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ハイエルフ

 屋敷に帰ると、うどん生地もいい具合になっていた。


 足で踏んでコシを出し、さらに寝かせる。


 寝かせた生地を2つに分けて、半分は麺棒で伸ばして折りたたみ、【万能包丁】でうどんの太さに切り分ける。


 鳥は羽を毟ってから内臓を取りさらに軽く炙って産毛を処理してから出汁をとる。


 使ったのは全体の4分の1ほど。残りはまた明日以降に回す。


 出汁ガラは、骨も肉も全部叩いてミンチにして鳥つくね団子の完成だ。


 生姜があれば良かったけど、無いものはしょうがない。⋯⋯いや、仕方ない。


 これを油でしっかり揚げておく。


 もう半分の生地はうどん以上に薄く伸ばしたあと、ネギとゴマ油を生地の上にかけて端から丁寧にくるくる巻いていく。


 それをフライパンにうず巻きの様な形になるようにきっちり詰めて焼く。


 香ばしいパイモドキ、中華料理のローピンの完成だ。


 これは保存食兼明日の朝食用で、今日のメインはうどん。


 ローピンを焼いている間に沸かしたお湯にうどんを投入。


 茹であがったら水でしめてから丼に移し、ダチョウズラのスープとつくね、ネギを乗せたら完成だ。


 さて、お味は⋯⋯うん、限られた材料で作ったにしてはなかなかのものだと思う。


 ダチョウズラのナンコツ入りつくねがいい歯応えで食べ応えがある。


 まだまだ肉は残っているし、どう料理するか楽しみだ。


 翌朝、寝室に差し込む太陽の光で目が覚める。


 朝食の前に軽く体操でもしようと外に出ると、扉の外に膝をついて並ぶ15人の女性がいた。


 全員かなり若く、アイドルかと思うくらいの美形揃い。そして何より、とがった長い耳。


「エルフ?」


「はい。私たちはハイエルフと呼ばれる種族です。厳密にはエルフとは異なりますが、エルフとお呼びいただいて問題ありません」


 彼女たちの中から1名が前に出てきた。


 アイドルの中でもセンターを任されていそうというか、雰囲気がある。


「私たちは創造神様からこちらの管理を任されています」


 話の流れから、あの爺さんのことだな。創造神か。そんなに偉い神だとは思わなかった。


 ハイエルフたちをよく見ると、何人かは身体に傷がついている。


 そのことについて聞いてみると、この屋敷を囲んでいる森は、外敵から神の住む土地を護る意味合いからかなり強い魔物が棲んでいるそうだ。


「この屋敷の管理を任されているのに襲われるのか?」


「この森を抜けられるくらいの強さがないと、創造神様のお屋敷を任せていただく訳にはいかないから襲ってくるのだと先代に聞いたことがあります。本当かどうかは分かりませんが」


 ハイエルフは全員が一騎当千。それでも1人で森に入るのは自殺行為。魔物1匹に最低3人で立ち向かい、相手によっては今回のように15人体制でも戦いを避けて迂回することもあるそうだ。


「とりあえず、朝飯いっしょにどうだ? 俺もこれからなんだ」


 恐れ多いですなんていうハイエルフもいたけど、傷だらけのまま放っておくわけにもいかない。


 とりあえず全員中に入ってもらい、お湯を渡して身体を拭いてきれいにしてもらう。


 おっと、いきなり脱ぎ出さないように。


 女しかいない種族だから気にしていなかった?


 人間の男とまぐわうと、必ずハイエルフの女が産まれると? ふむ。


 とりあえず、ここにいる時には恥じらいをもってあまり肌を見せないように。


 傷は回復魔法で治したようで、汚れを落としたハイエルフたちは珠のような肌だ。


 ⋯⋯まあ、無理に肌を隠す必要はないぞ、うん。


 それとやっぱりあるんだな、魔法。


 身体を拭いてもらっている間に俺は朝食つくり。


 昨夜作っておいたローピンを温め直して切り分けた物と、ダチョウズラのうどん。


 さすがに俺を入れて16人分に分けると1人頭分は少なめになるけどそこは許してもらおう。


「おいしいです」


「なんでしょう、涙が⋯⋯感動?」


「このお肉、まさか鳥竜種⋯⋯シムルグ? イズル様が狩られたのですか?」


 みんな喜んで食べてくれた。


 それとその肉はダチョウズラだぞ。いや、本当の名前は知らないけど、そんな強そうな名前の感じじゃなかったぞ。


 ハイエルフのリーダーの名前はアシェラ。


 これから屋敷と俺の身の回りの世話をしてくれるらしい。


 正直、料理以外の家事は自信が無いから助かるけど、代価を払えないぞ?


 ⋯⋯そうか、料理だけ俺がすればいいんだな。了解。


 でも16人分毎食作るのは大変だから手伝いはよろしく頼む。


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