オーガの夢その一
ストック切れたー!!
頑張るけど毎日更新できるか分からなくなってきました。
集落は炎に包まれていた。
バルバティア帝国が責めてきたのだ『治癒の魔眼』を求めて……
『魔眼』……それはオーガ族なら誰しもが持っているものだ……しかし帝国は『魔眼』とは全てが『治癒の魔眼』と思っている。
しかし現実は違う……『治癒の魔眼』を持っているのは俺だけだ……
だから姉は俺を逃がすために『発火』で森に火を放ち……単身帝国兵に戦いを挑んでいった。
今でも悔やむ……あの時あの人間を見捨てていればこんな結果にはならなかっただろう。
◆
俺は半間 凪と言う名前だ。
生まれた場所は人間の国のアイアス王国とバルバティア帝国の国境付近に広がる森の中にある一つのオーガ族の集落で生まれる。
そう、オーガ族の集落で生まれたのだから俺はオーガだ。
まあオーガといっても人間と見た目がそんなに違うわけでは無いんだけど……
別に肌の色は普通の人間と変わりは無い、化け物みたいな緑色をしていたり赤や蒼色をしているわけではない。
どちらかと言うと姿は人間そっくりである……違う点といえば額に角が二本か一本のどちらかがあり耳が少し尖がっている位と身体能力は人間よりだいぶ高いか……後人間は知らないがオーガ族は特殊な『眼力』を持っている。結構違うじゃ無いか?いやいや、大差無いって。
最もこの眼力は人間の使う魔法の代わりみたいなモノだが……オーガは魔法が一切使えないのだ。
その所為で人間にはオーガは体力馬鹿に思われ、更にオーガ族の社会性は世襲制ではなく戦闘能力が全ての実力主義なので蛮族みたいに思われている、まぁそう思われるならそう思えばいいある一点以外ははその通りなのだから…………因みにこの『眼力』なのだが、オーガの身体能力を強調させるようなものが多くその所為で人間には『眼力』の事は知られていないという……眼力の種類は威圧だったり硬直だったり恐怖だったりと正直言えば特殊な力なのか分かりにくい。
蛮族だからと言われればそれで終わってしまうような力ばかりだったのだ……
そんな中俺は……俺達姉弟は特殊な眼力を持って生まれた。
姉は『発火』俺は『治癒』、姉の『発火』の眼力は伝説のオーガ『梁塵秘抄』が唯一持っていたと言われる物で俺の『治癒』については今まで存在すらしていなかった。
『眼力』も特殊ならば俺達姉弟はオーガ社会も無視し特殊だった。
まず姉は兎に角強かった……『発火』の眼力は視界に映った対象を任意で発火させる凶悪なものだし、体格は背も高く引き締まった肉体、女性ではありえない身体能力を有していたのである。
そんな強くて勇猛な姉は俺の憧れの存在だった。
対して俺はどうだったのか……まず『治癒』の眼力は戦闘では使い物にならない、何故なら治癒の対象に自分は含まれない事と『治癒』を使うためには使う対象を見た後その対象に触れ続けなければ発動しないのだ……正直戦闘では使い物になりません。
そして体格はどうなのか……まずチビです。四尺五寸程度(一尺は30cm位一寸は3cm位)あるかないか……戦闘能力?多分戦えない人間の女の子レベルじゃないかな……ついでに臆病、姉とは真逆の存在です。
しかも見た対象を治療するのではなく見た対象に触れ続ける事で『治癒』が行われるのである。
回復力は抜群なのだけど使いにくさと自身の治癒が出来ないのとで使えない眼力とはよく言われる。
後体の成長が早々に止まってしまい集落の中で一番小さかったりする、身体能力に弄っては下手したら人間に負けるレベル……オーガとしてはどうしようもないくらい駄目駄目だった。
さて、此処でオーガの社会について話しておこうと思う。
オーガの社会は実力主義だがその中には一つの不文律があった……『戦いは男、女は男を支えるべし』
……つまり俺たち姉弟はオーガ社会の中では見事に役割が逆転していた
そのため周囲の風当たりは辛いものだった……『だった』だ……姉が力で集落中の男達を完全に黙らせた……姉よ、幾ら何でもやり過ぎ……まぁそのおかげで俺達の待遇は完全に変わったのだが……
実力主義と言うか……女ってこえーなーと俺は思っていた。
そんなアホな日常もある出来事を切欠に変わることとなる。
あの時は確か姉と共にちょっと遠出の狩りをしていた時の事だった……鎧を着た瀕死の老人を見つけたのだ、恐らく最近あった人間の戦争の犠牲者なのだろう、このまま放って置けば死んでしまうだろう。
その人間を俺は助けた『治癒』の眼力を使って……そしてその効果は如実に現れすぎた老人の怪我は全て無くなり更に……青年に戻っていた。
どうやら俺の『治癒』の眼力は老いすら直すことの出来るものだったらしい。
元老人は大変感謝をし自分は貴族だと名乗りこのお礼は必ずすると言って自分の国へ帰っていった。
それから数年後……お礼と言う軍隊が森に向けられた。
「雌オーガは不老の妙薬だ!!全て生け捕りにしろ!!」
人間の兵隊はそんな事を言っていた……それってもしかして俺の事?
……俺男ですよ?




