィィミィ!」(完璧っ!)と鳴くと撫で撫でされた。

 むむ、中々の腕前、するとシャルさんが「お父さまズルいですわ」と私を撫で撫で、コレも良い。

 すると続いてディア侯爵夫人が「では私も」と撫で撫で、家族揃って結構なお点前と賛辞を送る。


 そして出て来るロビン君(邪神)「じゃあー、僕もー」と、言うがお前は許さん「シャーーーッ!!」じゃ、「嫌われたな、ロビン」と言うヴァン侯爵と「うー、何でー」と残念がるロビン君(邪神)。


 悔しがるが君は私にとって大敵で邪神なのだと言っておく。

 故に触れる事は許されない。


 そんなこんなで皆が満足して笑顔でスコート侯爵家を後にした。

 ロビン君(邪神)を除いて。


 そして私は新しくなった狐猫をダメにする巣箱Mk-2で安心、安眠、熟睡したのだった。


 翌朝の8時、私達は出発の準備を終え門の前に集まっていた。

 見送りの人が一杯いる。

 ノースさんも居た。

 お土産に猫じゃらしを一杯貰った。

 これでセアラやリーレンさんが遊んでくれると嬉しい。


 シャルさんは一緒に行くそうで既に馬車の中、セアラも一緒、リーレンさんも馬車内。

 シャルさんの護衛騎士は御者台、後はノーザンさん一人だ。


 あの時に逃げ出した4人の騎士は行方不明、セアラは心配してたが私は許さん、見つけたら【超尻尾攻撃】で引きずり回しの刑じゃ。


 そして皆が手を振り合う中、馬車が進みだす。

 見送る人々が見えなくなるまで私は馬車の屋根の上から手を振る。


 色々と本当に色々とあった旅だったけど楽しかった。

 またこんな旅を皆としたい、そう思いながら離れて行くダビートの街を眺めた。


 セアラの【恩恵ギフト】の【光輝】を受けて速い速度で進む馬車、隣を一人で同じく【光輝】を授かった馬で着いて来るノーザンさん。

 考えてみると今、交代で御者をしているリーレンさん、セアラ、シャルさん、シャルさんの護衛騎士のリフレイアさん、女の子ばっかりだ。

 私も雌だ。

 ハーレムPTだね。

 誰ともくっ付きそうにないけどね。


 この街道は安全だから夜の番は立てない。

 来る時は私の力が秘密で獲物を狩ってたから不安に思われて夜番が立てられたけど、もうほぼ私の力はバレバレだから誰も不安に思わない。

 この街道は大丈夫と安心してる。


 しかし、暇だなと思う。

 言葉が交わせるなら後で追いつくから狩りに行っていい?と聞きたい所だ。

 出来ないけど、くわぁっ…と欠伸をするが眠くはない。

 昨夜、狐猫をダメにする巣箱Mk-2の寝心地が良すぎて寝すぎた為だ。


 今夜も狩りに行くから寝ておいた方が良いんだろうけど…しょうがない、ステータスでも見て時間を潰そうと思う。


 ステータス・オープン


 ウィンドウが開く。


【名前】無し


【種族】ファトラ


【位階】弐


【LV】25 → 28


【気力】525 → 549


【理力】522 → 546


【霊力】582 → 618


【魔力】586 → 622


【SP】1788 → 1850


【技能】【金綱牙攻撃LV2】【猛烈爪攻撃LV2】【超尻尾攻撃LV2】【隠形LV8】【記憶LV9】【探知LV8】【鑑定LV5】【検索LV5】【夜目LV7】【疾駆LV9】【剛力LV5】【鋼体LV5】【物理攻撃完全無効】【空間機動LV9】【予測LV7】【並列思考LV4】【思考超加速LV9】【五感強化LV9】【翻訳LV10】【空間魔導LV1】【忍耐】


 大分、上がってる。

 あと二つで次の試練だ。


 リーレンさんは超えてると思う。

 あ、【SP】がまた50増えてる。

 この間の大宴会のお陰かな?コツコツでも貴重な【SP】ごちそうさまです。

 【技能】もLV9が大分増えた。

 打ち止めか進化するか分からないけど楽しみだ。


 って、ん?んん?んんん?【空間魔導】?って、ナニコレ??何時、こんなの手に入れたの?記憶にないよ?

 でもアレだ。

 【空間魔導】と言えばアレだ。

 【短距離転移】【長距離転移】敵からの飛び道具を異空間にボッシュートからそのままお返し出来たりする。

 うわは、夢だ。

 夢の魔法――じゃなくて魔導だ。

 夢が広がるっ!

 早速、強化だ、【SP】幾ら掛かる?


『技能【空間魔導LV1】を【LV2】にするにはSP31が必要です。』


 ボッタクリだ。

 高すぎる。

 コツコツ上げよう。

 そうしよう。


 取り合えず発動、【空間魔導】。

 うん?うーん?うん、うん…うーん…何となく解る。

 使える。

 でも、それだけだ、何というかパソコンやスマホで起動は出来るけどソフトやアプリが全く入ってない感じ見たいな。


 多分、アレだ。

 ちゃんと使うには何か【技能】が足りない。

 そんな感じがする。


 でも使えるは使える。

 その時の為に【LV】は上げよう。


 そんな訳で四番目の【並列思考】君に任せた。

 空間をウニョウニョして【LV】を上げてくれたまえ、ご褒美はポテトチップだ。


 等とやっているとちょっと眠くなってきた。

 夕ご飯迄あんまり時間が無いけどそれまででも寝よう。


 我が愛する狐猫をダメにする巣箱Mk-2よ、暫しの安らぎを与えたまえ――スヤァ……


 夕ご飯です。


 料理当番はリフレイアさんです。


 ご飯は美味しいです。

 20歳です。

 花盛りです。

 良妻賢母の素質大です。

 貴方も立候補どうですか?


 いやー、アストラリオンからダビートに行く時の食事が酷かったから覚悟してたけどそんな心配無用だった。

 ご飯が美味しいのは幸せ。

 因みにセアラ、リーレンさん、シャルさんは料理出来ないそうだ。

 いや、セアラは手伝いしてたからちょっとは出来るのかな?

 ノーザンさんは言わずもがな。

 私?私は論外、手のない狐猫にどう料理しろと?


 前世ではやってた気がするけど調味料やスパイス、ルーに恵まれていたからね。

 中世ナーロッパに適応出来るとは思えない。


 まぁ、【超尻尾攻撃】でフライパン使って焼くぐらいは出来る気がするけど、それだけだ。


 そしてだけどリフレイアさん多分すっごく強い。

 3歳差だけどリーレンさんよりずっと、ノーザンさんよりも強い。

 動きの鋭さとキレが違う。

 きっと私でも【技能】抜きなら負ける。


 それぐらい強い、上には上が居ると思った。


 でも何でか顔の上半分を兜で隠してる。

 それもずっと、唇とか僅かに見える鼻とか美人さんに見えるのに勿体ない。

 夕ご飯が終わると皆が寝るまで私はごろごろ、ゆっくり食休みだ。


 皆も夫々で動く。

 リフレイアさんは食事の後片付け、セアラは片付けを手伝う、セアラが手伝うからリーレンさんも手伝う、ノーザンさんも一人残るのは気になるのか手伝いに行った。

 シャルさんは焚火の前で読書だ。

 流石は侯爵令嬢って感じだ。

 食事の後片付けが終わるとセアラはシャルさんの隣で本を読み始めた。

 まだまだ11歳の少女だ覚える事が一杯なのだろう。

 そして何時もなら騎士と護衛騎士も焚火を囲んでジッとしたり談笑したりしてた。


 多分、ジッとしてるのは瞑想か自分の中の力の流れを感じる事で【技能】の強化をしているのだと思う。

 私も取っ掛かりは掴んでいる、水晶大亀アルケイロンとの戦いで【忍耐】様の力を臨界まで溜め込んだ時だ。

 体の中を巡る力、体の周りを覆う力、周囲から取り込む力、そして体の奥―魂から噴き出る力を感じた。

 これが【気力】【理力】【霊力】【魔力】だろうと思った。


 只、最初に感じた力の奔流が激しすぎたのか以来、イマイチピントが合わず力の流れが把握出来ない。

 当時が凄すぎて今は弱々しくて分からないのだ。


 これも【忍耐】様の弊害かと思う。

 ステータスの【気力】【理力】【霊力】【魔力】を完全に使いこなせる様になるのはまだまだ掛かりそうだ。


 それで今日も同じだろうと何となく思っていた。

 だがリーレンさんが立ち上がってリフレイアさんの前に立ち頭を下げる。


「護衛騎士リフレイア、一手御教授願います」

 ゴロゴロしていた私はそれを見ておっと思った。

 動きからかなり強いと思えたリフレイアさん、さてどうすると思った。


「分かりました」

 返事をして剣を手に立ち上がる。

 さて勝負だな、どうなる?と思いながら後を着いて行く。


 大神殿の訓練場で子供同士の試合とか、大人との練習試合は見た。

 だが、その程度だと言える。

 本物の騎士同士の戦いをちゃんと見るのは初だ。


 後ろから視線を感じた。

 セアラが見ていた。

 リーレンさんが心配なのだろう。

 そんなセアラに【五感強化】された私の耳にシャルさんの声が届く。


「集中しなさい」

 セアラの背筋がピンと伸びる。


「聖女セアラ、貴方の騎士は貴方の為に強くなろうとしてるの、必要とされたら呼ばれるわ。自分に集中なさい」

「はい」

 返事をして手元の本に戻るセアラ。

 うん、今更だけどシャルさんも強いよね。

 後衛だろうけど風格が違う。

 流石はヴァン侯爵の娘と思う。

 彼女が戦う姿もその内に見たいモノだ。


 それはそれとして今はリーレンさんとリフレイアさんだ。

 私は将来、必ず人と戦う。

 母狐猫の仇とだ。


 あいつの強さは知れてるが強い奴を雇う可能性がある。

 私は高く売れるらしいからね。


 そんな中で初めて会った本当に強いと思える人、リフレイアさん。

 さて、どれ程のモノだろうと見に行った。

狐猫の小話

【空間魔導】は前の話で貰った王家に伝わる秘術です。

狐猫唯一のユニークスキルです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 王様のお土産がすごい。 あの王様もスパルタン魂注入されたしきっと覚醒しますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ