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ヒューマンイーター  作者: まひろ
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オーガの夢其の二

いやー、時間無くてストックできてないですわ~……はい、いい訳ですごめんなさい。

取り合えず出来上がり次第更新していく予定なので今後更に不定期になってしまいます、申しわけありません。

それでは拙い物ですが楽しんでいただけると幸いです。

あたいの名前は「半間《はんま》 (しず)」半間凪の姉でオーガ族さ。


今あたいが何してるかって?どうやら人間共がまた蛮族討伐と称した亜人狩りを始めるために討伐隊を差し向けやがったからそれの対応だね。


 人間の国のバルバティア帝国ってのは人間以外は排斥する傾向にあるので今までも小競り合いなどは結構頻繁に起こっていたりする。ただ、隣のアイアス王国がいた事で大規模軍を向けることが出来ずに小規模な戦闘が起きているだけである、更に最近はアイアス王国と本格的に戦争をしたことからここ数年あたいらは人間と戦闘も無く平和でついでに言うなら戦争を止めようとしていたアイアス王国の第三王女が和平交渉の席に向かう途中行方不明となり両国には緊迫した空気が張り詰めていて此方に軍を向けるなど出来る状況では無いと思っていたのだけど……何にしろ事実として軍を差し向けられているんだ、対処するしかないね。


そんなよく分からない情勢の中、今のあたいは女の身ながら今回オーガ族の部隊の大将ということになった。


オーガ族は男尊女卑の傾向が強いからね、こいつらもあたいが一番強いからってよく大将をやるのを認めたもんだ。


何にしろ今回はあたいが部隊を預かる身、こいつらを無駄に死なせるような特攻など出来ない。幾らオーガ族が身体能力に優れていようが数百を一人で相手に出来るもんじゃないしね……あたいからすれば数百程度相手に出来ないのは何て軟弱なって思っちまうけど。


ん、弟はどうしたのかって?あたいの可愛い可愛い可愛い可愛い凪を戦場何かに連れて行けるわけ無いだろ!!弟は軟弱じゃ無いのかって?馬鹿者!!凪はいいんだよ!!凪はあたいの全てなんだから!!


……話がそれた、兎に角数の差をどうにかしなければいけないのならやっぱり遊撃戦だろうねぇ……森の中で待機して誘い出して確固撃破。面倒だけど部隊の事を考えればこれが一番なのかね。


あたい達は森の中で戦闘の準備をした……そして現れた人間の軍に驚愕した。


軍旗が三つ、一つはバルバティア帝国のもの、一つは国境警備部隊のもの、そして最後の一つが不味かった、帝国最高と謳われる精鋭揃いの魔術師部隊。


何故魔術師部隊が不味いのか……それはオーガ族の、いや魔物や亜人にとって魔法と言うものが天敵であるからだ。


そもそも魔法とは何か、魔法とはこの世に存在しない現象を精神力に因る想像によって再現しこの世に発現させる、故に魂と言う精神体に直接ダメージを与えられるのだ。


 この魂、つまり精神体への攻撃が魔物や亜人にとって弱点なのだ。


 魔法による精神体へのダメージは人間には対して殆どダメージが無い、何故なら人間は魔法が使えなくとも常に魔力により精神体が保護されているからだ、だけどあたいたちは違う……あたいらオーガ族の例であげるのなら人間の魔法に相当するものが眼力だ、眼力は魔力を使い行使されるものだ、ただ問題はこの眼力は自身の魔力全てが常に使われているのである……そう精神体を保護するための魔力も全てこの眼力に使われている。


 これはオーガ族に限った事ではない、魔物や亜人は何かしら特別な力を所持しているが魔物も亜人もその特別な力に魔力の全てが使われているのだ。


 つまり魔物や亜人は自身の精神体を保護する魔力がなく剥き出しのままということになる。


 魔法そのものは強靭なオーガ族の肉体を殆ど損傷させる事はできないが魔法の攻撃の一撃一撃は確実に致命傷になっていくのである。


 さらに魂とは修復されないので一度損傷したら生きている限り以降損傷したままだったりする。


 つまり魔物や亜人に対して魔術師集団を仕向けると言う事は『本気の殲滅戦』の意味合いがある。


 敵を見た瞬間悪寒が走った、あたいは咄嗟に伏せ次の瞬間には後方から光の矢が通過していった。


 どこから狙われた?いや、そんな事はどうでもいい、不味いのは奴らは森の中で待機しているあたいらを既に補足しているという事、二里(一里は約4km)は離れているのに正確に奴らは打ち抜いてくるという事だ。


「総員撤退!!奴らは此方を補足し森に入らずにあの距離から正確に打ち抜いてくる。反撃は不可能、総員撤退!!」


 あたいの撤退命令と共に魔法攻撃の雨が森に降注いだ。


 あたいは魔法の攻撃を避け続けた、正確には破壊し続けた。


 精密精を優先しているのか魔法そのものの威力は無くあたいは発火の魔眼で魔法攻撃を相殺しつづけることができた……だけどそれはあたいだけで……


 魔法攻撃の雨が収まるとそこにあったものはオーガ族の戦士達の屍の山だった……あたいらは人間に戦闘すらさせてもらえなかった。


 悔しさ、怒り、それらの感情がない交ぜになり今すぐにでも奴らに特攻を仕掛け蹂躙してしまいたかった……しかしそれはしてはいけない判断だ。


 あたい一人だと負けると言っているんじゃない、むしろ一人のほうが自由に動けるので負けることは無い、数の差など関係なく只管蹂躙できるだろう……魔法など当たらなければいいだけなのだから。


 だけどそれではあたいの守りたいものは守れない……きっと他の部隊に集落を襲われる、集落を襲われると言う事は凪が襲われるということだ、それだけは駄目だ。


 あたいは事態を知らせるために集落へと向かおうとして声が聞こえた……いや、正確には見えたのだ叫んでいるものの存在を


「『凶暴な雄オーガは殲滅した、進め、雌オーガは不老の妙薬だ!!全て生け捕りにしろ!!』……だと……」


 叫んでいたのは指揮官だろう……やつらの発言には色々いいたいことがあるがそれよりも問題はその叫んでいた指揮官だろう、あの顔には見覚えがある……奴は―


 ― あの時凪が助けた老兵 ―


 あの時の凪の力により若返っていたがどういうわけか再び老人に戻っているようだ……何にしろある程度推測がついた。


 奴の目的は凪だ……どういうわけかあんな可愛い可愛い私の凪を女と勘違いしている愚か者だが言動から考えてどう考えても凪なのだろう……何だろうか、この沸沸と煮えたぎってくる感情は……怒りには違い無いだろうがそんな生易しいものでは無いぞ……


 ……おっと、今から感情に任せて暴れまわってはいけない、先ずは凪の安全確保、集落の皆んなに事態を知らせ避難させる……その後だ、その後でなら暴れられる、奴らを一人残らずに蹂躙してやろう。

 


 私は凪の元へと急ぎ戻っていった。


 




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