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一滴の波紋【原文】・1巻の1  作者: 藤田幸人(ペンネーム)
7/41

ある日の日記・7

  7



 【付録】


あぁ…


この梅雨つゆがあけたら


またあの悩ましい夏がやって来る


こいつときたら いつも僕の心などかまいもしないで 所かまわず暴れまくる


生きる気力さえも失せるほどに イタメつけて


そのあげく そのようなことおかまいなしと知らんぷりして 去っていく


夏が愛する者には あんなにあふれんばかりの歓喜を 与えてくれるというのに


どうして僕には その一滴ひとしずくをさえも 恵んでくれないのか!


僕がいったい何を悪い事したというんだ!


どうしてこんなにお前からいじめられなければならないんだ!……


お前が愛している者以上に 俺はお前のことを愛しているというのに……


・・・・・・・・・


ユキトや!


あぁ…


我がいとしい子よ


私も あなたが そのように悲しんでいる姿を見るのは しのびないのです


だけど もう一度よく思い起こしてごらん


あなたが 私の身もとから 立ち去る時


あなたは 私に何と言いました


『僕は あんなに下界で苦しんでいる人々を 見ていられません 僕は行きます 下界へ降りて あのような 苦しんでいる人々を救ってやりたいのです』……と


私が いくら言いきかせても あなたの意志は変わりませんでした


だから私は身を切る思いで あなたを手離したのですよ


別れる時に くれぐれも言いましたね!


その意志を貫き通すには 並大抵なみたいていのことではないと


どのような苦しみにも負けてはいけません


どのような邪声にも耳を傾けてはいけませんと……


あなたは意志堅固な子だったから それを信じて送り出したのですよ!


『…………………』


それを何ですか そのような他愛のないことに愚痴をこぼしたりして


あなたには もっと もっと 素晴らしい歓喜を与えているではありませんか


真理を解せる力を


それを貫き通せる堅固な意志を


人と自然とを愛する心を


そして知恵とを


それこそが他のどのような歓喜にもまさるものはないのですよ!


『……………………』

もっとも まだあなたには それらのことが よくのみ込めないでいるのですね


無理のないことね


下界へ降りてから まだ日が浅いのですもの


ですから 私は 今のあなたに どのように言いきかせたら あなたの悲しみをやわらげることができるのやら


あなたを元気づけることができるのやら


今の私には解らないのです


もしあなたが私の身もとに居るのでしたら


私の力は すぐさま あなたにおよぶのだけれども


今のあなたと 私との間には 大きな隔たりがあるのですものね


その上 あなたには まだ 自己に目覚め得る 力が養われていませんし


私の声は 今のあなたには届かないのです

解るわね! 私の言っていることが


あなたには きっと出来ます


いつの日にか 私の心を理解出来る時が


そして 何の隔たりもなく 自由に語り合える時が………


私は信じていますよ!

いつの日か その日が おとずれたなら


私は 夏にも勝る 日の輝きと 暖かさで

あなたを抱きすくめますよ


そして 喜びの涙の大海原で あなたと共に 時を忘れて 永久とわに泳ぎましょう


では そろそろ行きますね


元気をだしなさい


いとしい我が子よ


・・・・・・・・・


あぁ…


たしかに僕は あなたから そのような教えを受けたような記憶が おぼろげながら残っています!


しかし今の僕には とてもそのようなことを全て思い起こすことが出来ません


それは悲しいことです


出来ることなら 今一度あなたのもとに戻って 教えを受け直したい


そして この肉体に埋もれ


死している魂を呼び覚ましたい!……


フフフ…


無理なことですね


この地上にいる限り


あなたは 僕の手の届かない所におられるのですから


自分の足で

一歩一歩 あなたに近づいていくしかないのですね


この果てしのない 人生の砂漠を さ迷い 歩いていくしかないのですね


あなたのお声がききとれる 幻のオアシスを求めて


あぁ…


何と気の遠くなるような道のりでしょう


僕は今にも砂の上に へばりつきそうです



・・・・・・・・・


さて、この日記ドラマも、いよいよ本タイトルどうり、ボクの日記に記載してある通りの内容をつづっていきます。


最初のほうは、まったく意味不明だったり、下手くそな文章だったりと、もう読むのがイヤになるのではないかと思いますが。


どうか気長に深い慈愛をもたれて、ご愛読下さい!。


・・・・・・・・・

ある年八月一日


今まで思ってきたことは、全て妄想だったのか!。


声→『あの一時間半ほどしゃべった時のことが忘れられないの……また手紙くれるものとばかり思っていたのに』


『事故でも起こしたらどうするの、うちが居るとゆうのに』


『うちもあの人から、そんなに好かれてみたいわ!』


『幸せ!』


『今、手紙書いてるの!』


『ウチ、あの人と結婚するわ』


※《声→》は、女の子達の囁きです。



モタイさん、いったいどうしてるんだ!


今までのことは、全て妄想だったのか!?


彼女がお嫁さんになりたいと思っているということは妄想だったのか!?


もう今は、仕事も順調にいってるし、免許も取って車も買った。


全て順調にいっているとゆうのに、どうしてこんなに虚しいのか!?


張り合いがないのか!?

元気が出ないのか!?


あぁ~…


早くお嫁さんが欲しい


モタイさんと所帯を持ちたい!。


そうでないと、もう俺は狂い死にしてしまう!


苦しくて苦しくて、それから逃れたい為に、モタイさんとのことを行動したが


相手が乗ってこないんじゃ、しょうがない。


いつまでもクヨクヨしていても仕方がない。


そんなに考え込んで生きたって、所詮、人生なんて夢事にしかすぎないんだ。


また、ノコノコ(飲み屋スナック)へでも通って 気楽に生きていくさ!



モタイさん!


いったいどうしたとゆうんだ!


俺は、君がついてくるものとばかり思っていたのに!



また変な経験をしたもんだ。


もう忘れよう、そしてまた新たな経験をしていくためにドライブや、一人旅や、英会話の勉強でもしていこう!


そんなに焦って結婚したって、別に、新しい思い出も残らないだろう。


苦しみながらも色んな経験をしていった方が、よっぽど楽しい人生が送れるんじゃないだろうか!?


そして最後に最も楽しい結婚生活に踏み切ったらいいさ!


まぁ、またしばらく考えていくさ!


踏ん切りをつけるために!


チッとも寂しくないさ!


辛くないさ!


モタイさんがついてこなくても……


あぁ~、そろそろ本当に彼女でも持ちたいなぁ。


思いきって持とうか?





人生、気楽なもんさ!


苦しみながら


悲しみながら


虚しがりながら


訳もわからずに生きていきながらも、生きて行っていたら、いつか何かにめぐりあうさ!


もっと素晴らしい


もっと素晴らしい


何かに!






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