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帰りたいです。出来るならば帰ってしまいたいくらいです


「もうリーナってば、今日はみんな楽しみ見学会だよ?なんでそんなに楽しそうじゃないの?具合悪いの?」

「退屈なんですの、私木陰で本を読んでいたかたのに」

小首を傾げ、悲しげに外に視線を移す。

「ちょっとリーナ、ギルド見学より本を選ぶなんて」

呆れ気味でリーナを見てたがすぐにその視線は外れ

「ああ、天国を登ってるみたいよ。憧れの『聖者の双剣』の本拠地[デザイア]に来たのよ、入れるのよ

なのに興味が無さすぎよ」

うっとりと酔いしれ、未だに外を見ているリーナにため息をついた。


興味ないですもん、それにここは《リオン》が毎日通ってますもの見慣れていますし


ぼんやりとしていれば横に立つシャインが仕方なさげに手を引いて歩いてくれる。

「はい、それではここからは『聖者の双剣』の案内を担当する方にバトンタッチをします。」

担任の教師の声に前を向き、固まった

「こんにちは、皆さん。私が皆さんの案内を担当する、カイよ。よろしくね」

担任の横に見覚えのあるフェロモン系美女が見えたからだ。


あの方は確か・・・・


『《リーナ》、俺が出るから替われ』


《リオン》、でも・・・


『大丈夫だ。上手くやるから』


仕方ない、ですよね。私が表にいても事態は変わりませんし《リオン》がやる気みたいですしね


ゆっくりと瞼を閉じ、そして開いた

そこに触れれば切れそうなくらいの剣呑さが宿り、先程までの柔らかな光は一切ない


殺る。問答無用で殺ってやる。首を洗って待っていろよ、ギイ


唇を歪ませて笑い、カイを先頭に再び歩き出した一団をそっと抜け出す

その際、繋いでいたシャインの手は近くにいた女子と繋がせた


そして見付からないように抜け出したためなのか、はたまた影が薄かったのか、リーナがいなくなったと気付いたのは丁度点呼した時だったそうである。




何処にいるのかしら?

マスターの話しではあの人は学生で、今日この中にいるって事だったけど


一人一人生徒を観察しつつ、胸を踊らす。

「カイさん、質問して良いですか?」

明るく元気そうな女子生徒が手を上げて、声をかけて来た。

「は~い、なんですか?」

「あの、カイさんは『御柱‐クロウ‐』様に会った事はありますか?もし会った事があるんでしたらどんな人なのか教えて下さい。」


あらあら、やっぱり皆気になるわよね。

何せ世界中から最強と認められる人だものね。


「そうね。任務遂行率100%、超がつく程強くて正体は一切謎の存在よ」

「他にはないんですか?」

矢継ぎ早に次の質問が飛ぶ。

「そうね。あるとすればマスターが溺愛してるらしいって事よ。」

「溺愛?『孤剣‐レイヴ‐』様がですか?」

その言葉に皆が詰め寄る。

それを苦笑いでカイは続きを話し出す。

「うふふ、聞いてくださるかしら?

報告も仕事の受諾は必ずマスターしか受け付けない

それにギルド員は必ず入る時に『御柱‐クロウ‐』様に対する五ヶ条を約束させられるの

簡単に言えば、触れない・話しかけない・見ない・詮索しない・恋情持つな、よ」

その瞬間、一気に生暖かい眼差しが宙に向けられる。


てかそれは溺愛と言うよりは一方的な独占欲と恋心じゃないか、と全員の心が一致する


「後はないかしら、ないのでしたら次は奥にあります訓練所に案内するわね」

和やかに一団は奥へと進んでいく。

時折、カイの探るような眼差しに気付きもせずに


う~ん、それにしても本当に見つからないわ

いくら気配を隠されるのが上手い方だとしても

これは流石に正体が謎の方ってことかしら?

でも学生をしている事が分かったのは大収穫ね。


彼女が想う人はすでに哀れなギルドマスターの元に去っており、いるはずのない人を探していたとは気づいていない


会いたいわ。会ってそれから、それからウフフ・・・あの澄んだ声で罵って欲しいわ


緩みきった表情で変態発言するカイ

唯一の救いは生徒達に背を向けていてなおかつ声に出さず心の中で発言したことである


そう主に生徒達の汚れがないだろう精神衛生的にも

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