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狐猫と旅する  作者: 風緑
21/166

第021話 試練突破、そして私はマスター?


 ゴシゴシと眼をこする

 随分と泣いた。

 存分に泣いた。


 母狐猫を想って泣くのはこれが最後だと誓った。


 そして私は生きている。

 まだ生きている。


 本当にもう駄目だと諦めかけた所をまた母狐猫に救われた。

 自称:神様(仮)は壁の試練は超えたと言ったがまだまだだ。


 自分は母狐猫の高みには居ない。

 お情けの合格だと思う。


 もっと努力せねばと感じた。

 明日からスパルタンな特訓を倍、いや、三倍だと決意する。


 それはそうとしてさっきからピコーン、ピコーンとうるさい。

 電話の着信音みたいだ。


 分かってる何時ものアレだろと目を向けるとウィンドウが現れる。


『試練の突破おめでとうございます。報酬が授与されます。【位階】が弐になります。【気力】【理力】【霊力】【魔力】【SP】にボーナスが入ります。また以下の中から四つの【技能】をお選びください。【技能】が付与されます。また特別報酬として選択した【技能】を一つ最大値迄強化致します。ご選択下さい』


 おお、大盤振る舞いじゃね?

 自称:神様(仮)はそんなにさっきの戦いに胸打たれたと?

 ちょっと嬉し恥しい。

 それはそれとして【技能】を見る。

 うん、多い。

 消えたの、残ってるの、新しいの色々とある。


 この中から四つかぁ、慎重に選ばねばそう思いながら見ていく。


 【毒物耐性】【麻痺耐性】【石化耐性】【睡眠耐性】【呪耐性】【物理耐性】【炎耐性】【水耐性】【風耐性】【土耐性】【魔導耐性】【鑑定】【尻尾攻撃】【毒牙攻撃】【麻痺爪攻撃】【火息吹】【氷息吹】【雷息吹】【収納】【気力操作】【理力操作】【霊力操作】【魔力操作】【火魔導】【水魔導】【風魔導】【土魔導】【念話】【限界突破】【魔力解放】【望遠】【気力感知】【理力感知】【霊力感知】【魔力感知】【確率補正】【念動】【無音】【遊泳】【検索】【魔眼】【強欲】【忍耐】【回帰】


 うん、一杯だ。

 選ぶのは大変そうだ。

 しかし能々見てるとなんとなく不穏なのが三つ。

 何だ?【強欲】【忍耐】【回帰】ってコレってば確かアレだ。

 私に神託を授けた女神兼悪魔兼邪神様で居付いている神殿で崇められてるアストラーデって一柱が司ってるモノだ。

 何でそんなモノが私の習得可能な【技能】の中に?

 アレか?知らない内に加護でも授けられたか?


 興味はあるが、怖い。

 取るのはヤバイ、放置の方向で行こう。


 耐性系は変わらずと思ったら【魔導耐性】って増えてた。

 【魔法】じゃなくて【魔導】ね、気にはなるが【魔導攻撃】は受けた事が無い。

 試しに受けてみるのも怖い。

 まぁ、それよりも【物理耐性】だね。

 母狐猫の攻撃は痛かった。

 【鋼体】が在って良かったけどそれだけじゃ耐えられなかった。

 取っておこうかと候補に入れる。


 水晶大亀アルケイロンが吐くという水晶攻撃にも効果がありそうだしね。


 後、【目利き】が【鑑定】になってた。

 予想通りに【鑑定】に進化するスキルだったか、街に居付いて気になるモノが色々と出てきた所だ。

 候補に入れようと選ぶ。


 次は攻撃。

 そう言えばあったな【尻尾攻撃】尻尾で敵をペチペチしたら覚えるかな?

 今度試そう。


 【毒牙攻撃】と【麻痺爪攻撃】は【鋼牙攻撃】と【猛爪攻撃】で大丈夫。

 でもどっちの【技能】も威力が高すぎて訓練方法に困る。

 何かいい方法は無い物か?


 【火息吹】【氷息吹】【雷息吹】はやっぱり没、遠距離は【猛爪攻撃】で何とかする。

 【収納】は【魔導袋】を貰う事を考えた方が良い気がする。

 次は【気力操作】【理力操作】【霊力操作】【魔力操作】相変わらずよく分からないから没。

 おお、念願の【魔導】キターーッ!

 【火魔導】【水魔導】【風魔導】【土魔導】がある。

 でも神殿で教えて貰えれば身に着けられるっぽいから没かな。


 【念話】【限界突破】【魔力解放】【望遠】うーん、どれも微妙かなぁ。

 必須では無い、没。


 今度のは何だろう?

 【気力感知】【理力感知】【霊力感知】【魔力感知】同じような【操作】と一緒かな?

 やっぱり良く分からない没。

 

 最後に【確率補正】【念動】【無音】【遊泳】【検索】【魔眼】、中々に気になる【技能】が多い。

 【確率補正】は命中と回避を助けてくれそうだ。

 ちょっと気になる。

 【念動】【無音】【遊泳】はちょっと興味がそそられないパスで、【検索】さんは取れと私の勘が告げているっ!確保ーーっ!

 【魔眼】は厨二心を擽るけどどうだろう?うーん、悩む。


 取り合えず確定は【物理耐性】【鑑定】【検索】は確定と、後一個をどうしよう…。

 うーん、【強欲】【忍耐】【回帰】の内、一個を選んじゃう?

 何か怖いけど…ヤバイと思うけど…気にはなる。

 よし此処は無難に7美徳な【忍耐】で、コレで決定。

 ボーナスお願いしまーす。


『確認しました。では【物理耐性LV1】【鑑定LV1】【検索LV1】【忍耐】をお授けします。次に所持【技能】から最大値迄強化する【技能】をご選択下さい』


 ふっ、これは決めていた。

 【物理耐性LV1】をお願いしまーす。


『確認しました。【物理耐性LV1】を【物理耐性LV10】にUPします。【物理攻撃耐性LV1】に進化しました。【物理攻撃耐性LV1】を【物理攻撃耐性LV10】にUPします。【物理攻撃無効LV1】に進化しました。【物理攻撃無効LV1】を【物理攻撃無効LV10】にUPします。【物理攻撃完全無効】に進化しました。最大強化を終了します。ご利用ありがとうございました』


 え、ちょっと待って、何か凄い上がり方しなかった?

 何?【物理攻撃完全無効】って、半端なくない?

 うわは、何だかとんでもないことになってしまった。


 正に矢でも鉄砲でも持ってこーいって感じだ!

 私の最強への道が開けてしまった様だ。

 これからは私の時代だっ!


 そんな喜ぶ私はまた光に包まれて元居た訓練所の片隅へと戻って行った。


 帰ってこれた、無事に帰ってこれたよーと思うと体からカクンと力が抜けてその場に座り込んでしまった。

 あれ?と思う。


 体が思うように動いてくれない。

 何だ?どうした?と思うが僅かに這いずれるだけだ。


 そう言えば私って重傷だったと今更気付く。

 さっきまではアドレナリンがドバドバで平気だったようだ。


 ヤバイ、このままでは死ぬと思う。


「ミィィィィィィィィィィーーーーーーーーッ!!!」

 出来る限界、力の限り叫ぶ。

 本当に声が出たのかも分からない。


 只、それが最後で私の意識は途絶えた。




 いやー、現実に戻っていきなり死に掛けるとは思わなかった。

 私の時代短く終わる所だった。


 あの後、私の叫びを聞いた聖女候補生が様子を見に来る。


 血だまりに倒れる私。


 大慌てで回復魔導を掛けて救護室へ運ぶ。


 看護の先生大騒ぎで回復薬をぶっかける。


 それでも傷が塞がり切らずセアラが呼ばれてガクブルしながら私に回復魔導を掛けて九死に一生を得たという訳だ。


 聖女候補生の女の子も看護の先生もセアラも命の恩人だね。

 恩は返すよ。

 絶対ね。


 そんな訳で傷が塞がった私は大浴場でワシワシと聖女候補生の女の子に洗われている。

 血塗れだったからね。


 野生の掟的にお風呂はどうかと思っていたが中々に心地よい。

 有りにしてしまおうかとすら思う。


 お風呂が終わるとドライヤーみたいな魔導具で毛を乾かされる。

 キモチイー。


 汚れが落ちてお毛々が艶々、てかてか、ピカピカのフワフワに戻る。

 ふー、極楽だったー。


 ご機嫌で尻尾を振り振り。

 此処で冷えた牛乳など飲みたい所だ。

 ないけれど。


「はい、綺麗になった。でも助かって良かったわ。見つけた時は本当に驚いて…」

 はい、その節は本当に大変お世話になりました。

 私が無事なのはあなたのお陰です。

 と、聖女候補生の女の子に体をスリスリと擦り付ける。


「ふふふ、でも何に襲われたの?鳥でも入って来てた?」

 いえ、いえ、鳥なら一瞬で返り討ちですよー。

 試練でうっかり死に掛けただけです。


 と、言って見るが相手には「ミィミミミィミィ」としか聞こえないだろう。


「分からないけど、もう危ない事をしちゃダメよ」

 そう言い残して聖女候補生の女の子は去って行った。

 さて、私もそろそろ部屋に戻りますかと歩き出した。


 セアラの部屋に入ると出立の準備を終えたセアラとリーレンさんが居た。

 恐がらせるが此処はお礼を言っておかなけばなるまいとセアラの前に立った。


「!ひ…う……あ…」

 うむ、予想通りにガクブルしている。

 だが此処はお礼を言わねばなるまい。


「ミィミィィミミィミィ」(助けてくれてありがとう。助かたっわ)

 そう言ってペコリと頭を下げるが相変わらずセアラはガクガクブルブルしている。


「聖女様、お礼を言ってるのだと思いますよ」

 リーレンさんがそう言うと再起動したらしいセアラは何とか「ど、ど、ど、どう、どうい、どうい、どういたし、どういたしまひゅて」と言った。

 ちょっと可笑しくて笑った。


 テーブルから離れて狐猫をダメにする巣箱に入る。

 これ以上、セアラを怖がらせる訳には行くまい。


 視界から消えなければと思う。

 そして巣穴に入って一心地着いた所でステータスどうなってるんだろうと思った。


 ステータス・オープンと念じてみる。

 目の前にウィンドウが現れる。

 そして内容は――


【名前】無し



【種族】ファトラ



【位階】弐



【LV】20 → 20



【気力】169 → 369



【理力】166 → 366



【霊力】206 → 406



【魔力】210 → 410



【SP】1475 → 1675



【技能】【鋼牙攻撃LV1】【猛爪攻撃LV5】【隠形LV5】【記憶LV5】【探知LV5】【鑑定LV1】【検索LV1】【夜目LV3】【疾駆LV6】【剛力LV2】【鋼体LV1】【物理攻撃完全無効】【空間機動LV6】【予測LV3】【並列意思LV3】【思考超加速LV5】【五感強化LV4】【翻訳LV10】【忍耐】


 うは、めっちゃ上がってる。

 200も増えていた。

 前までの倍近い。

 やはり私の時代キタコレと興奮する。


 そこで技能の【鑑定LV1】と【検索LV1】に目が行く。

 そう言えば取ってたなーと思い出す。


 何となく巣箱を鑑定して見る。


『オークラ木で作られた巣箱。価値銅板3枚』

 と出る。

 オカシイ、もうちょっと詳細みたいなのが出ても良いのではなかろうかと思う。


(鑑定)

 と、今度はクッションを鑑定してみる。


『コッコの羽根が詰められたクッション。価値銅板5枚』

 オカシイ、やはりコレジャナイ感が凄い。

 価値とか分かっても狐猫の私にはどうしようもない。


 今度は【検索】さんを使って見る。


(【検索】さんコッコって何?)

『チジョウヲアルクトベナイトリデス』

 まんま鶏のようである。

 だが、そうでは無い。

 もっと色々と教えてくれる技能だと思っていた。


(そういえば【検索】さん、【忍耐】って何?)

 また尋ねる。

 躊躇しながらも一緒に取ったスキルだが【物理攻撃完全無効】と同じくLV表記が無く一文字で完結している。


『ニンタイトハタエシノブコトデス』

 やはりオカシイ、もっともっと色々と教えてくれる【技能】だと勘が告げていたのに、勘が外れてしまったのかと嘆く。


(【検索】さん、もっと色々と教えてくれないの?【鑑定】もだけど…)

『ギノウケンサク、カンテイトモニレベルブソクデス。レベルアップヲスイショウ』

 やはりLVか此畜生と思う。

 そうなるとLV1から優秀だった【探知】さんが輝いて見える。


 早速【検索】さんと【鑑定】の【LV】UPを試してみた。

 どちらも【探知】さんと同じ【SP】21が必要だった。

 ボッタクリっである。


 【LV】上げ必須と言う技能でもない。

 【探知】さんはコツコツ上げて今やLV5だ。

 同じ道を歩もうと思う。


 【LV】UP必須と言うなら【鋼牙攻撃】【猛爪攻撃】が上だ。

 もしもの為に【SP】は温存しておきたい。

 【SP】を使っての【検索】さんと【鑑定】の【LV】UPは諦めた。

 常時使用して地道な【LV】UPを目指す。


(じゃあ、【検索】さん常時発動して居るから言いたい事が在ったら何時でも言ってね)

『カシコマリマシタ。トキニギノウホユウシャサマナントオヨビスレバ?』

(あー、私は名前が無いし、狐猫は自分が言ってるだけだし、ファトラは種族名だし、じゃあ、名前が決まるまでは『マスター』で)

『リョウカイシマシタ。コレカラヨロシクオネガイシマス。マスター』

 こうして【検索】さんの私呼びはマスターになった。

狐猫の小話

【鑑定】と【検索】はやっぱりファンタジー定番です。

【LV】上がればちゃんとします。

迷わず【SP】を振れば良いんですが狐猫は中々、使いたがりません。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 何で念話取らんのじゃい。聖女か水晶大亀と意思疎通必要な状況じゃないか。
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