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正堂の入口に六人の黒服の男たちが見えた途端、キャーッと黄色い悲鳴が上がった。
正堂の先に伸びる細長い通路。通路の両脇を隔てるガラス張りの壁の向こうには、左右それぞれに色めき立つ女性陣たちがひしめき合っている。
金杯と花束を抱えたオオツジを先頭に黒い制服の特別部隊の隊員たちが彼女たちの前を通り過ぎていく。
「オオツジ様よ!見て、また表彰されたんだわっ」
「なんて素敵でセクシーな方なの!ああもう、死んじゃう」
「ワシズ様とサトウ様、相も変わらずきれいなお顔だわあ」
「こっち向いて、スギヤマ様ー!やだあっ、モリモト様と目が合っちゃった。ねえ、私、変な顔してなかった?」
「コマダ様、めっちゃ可愛い!まだちょっと初々しいのがいいわよねっ」
女性たちの熱狂は凄まじく、中には興奮のあまり気絶しかかっている者までいた。
隊員たちは余裕に満ちた表情のまま、通路の奥へと消えていった。