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【紫式部】
世界最古の長編小説『源氏物語』の作者。平安時代、女房として一条天皇の妃の一人、中宮彰子に仕えた。
【清少納言】
日本最古の随筆集『枕草子』の作者。平安時代、女房として一条天皇の妃の一人、中宮定子に仕えた。
(タイムパトロール記録部のデータベースより抜粋)
221X年
「―――…でーあるからして、この度の特別部隊の面々の活躍は、我が国の過去に存在する美術的、学術的、そして、えー歴史的に極めて価値の高い国宝の数々をメビウスなる悪しき時間犯罪者たちから保護するうえで実に目覚ましいものでありました。その素晴らしき功績を称え、ここに彼らを表彰することといたします。これからも期待してるからねえ、君」
長ったらしいお言葉の後、育ちの良い坊っちゃんがそのまま年を取った感じのでっぷり太った小男、マキタ文化大臣が黄金色の記念杯を得意満面に差し出した。
拍手の嵐。
記念杯を授与された青年が一礼し、続いて着物姿の美女から豪華な薔薇の花束を受け取った。さらに拍手が大きくなる。真紅の薔薇にも劣らぬ美女は青年にこれでもかと熱っぽい視線を送ってきたが、黒髪の青年―――タイムパトロール特別部隊のオオツジはそれを完全に無視した。
政界の要人も含めた出席者たちの拍手は最高潮に達し、タイムパトロール本部の正堂にさざ波のごとく響き渡っていく。