呉
目の前に並ぶ二人の男を鋭い眼差しで見遣る。
「以上の事を踏まえまして結論はマスターが考えていた通りです。」
「‥‥‥間違いはないんだな。」
深いシワが眉間に寄る。
「もしかしたらと思っていたが、よもや当たっていたとは」
苦虫をつぶした顔は普段のおちゃらけた顔ではなく、厳しくギルドマスターの顔だった。
「引き続き調査を続けますか?」
「ああ、頼むぞ。それからくれぐれも怪我をするな。」
「「はい、わかりました。マスター」」
二人は大きな声で返事をした。
そこで一瞬和やかな空気が流れたが、遠くから微かに聞こえてきた音に二人は首を傾げ、一人は顔を引き攣らせた。
カツッ、カツッ、カツッ
段々と近付いて来る音は何故か不安を掻き立てる。
「二人共、今すぐそちらの扉から出ていくんだ。怪我をしたくないなら」
慌てた様子で正面の扉ではなく右側の小さな扉を指差す。
訳が分からないと言った様子で首を傾げつつ、二人は言う通りに右側の扉から出て行った。
それを横目に残ったギイ青ざめた顔で正面の扉を見つめる
キィッ
そして静かに扉は開いた。
「ど、どうしたんだ?確か見学中、じゃなかったかい?リオンちゃん」
入って来たのは、普段は滅多に見られない笑顔でこちらもぎこちない表情で笑いかける。
「ああ もちろん見学中だった。だったがサボったよ。」
満面の笑みが怖い、しかし勇気を振り絞り問い掛けた。
「それはまた何故?真面目な子じゃなかったのかい?」
「もちろんそうするつもりだった
それでな、ギイ?あの案内係はなんなんだ?
なぜ案内係をあいつがやってるんだ?
俺の勘違いじゃなければ確かAAクラスの奴だよな?」
ちなみにランクは
X.S.AAA.AA.A.B.C.D.E.F
現在のところXランクは世界に五人のみ
その内二人が「孤剣‐レイヴ‐」ギイと「御柱‐クロウ‐」リオンである。
一番多い普通はBランクで
AAクラス以上は二つ名を持ち、ギルドでも各隊の指揮官レベルである。
そんなランクを持っているカイが学生ごときの見学会の引率をやる訳がないのだ。
裏があると気付くのは当たり前である。
「さぁ、キリキリ吐いてもらうか?」
つぅと汗が流れた気がした。
そしてギルド中にもの悲しい悲鳴が響き渡り、その後半死体状態で発見された者がいたらしい
「・・・・ねぇ、リーナちゃん?」
「何かしら?早く帰ってお昼寝しないとお肌に大敵よ」
振り返りながらぽやぽやと笑う
「いや、そんなぽやぽやしてるとこ悪いのだけど
私はツッコミをいれたい?一体何があったの?どっか怪我したの?」
その言葉に自分の服を見下ろし、てへらっと頬をかく
「あ~、うん。怪我はしてない大丈夫だよ。たぶん返り血だと思う」
「返り血?それのどこが大丈夫なのよ。てかサラっと何怖い事言ってるのよ。」
白いローブに紅い斑点があるのだ、誰でも騒ぐだろう。
「変なこと言ったかな?」
十分に変なことをいっているのに全く気づいてない
「・・・もういいわ。ならどこに行ってたの?気付いたらいなくなってからびっくりしたのよ。」
「それはリーナのひ・み・つ、です」
ひと指し指を唇の前に立て片目を瞑る。
それに目を見開き、プルプルと震えながら凝視したかと思えば
「やっぱりリーナは愛くるしいわ。嫁に来てくれない?」
ギュッ
「ウキュ・・・・く、苦しいよ」
圧死しかけるような見事なさば折りされ、ぐったりとなる。
「ごめん、ついうっかり。可愛かったから」
あなたは可愛かったら人を締め落としちゃう人だったんですね
そしてどうして今にもよだれを垂らさんばかりに見つめてくるのかしら?
「帰ろう。みんなが待ってるんだろう?」
考えても仕方ないので話題をかえる
すると笑顔で頷き返してくれ、先に歩き出してくれる