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ヒューマンイーター  作者: まひろ
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私は何になった?

 浮いていた水の玉が弾け周囲に飛び散った。


 飛び散った水は僕にも掛かった。


 飛び散った水は付着した瞬間から付着したものを食い散らかし始めた……宛らなんでも溶かす酸の様だ。


 当然僕に付着した水も僕を食べようとしていたけどそんな事はさせない、僕に付いたものは行動を起こす前に僕に食われ尽くした。


 取り敢えず飛び散った水の事はもういい、問題は弾けた水の玉から出てきた存在だ。


 僕と同じ人の形をした液状の体を持つ女の子がそこに横たわっていた。


 状態を見るに僕と同じ様な存在なのだろうか?


 容姿は人形めいた整ったもの……元がグチャグチャに壊されていた為これがこのお姫様の元々の姿なのかどうかは判別不能。


 ただ体の大きさはすごく小さい、外見の大きさだけなら8歳位にしか見えない……僕は元の身体より大きくなってたしこの差はなんなんだろうね?


 気になる点は多々あるものの取り敢えずは実験は成功なのかな?お姫様は見事に新たなヒューマンイーターとなったのだから……


 そもそも僕が一体何を気にしていたのか……それは何故僕はヒューマンイーターになったのかと言う疑問だった。まぁ正直言えば分かろうが分かるまいがどうでもよかったんだけど……まぁ今回は丁度よかったから僕は実験を行ったのだ、その実験内容は僕の様な存在を故意に作る事は可能なのか?という実験だった。


 僕は何故自身がヒューマンイーターの体で生きているのか理由が分からなかった……その理由を考えたとき思いついたのがあの時僕はヒューマンイーターを食べた事だ。


 それがどうしてこうなるのかわからないが恐らくその普通ではない逸脱した行動のせいではないかと思ったのだ。……え、僕が転生者だったからじゃないのかって?いや……多分関係ないよそれ。


 まぁだから実験してみた……僕の様にヒューマンイーターを食べた者はヒューマンイーターになるのかどうかを……そしてその実験は成功した。


 実例が僕とこの元王女様と思われる女の子しか無いのでわからないが少なくともヒューマンイーターを食べる事が僕たちみたいになる原因の一つだろう……もっとも中身がどうなっているかはわからないけどね。


 ……そしてどうでもいい事を思った。勢いでやっちゃったけどこの子ってどういう立場になるんだろう?もしかして僕の子どもとかになるのかな?


 そんな事を考えていたら目の前で寝ているお仲間さんが目を覚ました様だ。


「ん…私は一体……何が……あぅ、お腹が減りました……」


 んー……反応がなんと言うか僕に似てる?という事は中身もそのままみたいかな、それが良いか悪いかはわからないけど……さて、このまま眺めてるだけじゃ進展しないので話しかけますか。


「う~ん……何か近くでいい匂いと不快な臭いが混ざったような変な匂い?臭い?」


「お姫様いい加減気が付いてほしいな。改めて初めまして、僕はユウっていいます。そして取り敢えずおめでとうかな?ようこそ、こちら側へ……」


 声を掛けたらお姫様は今気が付いたように驚いた顔をしてこんな風に言ってきた……そこまで存在感無いのかね?流石に傷つきそうだったよ。


「貴女はあの時の裸の変態モンスター!!」


 変体って……僕の認識ってそんななの!?そしてお姫様、その言葉は盛大なブーメランとなるよ。


「……お姫様もその裸の変態モンスターの仲間入りなんだけどね」


「なっ!?み、見ないでください!!」


 お姫様は僕の言葉を聞くと視線を下に向けその後人間だった頃の大事な場所を隠しながらそんな風に言ってきた……でもね、人間なら兎も角今の僕らのそこは多分何にも無いよ?


 それよりも問題なのはお姫様の感覚はヒューマンイーターなのに精神は人間的すぎる事かな〜……僕とはだいぶ違うみたい、お姫様は自分がヒューマンイーターに変わっている事実に気が付いているのかな?


「別に見るつもりなんてないよ、ただね人間辞めちゃってるからその場所には大事なものなんて何にも無いよ、だからそんな感覚必要無いよ?」


「ふざけないでください!!どんな扱いを受けたとしても私は人間です!!」


 取り敢えず事実を言ってみたけど……うーん、お姫様はどうも自分はまだ人間だと思っているようだ。……おかしいな僕とお姫様の感覚が大分違うみたい、僕はこの体になってすぐに順応できたんだけど……何なんだろうねこの違い、何にしろお姫様には現実を見てもらう必要があるね。


「どんな仕打ちされても私は人間ですとでも言いたいのかな、ただね……現実は見ようよ()王女様?」


 僕はそう言うと氷の魔法を使用してお姫様にぶつけた。普通の人間だったら即死クラスの威力で放ったのである。お姫様もこの魔法の威力が分かってるみたい……だってすごく絶望的な顔してるんだもの……あの顔は殺されるって思ってる顔だね……


「キャアァァァァ!?…………あれ……え、嘘……何で無事なのですか?」


 部屋は全てが凍りついていた……僕たち以外がだけど。まぁこうなるのはわかりきってたからね……僕は驚かないけどこのお姫様は自分の事を人間と思っている辺りこの結果を驚いている。


「今のを人間が耐えられると思う?いい加減認めようよ、容姿からして変わってるんだからさ……僕達は人間じゃなくなっている事を……」


「……では……私は一体なんだと言うのです?」


「まだ分からないの……僕が何なのかは分かるよね?じゃあ僕がお姫様にした事は覚えてる?覚えてるならもう分かるよね?」


「……まさかっ!!」


 お姫様が息を飲んだ……そう、多分とっくに気が付いてる部屋の外から漂ってる匂いに……その匂いが何なのかを、そしてその匂いに惹かれている自分に……そして僕の与えた情報でようやく分かってくれたみたいだ……


「多分想像通りだよ、お姫様はヒューマンイーターだよ。あー僕を恨むのはお門違いだから、僕は選択肢をあげただけ……ほっといても死んでただろうし選択したのはお姫様だろう?あの時お姫様が生きる選択したからこその今だよ?まぁ御託並べてもしょうがない、それよりお腹空いてるんでしょ?外からの匂いに我慢できなくなってきてるでしょ?ただ今のままじゃ外にある食べ物は食べられないから食べられるように準備する所何だけど……手伝ってくれれば半分食べていいよ?」


 僕の言葉にお姫様は驚愕と複雑な顔を浮かべた、そして考える素振りを見せた後お姫様はこちらを向いて頷いた。


「お姫様なら八つ当たりでもしてくるかと思ったけど……案外素直に認めたね」


「違います……でも受け入れるしかないのでしょう?なら後のことは後で考えます」


 拍子抜けと同時に不自然さを感じたんだけど……まぁどうでもいいか今の事実を受け止めれたのならそれでいいし……


「ふーん……まぁいいや、それじゃ行きましょうかね?」


僕はお姫様を連れて部屋の外に出て行った。さて、外の状態を見て……自分自身がこれからする食事を見てお姫様はどんな反応をするのかな?


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