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一滴の波紋【原文】・1巻の1  作者: 藤田幸人(ペンネーム)
33/41

ある日の日記・33回

三十三回



 考えることは、もう全て考え尽くしてしまった!


 だから今はもう何も考えることはない。


 それで頭の中はスッキリしているのだけれども。


 ただ彼女が何にも示してくれないことで踏ん切りがつかず。


 またその時その時に囁いて(ささやいて)いる言葉などを受けて、あれやこれや考えふけっているだけである。


 彼女さえハッキリ意思を示してくれたら、このような無意味な気遣い時間を浪費しなくてもすむというのに‥


 しかし、どうしようもないことだ!

 彼女は若いし、まだこのようなことには慣れておらず、戸惑うことが一杯あるんだろう。


 だから俺は待っている。

気持ちがハッキリするときがくるのを‥‥!


 本当に彼女はこう思ってるのではないかという感じを受けていても、

実際、彼女の口から聞かなければ確信ができず、

したがって思いきった行動に出れない。


 だから今は、彼女しだいだと言った!


 そうは言っても、何も僕に彼女をまかすほどの自信がついたということでわない。


 僕の方から何かしたくても、ここまで追い詰められてしまったら、

今の僕には、僕の方からすべきことが見つからない。


 何か僕の方からすべきことでもあるのだろうか!?

 それを彼女は待ち望んでいるんだろうか!?


 それを待っているとしたら、もうどうにもならないことだ!

 今の僕には、もう僕の方から働きかけるすべを知らないし!

 まだこのままズッと彼女が意思を示してくれなければ、僕の方としてもなす術はなくなり、いつか彼女への情熱も冷めて終わりになるのではないかという懸念をしている。



 僕がこうして日記によって彼女に意思を示していることは、何も話せないということからではない。


 もし彼女と会うことができるなら、何もこのようにして不必要な手間と時間をかけることはないことだ!


 会社での‥、また今現在の僕の生活態度からしては、


何があっても、どうしても話せないのだと思っているんだろうか?


 それで彼女の方としては、このようにするしかないと思って、こうしているんだろうか?


 そりゃ~、たしかに口数は少ないかもしれないが、言うべき事はチャンと言えるのに‥‥と、思う。


 もし僕の方に、彼女を完全に引きとめておけるだけの自信というものがあったら、


何もいちいちこんなに気使いをしなくてもいいだろう。


 何か変なこと(彼女の気に沿わないこと)でもしたら、俺はえらく気を使い頭を痛める。


 それは今に始まったことじゃないし、


もし一所になったとしても、一生続いていくことだろう。


 というのは、やはり彼女は先天的な跳ねっ返り的な性質があり、自分の気に沿わない事でもあったら、すぐにそっぽをむく性格だからである‥‥


(これは自分勝手な憶測だろうか?)


 もし一所になってでもいたら、そんなチョッとしたささいな跳ねっ返りも、もう離れられないのであるから、時間がおし流してくれて、何にもオドオド不安がることはないのだけれども。


 今の僕の立場としては、まだ彼女と意を通じる所までも来ていないし、チョッとした誤解、不満によって、すぐに壊れる(こわれる)状態にあるから


その為に、そのようなことがあったら物凄く(ものすごく)気を使い、頭を痛める。


 それで気疲れして、またいつも気分がスッキリしないでいる。


 もし彼女を本当に好きでなくとも、どうでもいいやとゆう程度の気持ちであったら、そんなに彼女に気を使うこともないのであるが…


 今はまだ、そこまでふて腐れることが出来ない。


 諦め(あきらめ)きれない‥‥


 とゆうことだ!



 姓体易(学)的には、ものすごくうまくいくと出ているそうだね!


 君みたいに跳ねっ返りな娘には、俺みたいな温和な者が良いのだとか!?


 俺もそのように思う!

 普通の何でもうまくやってのける娘よりも、何か、我がまま勝手なことをして僕を困らせるような娘の方が、僕の心も引き付けられるような気がする。


 それはやはり相手のことを気遣い過ぎることに喜びを感じるような、先天的な性質があるからだと思う。


 我が儘(わがまま)されて、我がままされて。



 甘えられて、甘えられて。



 それで喜びを感じるような性格なんじゃないかという気がする‥‥、のだが!?


 君はこのことをどう思っていますか?


 まったく根も葉もないことだと思いますか?

 それとも全く分からないとでも言うのか?


・・・・・・・・・


 この前の天才児、気ちがいの件はどうなりましたか?


 この点に関しては、あまり詳しく知りませんので心配です。


 一度見てもらわなければならないように思います。


 しかし感じたようなことを、覚えているだけ書いておきます。



声→『藤田、気ちがいになることから逃れる法を、もう知っているよ』


『藤田さん、気ちがいになんかならないわ』


『彼は宗教の道にたけているから大丈夫だよ』


『信仰によって逃れられるよ』



‥俺はそれを確信していたから、その事に関しては何も動じなかった。


 しかし、彼、いわ


『いや、たとえ信仰しても、この運命からは逃れることは出来ませんよ! どうしようもないことです』


『藤田さん、やっぱりバカになるんだって』


‥このようにして、いちいち僕の耳に一部始終が入ってきて、俺が苦しんでいるので


それを気遣って、誰彼様が注意をうながしたそうな。


『あんまり藤田を苦しませるようなことはするな。 もう黙っていろ!』‥‥などと


 それでしばらく静かになった。



 もう俺はふて腐れぎみで、バカになろうと、どうなろうと知ったことじゃないやと、憮然とした態度になった。


 またこのようなことも聞こえたような気がする。


声→『天才児の相があるというのは、あれウソなんだって。ただバカになる相しか出てないんだって』


『藤田には才能なんてありゃしないよ。ごく普通の人間だよ』



‥どうとでも言ってくれ! もう俺はあんまりバカバカしくなって、相手にしないことにした!


 たとえそれが本当だったとしても、これからそのようなことを心配して生きていったんじゃ、まったく、これまで以上につまらない人生になっていくから。


 たとえそのようなことを聞かなくても、僕は常にマイペースだし、聞いた今でも、まったくマイペースは崩れはしない。


 崩れる崩れないは問題じゃなく、僕にはこうしか出来ないし、このマイペースでしか生きていけないから。


 たとえどんなに自分の身辺にゴタゴタが起こっても、決してこのペースは乱れることはないということだ!


 たとえこのペースでいって、気ちがいになる日が来ようと、どうなろうと、そのようなこと、俺の知ったことじゃない!


 俺は目標を立てるのが嫌いだ!


 それを目安に生きていくなど、まったくつまらないと思う。


 また何かの信念にしばりついて、窮屈に生きるのも嫌いだ!


‥‥といっても、やはり俺は信念に生きてはいるのだ。


 けれども決してそれは窮屈ではないし、自分にとっては一番気楽に生きやすい信念である。


 だから信念に生きているといっても、それに窮屈にしばられて生きていないのだと言いたい!




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