表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

拾陸

賑やかな道を不安感漂う表情で歩くフードを被った人物


その手に握られているのは少し汚れがある薄い紙である。

その紙と道沿いにある建物を交互に見遣りながら先を進んでいる。


「ここじゃないな、あれか?違うな」


どうやら紙に書かれている場所を捜しているようだ。

そして疲れたのか、端に寄りため息をもらす


「人に聞いてもみんな違う方向指差すしな」


道を何人かにすでに聞いていたみたいだ。

しかしいつまでも立ち止まっていても仕方ないため


とりあえず、聞いたみんなが同じ内容だった北側の門を目指す

目的地は皆北側の門の側だと断言したのだ


会ってみたい、あの噂に名高い


この世界最強の人物に

自分の力の扱い方を指導出来るのは、その人物しかいないと言われたのだ。


「絶対に自分のものにしないと、じゃないと会いにいけないんだよアリシア」


寂しく呟くと同時にフードが外れ、現れたのは強い悲しみを背負うノエルであった。






「来た・・・・」


上空を見上げ、呟く姿にギイが横でため息をつく。


「一体何してるんだ?」

「どうやら、会いに来てくれたみたいだ」


振り返りもせずリーナは空を見上げている。


「ギイ、支度を迎えに行かなければ」


既に着替え、ギイを急かす


「誰が来るんだ?」


ギルドマスターの顔で尋ねるギイにリーナが青いフード付きマントを被り、首を傾げた。


「知らない」

「なぜ?知ってるから言ったんじゃないのか?」

「風が教えてくれた」


さらりと新事実を暴露し、リーナは部屋から出ていった。


「で、どこなんだ?」


ギルドの屋根から下を見下ろすのはギイと仮面とフードを目深に被った蒼王姿のリーナ


「騒ぐな。こちらに向かってきている」


不機嫌なリーナは手を振る。


すると、ギイが転んだ。


と同時にギイは屋根を転がって行く。


興味無さそうに、空を見上げるリーナ

ようやくギイが止まり、素早く起き上がり駆けていた。


「一体なにしちゃってくれるの?」

「うるさい、見つかる、警戒される」


端的な棘がギイに突き刺さった。


クリティカルヒットし、ギイは膝を付きリーナは遠くをみつめた。

そうこうしている間に下にリーナの視線が送られる。


「ギイ、あの子だよ。ずっと待っていた。」


目を細め、屋根の上を歩き出す。


「どうしたら警戒されず話を持ちかけるか」


何回か、爪を噛みそれから首を振る。


どうやらか色々とやらなければ


そうこうしている間にも近づいてきている


「やっぱり、人目につかないよう路地裏に引き込むかそれとも転移に連れ込むか」


少々乱暴な招待をするつもりだ


「普通に声かけるという選択肢はないのか?


どこから間違ったのだろうか?やっぱり俺の育て方に間違いが」


段々と沈んでいくギイがに頭をかいて、リーナが小さく舌打ちした。


「とりあえず連れてくるから迎える準備して」


軽い身のこなしで屋根から身を投げた。


「何か用意しないと・・・・」


ガックリと肩を落としてギイは転移していく。





えっと


どこだここは


また迷ったのか?


なんか裏通りなのか人が少ない。


道聞きたくても聞けない。


元来た道を戻ろうにも分からなくなり戻れない。


辺りを見回し、目を閉じる。


大きく深呼吸し、ゆっくりと目を開ける。


見えるのは先程までの景色ではない。


広がるのは、無数の精霊達の姿


みな、見られている事に気付いたのか


みな興味深そうに見返される。


勇気を振り絞り、手を出す。


「僕の声を聞いて?」


その瞬間、精霊達がノエルに引き寄せられるように近づいてく。


「君たちに案内を頼みたいんだ。」

[何でも言いなさい。]


精霊達の同意に再び口を開こうとした瞬間、小さな笛のような高い音が響いた。

それと同時にノエル、いやノエルの背後にいる者に精霊達がひれ伏すように膝を付く。


慌てて振り返り、ノエルは思わず膝を付きかけた。


自分よりも小柄な姿の人物に


「来い、《聖者の剣》はこっちだ」


どうやら自分の行きたい場所に連れて行ってくれるようだが

なぜこの人物は自分が行きたかった場所を知っているのだろうか


「君は誰?」


その問い掛けにその人物は振り返り、盛大にため息を付く。


「どうでも良いだろうだろうが、今は行くのか?行かないのか?」


面倒くさげに問いかけ返され、ノエルは眉を潜める


「良くない!敵かもしれない奴の・・・」

「敵ならすでに何も言うことなく抹殺してる


いい大人がガタガタぬかすな」


微かに漏れてくる殺気は冷たく拒絶が出来ないものだ。


だからノエルは唇を噛み、大人しく従う事にした。

本能的に気付いていた、この人物は自分で勝てる見込みはないのだと


こちらを見もしない謎の人物


苛つき、殺気がもれているが危害を加えるつもりはないようにも見える。


「俺は、ノエルと言います。


えっと、迎え?に来てくれてありがとうございます。」


だが返事は返ってこない。


無言で進んでいく目の前の人物に、こっそりとため息を付き、仕方なくそれ以上は何も言わずに付いて行く事にした。


「あそこだ。入って受付でギルドマスターへの面会を申し込め」


そう言い、さっさと転移していった。


「転移出来るなら何故連れて行ってくれないんだ?」


疑問は浮かぶが、目の前にある建物に拳を握り気合いをいれると一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ