私だった残りカス
アイアス王国とバルバティア帝国は長い間戦争が続いておりました。
私の名前はメイリー・ディーバ・アイアスです。アイアス王国の第三王女でした。
ある時私はこの戦争によって引き起こされている惨状を目の当たりにし激しく憤りました。
こんな事を続けているから民が苦しむのだと……そう思ってからの私はこの戦争を終わらせるために動き出しました。
ですが私は気がつかなかったのです当然の如く私の行動が気に入らない者がいる事に……しかもそれが身内だという事に……
ある意味奇跡だった、各方面に働きかけ僅か数年で和平の話に漕ぎ着けたのだ。
私は帝国に和平の使者として赴く事となった。
その道中である……盗賊の格好をした明らかに盗賊でない者たちに襲われたのだ。
ここに至ってようやく気がついた私が嵌められた事実に……
私の護衛は和平の使者という事で最低限しか付けられておらず装備も礼装的なもので戦闘するためのものとは程遠いものだった。
護衛の6名は数の暴力により瞬く間に全滅してしまい私達は盗賊に捕まってしまった。
盗賊の中に見知った顔がいた……あれは、父の子飼いの兵士達だった。
私は父に捨てられたのだ、いや…殺されると言った方が正しいのだろう。
その後は酷いものだった……こいつらは戦争継続のための跡を私達の身体に刻み付けていったのである。
私は……私達はひたすら拷問と陵辱を繰り返された……侍女たちは早々に心を壊してしまった。
侍女達の反応に飽きたのか全ての矛先は私に向かい私には特に酷い拷問を掛けられた……そもそもが拷問が目的なのだから尋問などが無い、あいつらは只管に笑いながら私を壊していった。
爪と肉の間に棘がある針を差し込まれ抉り手と足の全ての爪を剥がされた。ボロボロの手足の指を万力で潰された。赤く熱せられた鉄心を死なないように身体中に押し当てられ皮膚が焼け爛れた。髪の毛などは無理矢理むしり取られ頭皮ごと抉られた。片目に硫酸を垂らされて失明させられた。面白半分に歯を全て引き抜かれた。片耳をそぎ落とされた。
やがて反応がなくなった私に飽きたのか奴らは私の手足を固く縛り付け放置していった。そのまま数日飲まず食わずで放置され続けた。
私は極度の飢餓状態になっており更に数日縛られたまま放置された手足は壊死していた。奴らはそんな私の前に現れて私の口に無理矢理何かを詰め込んできた。
詰め込まれたもの……ペースト状の肉だった
あまりの事に私は吐き出してしまった、しかし奴らは吐き出したものも含めて無理矢理私の口にねじ込み食わせていった。食わせ終わった後に奴らはこう言った「それはお前の婚約者だった者の心臓だったもの」だと言ったのだ。
私が攫われたのを知り婚約者は私を探し始めた、しかし父達はそれが煩わしく私の婚約者の家ごと潰したという。それを実行したのは兄や姉……私の兄弟たちだと言う。
…あ…ああ……あああぁぁぁあぁぁぁ!!
この後私は自分の婚約者だった物を時間を掛けて何日も口の中に詰め込まれた。
吐き出す事も出来ずに体を傷つけられるより辛い時間だった。
…る…ない……こ………やる……
絶対に許さない……こんな事をした者全員絶対殺してやる!!
私には復讐心しか既にありませんでした。
そんな私の状況が変わったのは私の前に現れた一体のモンスターだった。
見た事の無いモンスターだった、全身が液体で出来ていると思われる体の女性だその全身の色はシャンパンゴールドで統一されており顔の造形はすごく整っており作り物めいた美しさがあった。
そしてそのモンスターは全裸でそこに立っていた。
状況からしてこのモンスターに私を襲わせるつもりなのだろうか?
そのモンスターが私の今の醜くなってしまった顔を覗き込んできた。
私は抵抗の意味を乗せてそのモンスターを睨みつけた。
睨みつけられた瞬間にそのモンスターは驚いた顔をした後目をキラキラ輝かせたかと思うといきなり落ち込み出した……正直意味がわからない、そう思っていたら突然そのモンスターが私に話しかけてきた。
驚いた、何に驚いたのかと言うとそのモンスターはちゃんとした知性と意思を持っていた事に……しかしそのモンスターの話の内容は私を驚愕させた。
『はじめまして、僕はユウって言います。僕は気になることが出来たのであなたを使って実験するね……うまくいけば生きられるよ……失敗は激痛の中での死だけどね~』
実験?一体このモンスターは何を言っているんだ……しかし考える間もなくそのモンスターは片腕を私の口に突っ込んできた。
一体何これ!?息ができない……苦しい、このまま殺されるの?
そう思っていたらそのモンスターは自らの腕を切り離して部屋を出て行こうとした。
去り際にこんな言葉をのこしていった。
『それ全部食べつくして見てね……そうすれば生きられるかもね……出来なかった時は君が食べられて終わりだよ……ああ、言い忘れていたけど僕ねヒューマンイーターって言われる存在みたいだよ、じゃあがんばってね』
え!?何を言ったの?これを食べろ?彼女があのヒューマンイーター?私の驚愕を他所に彼女はこの部屋から出て行った。
私の体は彼女の腕だったものに覆われ尽くした、そしてその瞬間から激痛に襲われた。
体の内から外から拷問とは比べ物にならない痛みが襲ってきた。
私の体が徐々に削られて……いや、これは食べられている!?彼女は自分の事はヒューマンイーターと言った。俄には信じられない、ヒューマンイーターの外見はスライム系統の筈だ、しかしもし彼女の言葉通りなのだとすれば……
(私の体を覆っているのはヒューマンイーターなの!?このままだと食べられる!?)
私はパニックを起こした。生きたまま食われる……これほどの恐怖と拷問はあるのだろうか、しかもその先に待つのは確実な死。
死ねない……死ぬわけにはいかない、死にたくない!!そんな風に混乱していると先程の言葉を思い出していた。
『それ全部食べつくしてね……そうすれば生きられるかもね……』
確か彼女はそう言っていた?……食べ尽くす?コレを?ヒューマンイーターを?
ありえないと思った、思ったが私はヒューマンイーターを食べ出していた。
私は既に婚約者の……人間の肉を無理矢理だが食わされている……そんな私に今更ヒューマンイーターを食べる事など忌避するような事柄では無い……むしろコレを食べ尽くせば生きられる可能性があるのならやるべきだ。
最早痛みなどどうでもいい……食べてやる……洒落がきいてるじゃない、人間を食べた私が今度はヒューマンイーターも食べている事実に笑えてくる。
いつの間にか私は嬉々としてヒューマンイーターを貪り食っていた。
そして……そして…………