名探偵ユイちゃん五歳 ~お母さんが戻ってこないので、弟のヒロくんとホットケーキを探しに行きます~
ユイちゃんとヒロくん声のイメージは読者様にお任せです。
ユイちゃんとヒロくんは仲良し姉弟です。
お姉ちゃんのユイちゃんは五歳、弟のヒロくんは三歳です。
二人は部屋にある時計をじっと見つめています。
今は2時59分です。
「「ごじゅうはち、ごじゅうきゅう、ホットケーキ!」」
おやつの時間になりました。
今日のおやつはホットケーキです。
朝から楽しみにしていました。
「ヒロくん、お母さんを呼ぼう!」
「うん!」
二人はお庭のある窓の方へ移動します。
お母さんはお庭のお掃除をしているはずです。
「あれ?」
「おかあさんいない」
お庭にお母さんがいません。
すると、お庭の向こうからお母さんの声が聞こえてきました。
ユイちゃんは顔を窓に近づけ声の方を見ます。
「お隣のおばちゃんだ……」
お母さんは、お隣のおばちゃんと話をしていました。
ユイちゃんは知っています。
二人の話はとても長いのです。
「お母さん、お隣のおばちゃんとお話ししているみたい」
「ホットケーキは?」
「う~ん……」
ユイちゃんは困りました。
お隣のおばちゃんは、二人をとても可愛がっています。
呼びに行ったら、捕まってしまうかも知れません。
ユイちゃんは考えました。
「……もしかしたら、ホットケーキ出来ているかも。お台所に行ってみよう!」
「うん!」
二人はお台所に移動しました。
「ないね……」
「ないー……」
ホットケーキはありませんでした。
二人はとても残念そうです。
あったのは袋がひとつだけでした。
「ん? ……あっ! これ、ホットケーキだ!」
ユイちゃんは気が付きました。
袋にホットケーキと書いてあります。
「これ、ホットケーキ?」
「きっと、これを使って作るんだよ!」
ユイちゃん正解です。
これは『ホットケーキミックス』と言って、ホットケーキの材料です。
ですが、作り方が分かりません。
袋の裏に文字がたくさんありますが、ユイちゃんには難しくて読めません。
すると、端の方に絵を見つけました。
「卵と牛乳……あっ! ホットケーキの作り方だ!」
ユイちゃん、またまた正解です。
ホットケーキミックスに卵と牛乳を入れて混ぜるのです。
「おねえちゃんすごい!」
「ヒロくんにホットケーキ作ってあげるね」
「うん!」
二人共笑顔です。
そんな二人に声が掛けられました。
「駄目よ」
「あっ、お母さん」
「おかあさん」
お母さんでした。
お話しは終わったみたいです。
「お料理はお母さんと一緒にね」
「「うん!」」
その後、三人でホットケーキを作って食べました。
ユイちゃんもヒロくんも大満足です。
おしまい
最後までお読みいただきありがとうございます。
本作は『冬の童話祭2021』『第2回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』両企画への参加作品です。
冬の童話祭のテーマが「さがしもの」ということで、小説家になろうラジオ大賞のキーワードは「名探偵」を選択しました。テーマよりも1000文字制限の方が大変でした(苦笑)
小説家になろうラジオ大賞の方は、選考を突破すると本職声優さんが朗読して下さるそうです。なるべく読み難くないように書いたつもりです。読んで貰えると嬉しいです。
下野紘さんの役で好きなのは「とある飛空士への恋歌」のノリアキ・カシワバラ、巽悠衣子さんの役で好きなのは「魔法科高校の劣等生」の北山雫です。