1話 大卒無職は、【強制】コネ入社!?
コン、コン。ドアをノックもなれたもの。
なんせ、今日で記念すべき50社目の面接なのだから。
「はい、どうぞ、」
「失礼します」
このなれたやり取りで、入室。
今日こそ決めてやるという決意を込めて。
5人のスーツの人の前の1つのイスに腰掛ける。
「はい、では、面接をはじめます。まず、自己PRをお願いします。」
「はい。僕は」
* * * * *
ー3月31日 夕方 晴れー
「くそっ、今日も駄目だった。」
いつものカフェで親友にぼやく俺は、松本カナト22歳。
今年の3月に大学を卒業した、新社会人だ。
まぁ、仕事は決まってないので新社会人と言えるか怪しいが。
「わかった、じゃあ、うちに就職しな、俺の秘書!」
親友の名前は、芳川 新。大手出版社の御曹司だ。ちなみに新とは、保育園の時からの付き合いで親同士が仲がいい。
「あきらかコネじゃん、それだけは避けたい。」
さすがに幼馴染といえど、頼る気はない。
だってコネだと、絶対いじめられるじゃん。
「心配しなくても、そんな事したら即クビきるから。」
と、恐ろしいことを言って笑う新。
「あ、そういえは、おばさんからメールきてたんだ。」
「は?母さんから?」
いつの間にか、母と親友がメル友になっていることは、おいておこう。
「『新君、意地をはってる息子ですが、どうか、どうか、よろしくお願いします。』て、なんなんだよ、これ!!」
まさかの母の手回しに呆然とする、俺。
「ご両親公認だし、あ、そうだな、カナト意地張はってるし、条件つけるね。」
「なんの?」
新は、普段は温和だが言い出したら聞かない。
「もしカナトが4月9日迄に仕事が決まらなかったら、4月10日の8時からうちに出勤ね。」
「は?」
心配してくれるのは、うれしいのだがいきなり言われても困る。
「じゃあ、立花に連絡するね。」
「え。」
呆然としている間に、話が進んでいく。
ちなみに、立花さんは新のお目付けやくで会長秘書だ。
「はい、これにでて。」
突然、新の携帯を渡される、最新機種なので落とさないように受け取る。
「もしもし」
反射的に携帯にでてしまうのは、就活中の癖だ。
「「こんにちは、カナト君芳川出版の立花です。」」
「こんにちわ。」
「「4月10日は、ペンとメモと印鑑もってきてね。」」
「あ、はい、わかりました。」
俺をおいて、話は進む。
「「じゃあ、4月10日からよろしくね。」」
「はい、よろしくお願いします。」
挨拶をして、電話を切る。ニコニコしている新に放心状態の俺は手にもった新の携帯を返す。
「じゃあ、4月10日からよろしくね」
とニコニコを継続しながら新が言う。