最悪の誕生
モグ……モグ……モグ……
お姫様は王女様の侍女たち四人をぺろりと食べちゃいました♪
さてさてさて、あの様子だと自分が人間だったなんてぶっ飛んでるのかな……まぁ~いい感じに人間性は壊れてくれたのかね?
僕がそんな風に見てたらお姫様の食事が終わった……と言うより食べるものがなくなって強制終了。
「あれ……もう食べるもの無くなっちゃったの?」
食べてる時は実に幸せそうに恍惚とした表情で食べてたんだけど食べるものがなくなるや否や一気に不満度MAXみたいな表情に変化した……
「おかーさん、私全然足りないよもっと食べたい!」
コケそうになった……本当にコントの様にコケそうになったんだよ……でもこれ僕悪くないよね、何でいきなり僕がお姫様の『おかーさん』にならないといけないのだ!?それに四人食べて総体質量は増えてるはずだから体は大きくなっても問題ないはずなのに見た目変わらず7歳のままだしこれは一体どういう事?
「もっと食べたいね……まぁ僕も食べたいしそれは後で何とかするとして、何で僕が『おかーさん』なの?」
「ん?おかーさんはおかーさんだよ~♪私はおかーさんのおかげで生まれたんだしやっぱりおかーさんだよ」
……笑顔でそんな風に返された……どうしてそうなったのか分からないがいつの間にか僕は一児の母になっていたようです……ようですじゃないから!!さすがにこうなるのは予想外すぎる!!何処でこんな意味不明なルートに入ったんだ僕は!?……めんどくさくなった、母だろうが何だろうが僕の邪魔にならなければもうどうでもいいや~
「そういえばお母さん……私っておひめさまって名前なの?」
そしていきなり話が変わった!!ちょっと待ってよ、そんなにポンポン変わったら僕話しについて行けなくなるじゃない……それにしても名前ね……考えるのめんどいわ~別に無くても困らなくね?もうお姫様でよくね?
「んー……お姫様じゃ嫌なの?」
「ヤっ!!その名前は何かヤなの!!」
「じゃあ……王女様は?」
「もっとヤ!!!」
どないしろと言うんじゃ!!……あ、一個思い出した、王女様の本名なんてどうだろうか?……え、何で僕が知ってるのかって?お姫様が誕生した時の現象は覚えてるかな、あの時飛び散って僕に付着した物はお姫様の体の一部みたいなものなんだよね……で、僕はそのお姫様の体を取り込んじゃってるんだよね~、ヒューマンイーター同士は敗者は記憶ごと勝者に取り込まれちゃうのだよ、まぁごく一部のしかも残りカスみたいなものだからお姫様の全部を取り込んだ事によって知ってるわけじゃないんだけどその取り込んだ情報に名前位はあったのだよね……まぁあの時のお姫様は人間に執着してたからあえてお姫様呼ばわりしてたんだけど……ヒューマンイーターになったからこそあえて今度は人間扱いして見るのも面白そうかもね~♪
因みにだけどお姫様は僕の情報は何も持ち合わせていない……お姫様に使ったのは僕の情報は何一つもたせていない予めプログラムされたロボットみたいなヒューマンイーターを使ったから……あ、もしかしてその所為で最初お姫様の人間性が残っていたのか!!
お姫様と僕の違いは何だったのかって疑問に思ってたけど……思いっきり自分の所為でした!!そりゃそうだ……元々のヒューマンイーターの記憶と性質を取り込んだ僕はそりゃ人格は僕でも最初からヒューマンイーターだわな……お姫様はヒューマンイーターとしての記憶が無く人間のものしかなければそりゃ自分は人間だと思うはずだわ、うっかりしてたね僕!……まぁ何となく推測できたらお姫様には悪い事しちゃったねぇ……じゃあちゃんと人間の名前返さなきゃね♪
「うんうん、いやーうっかりしてたねこの状況全部僕の所為だったね~と言うわけでお姫様が一番失くしたくなかったものだったものをお返ししましょう~……お姫様の人間の名前をね~」
「っ!!?ヤー!!絶対ヤー!!そんな名前要らない!!」
「いいや、僕はお姫様の名前を『メイリー・ディーバ・アイアス』とするよ。まぁ長いから普段はメイリーとでも呼ぼうかね~」
「ヤー!!……普段はおひめさまにして欲しい」
「え~駄目!『メイリー』が失くしたくなかったもの何だろう……返したんだから使わなきゃ意味が無い」
「や~だぁぁぁぁ!!」
メイリーは泣き出してしまった、これは見た目相応より下かも?それにしても壊れてからのこの子は面白い位精神年齢が下がったね……そして虐めるの楽しい、アレレ僕ってこんなだっけ?まぁ僕の行動や考えなんて意味無いか、だって僕も壊れてるんだしね♪そもそも僕の行動には意味なんて無いしね~意味ある行動といえばお腹を満たす位?
そうだそうだ、ちょっとメイリーで遊んでて目的を置き去りのし過ぎてた……僕もまだまだ空腹なんだよね……さて、どうしようかな?
「ねぇ、メイリーは何がしたい?」
一応僕はおかーさん見たいだから娘(笑)の意見くらいは聞いてみようかね〜
「つーん…」
……なんだろうこの生き物可愛い……とか人間だったら思ったりするのかね〜?
「メイリー……僕の言う事聞かないなら……『食う』ぞ?」
ちょっとイラッときたのでドスを効かせて言ったらメイリーが思いっきり怯えてしまった……まぁ仕方ないか、力関係の差が如実に出るからね。その後は素直になってくれたよ♪
「……私は……メイリーが嫌い……だからメイリーを消したいの」
う〜ん……人間性?人格?が崩壊してから以前大切だったものが憎悪の対象みたいなものになってるのかな?どちらにしろメイリーは人間だったメイリーが汚点の様に思っているのかもね〜……
「だからメイリーを知ってる存在を全部食べて消しちゃいたいの!」
ワォ!!メイリーは祖国をぶっ潰したいと言いましたよ!!何だかぶっ飛んだ考えになってきてるのかね〜?……でもいいねそれ、国丸ごと食べちゃうか……何十、何百万人食べる事になるのかな?それだけ食べればお腹も満たされるのかな?
「いいよ、だってそれはこの国の人間全部を食べるって宣言だしね。メイリーがそうしたいならそうしようか……さて、そうと決まれば何から始めようか?」
「……おかーさん、先にごはん食べたい」
……アッハッハ、僕達会話が成り立って無いや、でもいいね〜狂ってる存在に常識なんて意味無いのだから。
「そうだね、先ずは腹ごしらえからだね〜」
この時、この国にとって最悪な存在が誕生した。