表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一滴の波紋【原文】・1巻の1  作者: 藤田幸人(ペンネーム)
29/41

ある日の日記・29

二十九回



 彼のような気性もまた、他の男からみたら羨ましい(うらやましい)くらいの良い面を持ってはいるが。


しかし何だか、今までの態度を見てきて、自分の考えにしがみつきすぎているのではないかというきらい(〇〇〇)が強かった。


 僕も昔、彼のような正しい、もっともらしい考えを抱き、


それを周囲の者にも押し通そうとしていた頃があった。


その考えは確かに正しいことだと思うが、僕のこれまで試してきたことからしては、その考えは決して現実を貫けるほどの真実性、力というものはなかったように思う。


いわば簡単にいえば、その考えからしては、現実の世界なんて、本当に次元の低い世界なのである。


誰もがそのような、まっとうな考えを抱き、押し通そうとした頃はあったさ。


 しかしその現実にぶつかった時、その考えは微塵もなく吹き飛ばされてしまう。


 彼はまだこの寮だけの生活しか知らないから、それが半ば通れるものと思っている。


 しかし世間は広いし、 またさまざまの人間、さまざまの違った考えの人間を目の当たりにしてくると、


自分の考え、自分が確信している考えというものは、本当に自分以外の人間には、まったく通用しないと思った方が賢いと思う。


 それを、まぁ~


自分も‥、誰でもそうであるが、


彼も自分の考えを他の者に押し通そうという気が強過ぎると思う。


 だからそのように我を押し通そうとしているきらいの強い人間とは、僕はうまくいかない。


何故かというと、自分もまた我の強い人間だからである。


 だからそれをうまくいかそうと気を使うなら、自分の我を押し通すことなどあきらめて、自分もまた、人も、好きにしているのが一番良い事だということになる。


 気が小っちゃくても良いじゃないか!


それで、その者が精一杯生きようとしているんなら!!


 (人を情けむ心)人情味


それが弱い者に対して、一番大切なものだと思う。


 自分が強い人間だと確信しているのなら‥‥



また今日は、この日記のことで、君の身内の者がきもをつぶして、この話は壊れてしまったということになったね。



声→『どうして藤田さん、あんなこと書いたのかしら!?』


『自分にその気がないから、自分の方から壊しにいったのよ!』


『あの人にその気がないなら、なおさらのことよ。この話はなかったものとして下さい!』



 ‥僕は、その言葉を聞いても、もう今さらピンとくるほど、現実味を失っていたのです。


 またこれも妄想だ‥


最初から何もなかったし、また今のような結末のこともなかったんだ。


最初から何もありわしなかったんだと……


そう思いこもうとして、ひとまず諦めようと思いました。


・ ・ ・ ・ ・ ・


 兄貴達のことで、これまで書いてきたことにおいては、平穏な家庭で育った人に聞かせるには少し刺激が強過ぎたようですね。


 兄貴達がそうだからといって、僕もまたそのような人間の少しでも受けついでいるかというと、そうではないのです。


 少なくとも上三人の兄貴と、下二人の僕達とは、まったく生き方が違っているのです。


 それはいわば、同じくそのような中で育ってきても、その苦しい時には、僕達は、まだ物事を考える力のなかった頃でしたし、


兄貴達の悪に影響されることは全くなかったのです。


 物事を判断できる頃には、もう生活は安定していて、二人は、まともに学校へ行き、高校まで行けたのです。


 僕の子供の頃は、まぁ~…


他の子よりも、ボロ服を着てはいましたけど、子供の世界というものは、そんなに貧富の差など、たいして問題にもなりませんし、


それでよく、他の生徒からも好かれ、近所の者からも好かれて、


そんなに兄貴達ほどに、人間性が阻害されることはなかったのです。


かえって他の子にまさる、優れた能力を授けられていたことが幸を呼んできたのです。


 一つ上の兄貴は、頭はさほど良くはありませんでしたが、人柄が温和で、スポーツ万能、


特に野球にすぐれていて、小っちゃい頃からよく人に慕われ、それでまともなくらいまともな人間に成長しているのです。


 それに前にも述べましたように、野球でバッテキされて、一流の会社で平穏に暮らせるほどの身柄になっています。


僕はといえば、スポーツは万能でしたし、学校の成績も上位に保てるくらいの優れた能力を持っていました。


 それに皆からも好かれていたので、学生の頃から模範生徒として一目おかれていたほどでした。


 僕の学校の時の成績やら何かを聞いたことがありますか‥!?


もし聞いていたとしたら、まったくその通りで、


いくら前述のように、ひどい兄貴達を持っているとはいえ、下、二人の僕達はまったく別世界の人間なのです。


まったくまとも過ぎるくらいまともな人間なのです。


(上の兄貴達の生き方には、小っちゃい頃から反発してきましたので‥)


 ただ、そのような兄貴達を持っていますので、一つ、強みがあります。


今回のようなことで、もしお互いに殺傷沙汰にでもなって、自分の方に不利なことにでもなっていたら、そのような荒くれ男どもが、すぐに駆けつけて来ることです。


それをあてにしていれば、どのような強がりも、虚勢もはれるのですけれども、


僕は兄貴達とは違います。


兄貴達が、腕力で制しても、世間の人達から認められなかったのであるから、僕は腕力に頼らず、頭脳、人格の優れたもので勝負しようと思います。


いわば男らしくないにしても、知恵、人格で世間の人と勝負してみようと思います。


 もし、まだ取り戻せる余裕があるのなら、何としても取り戻したい!!


 自分の方から壊しにいくなんて、誰が考えるものか!!


要は今の自分…


それと君とだけの問題だし、他の兄貴達の事で、この事が左右されるなんて、不合理なことはないと思います。


まだ、これでも諦めきれませんし、終わっていないものとして、これからも気が向いたら、このような話しごとを書き記していこうと思っています


 今までの自分の考えをまとめるためにも、また君達との縁を切りたくないためにも。



 しかし僕も今まで、あまりにも虚勢を張りすぎてきました。


のぼせ上がってきました。


 だからもう僕の味方をしてくれる同僚はあまりいないと思います。


それで弱気になった時なんかは、とてもいたたまれないほど、心細くなる時があります。


 何でこんなに人に反発し、自分の身から遠ざけ、そして自分一人で生きようとしているのか?……


 本当に生き辛い!心細い!


どうして皆に要領の良い態度をとり、さして敵対意識も少なくして、生きやすい生き方をしないのかと


時々… また今も思っています。


 しかし今の所、どうしようもなく、それが出来ません。


いわば強がり的に言えば、自己を強くなしたいために敢えて(あえて)自分を不利な立場に追いやって、自分自身と戦っているということか?……



 いくら嫌いだといっても、それほど毛嫌いするほどに、彼等を憎くはないのです。


もし彼等が困っていて、自分の手を貸すべきだという時には、前者のような毛嫌いなど、どこ吹く風とばかりに追いやって、彼等に手を貸す心を持っているのです。


 僕にとっては、元来、心の底から憎める人間なんて、この世には一人も居ないのです。


 ということで、別に彼等が憎くて反発しているんじゃないんです。


自己を強くなしたい為に、彼等を敵にまわしているだけの話です。


要領ようりょう良くやろうと思えば出来るのです。



 しかし、それをやるのには時期が熟していません。


力をつけない間に、そのようなことに甘えてしまったら、やはり自己を成長さすことが出来ません。


 だから成長できるだけ成長した後で、それに溺れなくなった時、


僕は皆と要領ようりょう良く、親しくするのではないかと思います。


 今は…、今の自分を、ただこのような理由で肯定するしかありません!?


 今の自分を変えることは、意識的にも出来ないことだから…‥!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ