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こんなにも綺麗な世界なのだから  作者: 5110
加速していく現実
4/7

加速していく現実 1話

第2話です

目を開けるとそこは布団の中だった。周りは白一色の様だ。自分の家の中というわけではなさそうだ。それならば死後の世界だろうか。俺は全くそんなものは信じてなどいなかったんだが。シュウッという自動ドアの開く音が聞こえてくる。その音のする方向を見るとそこには金髪の女性がって


「うえ!?」


俺は立ち上がり彼女から逃げるため足を一歩後ろに下げた瞬間、突然足元にあったはずの地面がなくなり頭を思いっきり地面にぶつける。


「ブヘッ」


どうやらベッドで寝かされていた様だ。軽い脳震盪の影響で立ち上がることは難しいが思考することぐらいはできそうだ。あの女性も俺を追ってくる様子すらなく先ほどの俺の行動を見て唖然とした顔をしている。ここは質問をするしかないか。


「なぜ、俺を殺そうとした奴がここに」


「いや、あたしはあんたを殺そうとなんかしてねぇし」


その答えに俺の頭はショートする。ならばなぜ俺のいや、俺達のことをターゲットなどという紛らわしい言い方で呼んだのだろか。


「まぁそんなことはどうでもいいか」


そ、そんなこと。勝手に俺のことを、巻き込みやがったくせに。


「な、何だよそれ。大体俺は理由もなく殺されかけただけだぞ。俺は被害者だ」


「確かにあんたは被害者だ。あたし達と同じな。だけども、いつまでも被害者のままでいて死んでもいいってのかい。あいつらにはあんたを殺す理由があるんだからね」


「は?俺を、殺す理由だと。な、何なんだよ」


俺の言葉を聞いて彼女はニヤッと口元を片方だけ吊りあげる。


「来いよ。あんたの知りたい答えというやつを教えてくれる人物を紹介してやるよ」


「ま、待てよ」


彼女の出て行ったドアへと向かった。俺は脳震盪のダメージを受けながらも立ち上がりドアをくぐる。ドアを出たところは長い廊下だった。長い一本道に何個も部屋があるみたいだ。俺は右側に彼女を見つけそちらの方向へと歩いていく。


少し進んだところで彼女の足は止まった。


「ここだ。ここにあたしの隊の隊長がいる。あたしよりも事情とか色々知っているから質問するんなら直接隊長に聞くんだな」


「お、おい、待ってって」


俺の言葉を無視して彼女はどこかへ行ってしまった。


俺は目の前のドアの方へと向き直る。自分の中でゴクリッと唾を飲み込む音が響いていく。そうやって覚悟を決めていると先程の脳震盪の影響も少なくなってきた様で頭がすっきりとし始めた。これなら思考はある程度大丈夫だろう。そう思いそ覚悟を決め足を踏み出した。部屋の自動ドアが開くと、中から煙が風で流されてくる。目や鼻、口に入ろうとする煙を手で払いながら部屋の中へと入る。


「うん。ようやくきた様だね。たしか名前は光堂 多助だったかね」


部屋の奥から深みのある男性の声が聞こえてくる。だんだんと煙に慣れてきたのか目を開けるとそこには椅子に座った男がこちらを向いていた。


その男はオールバックの黒髪にサングラスに黒いコート、黒いズボン黒い手袋をという格好をしながらタバコを口に咥え足を組んで座っていた。


彼の姿を見て色々なことを考えている内に彼が先に語り始める。


「あぁ、そうだったね私は君について知っていても君は私について知らない。だからまずは自己紹介からだね。まぁ話は長くなりそうだ。そこにかけなよ」


そう言って指をさした先にはソファーが置いてあった。ソファーはある程度柔らかく座り心地もいい。


「では、私の名はオルゲド。ここのある部隊の隊長をやっているんだけどね。ここに来たってことはスルトに説明を受けろとでも言われたのかね」


「スルト?」


「あぁ、君は自己紹介されなかったのね。彼女、抜けているところが多いしね。一応遅いけども彼女についても言っておこうか、彼女、つまりは君をここまで連れてきた女性はスルトって言ってね、俺の部下にあたる人間ね。んで、彼女は俺んとこにいるただ1人の隊員ね」


ただ1人の隊員。ということは少ない人数でやる任務ということか。ここから考え出される答えいくつかある例えば、少数精鋭で作られた部隊、何か特別なことをする際に人数がいると動きにくいから少ない部隊。そして


「突然やってきた異物をどうするか対応に困った結果作られ押し付けられただけの人材の物置の様な部隊、か」


「?!」


突然目の前のオルゲドが反応する。ああ、俺はさっき声を出していたのか。しかし、声に出していたとはいえ彼は何でこんなに反応したのだろうか。


「あんまり頭の中で考えていることは言わないほうが身のためだぞっとは言っておくが、俺の部隊についてはまぁそんな感じだ。俺やスルトはどちらも世界協会国近くの国出身なんだがね、派遣された。しかし、困ったのは俺のそこでの地位が意外にも高くてね。扱いに困ったここの支部の人間が俺を隊長にすることで俺の面子を守りつつ隊員が1人もいないのは扱いが悪いと彼女をここに入れたって感じたな」


なるほど、先ほどの反応はそういうことだったのか。しかし、そうであるならば疑問が生まれてくる。まず、俺の部屋に彼女が来たことまではギリギリわかるのだ。だが問題はこうやって俺がオルゲドの話を聞いているということ。これを考えると俺は、


「まぁお前が入ることになった部隊の話だ聞いていて、損はないと思うぞ」


だろうな。そうだと思っていた。俺が違う部隊に入る場合、彼女が俺を案内するまでは考えられるが、彼が俺に説明するというのはまずありえない。


説明するのが彼であるということは彼と面識を持たなければならないということでもある。説明をする人物というのは非常に印象に残りやすいものだからな。人が多いのであれば他の教育係的なものが存在していただろうが、彼女が俺を案内する時点でそれもありえない。つまりはこの人物が俺のここでの生活の上で重要な役割を担う人物だということは今までの経緯を考えれば簡単に分かることなのだが、ここは


「何だそりゃ。そもそも俺はここに入るなんて言ってないぞ」


こう言うと彼らは多くの情報を言ってくれるだろう。仲間内に入らないという、ここでは最も愚かであるといえる言葉なのだが。しかし、いやだからこそ彼らは俺に色々と教えてくれるはずだ。


彼女の言っていた『あたし達』という発言を含めて考えてみるとここにいるのは協会国によって殺されそうになった人間の集まりで自分の身を守るために集まったのだったな。


彼らは俺のことをもう戦力として数えようとしていた。戦闘における素人である俺さえも戦力に加えようとしたということは、つまりは協会国に立ち向かうための戦力が少ないのではないか。


その二つの事柄から、俺の本質的な敵であろうが味方であろうがどちらにしろここである程度話すことで俺を信用させることで味方に引き込もうとするはずだ。そうすればある程度(彼ら主観になるが)は情報を手にすることができる。ここではより多くの情報を手に入れることこそが重要だからこの聞き方がベストとは言えずともかなりいい方向に行くはずだ。


「まぁ、一応なぜここに連れてこられたか。ということを教えてやろう。お前は世界協会国におけるトップシークレットである重要な秘密を持っている人間だからあいつらに殺されようとしている。まぁその秘密を俺たち全員が知っているがね」


そう言って肩をすくめる。


『重要なトップシークレット』か意味が重複しているが無視だ。ジョークだとするのならば母親の胎児の中からやり直したほうがいいくらいだ。それより大事なことは俺だけじゃなく彼らも知っているもの、という事だ。この場では後々言われる事だろうが一応早く言わせるほうがいいだろう。


「秘密?秘密って何なんだよ」


頭の悪い人間を演じる事で情報を得るのは情報を得る手段の中でも基本的な事だ。そういう人間を装う事である程度相手の油断を誘う。そうすれば次の段階の時にこちらを見下してくれるから一石二鳥の様な方法だ。


「まぁそう焦らんでも教えてやるさ、しかし、教えるに当たって一つ言っておく。これでお前は戦う戦わないに関係なく。完全に協会国のブラックリストに乗るぞ。いいな」


秘密を聞くとブラックリストに乗る。つまりはその秘密とやらは聞いたと聞いていないとではその人物の行動または態度そのものが変化するものだという事か。しかし、知らずに殺されるというのも恐ろしい。知って置いて対策を考えた方が現実的だろう。ならばここで聞かないという選択肢はないだろう。


「大丈夫だ。教えてくれ」


「なら教えてやろう。協会国が大切に守って守り続けてきた秘密、それは」


「それは」


「魔法だ」


魔法。魔法。魔法ぅ?


「魔法?何だそりゃ。もっと凄いもんかと思っていたら、なんだそりゃ。ファンタジー世界にでもぶっ飛んだか?協会国はファンタジー世界からの侵略者か、この野郎」


「落ち着け、まぁ少し話を聞け。魔法というのは自分の中にある少し特殊な力とでも思ってくれ。まぁ子の話は長くなるから少し落ち着け」


俺はそう言われて少し落ち着くために深呼吸をする。しかし、魔法か。ファンタジー世界の代名詞ともいえるそれの名前を聞かされてまともな状態で入れるほうがおかしいと思うのだが。それはもう置いておこう。魔法というものは世間で認知されていない。だとすると彼の話がもし本当ならば協会国の秘密と言ってもいいだろう。しかし、魔法を協会国が持っているとしてなぜ、それを知ると態度や行動が変化するのだろうか。そう考えると自ずと答えは一つに絞られる。


「俺は魔法という存在を持っていたから殺されそうになった。そして、それを認知した今、俺は魔法に対する対策を始める。それが彼らにはわかりブラックリストに載せられる様になる。そう言いたいのか」


「そういう事だな」


そうすればすべて説明がつく。というかそれ以外に説明できない。この前殺されかけたときの事。何もないところから槍が放たれた事。いつの間にか背中を切られていた事。そして何より、あの子が俺と同じく狙われ、殺されてしまった事。


「んで、魔法の事を知った感想は」


「すっきりしたよ。なぜこんな事が起こったのか分かった。そして、なぜ俺が、いや俺達が狙われているのか。そしてわかった今、俺のやるべき事はただ一つ」


俺は深呼吸をする。


「何が何でも生き抜く事だ」

リメイク中


補足


なぜ、世界協会国が彼らを狙ってくるのか?


魔法を独占するため。魔法を使える人間がいた場合、それを殺すため。また魔法が使えるなどと公言しようものなら周りの人間に冷ややかな目で見られた後、精神を安定させるためなどと言われて世界協会国に捕まる。また、世界協会国が行っているのは魔法による資源の生産、および複製。この魔法は少し普通の魔法とは違うものになるが本編で語られる(はず)なのでここで語る事はない。

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