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雄羊BBQ

「ニャー!」


「いい感じです。そのままそのまま⋯⋯もう少し引きつけて⋯⋯今です!」


 アシェラの号令に合わせて一斉に矢が放たれる。


 デスパンサーたちが追い立ててきた馬鹿デカい羊がハリネズミのようになった。


 それはそうと、デスパンサーの鳴き声ってニャーだったんだな。


「やりました! いかがですか、使徒様?」


 誇らしげな顔で俺を見るハイエルフたちとデスパンサーたち。


 ええと⋯⋯、いきなり森に連れてこられて何がなんだか分からないけれど、とりあえず褒めておいたほうが良さそうだよな。


「良くやった。さすがだな」


 俺の言葉にハイタッチしたり抱き合ったりして喜ぶハイエルフたちとデスパンサーたち。いつのまにそんなに仲が良くなったんだ? まあ、いいことだから別に構わないんだが。


「使徒様、この雄羊はどうされますか?」


 メイドチームのハイエルフのひとりが聞いてくるが、どうするも何も食べるために狩ったんじゃないのか? まだ熊肉がたくさん残っているのは、アシェラの氷魔法で冷やしてもらえば両方とも腐らせずに食べ切れると思うけど。


「いえ、この雄羊が畑を荒らしていた犯人――犯羊です」


 俺が質問の意図を理解していないことに気付いたハイエルの言葉で、ようやく理解した。


 思い返せばデスパンサーを飼い始めてからのここ数日、各チームのハイエルフたちが少しずつ抜け出しては何かやっている気配はあった。


 仕事はちゃんとしてくれていたから特に俺から言うことはなく、自分を誘ってくれなくて寂しいなくらいに思っていたけど、種族やチームの垣根を越えて俺のために頑張ってくれていたらしい。


 除け者にされてるのかなとか考えてたのが恥ずかしいな。


「みんなのおかげで屋敷や畑も安全になった。みんなの活躍に報いることと、デスパンサーたちの改めての歓迎会ということで、今夜はこの雄羊でバーベキューパーティーをするぞ。もちろん俺が料理する」


 今日いちばんの歓声が響き渡った。



 雄羊を【料理の鉄人】と【万能包丁】で解体していく。体内にあった魔石は高値で売れるということらしいのでいちおう保管。


 毛皮はメイドチームに滑して(なめ)もらい、マンモスかといわんばかりの牙は、加工するとなかなかいい武器になるらしい。アシェラたちハイエルフの両親や祖父母世代なら加工出来るらしいのでこれも保管。


 ああ、別にお前たちが加工出来ないからって謝る必要はないぞ。いまの働きで充分満足してるから。


 ほら、肉が焼けたぞ。リンゴの蜜に漬けて臭み取りと味付けをしてみたがどうだ? ははは、まだたくさんあるから大丈夫だ。落ち着いて食え。


 ほら、デスパンサーたちも食っていいぞ。お前たちはモツのほうがいいか? いや、肉はダメっていうわけじゃないから絶望した表情をするんじゃない。


 いい食いっぷりだな。見ていて気持ちいいぞ。


 そういえばいつまでもデスパンサーって呼ぶのは悪い気がするな。名前でも付けるか。


 父パンサー、母パンサー、子パンサーとか⋯⋯いや、冗談だ。ちゃんと考えるからもう少し待ってくれ。


 ん? 肉が足りない? 了解だ、任せろ。 メイドチーム、気持ちはありがたいが今回は手伝いは不要だぞ。


 ん? 俺もいっしょに騒いだほうが楽しいからみんなに混ざれって? でもなあ。


 ん? これは蜂蜜酒(ミード)だな? うん、カルバドスのような香りがしてなかなかのもんだ。


 酒を飲んだらやっぱり肉だよな。よーし、俺も食うぞ。じゃんじゃん肉を焼いてくれ!


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