6話 射撃訓練
分け方が難しく、短くなっています。
並ぶコース表示の赤ランプの中に青ランプを見つけ、そこに入る。
人の発砲する音、そこから発せられる気配のようなものから区切られた空間は、俺をとても落ち着かせてくれる。
今朝から高ぶっていた俺の心が少し沈められていく気がする。
(よし、今なら行ける気がする)
一度深く深呼吸…そして、自分の近くにあるカゴからUSPを取り出した。
USP…それは人類最後の楽えnおっと俺はなにを言っているのか。
…ごほん。このUSPは40S&W弾薬を使うことを前提に作成されたH&K社の拳銃である。他には9mmパラべラム、45ACP弾も使用出来るようダブルカラムマガジンを採用しているなどすでにあったP7よりもさらに良くなった良銃なのだ。ポリマーフレームによる軽量化、マガジンもポリマー化し変形による動作不良防止、手袋をつけていても滑らぬようにグリップを改良、ライト等アタッチメントを付けれるタクティカルマウントを装備するなど利点が山ほど挙げられるのだ。
軽量、かつその扱いやすさによって初等部のころから使えるようになっている。
俺はなれたその鉄の感触に懐かしさを感じた俺は、ゆっくりとマガジンに9mmパラべラム弾を込める。
先ほど挙げた通り弾薬の種類がとてもあるが、初等部の時点で使えるのは一番軽い9mmパラべラムのみである。
9mm用のマガジンには15発入り、さらに薬室に送ればもう一発入る。
まあしかし、そんなことは戦場くらいでしかしない。暴発が怖いからな。
俺はマガジンを入れ、スライドを引き、戻す。これによってバネの力で薬室に弾丸が送り込まれる。
この拳銃は自動式なのでこの動作によって、同時に撃鉄が起き、いつでも発射可能になるのだ。シングルアクションとかより本当に楽になったものである。
(うーん、久しぶりだからやっぱ緊張するな)
緊張によってにじむ手汗で嫌な感じがするのを押し込み、手袋を着ける。うわっ気持ち悪。
「ふー…」
しっかり握れるかをグーパーして確かめ、USPのグリップを握る。
一息つき、拳銃の上部に取り付けられている照星を目の前に置いた。
さっき言ったとおり、顔を曲げるのではなくUSPを近づけるのがポイントである。
体勢は前傾、足は肩幅に開く。
かっ、と射抜くかのように目を見開き、遠くにある的、いや敵を見据える。
その視線の先、狙うは相手の喉笛。
息を止め、サイトを覗き、自分の呼吸によって上下する銃の動きを把握する。
苦しくなってきた、そう思ったときサイトが完全に相手の喉と合致した。その時俺の脳裏に相手が喉笛を撃ち抜かれ倒れるビジョンが閃く。
(ここだ――――!!)
指に力を入れ、そして、発砲。
引き金を引く、たったそれだけで自分の放った弾丸が亜音速で相手へと飛翔する。
―――ガァン!!
あまりの速さに発砲音と着弾音が同時に聞こえた気さえした。
空薬莢が排莢口からはじき出され、地面に落ちる。それはキン、キンッという甲高い音を立てて転がっていった。
弾丸は圧縮ガスによって発射されるため、発砲後の空薬莢は非常に高温になっている。間違えても触れないようにしなければならない。
手袋で慎重に摘み上げ、近くにある薬莢入れに入れる。
そこまで終えてから、的を確認する。踏んでぐねったらやばいからまじ痛いから。
しかし…
「ぬー…」
俺が撃ち抜いた穴は相手の喉を少しずれた場所に空いていた。
「うーん…自信あったんだがなあ……」
サイトで捉えたまでは多分よかったと思うんだがなあ。
ま、これが今の俺の実力なのだろう。それを強化するために今俺はここにいるのだ。
そこで思考を打ち切り、まだ少し熱を持つUSPを握り直した。さきほど言ったとおりこれは自動式なので撃鉄を起こしなおす必要はない。
もう一度構え直し、サイトを覗き、発砲。薬莢を拾って、反省して、もう一度構え直し、サイトを覗き、発砲。
それを無心で繰り返し続けた。