第019話 久々にフィーバー、そしてギルド色々?
深夜、こそっと起きる。
セアラももう寝ている。
枕元に立って見た。
疲れてる気配がする。
無理するなぁ、せめて安眠しろよと必殺肉球プニプニパンチを放つ。
「ううん、プニプニ…プニィ…」
安眠モードに入ったようだ。
流石は我が肉球プニプニパンチよ。
誇って胸を張りピョンと枕元を離れる。
そして机の上に乗る。
予想した通りに魔物について(中)の本があった。
途中に栞が挟んであるけど気にせず一ページずつ読んでいく。
うん、蟻とか蜥蜴とか、熊とか、鳥とか、魚なんかの記憶にある魔物も載っている。
蟻にはやっぱり女王蟻が要るっぽい。
女王黒大蟻とあった。
今は時間が無いが今度、探してみようと思う。
他にも知らない鹿とか、牛とか、猫とか、狐や虎、ライオンなんかの魔物の姿が在った。
後、何か馬の魔物も居るらしい、戦闘馬と言って鬼人が騎乗して戦うっぽい。
戦闘民族っぽいな鬼人種、流石はSSS級の終焉を唯一、封印した民族よと思う。
そして読み進めていく中で遂に発見した栞が挟まった頁。
水晶大亀推定B級の災禍の魔物。
現在はテレスターレ聖国の北東端ダビートにのみ一匹だけ生息する。
背中の甲羅に成長する不思議な水晶を持ち数年に一度だけ【聖歌】によって眠らされ背中の水晶を刈られる。
全長は数百メートルに及び、巨体から繰り出される攻撃と【水晶吐息】による物理攻撃は手が付けられないと言われる。
背中の水晶は魔導具作りの要石として珍重され高値で取引される。
尚、戦闘能力は基本温和であり、眠らせる事が出来る事からの推定であり、怒らせた場合、最悪はその年齢からS級の天災にも届くことが予想される。
推定B級の災禍で最悪S級の天災な数百メートルな亀の魔物って何だと突っ込む。
安全に採れる方法があるならそれで採れよと心底思う。
こちとら体長10センチあるかも怪しいちっさな軽ーい狐猫だぞと突っ込む。
勝負にならないと思う。
流石に体長と体重が違い過ぎる。
絶望的だ。
水晶大亀について書かれた後の頁は数ページ。
海に住むS級の天災魔物についてだった。
今更である。
海に行かなければ安全だと思う。
それよりも水晶大亀対策である。
ちょびっと強くなった程度ではどうにもならない。
やはりダビートの民に【聖歌】を使ってもらう前提で作戦を練った方が安全だ。
私の愛らしさを武器にダビートの民を悩殺するのだと考える。
作戦は決まった。
だがやはりこの世界、強さは必須だ。
鍛える事は止めない。
翌朝の訓練の為に私は巣箱に戻って眠った。
朝になった。
昨夜は本二冊を読んだのでその分だけ起きるのが遅くなった。
起きるとセアラはもう部屋に居なかった。
書類の提出か訓練に行ったらしい。
私も負けていられない。
さぁ、早速、朝ご飯だ。
今朝もご飯は美味しかった。
毛艶も良く尻尾もフサフサである。
もう二本目の尻尾が隠せていない。
成長著しい。
体も早くでっかくなって欲しいのに、まだまだ無理なようである。
訓練場に到着、また隅っこに隠れて【疾駆】【空間機動】の超高速反復横跳びだ。
ふぉぉぉぉぉぉっ!
上がれ、【疾駆】か【空間機動】の【LV】よーっ!
願いは叶った。
【疾駆】が【LV6】になった。
ご機嫌である。
午後の【牙攻撃】訓練と狩りにも力が入る。
【牙攻撃】あともう少しだと思うんだよなー。
お昼ご飯の為に廊下を歩く。
するとガマガエル神殿長と遭遇した。
あからさまに嫌そうな顔をされこっちもする。
「汚らわしい、魔物風情がっ!」
等と小声で言っているが丸聞こえだ。
そっちこそ醜いガマガエル神殿長風情がっ!と思ってやる。
おっとガマガエルに失礼かな。
虫を食べてくれる。
カエルも役に立っている。
このガマガエル神殿長は碌な事しないけどなっ!
「ふんっ、忌々しいモノを見た」
そう吐き捨てて去って行く。
こっちも嫌な物を見たよっ!と思っておく。
「……所でアレの準備は終わっているか?」
「……はい…出来ております。…ですが、よろしいのですか?」
「構わん、変わりは準備させる」
何か不穏な言葉が聞こえた。
【五感強化】を聴力に集中してみるがもう聞こえない。
不安だ。
確かアレの準備と変わりの準備とか言っていた。
イヤな予感がする。
良い知れない勘が私の中を巡った。
お昼ご飯を頂いた。
美味しかったけどガマガエル神殿長の事が頭に残って堪能出来なかった。
己、ガマガエル神殿長めっ!
この怒りは狩りと訓練にぶつける。
森に【空間機動】と【疾駆】で走った。
ちょっとやり過ぎた。
自然破壊良くない。
森に空き地が出来てしまった。
しかし、やっと【牙攻撃】が上がった。
【鋼牙攻撃】になった。
兎も四匹狩れた。
過去の最高記録に並んだ。
運ぶのが大変だ。
ガマガエル神殿長に会った以外は久々にフィーバータイムな一日だった。
頑張って兎を神殿に運んだ。
でも最近は兎肉しか喰ってない。
美味しく料理してくれるが流石に飽きる。
オーク肉や牛肉、お魚が恋しい。
その内に遠出を考えてみるかと思う。
今は無理だからね。
夕ご飯を食べてまた図書室に向かう。
今日もスルリと結界を潜り抜ける。
さて今日の本は何だろう?
ギルドについてとあった。
ギルド、ギルドかぁ、冒険者ギルドとか商業ギルドとか色々とありそうだ。
ページを捲る。
最初は冒険者ギルドについてだった。
冒険者ギルドに登録できるのは13歳から、それまでは入れないらしい。
スタートはF級、そしてE級とD級までは年齢に関係なく上がれる。
C級からは15歳以上が必須らしい。
この世界では15歳が成人年齢だそうだ。
ちょっと早くない?と思うが日本でも昔は13歳が元服―成人だったと聞いた覚えがある。
そういう物なのだろう。
そしてC級になると依頼に失敗した時、ギルドは助けてくれなくなる。
F級からD級の間は依頼失敗して借金が出来たらギルドが立て替えて保護してくれるらしい。
ギルドが仕事を斡旋して体で借金返せよになる訳だ。
C級に上がるともう自己責任。
仕事に失敗したら賠償するか借金して返すか、借金奴隷になるかしかないらしい。
大変だ。
でもC級になると実入りは良くなるらしい。
それまではギリギリの生活か何かとの兼業が必須。
C級になると冒険者業だけで食べて行けるようになる。
だからC級冒険者になると一人前扱いされるらしい。
そして更にB級、A級、最高位のS級になると破格の扱いを受けるようになる。
国によっては爵位を与えてまで自国に縛り付けようとするらしい。
だけど冒険者は基本、自由民と言われる。
国に縛られない。
世界中に支部がありどの国、どの大陸に行くのも自由という事だ。
今居る国への納税の義務と緊急依頼への参加と言う義務さえ守れば後は法が許す限り自由となる。
因みに冒険者ギルドの本部は獣人のウリティア連合国家にあるそうだ。
魔導具によるネットワークが繋がっておりどこからどこへでも支部さえあれば本部とやり取り可能だそうだ。
ランクはF級からS級まで7段階。
SS級やSSS級、EX級は存在しない。
S級冒険者は増減が無ければこの本が出版された時には17名と記録されている。
パーティーとしてのS級、ソロでのS級様々であるらしい。
個人情報保護法か名前は載っていなかった。
そして次は傭兵ギルト。
荒くれ者の集まりとされている。
登録に年齢制限はなし、何が合っても自己責任。
10級から特級までの11段階評価で存在するのは中央大陸だけとなっている。
正に戦闘集団で魔物の討伐、大行進の駆除、戦争への参加と何でもござれだ。
荒くれ者と呼ばれるのも分かる。
戦い以外に興味の無い集団、それが傭兵ギルドだそうだ。
此方は集団だからか、団名が載せられていた。
最大派閥が『明けの明星』1000人規模からなる最大傭兵団らしい、二位が『血鎖団』700人規模で命令無視等の問題は起こすが結果もだす。そういう集団だそうだ。第三位が『ホーリーナイト』600人規模で戦争には参加せず魔物討伐と大行進の駆除だけで成り上がった傭兵団だ。ちょっと好感が持てる。
第四位は『ディバイン』なんと4人だけの傭兵団。だがその戦果は凄まじく個々がS級冒険者並と思われている。そして特級傭兵団最後の一つ、第五位『緑の風』構成員は400名、堅実、実直に成果を積み上げてきた傭兵団。部隊の死傷者が『ディバイン』を除けば最も少ないと言うのが凄い。
味方の犠牲は最小限に敵の被害は甚大にが戦争のモットーだ。それを実践して居るのだから凄い。
傭兵についてはこんな所だ。
色々と思わされる部分が在るがそういう世界と納得しよう。
次は商業ギルドだった。
此処も登録には年齢制限なし、等級はF級からS級の7段階。
只、等級が上がるのは年に一回。
作り上げた商品の価値、得られた報酬、ギルドに支払われた委託金でランクアップが決められる。
過去には7歳で登録して次々に発明、14歳でS級になった天才少年も居るらしい。
何となく異世界転生の知識チートを連想する。
まぁ、違うかもだが何となくの邪推だ。
商業ギルドは地人のバルガス王国に本拠地があり冒険者ギルドと同じく世界中の支部とネットワークで繋がっているそうだ。
新しい商品が出来ればすぐさま世界中に発信される。
武器防具も此処で作られ売りに出されてる。
誰が生み出したか知らないがこのネットワークシステムは凄いモノだ。
ある意味で前世のインターネット並かそれ以上かも知れない。
そして次の頁は魔導具ギルドについてだった。
魔導具は森人の独壇場らしい。
先ほど挙げた世界を繋ぐネットワークシステム、農業に使われる豊穣の魔石、火や水合わせてお湯を生み出す魔導具とその魔導具の恩恵は数知れない。
特に魔導袋は便利だ高価だが各国が飛びついて欲しがる。
軍事に係わる武器に関する魔導具は秘匿され表に出ないようになっているがそれでも効果はデカい。
水人、蟲人、人族と後を追う種族は居るがまだまだ追いつけない。
最近は馬を必要としないゴーレム馬車が開発中の様だ。
完成すればまた一変するだろう。
いや、この本が何時発売されたか分からないからもう既に一部には普及しているかも知れない。
やっぱりファンタジーは夢だワクワクする。
これで魔法―じゃない、魔導が使える用になればいう事無しなのだが…先は長そうだ。
そして従魔ギルド。
魔物たちを捕らえて従属させ強くして戦力にしたりギルドを通して売り捌くギルド。
今の自分が魔物だからか読んでて気分が悪くなった。
私達は人族の都合の良いペットでは無いと思う。
それを人の勝手で従魔の首輪と獣魔証で縛り同族と戦わせ、時に売り捌く。
私達だってなぁ己の尊厳と野生と誇りを持った生き物何だよと思う。
本に当たってもしょうがないがムカついた。
攫われた兄弟姉妹達もそんな目に合ってるのだろうかと思うと悲しくなった。
次は盗賊ギルドだった。
所謂、闇ギルドだ。
窃盗から恐喝、暴力、詐欺、高利貸し、情報の収集から販売、暗殺に至るまで色々とやっているらしい。
このギルドも余所では廃れ、残っているのは人族のゴルディシア大陸位だそうだ。
必要悪的に放置されていたこのギルドも近年は摘発が相次いでいるらしい。
それでも遥か過去から存在したギルド。
馬鹿に出来ない勢力は健在らしく、睨まれないようにするのは必須のようだ。
そして最後に聖女ギルドがあった。
うん、聖女ギルド、ちょっと目を疑った。
これも中央大陸だけで一番、新興らしくまだまだと言ったギルドだ。
聖女は各地で育成されるが最前線で力を振るうのは大聖女と第一位から第六位の七名のみ。
素質を持つとされて集められた聖女も上を蹴落として順位代わりが出来るのは僅か、そんな聖女候補は一定の年齢などで学び舎を去る事になる。
だが、貴重な【加護】と【付与】、【回復】の技能を持つ聖女候補である。
放置して置くのは勿体ないと設立された聖女ギルド。
大変忙しい大聖女や第一位から第六位の聖女より寒村や村々では感謝される存在になりつつあるらしい。
意外な成果だ。
聖女候補生の子達も頑張ってるんだなぁと思った。
読み終わって本を閉じる。
役に立つか微妙だが色々と知れてよかったと思う。
そして明日にはまた旅立ちの日だ。
何事もなく任務を達成出来ればと思いながら私は巣箱で眠りについた。
狐猫の小話
職業【聖女】の固有技能は【幸運】【加護】【障壁】【治療】です。
【付与】等は【試練】で貰えます。
【回復】は【治療】の進化です。