2話 会社の評価とコネ入社!?
ー4月6日 午前曇り(強制入社まであと4日)ー
いつもの日課の朝のマラソンを終えた俺は、入学時に買ったパソコンでwebサイトを開いた。
今は、学生寮に特別においてもらってるのでネットは使い放題だ。
まぁ、もうすぐ契約が切れるので退寮しないといけないけど。
「芳川出版 評判っと。」
登録済みの就活サイトを見る。就活サイトは、大学生なら大抵の奴が利用しているだろう。
まぁ、この4月になって使っているのは、就活戦争にあぶれた俺みたいな奴か、今年4回生になる後輩くらいだ。
「ふむ、ふむ。評判は、星5か。」
このサイトの星5は、5段階評価の最高にいい会社につけられる。
「なになに、理由は、『福利厚生がしっかりしていて風通しのよい職場です。』か。」
その他に、『しっかり評価してくれる。』や『新しいことにチャレンジ出来る』と書かれている。こんないい事ばかりの会社も珍しい。
検索のページに戻ってカーソルを下げていくと、webの新聞記事が目についた。
【芳川出版、次期社長、今年入社!】
大々的に書いてあるページをダブルクリックで開く。するとそこには、6日前にあった幼馴染のにっこり笑って手を振る姿があった。記事の内容を読んでいた俺は、記事の3行目に目が飛び出す勢いだった。
「「今年の入社には、僕の幼馴染も一緒に入社するので2人で特に頑張っていきたいです。」っていらんこと言いやがって!!」
親友のwebページを全部呼んだ後に、もうひとつ気になったことを検索してみた。
「コネ入社について調べるか。結果は、みえてるけど・・・・。」
『コネ入社 実態』とインターネットの検索をかける。
すると、まぁ、出てくる、出てくる。会社に勤める会社員たちの愚痴が。
「「社長の幼馴染や後輩ってだけで優遇されて腹が立つ」」や「「無能なくせにえらそう」」など不満があふれている。
「マジか・・・。社長の幼馴染とか、まさに俺じゃん。」
これは、入社したとたんハブられるやつじゃん。
「でも、新も恐ろしい・・・。」
高校時代【触らぬ新に祟りなし】と言わしめた新だ。
この事件は、ほんの些細なふざけあいで起こった。部活の後輩とふざけあいながら帰っていた。その時たまたま当たりが悪くて俺が怪我をした。
あの時の新の顔の恐ろしさといったら・・・。
当時部長をしていた新が、即刻後輩を退部させた。
それ以来【触らぬ新に祟りなし】といわれている。
つまり、カフェで言った事はマジなわけで・・・。
「絶対、仕事を決める。派遣でもいい。」
まぁ、新が納得しないかもしれないが。
さらに決意を固めた俺だった。