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プロローグ

リィィィィィィィン!


「ウルセェ」


気持ちよく寝ていたというのに急に鳴り出す目覚まし時計のアラーム音にイラつきつつ時計の上にあるボタンを押すことによってその音を止める。


「フワァァ」


ゆっくりと起き上がりつつ頭へと新鮮な空気を入れるため欠伸をしながら窓へと近づき日光を遮っているカーテンを開ける。両手でカーテンを開けた為に無防備だった顔面に日光が降りかかる。目を細めながらも伸びをする。


「ハァ」


今日も1日が始まったということを実感しながら布団をたたむ。


「よし、今日も1日頑張るか」




一人暮らしというものを昔の俺は憧れていた。俺は大学に入る時、わざわざ遠くの大学まで行って一人暮らしができるようにしたのだが。朝、親の小言を聞かずに自分のペースで生活することのできる、そんな楽な生活だと思っていたのだが。


「マズっ」


俺は料理がろくに出来なかった為、毎日不味い飯ばかりを食っていた。コンビニで飯を買えばいいなんていう奴もいるがそれは親との約束でできないのだ。というかそれをやったら仕送りの金では賄えない。その為毎日料理をしているのだが、一向に進歩が見えない。かれこれ一年もこの生活を続けているというのに。


「はぁ」


バイトをしていないといわけでもないのだが、バイト代は全部自分の趣味へと当てている為マトモに金が残らない。そんなわけで俺は不味い料理を食べつつ朝の支度を始める。


「よし、今日の授業はっと」


俺が通っているのは大協生大学という創立100年以上あるの歴史ある大学だ。偏差値もかなり高く70代というかなり高い数値を誇っている。大学だ。理系、文系と色々な学科が存在している。元々は海外から来た大学グループのようで外人の教師も多い。世界的に有名な大学グループなので就職にも便利だ。なんとも俺、勝ち組である。そんな学校で俺は理系コースを取っている。


「よしこのくらいか」


カバンに教科書やら(超まずい)弁当を入れて肩からかける。


「…」


家を出るときに何も言わないというのはやはり少し寂しいなと思いながらも俺は学校への道へと進んだ。





時は2400年、世界から資源が枯渇し始めてから300年経った。初めの100年は戦争が絶えなかった。その火種は日本にまで降りかかる。しかし、2200年代前半、一気にその戦争が終わり始める。どこの国も資源が空になりかけた。全世界中の人々が気づいたのだ。このまま戦争をしたって資源を早く使い切るだけなのだと。故に皆、戦争を放棄した。


しかし、そのまた100年後、全てが大きく変わる出来事が起こる。世界協会国という国が生まれたのだ。ヨーロッパと言われている場所の国が統合し、その国を作った。彼等はなんと枯渇していた資源を何処からともなく作り出し世界の国々へと渡していった。そして世界に資源が行き渡る。しかしそんなものは最初だけだった。


最初は無償で資源を渡していたのだが、3年ほどたった時、資源を渡す代わりに法外な値段を請求するようになった。そんな世界協会国の資源を盾にした法外な値段請求に様々な国が不満を抱き、世界協会国を倒すためだけの同盟、そして連合国と世界協会国との戦争の火蓋が切って落とされた。これこそが世界第三次大戦と言われている。その戦争は意外な展開で終止符を打つことになる。連合国側が戦争を有利に進めていき、誰もが連合軍が勝つと思っていた矢先に、その事件は起こった。それは戦争開始からちょうど100日目だった。当時の連合国側には八つ大きな基地が世界各地に存在していたのだが、その大きな基地全てが一晩にして破壊し尽くされたのだ。それにより連合国は戦争を続けることが不可能になり戦争が終わった。その世界第三次大戦に終止符を打ったその事件を人々は八天災と呼んだ。


その八天災から100年。この世界の衰退していた技術力も世界協会国によって400年前と同じような技術力まで戻っていた。




「…ということで、この授業を終わりにしたいと思う」


目の前の先生の授業が終わる。机の上に転がっているペンやルーズリーフをカバンに戻し、席を立つ。右手にある時計を見る。時間は5時38分を指している。


「よし帰るか」


いつも通りの日常になんとも言えない退屈さを感じるが、それを無視して講義室から出る。突然、自分のジーパンのポケットが震える。ポケットからケータイを取り出し、通話ボタンを押す。


「夏樹か?」


多助おおすけ、今日空いているか?』


ケータイからは友人の声が聞こえてくる。彼の名前は玉木たまき 夏樹なつき。高校時代からの友人で同じく理系を専攻しているのだが、学科が違う為、あまり同じ授業で会うことが少ない。


「まぁ予定は無いけど」


『じゃあ、遊びに行こうぜ』


どうせノープランなのだろう。夏樹はそういう奴だ。


「何処に?」


『そりゃぁ、…』


やはり何も考えていない。流石は勉強ができる馬鹿。


「おいおい、自分で考えとけよ。というか今日は疲れたし、明日にしようぜ。明日は土曜で学校も休みだしさ」


『そうだな、そうしよう』


「じゃあ駅で待ち合わせでいいか?」


『そうだな、じゃ明日ー』


と一方的に夏樹との通話が切れる。自分勝手な奴だなと思うが此処までいつも通りなので特に気にしない。明日は予定ができたなと思いつつ自分の趣味である本を買う為に本屋へと向かう。




「2,330円です」


3,030円を店員へと渡す。


「700円のお返しです。またのお越しをお待ちしております」


お釣りを貰いそれをそのまま財布に入れる。はぁ、今月のバイト代がもうほぼ無い。これ以上本を買うことができないと思いつつ俺は家への帰路へと戻る。俺が小説、いや推理小説に嵌ったのは10歳の頃だった。その頃、へぶっ。何かに足が引っかかって転んだようだ。ううっ鼻面が痛い。


「大丈夫ですか?」


そう慣れない日本語で言って聞いてきたのは十字架のマークのついた白い帽子と白いコート、白いスーツと白尽くしの服装をしている。男だった。協会の人か。ならば、


「ありがとうございます」


と英語で話す。こちらが英語を話せると理解したのか彼も英語での対応をしてくる。


「いえいえ、協会のものとして当然のことですから」


「おい、仕事が遅れる。行くぞ」


もう1人後ろにいたようでその彼が目の前の男にイラつきながら怒鳴る。彼も協会の制服を着ているが野蛮な印象を受ける。目の前の男は何か嘘を隠すかのような笑みを浮かべていて見ているこっちとしてはこちらの方が気味が悪いのだが。


「わかりました。すみませんね、彼はせっかちなもので」


「い、いえ、大丈夫ですよ」


「行くぞ!」


「では、すこしは待つということを…」


彼等は言い合いをしながら何処かへと去って行った。しかし、新しい配属の人達なのだろうか。あまり見たことのない人物だ。


協会。それは協会国から送られてきた監察官の泊まっている屋敷だ。協会に泊まっている人々が資源についての調査をしてそれを本国に持ち帰り、資源の売る量を決める。つまりは彼等を怒らせれば則ち、資源の供給が止まる。彼等に対する態度はよくしていなければ国ごと死ぬ場合だってありうるのだ。全く恐ろしい。


そんなこんなあって家に着く。鍵を開けいつも通りに買ってきている食材で料理を開始する。しかし、夏樹は明日は何処へと行くつもりなのだろうか。いつも通り、あっ塩入りすぎた。まぁいいや、いつも通りにそこら辺ぶらぶらした後にカラオケとか入るだけだろうか。あっ焦げてる。俺が考えといて、あっ。




今日の晩飯も想像どうり不味かった。本当にすごく不味い。どのくらい不味いかというと、…身体中に蜘蛛や毛虫、百足を這い回されているような感覚に陥るほどに不味かった。流石俺、殺人兵器になりそうなものを作れるとは。


布団を敷いて横になりながら今日買ってきた本を読み始める。推理小説だ。というか推理小説しか読まない。俺が推理小説に嵌ったのは10歳の頃だった。その頃、8歳までの記憶が何故かない俺は自分の存在がどんなものなのかわからずどうすればいいのかわからなかった。そのとき親父が渡してくれたのが推理小説だった。そこから俺は推理小説に物凄い勢いでのめりこんだ。一時の時間も惜しんで読んでいるその姿に親父もびっくりしたようでその時の俺のことをまるで水の中で血が出た魚の匂いを発見した鮫のような勢いだと言っていた。地味に酷い。息子を水中生物扱いとは。


一冊を読み終わり時計を見るとなかなかにいい時間だった。


「そろそろ寝ますかねぇ」


そう言って俺は布団へと潜り込んだ。

リメイクしてます。


地味にメシマズ設定にされた主人公。

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