第100話 血雪の円卓会議の日(弐)?
此処から先は暗い展開が始まります。
申し訳ありません、どうか心に止めて置いて下さい。
即、鑑定を行う。
【名前】ハミルトン
【種族】人類・狂信者
【年齢】30歳
【位階】陸
【LV】50
【気力】5751
【理力】5759
【霊力】5880
【魔力】5878
【SP】11907
【技能】【神体術】【神体技】【物理攻撃完全無効】【魔導攻撃完全無効】【状態異常完全無効】【属性完全無効】【真打撃威力最大上昇】【負傷回復速度極限上昇】【魔導力回復速度極限上昇】【体力回復速度極限上昇】【四力限界上昇】【隠身】【力場操作極】【力場探知極】【疾風】【限界究極突破】【鑑定歪曲】【空走】【五感覚醒】【真感】【閃光】【不撓不屈】【思考跳躍】【魂魄憑依】【超反射反応】【超量子演算】【因果律演算】【因果律補正】【四聖神法】【四界竜力】【真眼】【視覚領域覚醒】【万寿里眼】【心理不壊】【封魔異界】【無限収納】【無詠唱】【多重詠唱】【魔導究極増幅】【魔力究極集束】【魔導精密操作極】【次元魔導威力最大上昇】【時空魔導威力最大上昇】【氷雪魔導威力最大上昇】【風魔導LV10】【暴風魔導LV10】【空魔導LV10】【次元魔導LV10】【水魔導LV10】【水流魔導LV10】【刻魔導LV10】【時空魔導LV10】【氷雪魔導LV10】【鑑定LV10】【看破LV10】【検索LV10】【探知LV10】【記憶再現LV10】【体神】【賢帝】【救恤】【憤怒】【狂信】【緑】
【装備】【鑑定不能】
?アレ?何か弱い???【技能】は凄く持ってるし、育ってるけどステータスが…オカシイ。【位階】が陸なのに【LV】が50だ。有り得ない。それにさっきの〘魔導〙の威力、とてもステータスが5000程度のモノじゃなかった。【鑑定】を偽装してる?イヤ【秘赤眼】に偽装は効かない。コレは本当の数値な筈。それが余計に変だ。油断なく私が見つめる前でハミルトンは「ふん、ふん、ふーん」と鼻歌を歌った。
「僕はねぇ、子猫ちゃん、君と遊ぶのを楽しみにしてたんだ。本当は長く遊びたいんだけどそうも行かなくてね。この一回きりなんだ。だからできるだけ頑張って記憶に残ってね?」
うん、マジで何かオカシイよコイツ、理解が出来そうにない。この戦争を遊びとか言っちゃうのが訳分らない。流石は狂信者とかって付いてるだけはある。何を信仰してるか分からないけど。
「そうだねぇ。最初は鬼ごっこにしようか?ゲームスタートだ」
次の瞬間、ハミルトンの姿が消えた。私は啞然とするが直ぐに危機感知が反応、慌てて【亜空間機動】で転移。寸前まで私の居た場所にズドンとハミルトンの手の平が叩き付けられ軽いクレーターが出来上がる。何だ?このパワーは?やっぱり表示されてるステータスと現実の力が全然、違う。コレは一切、油断が出来ないと集中力を上げる。
「あれ?そう言えば転移能力なんて持ってたね。それは厄介だな。封じさせてもらおう【封魔異界】だ」
何だ?と思ったと同時に一帯を何かの結界が覆った。急いで今、ハミルトンが言った【封魔異界】を【詳細鑑定】する。
【鑑定】【封魔異界】『結界内では〘魔導〙とそれに類する【技能】が一切、使用不能になる。使用者も利用不能』
マズ、試しに【亜空間機動】を使って見たが転移出来なかった。コレも〘魔導〙に類する【技能】らしい。逃げを完全に封じられた。まぁ、どっちにしろ逃げるつもりは無い。コイツは確実に此処で仕留めておく。私はハミルトンを睨みつける。再び高速移動するハミルトン、だが今度は見えた。攻撃を躱して【神空爪攻撃】を叩き込む。
「ぐぁっ?!」
吹き飛ぶハミルトンを追って今度は【神武尻尾攻撃】で殴り、切り、貫く。この隙を逃さないとばかりに連打、連打、連打。地面に向かって全力で叩き付ける。まだ死んでは居ない様だがかなりのダメージは与えた筈だ。私は急いで抜かれてしまった⦅殺戮蜂⦆に向かって【神空爪攻撃】を撃ちまくる。次々と落ちる⦅殺戮蜂⦆、だが其処でまた危機感知が反応、慌てて飛び退く。其処に先程、吹き飛ばした筈のハミルトンが拳を叩き付けてきた。待て、待て、待て、待て、ちょっと待て?!
「やるねぇ、流石だよ。子猫ちゃん」
流石だよじゃねーよ!顔は左目からが切り裂かれて右腕は折れて曲がってる。腹部には服の性か穴こそ開いてないが大きく陥没している。間違いなく重傷な筈だ。それが平然と動いてる。しかも血の一切が流れていない。零れているのは何か解らない透明な液体だ。何なんだ一体?コイツは人間じゃないのか?私が混乱していると三度、危機感知が反応、また何かするのかと目の前のハミルトンを眺めるが動いていない?違うっ!上だっ!と思った時には私は地面に叩き付けられ押し潰されていた。
「何をしている《僕》油断をしているからそんな目に合うんだ。早く【無限収納】から〖最高級回復薬〗を取り出して傷を癒せ」
「そうだね、解ったよ。《僕》」
な、何???ハミルトンがもう一人?何だコレは?どういう事なんだと大混乱する私。其処に更に追い打ちが掛かる。
「一旦【封魔異界】を解くんだ。《僕》子猫ちゃんは凍らせて《本体》の所へ連れて行く」
更に三人目のハミルトン?最早、訳が解らない。でもコイツは今、確か《本体》と言った。つまり此処に居るハミルトン達は本物じゃない?くそっ!何にせよこのままやられてなるモノかと【神武尻尾攻撃】を発動、私を押さえつけていたハミルトンを吹っ飛ばす。
「ちっ!〘絶零〙」
【亜空間機動】を発動して回避、間を置かずにこちらも〘魔導〙をお返しする。
「ミィミ」(神鳴)
巨大な雷の支柱が突き立つ。三人のハミルトン夫々に【魂魄憑依】を全動員の三本、四本、四本の十一本の⦅神鳴⦆の攻撃だ。
「がっ?!」
「ぐぁ?!」
「ぐっ?!」
確実にダメージを与えられた。このまま何とか一体ずつを確実に仕留めると私は最もダメージが深いだろう最初から戦っていたハミルトンに襲い掛かる。
『なぁ、本体ー』
何だ?一号?今は忙しいんだ後にするか素早く頼む。
『あいつ等は私達と同じな気がするぞ?』
なぬ?
『多分、複製人間か人造人間に【魂魄憑依】を入れてるな』
『―殺せ―壊せ―滅せよ―粉砕せよ―』
『そうだな、何となくそんな気配を感じる』
『私等を⦅風切燕⦆に入れてたのと同じだな』
『ああ、今日一日でどれ程の命が失われたのか、私は悲しい』
『売られた喧嘩は万倍返しだっ!残らず消し飛ばせ本体っ!』
『ミャ―、雪が寒いニャー』
『駄狐猫、緊急事態だ。少しは耐えろ』
『特許を取っておけば金を奪えたのに、残念だ』
成る程、どうでも良い意見もあったが理解した。多分、それが正解だな。待てよ?と、いう事は後七体もこんなのが居るって事か?うわ、洒落にならん。しかも潰しても体さえあれば復活して来るって事か、無茶苦茶すぎる。自称:神様(仮)はセアラを忌み子とか言ってたがハミルトンの方がよっぽどじゃないかっ!ホントにコイツをどうにかしろよっ!GやMよりよっぽど性質が悪い。だが、泣き言を言ってもしょうがない。兎も角、倒さなければと私は立ち向かう。
「くっ!」
ハミルトン一号の【神体術】【神体技】と私の【神空爪攻撃】【神武尻尾攻撃】がぶつかり合う。だか、やはり戦いが本職って感じでは無いな、戦闘経験は豊富そうだが格上相手には余り挑んだ経験がない雰囲気だ。こちとらガー爺ちゃんやリフレイアさんに散々に扱かれた身だ。慣れてしまえばどうと言う事は無い。こっちの方がステータスは上な位だ。【神空爪攻撃】【神空爪攻撃】【神武尻尾攻撃】と放ってハミルトン一号のガードを跳ね上げる。其処でがら空きになった首に向かって【神断牙攻撃】で喰らい付こうとする。しかし危機を感知【亜空間機動】で飛び上がると寸前まで居た場所を二人のハミルトンが蹴りで通過する。仕留めきれなかった。三対一は流石にマズイとどうにか一対一、せめて二対一にしないとと考えるが良い手段が浮かばない。〘集団長距離転移(ロングジャンプ〙で分断するか?と考えたらまた【封魔異界】を発動された。コレで〘魔導〙は使えなくなってしまった。
「危険だね。子猫ちゃん」
「ああ、君は危険だ」
「子猫ちゃん《本体》には悪いけど此処で仕留めよう」
くそっ!遊びは終わりって事かと此方も全力で立ち向かう覚悟を決める。そして三対一の死闘が始まる。
◇
聖都テレスターレの結界魔導陣の防衛任務に俺と部下の四人、他の五名の部隊二組と総隊長である一名の十六人が着いていた。この戦いで最も重要な任務の一つだ。都市の結界さえ無事ならば人が操れる程度の魔物は中に入って来る事は出来ない。この際奥の間に来るまでの通路も何人もの騎士が護っている。俺としても他人事では無い、この街には愛する妻と息子、娘が居る。何があっても護らなければならない。
「ノーザン隊長は気合が入ってますね」
半年近く前になる⦅水晶大亀⦆からのアムディの聖石の採取任務の際に逃げられた部下四人に代わって新たに付けられた四人の部下の一人がそう言う。
「当然だろう、故国を守る戦いだ。気合の無い方がどうかしてる」
「そういう物ですかね?元冒険者で自由民な俺等にはまだピンときませんわ」
そう言えばこの四人は十数年前までは冒険者でパーティーを組んでいたんだったと言ってたなと思い出した。歳も【LV】も俺より上だが爵位は名誉男爵――準男爵という事で俺の下に付いている。
「しかしノーザン隊長は前の部下には逃げられたんでしたっけ?運が無いですね」
「ははは、部下の管理が成って無いと大目玉を喰らったよ。まぁ、お陰でお前達と会えたからな。不幸中の幸いだよ」
あの時に逃げた四人はその後、山賊にまで落ちぶれて他の騎士隊に討伐されたそうだ。本当に自分に部下を率いる力が無かったのかと無念に思う。もっとちゃんとした立派な隊長が上だったら違う結果になっただろうかと今も悩む。だからこそ今は経歴も調査済み、歳も重ねており、落ち着いている彼等が部下として与えられたと思って居る。
「まぁ、ノーザン隊長はちょっと運が悪いだけで良い方ですからね。俺等も頑張らせて貰いますよ」
「ああ、よろしく頼むよ」
返事をした所でガチャガチャと鎧の擦れる音をさせて誰かが階段を駆け下りてくるのが解った。大丈夫と思うが一応、腰の剣に手をかけて下りてくるのを待つ。
「伝令!伝令です!」
「何事か?」
総隊長が前に出て続いて俺と他の二隊の隊長が続く、伝令に来たと言う三人の一人が声を上げる。
「南から出現した⦅殺戮蜂⦆の部隊、約三分の二を撃破後、東西よりまた同規模と思われる⦅殺戮蜂⦆の群れが出現、現在はリフレイア殿と綿猫の幼生体が別れて迎撃中との事です」
「「「「なっ?!」」」」
南からだけでも凄まじい数が襲って来ていたと聞いたが東西からも同規模とはダスド帝国はどれほどの戦力を送り込んでいるのかと驚いた。だが、リフレイア殿と綿猫の幼生――今はハクアだったかが向かったと聞いて俺は安堵した。「それならきっと大丈夫だ」と「それ程ですか?剣聖と綿猫の希少種は?」部下に尋ねられる。
「どちらもとんでもなく強いよ。俺などでは比べ物にならないな。きっと何とかしてくれる」
俺がそう断言するが伝令は首を振った。
「いえ、現在はどちらにも何やら強敵が現れたようで⦅殺戮蜂⦆は聖都テレスターレ結界周辺を大量に舞っています。まるで何かを待つように…」
「ダスド帝国にもそれ程の者が居たか…」
驚き声を上げる俺に続いて総隊長が「結界の周辺を舞っているという事はやはり結界の解除を狙っている筈だ。警戒のランクを上げる。敵兵の侵入工作員が近い可能性が高い。伝令、直ぐに警備の増員を上に――」と言ってる最中にソレは襲ってきた。
「イヤ、もう遅いですね」
その声は直ぐ後ろから聞こえた、俺の部下の声だった。そして俺の胸を灼熱が貫いた。
「なっ?!ガハッ!な、何を?」
部下が背中から抜いたナイフが俺の急所を貫いていた。ぼやけていく視界で見ると俺の部下、全員が総隊長、隊長二人の背後からナイフを突き刺していた。
「悪く思わないで下さいよ、ノーザン隊長。俺達はこの時の為にずっと息をひそめて来たんだ。貴方は本当に運が悪かった。それだけだ」
見えなくなっていく視界に伝令に来た三人もまた武器を手にするのが見えた。こいつ等もかと悟る。
「敵襲ーーーっ!!!敵襲ーーーっ!!!」
「おせえっ!!!」
俺は部下だった男に蹴り飛ばされ床を転がる。指揮する者を失った八人の騎士に七人のダスド帝国の工作員が襲い掛かる。結果はもう分かっていた。俺はまたしても部下に裏切られるのかと思った。何という事だろう、半年近くも一緒に居てそんな気配を微塵も感じなかった。それ以上に十数年も前から只、この時の為だけに潜んでいたと言う事実に俺は執念を感じた。4000年近くテレスターレ聖国を護って来た結界はこうして消滅した。俺が最後に願ったのは妻と息子と娘の無事と未来だった。
ノーザン・バレー、テレスターレ聖国騎士団小隊長。28歳――没。
◇
くぅぅぅっ!私は必死で三人のハミルトンの攻撃を躱し、防ぎ、いなしていた。僅かなミスも気のゆるみも許されない状況。もう上空の⦅殺戮蜂⦆には全く手が出せない。次々と聖都テレスターレに向かって行く。マズイ、結界がある限りは⦅殺戮蜂⦆は大丈夫だろうけど抱えている敵兵には侵入される。迎撃の騎士は居るけど多分、この数は手に負えないし危険なハミルトン製の銃もある。どうにかしないといけないがどうにもできない。ちくせうっ!と思って居ると僅かにフッと私の体から力が抜けた。え?と思った瞬間、私はハミルトンの一人に蹴り飛ばされていた。
「ミギャァッ!」
ダメだ!追撃が来る。直ぐに体勢を立て直せと思ったが予想に反して追撃は来なかった。何故?と思って見るとハミルトン達はジッと聖都テレスターレを見ていた。私も一瞬そちらに目を向けて愕然とした。【視覚領域覚醒】に視えていた都市の結界が消えている。何で?どうして?と慌てる。同時にさっきの力が抜ける感覚を思い出す。アレは【強欲】様の代償だ。リリアを殺された時にも感じた。誰か知り合いが死んだ?誰が?何処で?どうして?怒りを覚える。同時に結界が消えた事に焦る。そして動きを止めたハミルトン達に混乱する。どうすれば良いのかが解らない。そこで三人のハミルトンが同時に言った。
「「「《本体》が来た」」」
【探知】に反応、【万寿里眼】で確認。巨大な⦅殺戮蜂⦆――⦅女王殺戮蜂⦆だ。普通はA級の破滅だが間違いなく強化されている恐らくはS級の天災だ。それがぶら下げるゴンドラに何人かの人影が見えた。確認しようと目を凝らすと視界の影で何かが走った。慌てて回避、ハミルトン達の攻撃が再開された。
「子猫ちゃん」
「君を《本体》とは会わせない」
「それが最善」
「「「だから子猫ちゃんは此処で《僕》の記録になって?」」」
「ミィィミミィミィ!」(邪魔するなぁっ!)
私が叫び必死で迎撃、目の前の三人に集中しながらも視界の端にセアラが、リーレンさんが、セリアーナお婆ちゃん大聖女様が居る尖塔の頂上が⦅女王殺戮蜂⦆に破壊されるのが見えた。
狐猫の小話
ハミルトンの【加護技能】。
【救恤】『【技能】のクールタイムを消滅、反動はその後のクールタイムが全て三倍化』。
【憤怒】『怒れば怒る程にステータスが上昇、反動はプッツンしちゃうと自我が一週間消失』
【狂信】『振れた相手の【技能】【恩恵】を狂わせ24時間使用不能にする。反動は一週間、己の神に供物を捧げ続けなければならない』
【緑】『吹く風に己の血を僅かに流し敵一人を暴風の檻に閉じ込めて確殺、反動は一週間のクールタイムだけ』
何でこんな奴に加護を与えちゃったんだプルグマイアって感じです。
そして最初の死者はノーザンさん。
此処から先は書いてる方もちょっと辛いブラック鬱展開です。
覚悟してお読みください。




