プロローグ
気がついたら、扉の前に立っていた。
自分にとっては、本当に唐突に前触れもなくだ。
生まれた瞬間に扉の前に居たような感じすらある。
左右を確認してみる。真っ白な世界が広がっている。
後ろを振り向き確認してみる。本当に真っ白な世界だ。
最初は見とれていたが、すぐに気持ち悪くなった、扉に向き直ってもたれ掛かかり大きく深呼吸した。
確かに綺麗だったが、平衡感覚が無くなりそうな所だ。
俺はすぐに、この世界から出る決意をした。
俺は取っ手を回して扉を開こうするが、開ける直前に躊躇する。
俺はこの世界の事も知らないのに、この怪しい扉の向こう側に行っても良いのだろうか。何があるかも分からないのに。
横を見てみる。
綺麗だが、今はまだ恐ろしさしか感じられない。
移動しようかと考えてみるがもし、この平衡感覚が狂いそうな世界で迷ったり(?)して、目印であるこの扉を見失ったりしたらと思うと···
俺は身震いすると、再びこの世界から出る覚悟をする。
扉の向こう側に何があるかは、分からないが何もないここよりは、マシだろうと思う···思いたい。
俺は扉を開けた。